LinkedIn CTV Adsには、通常の「CTV Ads」、配信社を指定する「CTV Select」、既存のDSPから購入する「CTV Ads via DSP」という3つの購入経路があります。結論からいえば、Campaign Managerで運用を完結させたいなら通常のCTV Ads、NBCUniversalやParamountに配信先を絞りたいならCTV Select、既存のプログラマティック広告環境を維持したいならCTV Ads via DSPが適しています。LinkedInは2026年7月29日付でConnected TV Adsの案内ページを更新し、この3経路を明確に整理しました。(LinkedIn Business Solutions)
日本の広告主が最初に確認すべきなのは、対象地域です。2026年8月時点の公式要件では、通常のCTV Adsは米国・カナダの英語オーディエンス、CTV SelectとCTV Ads via DSPは米国の英語オーディエンスが対象です。日本国内の視聴者へ日本語で配信する用途は、現行の公式条件に含まれていません。(LinkedIn)
LinkedIn CTV Adsの3つの購入経路とは
LinkedIn CTV Adsは、インターネット接続されたテレビやストリーミング端末などで視聴される動画コンテンツに、LinkedInのプロフェッショナルオーディエンスを活用して広告を配信する仕組みです。
3つの購入経路は、単なる広告フォーマットの違いではありません。大きな違いは、予算、入札、配信先、レポートをどのプラットフォームで管理するかにあります。
| 購入経路 | 主な管理場所 | 配信先 | 主な利用条件 | 適しているケース |
|---|---|---|---|---|
| LinkedIn CTV Ads | Campaign Manager | LinkedInが選定したCTV配信社ネットワーク | 米国・カナダ、英語。推奨予算3万~5万米ドル、推奨期間4週間以上 | LinkedIn広告とCTVを一元管理したい |
| CTV Select | Campaign Manager+LinkedIn担当者 | 広告セットごとにNBCUniversalまたはParamount | マネージドアカウント、米国、英語。広告セットごとに最低10万米ドル、固定CPM、推奨2~3か月 | プレミアム配信社を指定したい |
| CTV Ads via DSP | The Trade DeskまたはAmazon DSP | LinkedInオーディエンスとプレミアムCTV在庫を組み合わせたPMP | テスト提供中。限定されたマネージドアカウント、米国、英語。30日で最低5万米ドル、最低オーディエンス100万人 | 既存DSPの取引・制御・レポートを維持したい |
通常のCTV AdsとCTV Selectの予算額は、LinkedIn公式ヘルプに掲載されている目安です。通常のCTV Adsは「推奨予算」であり、CTV Selectの10万米ドルは広告セット単位の最低額です。CTV Ads via DSPの5万米ドルは、30日間における最低利用額として示されています。条件は変更される可能性があるため、出稿時にはCampaign Managerと担当者から最新情報を確認してください。(LinkedIn)
LinkedIn CTV Ads、CTV Select、DSP購入はどう使い分ける?
判断の軸は、配信先だけではありません。次の順番で考えると、適切な購入経路を選びやすくなります。
Campaign Managerで管理を完結させるなら通常のCTV Ads
通常のCTV Adsは、Campaign Manager上で広告セットの作成、ターゲティング、予算設定、配信、測定、最適化を行う基本的な経路です。
特定の配信社に限定する必要がなく、LinkedIn広告の担当者がそのまま運用したい場合に適しています。LinkedInフィード広告と同じ管理基盤を使えるため、CTVを新たな認知チャネルとして追加しやすい点がメリットです。(LinkedIn Business Solutions)
NBCUniversalやParamountを指定するならCTV Select
CTV Selectは、広告セットごとにNBCUniversalまたはParamountを選び、選択した配信社のコンテンツ在庫へLinkedInオーディエンスを重ねて配信する経路です。
「どこかのCTV在庫」ではなく、「NBCUniversalまたはParamountの環境で配信したい」というメディアプラン上の要望がある企業に向いています。ただし、利用にはLinkedInの専任担当者が付くマネージドアカウントが必要です。(LinkedIn)
既存のDSP運用を変えたくないならCTV Ads via DSP
CTV Ads via DSPは、LinkedInオーディエンスを利用しながら、広告購入や入札、配信制御、レポートを既存のDSP側で管理する経路です。
すでにThe Trade DeskやAmazon DSPを使い、CTV、動画、ディスプレイなどを統合運用している広告主や広告代理店に適しています。Campaign Managerを新たな主要運用画面にするのではなく、現在のプログラマティック広告の業務フローへLinkedInオーディエンスを組み込めます。(LinkedIn)
通常のLinkedIn CTV AdsはCampaign Managerで直接運用する
通常のCTV Adsでは、Campaign Manager内にCTV専用の広告セットを作成します。公式ヘルプに基づく基本的な設定手順は次のとおりです。
- Campaign Managerで新しいキャンペーンまたは広告セットを作成する
- 目的に「Brand awareness」を選ぶ
- 広告セットの種類に「Classic」を選ぶ
- 「Connected TV Only ad set」を有効にする
- ターゲット、予算、期間、最適化目標を設定する
- CTV仕様に合った動画広告を追加する
- 必要に応じてコンバージョントラッキングを設定する
- 広告セットを公開する
CTV Adsで選択できる広告目的は、基本的にBrand awarenessです。最適化目標にはImpressionsまたはReachを選択でき、入札方法はMaximum deliveryが使われます。また、Connected TV Onlyを有効にするとLinkedIn Audience Networkが自動的に選択され、解除できません。(LinkedIn)
通常のCTV Adsでできること
Campaign Managerでは、配信後に次のような指標を確認できます。
- リーチ
- インプレッション
- 平均フリークエンシー
- eCPM
- eCPR
- 動画完了数
- 動画完了率
- 設定したコンバージョン
- 職種、役職、業界などのプロフェッショナル属性
配信先については、Brand Safety & Suitability Hubからパブリッシャー配信レポートを確認できます。ブロックリストや許可リスト、IABカテゴリーの除外なども利用できます。(LinkedIn)
通常のCTV Adsが向いているケース
次のような企業には、通常のCTV Adsが第一候補になります。
- CTVを初めてLinkedIn広告へ組み込みたい
- 配信社を一社に固定する必要がない
- Campaign Managerで予算とレポートを一元管理したい
- LinkedInフィード広告と同じオーディエンス戦略を使いたい
- CTV接触後の再ターゲティングまで含めて設計したい
一方、特定のテレビ局、チャンネル、番組への配信を保証したい用途には向いていません。通常のCTV Adsは、LinkedInが選定した複数の配信社を横断して配信する仕組みだからです。
CTV Selectはプレミアム配信社を広告セット単位で選ぶ
CTV Selectでは、現時点でNBCUniversalまたはParamountを選択できます。
NBCUniversal側の在庫にはNBC、Peacock、Bravo、CNBCなどが含まれ、Paramount側にはParamount+、Pluto TV、CBS、MTV、Showtime、Comedy Centralなどが含まれます。ただし、具体的な配信先は各社の最新のコンテンツ在庫とオーディエンスの視聴状況によって決まります。(LinkedIn)
配信社は選べても番組までは指定できない
CTV Selectで指定できるのは配信社です。「NBCUniversalを選び、さらにCNBCの特定番組へ限定する」といったチャンネル単位、番組単位のターゲティングはできません。
また、公式ヘルプではライブスポーツへの配信は対象外とされています。オンデマンド配信されるスポーツコンテンツの在庫には表示される可能性があります。(LinkedIn)
NBCUniversalとParamountを同時に使う場合の注意点
1つの広告セットでは、NBCUniversalまたはParamountのどちらかを選択します。両方を使う場合は、それぞれ別の広告セットを作成します。
公式条件ではCTV Selectの最低予算が広告セットごとに10万米ドルとされているため、両社へ同時に出稿する場合は、単純計算で少なくとも合計20万米ドル規模の予算が必要になると考えられます。実際の契約条件やCPMは担当者へ確認してください。(LinkedIn)
公開後はCTV Selectの設定を変更できない
CTV Selectを有効にする際は、Campaign Manager上でDeal Name、Deal ID、CPMを確認します。広告セットの公開後はCTV Selectの項目を変更できません。
間違った配信社や広告セットを選択した場合は、LinkedIn担当者と新しい広告セットを作り直す必要があります。通常のCTV Adsよりも事前確認が重要です。(LinkedIn)
CTV Selectが向いているケース
CTV Selectは、次のような広告主に適しています。
- NBCUniversalまたはParamountへの配信を明確にしたい
- プレミアムコンテンツ環境をメディアプランに組み込みたい
- 配信社ごとに予算や効果を管理したい
- 2~3か月規模のブランドキャンペーンを計画している
- 最低予算を満たし、LinkedIn担当者と運用できる
小規模なテストや、配信状況に応じてパブリッシャーを柔軟に切り替えたい場合は、通常のCTV Adsの方が扱いやすいでしょう。
CTV Ads via DSPはPMPを既存DSPで購入する
CTV Ads via DSPでは、一般的なオープンオークションからLinkedInオーディエンスを直接検索して購入するわけではありません。
LinkedInが承認されたプロフェッショナル属性を使ってオーディエンスセグメントを作成し、Microsoft Curate上でPrivate Marketplace、いわゆるPMPのDealを作成します。そのDealにはLinkedInオーディエンスとプレミアムCTV在庫が含まれ、広告主のDSPアカウントへDeal IDとして送られます。(LinkedIn)
DSPで購入するまでの流れ
CTV Ads via DSPの基本的な導入手順は次のとおりです。
- LinkedIn担当者またはDSP担当者へ相談する
- 目的、期間、予算、利用するオーディエンス属性を決める
- DSPのSeat NameとSeat IDを担当者へ伝える
- LinkedIn側でPMPのDeal IDを発行する
- Deal IDをThe Trade DeskまたはAmazon DSPで有効化する
- DSP上でキャンペーンを公開し、配信状況を確認する
Deal IDの生成には最大5営業日かかる場合があります。通常のCampaign Manager出稿のように、その場ですぐ広告セットを公開できるとは限らないため、開始日から逆算した準備が必要です。(LinkedIn)
CTV Ads via DSPの利用条件
2026年8月時点では、CTV Ads via DSPはテスト提供中で、対象は限定されたLinkedInマネージドアカウントです。対応DSPはThe Trade DeskとAmazon DSP、対象は米国の英語オーディエンスです。
公式ヘルプには、次の最低条件が示されています。
- 30日間で最低5万米ドル
- 最低オーディエンスサイズ100万人
- 米国ターゲティング
- 英語広告
最低オーディエンスが100万人であるため、数千社・数万人に絞り込むような狭いABM施策には適合しにくい可能性があります。DSP経路を使う場合は、職種、業界、役職などの条件を広げても狙った市場を維持できるか確認する必要があります。(LinkedIn)
レポートは既存DSPを中心に確認する
The Trade DeskまたはAmazon DSPでは、インプレッション、リーチ、フリークエンシー、CPM、CPV、広告費などの配信指標を確認できます。
外部測定では、The Trade Deskを使う場合にiSpotによるオーディエンスリーチ検証、Kantarによるブランドリフト測定などが案内されています。LinkedInから追加のカスタムレポートが提供される場合もあります。(LinkedIn)
CTV接触者をLinkedInフィードで再ターゲティングする
LinkedIn CTV Adsの重要な特徴は、テレビ画面で動画を見せて終わるのではなく、CTV接触者へLinkedInフィード上で再度広告を届けられることです。
LinkedInは、CTV Adsに接触した視聴者をLinkedInフィードで再ターゲティングし、Lead Gen Formの送信、Webサイト訪問、ソーシャルエンゲージメントなどへの影響を測定できると案内しています。(LinkedIn Business Solutions)
ここで注意したいのは、CTV広告セット自体の目的はBrand awarenessである点です。テレビ画面上で直接Lead Gen Formへ入力させるのではなく、次のような二段階の設計を行います。
- CTV Adsで認知と記憶を形成する
- LinkedInフィード広告で資料請求、セミナー申込、サイト訪問などを促す
たとえば、米国のIT部門責任者を対象にB2B SaaSを訴求する場合、CTVでは30秒のブランド動画を配信します。その後、接触者へLinkedInフィードで導入事例やホワイトペーパー広告を表示し、Lead Gen Formから商談候補を獲得します。
この設計なら、CTVを単独の認知施策として評価するのではなく、次の指標を段階的に確認できます。
| 評価段階 | 確認する指標 |
|---|---|
| CTVの配信量 | リーチ、インプレッション、フリークエンシー |
| 動画の消化状況 | 動画完了数、完了率 |
| オーディエンス品質 | 職種、役職、業界などのプロフェッショナル属性 |
| 再ターゲティング後の行動 | Lead Gen Form送信、サイト訪問、エンゲージメント |
| ブランドへの影響 | Brand Lift、iSpotなどによるリーチ検証 |
CTVの完了率が高くても、商談やサイト訪問につながるとは限りません。CTVの配信指標と、フィード広告やWebサイトで発生した行動を分けて確認することが重要です。
LinkedIn CTV Adsで失敗しやすいポイント
日本国内へ配信できると思い込む
現行の公式条件では、通常のCTV Adsは米国・カナダ、CTV SelectとDSP経路は米国が対象です。いずれも英語オーディエンスが条件となっています。
日本企業でも北米市場向けの英語キャンペーンには利用できますが、日本国内向け広告として企画を進める前に対象地域を確認する必要があります。(LinkedIn)
CTV Selectなら特定番組へ出せると考える
CTV Selectで選べるのはNBCUniversalまたはParamountという配信社です。特定のチャンネル、番組、ライブスポーツを指定するサービスではありません。
「経営層向けなのでCNBCの特定番組だけに出したい」といった要件がある場合は、CTV Selectだけで実現できるとは限りません。(LinkedIn)
DSP経路を通常のオープンオークションと混同する
CTV Ads via DSPは、LinkedInが作成するキュレートされたPMPをDeal IDで有効化する仕組みです。利用前にアカウント資格、DSP Seat、予算、オーディエンス条件を担当者と調整します。
既存DSPを使える点は便利ですが、誰でもDSP上から即座に購入できる一般在庫ではありません。(LinkedIn)
LinkedInフィード用動画をそのまま使おうとする
動画ファイルがCTV仕様を満たしていても、通常の動画広告として作成したアセットは、そのままCTV広告セットへ追加できない場合があります。公式ヘルプでは、非CTV広告セット用に作成した動画はCTV Adsアセットとして再アップロードするよう案内されています。(LinkedIn)
また、動画時間については公式ページ間で記載に差があります。製品案内ページでは15秒または30秒と説明されている一方、広告仕様ページでは6~60秒を許容し、6秒、15秒、30秒、45秒、60秒を推奨しています。ただし、45秒と60秒は一部在庫で受け付けられない可能性があります。配信先との互換性を優先するなら、まず15秒または30秒で制作し、入稿時にCampaign Managerの最新表示を確認するのが安全です。(LinkedIn Business Solutions)
視聴率に相当する指標だけで判断する
Campaign Managerでは、CTV動画のview rateやeCPVは報告されません。一方、リーチ、インプレッション、フリークエンシー、動画完了率などは確認できます。
また、リーチや平均フリークエンシーなどの配信指標はモデル化された値であり、完全な実数ではありません。CTVキャンペーンでは、完了率だけでなく、ブランドリフトやフィード再ターゲティング後の行動まで含めて評価する必要があります。(LinkedIn)
ブロックリストをアカウント全体へ安易に適用する
Campaign Managerのアカウント単位で設定したブロックリストや許可リストは、CTV AdsだけでなくLinkedIn Audience Networkの広告セットにも影響します。
CTV向けに作った許可リストをアカウント全体へ適用すると、通常のLinkedIn Audience Network配信が大幅に制限される可能性があります。CTV専用の制御を行う場合は、広告セット単位での適用を検討してください。(LinkedIn)
導入前に確認するチェックリスト
LinkedIn CTV Adsを企画する際は、次の項目を順番に確認すると手戻りを減らせます。
- 対象地域が米国またはカナダに含まれているか
- 英語オーディエンス向けの広告か
- Campaign ManagerとDSPのどちらを管理の中心にするか
- NBCUniversalまたはParamountへの限定配信が必要か
- 推奨予算または最低予算を確保できるか
- DSP経路では100万人以上のオーディエンスを作れるか
- LinkedInの専任担当者が必要な経路か
- 15秒または30秒のCTV向け動画を用意できるか
- CTV接触後のフィード再ターゲティングを設計しているか
- Lead Gen Form、サイト訪問、コンバージョンの計測環境があるか
- 配信指標とビジネス成果を分けて評価できるか
まとめ
LinkedIn CTV Adsの購入経路は、次のように整理できます。
- 通常のCTV Adsは、Campaign Managerで配信、測定、最適化を一元管理する基本経路
- CTV Selectは、広告セットごとにNBCUniversalまたはParamountを選ぶプレミアム配信経路
- CTV Ads via DSPは、LinkedInオーディエンスを含むPMPを既存のThe Trade DeskまたはAmazon DSPで購入する経路
選定時は、まず対象地域と言語を確認し、次に「Campaign ManagerとDSPのどちらで管理するか」「配信社を指定する必要があるか」「必要予算とオーディエンス規模を満たせるか」を判断します。
通常のCTV AdsはCampaign Managerから設定を確認できます。CTV SelectまたはCTV Ads via DSPを検討する場合は、予算を確定する前にLinkedIn担当者へアカウント資格、対象地域、在庫、測定方法を確認することが次の行動になります。

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