Dell PowerEdge R510(PERC H700/RAID5)でHDD交換後にWindows Server 2008 x64がcrcdisk.sysで再起動ループする原因と復旧手順

PowerEdge R510(PERC H700/RAID5)で故障HDDを交換しリビルド完了後に再起動したら、Windows Server 2008 x64がcrcdisk.sys付近で止まって再起動を繰り返す――。この症状はOS破損に見えて、実はRAIDの状態や回復環境のドライバー不足が原因のことが多いです。現場での切り分けと復旧手順を、失敗しやすいポイント込みで整理します。

目次

想定している構成と「今回の症状」

項目内容ポイント
サーバーDell PowerEdge R510RAIDやブートはPERC側の状態に強く依存
RAIDRAID5HDD交換後は「Virtual DiskがOptimal/Online」かが最重要
RAIDコントローラPERC H700(Integrated/Adapterいずれか)回復環境で論理ディスクが見えないと復旧作業が進まない
OSWindows Server 2008 x642008と2008 R2でドライバーが分かれることがある
症状再起動ループ、セーフモードでcrcdisk.sys付近で停止したように見える「crcdisk.sysが原因」と決め打ちせずストレージ初期化失敗を疑う
回復の障害修復メディアがRAID論理ディスクを認識できず、H700ドライバー読込を要求正しいドライバー一式(INF等)が必須

crcdisk.sysで止まる表示の意味(原因の当たりを付ける)

セーフモードの起動ログで最後に表示されやすいのが crcdisk.sys です。ここで止まって見える場合、実際には「その直後のストレージ初期化」や「ブートボリュームへのアクセス」で失敗して落ちているケースが多く、特にRAID環境では次のどれかが起点になりがちです。

  • RAIDコントローラ/仮想ディスク(Virtual Disk)の状態が不整合(Degraded、Foreign、Offline、再構成の失敗、整合性問題)
  • OS側がH700のブートドライバーで起動できていない(0x0000007Bの典型:INACCESSIBLE_BOOT_DEVICE)
  • 回復環境がH700を認識できず、修復ができない(正しいドライバー一式不足/アーキ不一致)
  • ファイルシステム破損(リビルド後のタイミングでたまたま顕在化することもある)

結論として、最短で復旧へ寄せるなら「RAIDの論理ディスクが正常か」→「回復環境で論理ディスクを見える状態にする」の順で攻めるのが鉄則です。

最優先の切り分け:OSより先にRAID(ハード側)を疑う

HDD交換・RAIDリビルド直後の起動不能は、OS修復に突入する前にコントローラの管理情報(VD状態・Foreign・予兆故障・整合性)を確実に確認するべき類型です。ここが崩れていると、どれだけWindows側を触っても改善しないか、むしろ悪化(データ消失)につながります。

やってはいけない操作(データ消失リスク)

  • 原因が不明なまま「Initialize」「Clear」系の操作を実行(Foreign configのクリアやVD再作成に近い操作は特に危険)
  • OSから見えないからといってRAIDを作り直す(OSが消えるのではなく、データごと失われる可能性が高い)
  • 複数本を同時交換(RAID5では交換手順次第で致命傷になりやすい)

PERC(H700)側で確認したい状態の目安

画面/ツールで見る項目望ましい状態望ましくない例次のアクション
Virtual Disk(論理ディスク)Optimal / OnlineDegraded / Offline / FailedOS修復より先にRAID側の復旧を優先(Dellの情報・サポートへ)
Physical Disk(物理ディスク)OnlineRebuild中のまま停止、Predictive Failure、Unconfigured(bad)別ディスクの予兆故障を疑い、ログ確認・交換手順を見直す
Foreign状態なしForeignあり安易にClearしない。Importの可否含め慎重に判断
Consistency/整合性問題なし整合性エラー可能ならConsistency Check。頻発するならハード疑い

この段階で「VDがOptimalなのに起動しない」なら、次はWindows側(ただし回復環境がVDを見える状態になっていることが前提)へ進みます。

回復メディアでディスクが見えない最大原因:H700ドライバーの「一式」が足りない

Windows Server 2008の修復環境(セットアップ/回復コンソール)がRAID論理ディスクを認識できない場合、PERC H700用のストレージドライバーを読み込ませる必要があります。ここで失敗する典型が、「.sysだけ持ってきた」「ZIP/EXEを展開できていない」「OS/アーキがズレている」です。

必要なのは“sysだけ”ではなく、認識のためのファイル一式

ファイル種別役割不足するとどうなるか
INF*.inf(例:oemsetup.inf等)「このハードにはこのドライバー」をWindowsに教える回復環境の「ドライバーの読み込み」で候補に出ない/不一致扱い
SYSpercsas2.sys / megasas2.sys 等実体のドライバー本体認識してもロードできない
CAT*.cat署名情報環境によっては警告・導入不可
TXTSETUP.OEMtxtsetup.oem“F6相当”の読み込みで使われることがある古い手順/環境で読み込みに失敗しやすい

重要なのは、回復環境でドライバーを読ませる時は基本的に「INFファイル」を選択することです。.sysを直接指定しても弾かれたり、導入できないことがあります。

「ハードウェアに合わない」と言われる時の典型チェック

ドライバー読込時に「このドライバーはこのハードウェアに合わない」系で止まる場合、原因の多くは次のいずれかです。上から順に潰すと早いです。

チェック項目確認ポイントよくある落とし穴
OS世代の一致Windows Server 20082008 R2R2用(または2012以降)を持ってきて不一致
アーキテクチャx64かどうか32bit WinPE/メディアで起動してしまい、x64ドライバーを拒否される
コントローラの型番PERC H700(Integrated/Adapter)H710/H800等の別世代、SAS HBA系(H200等)と取り違える
読み込み対象INFを指定しているかsysを選んでしまう、フォルダ階層が深すぎてINFに辿れない
ドライバーの展開配布物(EXE)をExtractしているかダウンロードしたEXEをそのままUSBへ置いている(中身が出ていない)

正しいH700ドライバーを用意する手順(現場で迷わないやり方)

ポイントは「R510用」「Windows Server 2008 x64」「展開してINFが見える状態」の3つです。

手順:ドライバーを“展開”してUSBへ

  1. Dellのサポートページで PowerEdge R510 を選び、カテゴリがストレージ/RAID(SAS RAID)のドライバーを探します。
  2. OS選択で Windows Server 2008 x64(R2ではない)を選び、PERC H700向けのドライバーを取得します。
  3. 別のWindowsマシンでドライバー配布物(EXE)を実行し、Extract/解凍を行います(多くの場合、指定フォルダへ展開できます)。
    展開後のフォルダに .inf.sys.cat(必要なら txtsetup.oem)が揃っていることを確認します。
  4. 展開したフォルダ一式をUSBメモリにコピーします(例:USBのルート直下に「H700」フォルダを作り、そこへ入れる)。

展開方法が分からない時は、ドライバーEXEを実行した際に作られることが多い「C:\Dell\Drivers\…」配下(または指定した出力フォルダ)を探すと見つかることがあります。どうしても展開できない場合は、7-Zip等でEXEを開いて中身を取り出せるケースもあります。

回復メディアでH700ドライバーを読み込み、RAID論理ディスクを認識させる

ここが通ると、以降の修復(スタートアップ修復、bootrec、chkdsk等)が初めて意味を持ちます。

手順:Windows Server 2008の修復環境でドライバーを読み込む

  1. Windows Server 2008 x64 のインストール/修復メディアから起動します。
  2. 「コンピューターを修復する」(システム回復オプション)へ進みます。
  3. OS一覧が出ない/ディスクが見えない場合、「ドライバーの読み込み」を選択します。
  4. USB内のドライバー展開フォルダまで移動し、.inf を選択して読み込みます。
  5. ディスク(RAID論理ディスク)が見えるようになったら、OSを選択して修復メニューへ進みます。

注意点として、回復メディア自体が32bitだとx64ドライバーは読み込めません。R510+Windows Server 2008 x64環境で復旧するなら、修復メディアも64bitを使うのが基本です。

ディスクが見えた後に実施する復旧手順(優先度順)

RAID論理ディスクが回復環境で見えたら、次はWindows側の修復に移ります。以下は現場で成功率が高い順番です。

スタートアップ修復(まずは自動に任せる)

  • 「スタートアップ修復」を1回実行し、結果を確認します。
  • 改善しない場合でも、内部的に段階修復を行うことがあるため、2〜3回実行で直るケースがあります。

ブート領域の修復(MBR/ブートセクタ/BCD)

R510世代はBIOS起動(MBR)構成が多く、ブート修復コマンドが効くことがあります。回復環境の「コマンド プロンプト」から実行します。

bootrec /fixmbr
bootrec /fixboot
bootrec /rebuildbcd

再構築でWindowsインストールが見つからない場合、パーティションの状態(アクティブ設定やドライブ文字)が崩れていることがあります。次のdiskpart確認も有効です。

diskpart
list disk
select disk 0
list vol
list part

もし「システム予約領域」やOSの入ったパーティションがアクティブでない場合、構成に応じてアクティブ化が必要なことがあります(誤ると起動不能になるため、構成が分かる時だけ実施します)。

ファイルシステム修復(chkdsk)

リビルド後に再起動を繰り返したり、突然電源断が入っていると、ファイルシステム破損が残っていることがあります。

chkdsk C: /f

状況により時間はかかりますが、ストレージ由来のエラーが疑われるときほど効果が出ることがあります。

システムファイル修復(オフラインSFC)

Windowsが起動できない場合でも、回復環境からオフラインでSFCを回せます。ドライブ文字は環境によって変わるので、必要なら先にdiskpartやdirで確認してください。

sfc /scannow /offbootdir=C:\ /offwindir=C:\Windows

それでも再起動ループが続く場合の追加の当たり

典型:INACCESSIBLE_BOOT_DEVICE(0x0000007B)系を疑う

画面が一瞬で消えるせいでBSODが見えない場合は、F8の起動オプションで「システム障害時の自動的な再起動を無効にする」を選び、停止コードを確認します。0x7B系なら「ブートデバイスへアクセスできない」なので、次が疑い所です。

  • H700のドライバーがOS側でブート開始になっていない(サービス開始種別の不整合)
  • コントローラ/VDの構成変化で、ブートの参照情報(BCD/ディスク署名)がズレた
  • RAID論理ディスクの状態が見た目はOnlineでも内部でエラーが多発している

特に「回復環境ではドライバーを読ませると見えるが、OS起動では落ちる」という場合、OS側に必要なストレージドライバーが正しく組み込まれていない(または起動時にロードされない)可能性があります。

回復環境からドライバーを“注入”して改善を狙う(上級)

回復環境でRAIDが見える状態になっているなら、オフラインのWindowsへドライバーを追加して起動を狙う方法があります。環境によって使えるコマンドが異なるため、実行できる場合の例として紹介します。

dism /image:C:\ /add-driver /driver:D:\H700\ /recurse

ここでのD:はUSBのドライブ文字、H700は展開済みドライバーフォルダの例です。追加後は再起動して挙動を確認します。

Dellに相談(フォーラム/サポート)を優先した方がいい状況

今回のように「HDD交換→RAIDリビルド→起動不能」は、OS修復だけで完結しないことがあります。次に当てはまる場合は、Dellのハードウェア専門コミュニティや保守窓口へ型番・構成・表示されるステータスを添えて相談するのが安全です。

  • Virtual DiskがOptimalにならない、またはDegraded/Offlineのまま
  • Foreign表示が出ており、Import/Clear判断に迷っている
  • Rebuildが完了しない/進まない/何度も失敗する
  • Predictive Failureが複数本で出ている、ログにメディアエラーが大量にある
  • 交換作業中にコントローラの設定が変わった、またはVDを作り直した可能性がある

相談時は、少なくとも次をメモしておくと会話が早いです。

  • サーバー型番:PowerEdge R510
  • RAIDコントローラ:PERC H700(Integrated/Adapter)
  • RAIDレベル:RAID5、物理本数、VD数
  • VD状態(Optimal/Degraded等)とPhysical Disk状態(Online/Rebuild/Predictive等)
  • 起動失敗の状況(crcdisk.sys付近、0x7B有無、回復環境でディスクが見えるか)

再発防止の運用ポイント(次回の復旧を速くする)

対策具体例効果
ドライバーの事前保管R510/H700向けの展開済みドライバーフォルダをUSBに常備回復環境でディスクが見えず詰む事故を防ぐ
RAID監視予兆故障(Predictive Failure)やメディアエラーを定期確認交換のタイミングを前倒しできる
交換手順の固定化交換前後でVD状態確認、Rebuild完了確認、再起動テスト「完了したつもり」事故を減らす
バックアップシステム/データの世代管理、復元テスト最悪でもサービス復旧が可能になる

まとめ:この事象で最短復旧するためのチェックリスト

  • RAID(VD)がOptimal/Onlineかを最初に確認する(ここが崩れているならOS修復より先にハード)
  • crcdisk.sysは「原因特定」ではなくストレージ初期化失敗のサインとして扱う
  • 回復環境でディスクが見えないなら、H700ドライバーの“展開済み一式(INF含む)”を用意し、INFを読み込む
  • ディスクが見えたら、スタートアップ修復 → bootrec → chkdsk → オフラインSFCの順で攻める
  • VD状態が不明/Foreign/Degradedなどが絡む場合は、Dell側の知見(フォーラム/サポート)に早めに寄せる

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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