Word CopilotでAnthropicモデルを選ぶ方法|利用条件と表示されないときの対処法

WordのCopilotで文章を直しても、語調や構成が思いどおりにならない。そんなときは、指示文だけでなく、編集に使うAIモデルを変える選択肢があります。Word CopilotのAnthropicモデル選択は、文書を編集するときに、OpenAI系に加えてAnthropic系のモデルを選べる機能です。 Microsoftの公式リリースノートでは、Web版Word向けの機能として案内されています。(Microsoft Learn)

操作の基本は、WordでCopilotを開き、モデル選択メニューから利用したいモデルを選んで編集を依頼することです。ただし、メニューが表示されるかどうかは、ライセンス、機能の展開状況、組織の利用許可によって変わります。この記事では、確認すべき条件から実際の操作、表示されない場合の対処、モデルを比較する際の判断基準まで解説します。(マイクロソフトサポート)

目次

Word CopilotのAnthropicモデル選択とは

Wordを変えずに、編集を担当するAIモデルを選べる

今回の変更は、WordのCopilotで文書を編集する際に、利用するAIモデルの選択肢が増えるものです。対象はMicrosoft 365 Roadmap ID「558440」で、2026年8月11日付の公式リリースノートに、OpenAIモデルと並んでAnthropicモデルを選択できる機能として掲載されています。(Microsoft Learn)

AnthropicのClaude系モデルを選ぶ場合も、作業場所はWordのCopilotです。別のチャットサービスへ原稿を移して編集するのではなく、Word内の編集体験でモデルを選びます。Microsoftも、Microsoft 365アプリの「Copilotで編集」でClaudeを選択できることを案内しています。(Microsoft Learn)

モデルを比較する際は、「どちらが有名か」よりも、実際の原稿で必要な条件を守れるかを確かめましょう。たとえば、読みやすくなっていても、申請期限や例外条件が消えていれば、業務文書としては採用できません。

「Copilotで編集」と通常のチャットを区別する

Wordの「Copilotで編集」は、会話を通じて文書内の内容を作成・修正し、書式を整える機能です。以前の案内では「Agent Mode」と呼ばれていました。チャット欄に回答を表示するだけでなく、文書を直接編集する点が重要です。(マイクロソフトサポート)

最初から完成済みの共有文書全体を任せるのではなく、複製した原稿の一部分で試すと、変更内容を確認しやすくなります。「第2章だけ」「冒頭の説明だけ」のように、編集範囲を限定して始めるのがおすすめです。

利用前に確認するライセンスと対応環境

Copilotのボタンがあるだけでは、モデル選択の利用可否は分からない

職場・学校アカウントでは、Microsoft 365の契約に加え、Copilotの追加ライセンスや組織の設定によって利用できる機能が異なります。Microsoftは、モデル選択や高度な推論を含むアプリ内のCopilot体験について、管理者への確認を案内しています。(マイクロソフトサポート)

まず、Microsoft 365に職場・学校アカウントでサインインし、ホーム画面のアカウント付近にあるライセンス表示を確認します。

表示の例確認できること
Copilot Chat(Basic)Copilotの追加ライセンスがなく、Wordなどのアプリ内Copilotは利用対象外
M365 Copilot(Basic)追加ライセンスはないものの、アプリ内Copilotへの標準アクセスがある
M365 Copilot(Premium)追加ライセンスがあり、アプリ内Copilotのフル機能への優先アクセスがある

これらは職場・学校アカウント向けの表示です。「WordでCopilotを開けること」と「Anthropicモデルを選べること」は、分けて確認してください。(マイクロソフトサポート)

個人向けのMicrosoft 365 Personal、Family、Premiumは、職場・学校向けと契約や提供条件が異なります。個人契約の場合は、自分のサブスクリプションとWordの提供状況を確認し、組織向けの管理センター設定をそのまま当てはめないようにしましょう。(マイクロソフトサポート)

最初はWeb版Wordで確認する

Roadmap ID「558440」の公式リリースノート上の対象プラットフォームは「Web」です。また、Copilotの新機能は、同じ組織内でも一部のユーザーから段階的に展開されます。Windows版やMac版でメニューが見つからない場合は、まず同じアカウントでWeb版Wordを確認するのが切り分けの出発点になります。(Microsoft Learn)

この案内だけを根拠に、すべてのデスクトップ版やモバイル版で同じモデル選択画面が使えるとは判断しないでください。

組織でAnthropicの利用が許可されているか確認する

組織では、AIプロバイダーの利用を特定のユーザーやセキュリティグループに限定できます。そのため、同じ部署の人がClaudeを選べても、自分も対象になっているとは限りません。(Microsoft Learn)

管理者へ確認するときは、「Anthropicが組織で有効か」だけでなく、「自分のアカウントが利用許可の対象か」まで確認すると、原因を絞り込みやすくなります。

Word CopilotでAnthropicモデルを選んで文書を編集する方法

編集前の原稿を残す

試用時は、まず文書のコピーを用意してください。モデルごとの結果を比較する場合は、同じ原稿から比較用のコピーをそれぞれ作成します。

OneDriveまたはSharePointに保存したOfficeファイルでは、バージョン履歴から以前の状態を確認・復元できます。ただし、共有文書を復元すると他の人の変更にも関係するため、比較実験は元の共有ファイルではなくコピーで行うほうが管理しやすくなります。(マイクロソフトサポート)

Copilotを開いて編集機能へ進む

Web版Wordで対象文書を開き、次の順に進めます。

  1. Copilotを利用できるアカウントでサインインします。
  2. [ホーム]タブまたはサイドバーからCopilotを開きます。
  3. Copilotの入力欄で[ツール]→[Copilotで編集]を選択します。

これはMicrosoftが案内している、Wordの編集機能への基本的なアクセス手順です。(マイクロソフトサポート)

モデル選択メニューでAnthropic系モデルを選ぶ

Copilotのモデル選択メニューを開き、表示されているAnthropic系モデルを選択します。そのうえで、文書の編集指示を送信します。公式リリースノートでも、「Word文書を開く」「Copilotのモデル選択メニューでAnthropicモデルを選ぶ」「選択したモデルで編集する」という流れが示されています。(Microsoft Learn)

モデルを指定するときは、「Claudeで編集して」と文章で頼むだけではなく、実際のモデル選択メニューを使ってください。比較記録にも、選択欄に表示されているモデル名を残しておくと、後から結果を見直しやすくなります。

編集範囲と変更しない条件を指定する

最初の依頼は、対象と目的を絞ります。たとえば、社外向けの説明文を読みやすくするなら、次のように指示します。

この文書の「サービスの概要」だけを編集してください。

対象読者は、サービスを初めて利用する人です。
専門用語を減らし、1文を短くして、です・ます調に統一してください。

サービス名、料金、申込期限、利用条件、例外条件は変更しないでください。
原文にない情報は追加しないでください。
ほかの章、表、見出しの順番は変更しないでください。

編集後に、変更した点をチャット欄で簡潔に説明してください。

この指示の狙いは、「読みやすさの改善」と「事実の変更」を分離することです。依頼時に禁止事項を書いても、結果の確認が不要になるわけではありません。編集後は、変更対象の文章だけでなく、変更しないよう指定した項目も照合してください。

OpenAIとAnthropicを比較するときの判断基準

同じ原稿・同じ指示で比較する

実務でモデルを選ぶなら、同じ原稿と同じ指示文を使って比較する方法が分かりやすくなります。

先にOpenAI系モデルで書き換えた文書を、そのままAnthropic系モデルに渡すと、両者が編集する元の文章が違ってしまいます。それでは、モデルの違いによる結果なのか、原稿の違いによる結果なのかを判断できません。

比較用のコピーを分け、可能な範囲で会話の前提もそろえてください。評価には、次のような基準を使えます。

評価項目確認する内容
事実・条件の保持数字、日付、固有名詞、対象者、例外条件が変わっていないか
指示への適合指定した章だけを直し、語調や構成の条件を守っているか
読みやすさ主語と述語が対応し、読者が次にすべきことを理解できるか
手直しの負担人が直す箇所や、追加の指示を出す回数が少ないか

生成された文章の見栄えよりも、完成原稿にするまでの手直しを評価するのが、業務で使うモデルを決める際のポイントです。

流暢でも意味が変わっていれば採用しない

たとえば、原文に次の条件があるとします。

原則として、必要書類がそろってから10営業日以内に回答します。

これが「申請後10日以内に必ず回答します」と書き換えられた場合、文章は簡単になっていても、起算日、営業日の扱い、例外の有無が変わっています。

このような変更は、単なる言い換えとして扱わないでください。案内文や規程では、特に「原則」「ただし」「対象外」「営業日」「必要書類がそろってから」といった表現を重点的に確認しましょう。

モデルの変更より先に、依頼の曖昧さを減らす

両方のモデルで期待と違う結果が出る場合は、指示文を見直します。「もっと分かりやすく」だけでは、短くしたいのか、専門用語を減らしたいのか、手順を並べ替えたいのかが伝わりません。

たとえば、次のように目的を具体化します。

この手順書の「申請方法」を、初めて担当する職員向けに修正してください。

各手順に「操作する画面」「入力する内容」「完了の確認方法」を含めてください。
原文に記載がない内容は推測せず、確認が必要な点としてチャット欄に示してください。
手順の順番、提出先、締切日は変更しないでください。

「どのモデルを使うか」と「何を依頼するか」は別の問題です。先に依頼条件を明確にすると、モデルを切り替える意味も判断しやすくなります。

Anthropicモデルが表示されない・選べない場合の対処法

症状ごとに確認する場所を変える

「Copilot自体がない」「編集機能がない」「Anthropicだけがない」では、確認すべき場所が異なります。

症状最初に確認すること次の対応
WordにCopilotが表示されないサインイン中のアカウントとCopilotライセンス管理者にライセンス割り当てと利用設定を確認する
Copilotは開くが[Copilotで編集]がない編集機能の提供状況Web版で確認し、組織の展開状況を問い合わせる
編集できるがAnthropic系モデルがないAnthropicの利用許可と対象ユーザー設定自分が許可対象のユーザー・グループに含まれるか確認する
同僚には表示されるが自分にはないライセンス、対象グループ、段階的展開の差同じ環境だと決めつけず、アカウント単位で確認する

ライセンス、編集機能の展開、AIプロバイダーへのアクセス制御は別々に確認する必要があります。アプリの再インストールを繰り返す前に、この順番で切り分けましょう。(マイクロソフトサポート)

管理者が確認する設定

組織でAnthropicの利用を許可する場合、AI管理者またはグローバル管理者がMicrosoft 365管理センターを確認します。基本的な手順は次のとおりです。

  1. [Copilot]→[設定]→[すべて表示]を開きます。
  2. [Microsoftのサブプロセッサとして稼働しているAIプロバイダー]で、Anthropicの設定を確認します。
  3. Anthropicの利用許可と、アクセスできるユーザー・グループを設定して保存します。

Microsoftの案内では、EU・EFTA・英国を除く商用クラウドの多くの顧客でAnthropicが既定で有効ですが、実際の組織設定を優先して確認してください。(Microsoft Learn)

また、AIプロバイダーのアクセス設定はWordだけに閉じた設定ではありません。ほかのCopilot体験やCopilot Studioにも適用されるため、Wordで試したいという理由だけで全ユーザーへ一括許可するのではなく、検証対象のグループを決めて進めると管理しやすくなります。(Microsoft Learn)

管理者への問い合わせには、次のような文章を使えます。

Web版WordのCopilotで文書編集はできますが、Anthropic系モデルが表示されません。Roadmap ID 558440に関係するライセンスと提供状況、Anthropicの利用許可、自分のアカウントが許可対象に含まれているかをご確認ください。

業務文書で使う前に確認したいデータ保護の注意点

Wordの中で操作していても、データ処理条件を確認する

組織向けCopilotには、契約に基づくエンタープライズデータ保護があり、権限や管理設定などが適用されます。一方、Anthropicモデルは、MicrosoftのEUデータ境界や、該当する国内処理コミットメントの対象外と案内されています。Word内で操作することと、処理が必ず自国内で完結することは同じではありません。(Microsoft Learn)

個人情報、人事評価、未公表の取引条件などを含む文書では、利用前に組織の情報管理ルールと照合してください。最初の検証には、公開済みの案内文や、実在の個人情報を含まないサンプル文書を使うと判断しやすくなります。

「データ保持」などの表示があるモデルは別途確認する

Microsoftのサブプロセッサーとして提供されるAnthropicモデルには、原則としてMicrosoftの製品条項とデータ保護補遺が適用されます。ただし、「Anthropic models with Data Retention」のようにデータ保持を伴うモデルは別扱いで、Anthropicの契約条件への同意や追加の有効化が必要です。(Microsoft Learn)

このため、「Anthropicならすべて同じデータ処理条件」と考えないことが重要です。モデル選択画面や管理画面に追加条件が表示される場合は、文書を処理させる前に管理者へ確認してください。

編集後は文章だけでなく、文書としての完成度を見る

最終確認では、文章表現に加えて、表の数値、見出しの順序、箇条書きの抜け、ページの区切りも確認します。特に、本文を短くする指示では、重複した説明と必要な条件を区別できているかが重要です。

修正量が多いときは、一度に文書全体を直させず、「内容の整理」「語調の統一」「書式の調整」に作業を分けると、どの段階で問題が生じたかを追いやすくなります。

まずは文書の一部分で、同じ条件の編集結果を比べる

Word CopilotのAnthropicモデル選択を使い始めるときは、モデル名だけで優劣を決めず、自分の業務文書で必要な条件を守れるかを確かめましょう。

最初に行うことは、Web版Wordで編集機能とモデル選択メニューを確認することです。表示されなければ、ライセンス、Anthropicの利用許可、対象ユーザー設定を順に確認します。

利用できたら、原稿のコピーを作り、ひとつの章だけを同じ指示で編集して比較してください。「意味を変えずに読みやすくできるか」「人の手直しが少ないか」を基準にすると、モデル選択を日々の文書作成に役立てられます。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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