Windows 11のWi-Fiで、本来のMACアドレスを周辺に固定的に見せたくない場合は、**「ランダムなハードウェア アドレス」**を利用します。
設定範囲は、すべてのWi-Fiに適用する方法と、特定のSSIDだけに適用する方法の2種類です。未接続時のネットワーク探索も含めて広く対策したいなら全体設定、特定のWi-Fiだけで使いたいならSSID別設定を選びます。
ただし、この機能を利用できるのは対応するWi-Fiアダプターを搭載したPCだけです。また、MACアドレスによる識別を難しくする機能であり、IPアドレスを隠したり、VPNのように通信経路を保護したりするものではありません。([Microsoft サポート][1])
ランダムなハードウェアアドレスの適用範囲
Windows 11には、ランダムなハードウェアアドレスを使う範囲として、次の2つの設定があります。
| 設定範囲 | 設定場所 | 適用される場面 | 適用タイミング |
|---|---|---|---|
| すべてのWi-Fiネットワーク | 設定→ネットワークとインターネット→Wi-Fi | 周辺ネットワークの探索時と、Wi-Fiへの接続時 | 設定後の探索・接続 |
| 特定のWi-Fiネットワーク | Wi-Fi→既知のネットワークの管理→対象SSID | 選択したWi-Fiへの接続時 | そのネットワークへの次回接続時 |
Microsoftの公式説明では、全体設定をオンにすると、PCがネットワークを探索している間と、いずれかのネットワークへ接続するときにランダムなアドレスが使われます。一方、SSID別設定は、選択したネットワークへ次に接続するときから適用されます。([Microsoft サポート][1])
したがって、Wi-Fi未接続時の探索信号にも対策したい場合は、全体設定を使う必要があります。特定SSIDの設定だけでは、ほかのネットワークを探索している場面まで広く適用されるとは限りません。
Wi-Fiに接続していなくてもMACアドレスが使われる理由
PCはWi-Fiに接続していないときも、周辺に利用できるネットワークがないか探索します。その際に送信される信号には、機器を識別する一意の物理アドレスであるMACアドレスが含まれます。
ショッピングモールや店舗などでは、同じMACアドレスが繰り返し観測されると、同じ端末がどの場所を移動したかを関連付けられる可能性があります。
対応するWi-Fiハードウェアでランダムなアドレスを有効にすると、探索や接続に使うMACアドレスを固定値ではなくランダムな値にし、端末の継続的な識別を難しくできます。([Microsoft サポート][1])
ただし、物理的なMACアドレスそのものがPCから削除されるわけではありません。WindowsがWi-Fiの探索や接続で使用するアドレスを切り替える仕組みです。
すべてのWi-Fiネットワークでランダムなアドレスを使う方法
外出先で頻繁にWi-Fiを探すノートPCなどでは、全体設定が向いています。
設定手順
WindowsキーとIキーを押して「設定」を開きます。- 「ネットワークとインターネット」を選択します。
- 「Wi-Fi」を選択します。
- 「ランダム ハードウェア アドレス」をオンにします。
設定経路は次のとおりです。
設定→ネットワークとインターネット→Wi-Fi→ランダム ハードウェア アドレス
この設定をオンにすると、PCが周辺のネットワークを探索するときと、Wi-Fiネットワークへ接続するときにランダムなアドレスが使われます。([Microsoft サポート][1])
現在接続中のWi-Fiで適用状況を確認するために再接続する場合は、ダウンロード、オンライン会議、リモート接続などの作業を保存してから、Wi-Fiを切断・再接続してください。
特定のSSIDだけでランダムなアドレスを使う方法
自宅や職場では通常のMACアドレスを使い、カフェや施設のWi-Fiだけランダム化したい場合は、SSID別に設定します。
設定手順
- 「設定」を開きます。
- 「ネットワークとインターネット」を選択します。
- 「Wi-Fi」を選択します。
- 「既知のネットワークの管理」を開きます。
- 設定したいWi-Fiネットワークを選択します。
- 「ランダム ハードウェア アドレス」をオンにします。
設定経路は次のとおりです。
設定→ネットワークとインターネット→Wi-Fi→既知のネットワークの管理→対象SSID
SSID別の変更は、そのWi-Fiネットワークへ次に接続するときから適用されます。すでに接続中の場合は、通信中の作業を保存したうえで、一度切断して再接続します。([Microsoft サポート][1])
全体設定とSSID別設定の選び方
どちらを使うかは、プライバシー対策を優先する範囲と、接続先ネットワークの運用方法で判断します。
| 利用状況 | 向いている設定 | 理由 |
|---|---|---|
| カフェ、駅、商業施設などを持ち歩くPC | すべてのネットワーク | 未接続時の探索を含めて広く適用できる |
| 特定の公衆Wi-Fiだけで使いたい | SSID別 | 自宅や職場のWi-Fiへ影響を広げにくい |
| 自宅ルーターでMACアドレスによる端末管理をしている | SSID別、または自宅ではオフ | 登録済み端末と異なる端末として扱われる可能性がある |
| 職場や学校でMACアドレスの事前登録が必要 | 管理者へ確認 | ランダム化すると登録済みアドレスと一致しない可能性がある |
| 外出先での探索時の識別を減らしたい | すべてのネットワーク | SSID別設定は対象ネットワークへの接続時が中心となる |
ネットワーク側がMACアドレスを使って端末を識別している場合、ランダム化後のアドレスは、登録済みの端末とは異なるものとして扱われる可能性があります。
例えば、次のような設定を利用しているネットワークでは注意が必要です。
- MACアドレスを登録した端末だけ接続できる設定
- MACアドレスを基準にしたペアレンタルコントロール
- MACアドレスごとの固定ローカルIPアドレス割り当て
- 端末ごとの接続時間や通信量の管理
- 登録可能な端末数が制限された公衆Wi-Fi
接続できなくなった場合は、まず対象SSIDのランダムなハードウェアアドレスをオフにし、元の運用に戻せるか確認します。
ランダムなハードウェアアドレスで保護できないもの
この機能は、MACアドレスを使った端末識別を難しくするためのものです。すべての追跡や通信監視を防ぐ機能ではありません。
| 対象 | 保護の有無 |
|---|---|
| Wi-Fi探索時の固定MACアドレスによる継続的な識別 | 難しくできる |
| Wi-Fi接続時に使うMACアドレスの固定化 | ランダム化できる |
| インターネット接続時のグローバルIPアドレス | 隠せない |
| Webサイトへログインしたアカウント情報 | 隠せない |
| Cookieやブラウザー設定による識別 | 防げない |
| 通信内容の暗号化 | この機能だけでは行われない |
| VPNのような通信経路の変更 | 行われない |
ランダムなハードウェアアドレスをオンにしても、Webサイトやインターネットサービスから見えるIPアドレスは変わりません。また、VPN接続が自動的に作成されるわけでもありません。
公衆Wi-Fiを安全に使う場合は、MACアドレスのランダム化だけでなく、HTTPS通信の確認、OSやブラウザーの更新、不審なWi-Fiへ接続しないことなども重要です。
設定項目が表示されないときの確認ポイント
Microsoftは、ランダムなハードウェアアドレスを利用する条件として、Wi-Fiハードウェアが機能に対応していることを挙げています。([Microsoft サポート][1])
設定項目が見つからない場合は、次の順番で確認します。
Wi-Fiアダプターの対応状況を確認する
「デバイス マネージャー」の「ネットワーク アダプター」を開き、搭載されているWi-Fiアダプターの型番を確認します。
そのうえで、PCメーカーまたはWi-Fiアダプターのメーカーが公開している仕様やサポート情報を確認してください。
Wi-Fiドライバーを確認する
古いドライバーを使っている場合は、PCメーカーが提供するWi-Fiドライバーに更新できるか確認します。
ただし、ドライバーを更新すれば必ず機能が追加されるわけではありません。ハードウェア自体が対応していなければ、設定項目は利用できません。
組織管理のPCでは管理者へ確認する
会社や学校などから貸与されたPCでは、管理ポリシーによってネットワーク設定が制限されている場合があります。設定を変更できないときは、管理者へ確認してください。
レジストリで無理に表示しない
設定項目がないからといって、レジストリを変更して強制的に表示させる方法は推奨できません。
ランダムなMACアドレスの生成や利用には、Wi-Fiアダプターとドライバー側の対応が必要です。画面上の項目だけを表示しても、非対応のハードウェアへ機能が追加されるわけではありません。
元の固定MACアドレスで接続する設定に戻す方法
元に戻すときは、ランダム化を有効にした範囲と同じ場所でオフにします。
すべてのネットワークで有効にした場合
設定→ネットワークとインターネット→Wi-Fi
「ランダム ハードウェア アドレス」をオフにします。
特定SSIDで有効にした場合
設定→ネットワークとインターネット→Wi-Fi→既知のネットワークの管理→対象SSID
対象ネットワークの「ランダム ハードウェア アドレス」をオフにします。
どちらで設定したか分からない場合は、Wi-Fi全体の設定と対象SSIDの設定を両方確認してください。
SSID別の変更は次回接続時に反映されるため、設定後に再接続します。切断すると通信中の処理が中断する可能性があるので、オンライン会議、ファイル転送、クラウド同期、リモートデスクトップなどを終了または保存してから操作してください。([Microsoft サポート][1])
ランダムなMACアドレスは接続のたびに変わるのか
「ランダム」という名称から、接続するたびに必ず別のMACアドレスへ変わると考えがちですが、変更頻度を一律に断定することはできません。
Microsoftの公式案内では、ネットワーク探索時や接続時にランダムなハードウェアアドレスを使用することは説明されていますが、すべての端末で何分ごと、何日ごと、何回の接続ごとに変わるかまでは示されていません。([Microsoft サポート][1])
Wi-Fiアダプター、ドライバー、Windowsの状態によって動作が異なる可能性があるため、毎回必ず変更されることを前提にした端末管理は避けた方が安全です。
Wi-Fi探索時から対策したいなら全体設定を選ぶ
Windows 11のランダムなハードウェアアドレスには、全体設定とSSID別設定があります。
未接続時のネットワーク探索を含め、幅広く固定MACアドレスの使用を避けたい場合は、次の場所で全体設定をオンにします。
設定→ネットワークとインターネット→Wi-Fi
特定の公衆Wi-Fiだけで使いたい場合は、次の場所から対象SSIDを選びます。
設定→ネットワークとインターネット→Wi-Fi→既知のネットワークの管理
設定項目が表示されない場合は、レジストリで強制表示するのではなく、Wi-Fiアダプターとドライバーの対応状況を確認してください。また、MACアドレスによる端末登録を使っている自宅・職場・学校のネットワークでは、接続への影響を確認してから有効にすることが重要です。
[1]: https://support.microsoft.com/ja-jp/windows/windows-%E3%81%A7-wi-fi-%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%AB%E6%8E%A5%E7%B6%9A%E3%81%99%E3%82%8B-1f881677-b569-0cd5-010d-e3cd3579d263 “Windows で Wi-Fi ネットワークに接続する | Microsoft Support”

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