Wordの変更履歴を非表示にして送ると相手に見える?完全に削除する方法

「変更履歴なし」に切り替えただけのWord文書を送るのは危険です。画面上は完成版に見えても、変更履歴そのものは文書内に残っています。受信者が表示を「すべての変更履歴」に戻すと、削除した文章や追加箇所、校閲者ごとの修正を確認できる可能性があります。

また、「変更履歴の記録」をオフにしても、停止するのは今後の記録だけです。すでに記録されている履歴は消えません。過去の編集を相手に見せたくない場合は、送信前に変更を承諾または元に戻して内容を確定し、コメントや文書のメタデータも確認する必要があります。([マイクロソフト サポート][1])

目次

変更履歴を非表示にしただけでは相手にも見える

Wordの「変更履歴なし」は、変更履歴を削除する機能ではありません。現在の修正を反映した状態で、赤字、取り消し線、吹き出しなどを一時的に隠しているだけです。

相手が文書を開き、次のように表示を切り替えると、残っている変更履歴を再表示できます。

  1. 「校閲」タブを開く
  2. 表示方法のメニューを選択する
  3. 「すべての変更履歴とコメント」を選択する

Microsoftも、「変更履歴なし」や「オリジナル」を選んでも、承諾、元に戻す、削除が行われていない変更履歴やコメントは文書内に残ると案内しています。([マイクロソフト サポート][1])

非表示・記録停止・履歴削除の違い

Wordでは、似ているように見える操作でも結果が大きく異なります。

操作実際に起こること既存の変更履歴
「変更履歴なし」を選ぶ変更履歴の表示を隠す残る
特定の校閲者や変更種類を非表示にする表示対象を絞る残る
「変更履歴の記録」をオフにする以後の編集を記録しなくなる残る
変更を承諾する修正後の内容を正式な本文として確定するその変更履歴はなくなる
変更を元に戻す・却下する修正前の内容に戻すその変更履歴はなくなる
コメントを削除するコメントの内容を削除する変更履歴には影響しない
ドキュメント検査を行う履歴、コメント、作成者情報などを検出する選択した項目を削除できる

特に間違えやすいのが、「変更履歴の記録をオフにすれば履歴も消える」という思い込みです。記録をオフにしても、既存の下線、取り消し線、変更内容は文書に残ります。([マイクロソフト サポート][2])

Wordの変更履歴を本当に削除して共有する方法

以下は、主にWindows版のデスクトップWordを基準にした手順です。Wordのバージョンによって、「元に戻す」「却下」など一部の表示名が異なることがあります。

元の文書を複製する

最初に「名前を付けて保存」で文書を複製します。

変更の承諾や却下、ドキュメント検査による削除は、後から元に戻せないことがあります。そのため、次のように原本と共有用ファイルを分けてください。

  • 契約書_校閲用.docx
  • 契約書_提出用.docx

以後の操作は、提出用や共有用として作成したコピーに対して行います。

すべての変更履歴を再表示する

非表示のまま処理すると、一部の変更を見落とす可能性があります。

  1. 「校閲」タブを開く
  2. 表示方法を「すべての変更履歴とコメント」に変更する
  3. 「変更履歴とコメントの表示」を開く
  4. 「挿入と削除」「書式設定」など必要な項目にチェックを入れる
  5. 「特定のユーザー」で「すべての校閲者」を表示する

特定の校閲者や書式変更だけを非表示にしている場合、画面上に出ていない履歴が残っていることがあります。Microsoftの案内でも、非表示にした変更履歴は削除されるわけではなく、文書を開いた際に再表示される場合があるとされています。([マイクロソフト サポート][1])

変更内容を1件ずつ確認する

重要な文書では、いきなり一括処理せず、内容を確認しながら進めるのが安全です。

  1. 文書の先頭へ移動する
  2. 「校閲」タブの「次へ」を選択する
  3. 表示された変更内容を確認する
  4. 修正後の内容を採用するなら「承諾」
  5. 修正前の内容に戻すなら「元に戻す」または「却下」
  6. 最後の変更まで繰り返す

他人が加えた修正を、内容を読まずに一括承諾するのは避けてください。数字、日付、氏名、契約条件などが意図せず書き換わっている可能性があります。

「承諾」と「元に戻す」の意味を間違えない

削除された文章をどう処理するかは、特に混乱しやすいポイントです。

変更内容承諾した場合元に戻した場合
文章が追加された追加された文章が残る追加された文章が消える
文章が削除された削除が確定し、文章は消える削除前の文章が復活する
書式が変更された新しい書式になる元の書式に戻る

例えば、「見積金額は100万円」という文章の「100万円」が削除され、「80万円」が追加されているとします。

最終版を「80万円」にしたい場合は、100万円の削除と80万円の追加を承諾します。両方を元に戻すと、文書は100万円に戻ります。

内容を確認済みなら一括処理する

すべての修正内容を確認し、現在表示されている完成形を採用すると決めた場合は、一括処理できます。

  1. 「校閲」タブを開く
  2. 「承諾」の横にあるメニューを開く
  3. 「すべての変更を承諾する」または「すべての変更を承諾して変更履歴の記録を停止する」を選ぶ

反対に、すべての修正を取り消して修正前の状態に戻す場合は、次の操作を行います。

  1. 「元に戻す」または「却下」のメニューを開く
  2. 「すべての変更を元に戻す」を選ぶ
  3. 必要に応じて、変更履歴の記録も停止する

Microsoftのサポートでは、「すべての変更を承諾」「すべての変更を元に戻す」に加え、処理と同時に変更履歴の記録を停止する選択肢も案内されています。([マイクロソフト サポート][2])

「表示されているすべての変更」には注意する

一括処理のメニューには、次のような似た項目が表示されることがあります。

  • すべての変更を承諾する
  • 表示されているすべての変更を承諾する
  • すべての変更を元に戻す
  • 表示されているすべての変更を元に戻す

「表示されているすべての変更」は、現在の表示条件に該当する履歴だけを処理します。

例えば、校閲者を1人だけ表示している状態で「表示されているすべての変更を承諾」すると、ほかの校閲者の変更は残ります。変更履歴を完全に処理したい場合は、表示条件を解除するか、「すべての変更」を選択してください。([マイクロソフト サポート][2])

コメントは変更履歴とは別に削除する

変更履歴をすべて承諾しても、コメントは残ることがあります。

現在のWordでは、コメントは変更履歴の記録とは別に扱われます。コメントには、修正理由、社内での相談、取引先に見せる予定のなかった文章、コメント投稿者の名前などが含まれている可能性があります。([マイクロソフト サポート][2])

共有前に次の操作を行います。

  1. 「校閲」タブを開く
  2. コメントを順番に確認する
  3. 不要なコメントを削除する
  4. 必要に応じて「削除」のメニューから文書内のすべてのコメントを削除する

「解決済み」にしただけでは、コメント情報が残る場合があります。外部へ提出する完成文書では、残す必要のないコメントは削除した方が安全です。

校閲ウィンドウで残っている履歴を確認する

変更履歴を処理した後は、「校閲ウィンドウ」を使って残存件数を確認します。

  1. 「校閲」タブを開く
  2. 「校閲ウィンドウ」を選択する
  3. 縦表示または横表示を選ぶ
  4. 変更履歴やコメントが残っていないか確認する

校閲ウィンドウの上部には、文書に残っている変更履歴やコメントの件数が表示されます。変更履歴を削除したつもりでも件数が残っている場合は、非表示の変更、書式変更、コメントなどを再確認してください。([マイクロソフト サポート][2])

ドキュメント検査で作成者情報や隠しデータも確認する

変更履歴とコメントを処理しても、Wordファイルには次のような情報が残ることがあります。

  • 文書の作成者
  • 最終保存者
  • 作成日時
  • 文書のタイトルや件名
  • コメント
  • 変更履歴
  • 文書のバージョン情報
  • 非表示文字
  • ヘッダーやフッター
  • カスタムXMLデータ

外部へ提出する文書や、不特定多数に公開するファイルでは、「ドキュメント検査」も実行します。

ドキュメント検査の手順

  1. 検査対象の文書をコピーする
  2. 「ファイル」を開く
  3. 「情報」を選択する
  4. 「問題のチェック」を選択する
  5. 「ドキュメント検査」を選択する
  6. 検査する項目にチェックを入れる
  7. 「検査」を実行する
  8. 検査結果を確認する
  9. 削除してよい項目だけ「すべて削除」を選択する
  10. 再検査して残存情報を確認する

特に確認したいのは、「コメント、変更履歴、バージョン、注釈」と「文書のプロパティと個人情報」です。ドキュメント検査では、変更履歴のマーク、コメント、文書のバージョン情報、作成者などの情報を検出できます。([マイクロソフト サポート][3])

ドキュメント検査で削除した情報は、元に戻す操作では復元できないことがあります。必ず原本ではなく、共有用に作成したコピーで実行してください。([マイクロソフト サポート][3])

OneDriveやSharePointの共有リンクは別途注意する

Word文書内の変更履歴と、OneDriveやSharePointのバージョン履歴は別の機能です。

文書内の変更をすべて承諾しても、OneDriveやSharePointに保存されている元ファイルを共有すると、共有権限や組織の設定によっては、以前のバージョンへアクセスできる場合があります。Microsoft 365のバージョン履歴は、OneDriveまたはSharePointに保存されたファイルで利用できます。([マイクロソフト サポート][4])

過去の版を相手に見せたくない文書は、次の方法で共有するのが安全です。

  1. 変更履歴を処理した共有用コピーを作成する
  2. 元の共同編集ファイルとは別のファイル名で保存する
  3. 必要に応じて別の保存場所へ配置する
  4. 元ファイルの共有リンクではなく、共有用コピーを送る

メール添付で送る場合も、元ファイルを直接添付せず、履歴処理と検査が完了したコピーを添付します。

保存し直すだけでは変更履歴は消えない

次の操作だけでは、変更履歴の削除にはなりません。

  • 上書き保存する
  • 別のファイル名で保存する
  • ファイルをコピーする
  • ZIPファイルに入れる
  • 「変更履歴なし」で保存する
  • 変更履歴の記録をオフにする

「名前を付けて保存」は、履歴を含んだ文書を複製する操作です。変更を承諾または元に戻していなければ、複製先にも変更履歴が引き継がれます。

送信前に閉じて開き直す

最後に、次の確認を行います。

  1. 文書を保存する
  2. Wordを閉じる
  3. 共有用ファイルを開き直す
  4. 表示を「すべての変更履歴とコメント」にする
  5. 校閲ウィンドウを開く
  6. 変更履歴とコメントが残っていないことを確認する
  7. 「ファイル」の「情報」で作成者などを確認する
  8. 必要に応じてドキュメント検査を再実行する

自分の画面で「変更履歴なし」に見えていることではなく、再表示しても履歴が出てこないことが重要です。

共有前の最終チェックリスト

Word文書を外部へ送る前に、次の項目を確認してください。

  • 元の文書とは別に共有用コピーを作成した
  • 表示を「すべての変更履歴とコメント」に戻した
  • すべての校閲者と変更種類を表示した
  • 各変更を承諾または元に戻して確定した
  • 変更履歴の記録を停止した
  • 不要なコメントを削除した
  • 校閲ウィンドウで残存件数を確認した
  • ドキュメント検査で個人情報や隠しデータを確認した
  • 保存後に閉じて開き直した
  • OneDriveやSharePointの元ファイルではなく、共有用コピーを送った

変更履歴を相手に見せたくない場合、必要なのは「非表示」ではなく「確定」です。修正後の内容を残すなら承諾し、修正前へ戻すなら元に戻します。そのうえで、コメント、作成者情報、クラウド上のバージョン履歴まで確認してから共有してください。
[1]: https://support.microsoft.com/ja-jp/word/training/track-changes-in-word “Word で変更履歴を記録する | Microsoft Support”
[2]: https://support.microsoft.com/en-us/word/training/track-changes-in-word “Track changes in Word | Microsoft Support”
[3]: https://support.microsoft.com/en-us/office/remove-hidden-data-and-personal-information-by-inspecting-documents-presentations-or-workbooks-356b7b5d-77af-44fe-a07f-9aa4d085966f “Remove hidden data and personal information by inspecting documents, presentations, or workbooks | Microsoft Support”
[4]: https://support.microsoft.com/en-us/office/view-previous-versions-of-office-files-5c1e076f-a9c9-41b8-8ace-f77b9642e2c2 “View previous versions of Office files | Microsoft Support”

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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