Windows ServerのDHCPサーバーは、役割を追加し、ADドメイン環境では承認し、重複しないスコープと除外、リース期間、デフォルトゲートウェイ、DNSを設定してから有効化します。誤った範囲やゲートウェイを配ると同一ネットワーク全体へ影響するため、IPアドレス台帳、VLAN、DHCPリレー、既存サーバー、固定IPを先に棚卸しし、テストVLANで検証します。
本番ネットワークで未承認のDHCPを起動したり、既存スコープと重複する範囲を有効化したりしないでください。IP競合、通信断、誤DNS、別ゲートウェイ配布を起こします。

設計に必要な情報

- サブネットID、マスク/プレフィックス、VLAN、ルーター、DHCPリレー
- 配布開始・終了、固定IP、除外、予約、将来増加、空き率
- DNSサーバー、DNSサフィックス、動的更新、資格情報
- リース期間、端末種別、ゲスト、Wi-Fi、VPN、電話、IoT
- 既存DHCP、冗長化、監視、バックアップ、障害時の手動手順
- AD承認権限、DHCP Administrators、管理ネットワーク
例として10.10.10.0/24ならネットワークアドレス10.10.10.0、ブロードキャスト10.10.10.255、ゲートウェイやサーバー固定帯、配布帯を分けます。例の値を本番へ流用せず、ネットワーク担当のIPAM/台帳で承認します。

DHCPサーバーを準備する

Windows Serverへ一意の名前と固定IPを設定し、正しいAD DNS、ゲートウェイ、時刻、更新、ファイアウォールを確認します。DHCPサーバー自身をDHCPアドレスにしません。別サブネットへ配る場合はルーター/L3スイッチのDHCPリレーを設計します。

DHCPをドメインコントローラーへ同居させる場合は権限、可用性、攻撃面、保守停止を評価します。小規模でも役割分離と冗長化を検討し、管理者資格情報を日常利用しません。
役割をインストールする

- Server Manager→Manage→Add Roles and Featuresを開きます。
- Role-based or feature-based installationと対象サーバーを確認します。
- DHCP Serverを選び、必要な管理ツールを追加します。
- 確認画面で対象を再確認してInstallします。役割追加自体は通常再起動不要とMicrosoft資料にあります。
- 完了後、通知のDHCP post-install configurationまたはPowerShellで承認へ進みます。

Install-WindowsFeature DHCP -IncludeManagementTools
Get-WindowsFeature DHCP

ADでDHCPサーバーを承認する
ドメイン環境ではDHCPサーバーをActive Directoryで承認します。未承認のドメイン参加DHCPサーバーがリースを配らない仕組みは、不正なDHCPによる誤設定を防ぐためです。ワークグループ環境ではAD承認コマンドを実行しません。

Add-DhcpServerInDC -DnsName 'DHCP1.corp.example.com' -IPAddress 10.10.0.10
Get-DhcpServerInDC

例のFQDNとIPは置換します。DNS登録、サーバーの実IP、ADオブジェクトを照合し、DHCPコンソールを更新して承認状態を確認します。過去サーバーの承認が残っていれば、削除前に稼働・所有者を確認します。

IPv4スコープを作成する
- DHCPコンソールで対象サーバー→IPv4→New Scopeを開きます。
- スコープ名と説明へVLAN、場所、所有者を記載します。
- 開始IP、終了IP、サブネットマスクを入力します。
- ルーター、サーバー、プリンター等の固定帯を除外します。
- 端末種別と変更頻度に合わせてリース期間を設定します。
- オプションとしてルーター、DNSドメイン、DNSサーバーを設定します。WINSは使う環境だけ指定します。
- 設定レビュー後にスコープを有効化します。

Add-DhcpServerv4Scope -Name 'TEST-VLAN10' -StartRange 10.10.10.100 -EndRange 10.10.10.200 -SubnetMask 255.255.255.0 -State InActive
Add-DhcpServerv4ExclusionRange -ScopeId 10.10.10.0 -StartRange 10.10.10.100 -EndRange 10.10.10.109

安全のためPowerShell例では最初にInactiveで作っています。例の除外は配布開始と重なるため、実設計では配布範囲自体をずらすか、意図した除外か確認します。作成後にGet-DhcpServerv4ScopeとAddressPoolをレビューしてから有効化します。

スコープオプション
- 003 Router: そのサブネットの正しいデフォルトゲートウェイ
- 006 DNS Servers: 原則としてADクライアントはAD DNS
- 015 DNS Domain Name: 内部DNSサフィックス
- 051 Lease Time: 端末入替とアドレス余裕に合わせる
- 予約: MAC/Client IDと固定IPの重複を避ける
- サーバーオプションとスコープオプションの優先・継承を確認

公開DNSをAD端末へ直接配るとドメインのSRVレコードを解決できません。外部名前解決はAD DNSのフォワーダー等で設計します。DNS設定変更はサインイン、GPO、証明書、アプリへ広く影響します。

クライアントで検証する
- 専用テスト端末を対象VLANへ接続し、既存リースを記録します。
- ipconfig /release、/renewは業務接続を切るため、テスト端末だけで実行します。
- ipconfig /allでIP、マスク、ゲートウェイ、DHCPサーバー、DNS、リース時刻を確認します。
- ゲートウェイ、内部DNS、ドメイン、業務サーバー、インターネットを順に確認します。
- DHCPコンソールのAddress Leasesと監査ログで同じMAC/Client IDを確認します。

ipconfig /all
ipconfig /release
ipconfig /renew
Resolve-DnsName _ldap._tcp.dc._msdcs.corp.example.com

本番PCでreleaseするとリモート接続を失うため実行しません。Wi-Fiと有線、VPN、ドッキングステーションでMACが変わる場合があります。ランダムMACを使う端末は予約や台帳と相性を確認します。

別サブネットとDHCPリレー
DHCPブロードキャストは通常ルーターを越えないため、別VLANへ配布するにはネットワーク機器のDHCP relay/IP helperへDHCPサーバーを指定します。冗長化時は両サーバーを登録し、ACLとルーティングを確認します。

リレー設定を誤ると別セグメントへリースが届かない、不要なDHCPへ転送する、片系停止で更新できない問題が起きます。各VLANで実端末テストし、giaddr、DHCPログ、パケットキャプチャを必要最小限で確認します。

DHCPフェールオーバー

Windows Server DHCP failoverは2台のDHCPサーバーでIPv4スコープとアクティブリースを共有し、負荷分散またはホットスタンバイを構成します。単純な同一スコープ二重作成は競合を起こすため、公式のConfigure Failoverを使います。
パートナー間の時刻差が大きいと構成に失敗します。共有秘密、TCP通信、役割、MCLT、モード、状態切替を設計します。スコープ設定変更後は手動レプリケーションが必要な場合があり、正しい側から同期して相手設定を上書きしないよう注意します。

バックアップと監視

- DHCPデータベース、構成、承認、スコープ、予約、オプションのバックアップ
- 空きアドレス率、BAD_ADDRESS、競合、拒否、サービス状態
- DHCP ServerのOperational/Auditログ、フェールオーバー状態
- DNS動的更新失敗、資格情報期限、古いA/PTRレコード
- 未承認DHCP、ネットワーク上のローグDHCP検知
- リストア試験、サーバー喪失時のリレー・DNS変更手順

DHCP設定変更をCSVの手作業記録だけにせず、Export-DhcpServer等で構成バックアップと差分を残します。バックアップファイルにはネットワーク構成が含まれるため、アクセスを制限します。
切り戻し

新規スコープの問題ならまず無効化し、既存DHCP・リレー・DNSへ影響を拡大させません。配布済み誤設定はリース期間が切れるまで残る場合があるため、修正オプション、強制更新、端末再起動の影響を計画します。

完成条件はリース1件の成功ではありません。全VLANで正しいIP・ゲートウェイ・DNSを配り、固定IPと重複せず、片系障害でも更新でき、監視・バックアップ・復元・変更承認を運用できることです。

公式情報・参考資料
- Microsoft Learn – Windows Server DHCPの導入と構成
- Microsoft Learn – Windows Server DHCP概要
- Microsoft Learn – DHCPフェールオーバー概要
- Microsoft Learn – DHCPフェールオーバー関係の管理


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