Windows 11 で Microsoft Edge をアップデートした直後から、設定画面が開けない・タブを開くとクラッシュする・「このページを開くのに十分なメモリがありません」と表示されるといった症状が出て、実質 Edge が使えなくなるケースが報告されています。物理メモリには十分な空きがあるのに「メモリ不足」と出るこの現象の原因と、安全かつ確実な解決手順をまとめます。
Edgeアップデート後に発生する「メモリ不足」エラーの概要
まずは、今回の不具合でよく見られる症状を整理します。多くのユーザーが共通して次のような状態になっています。
| 症状 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 設定画面が開かない | 右上の「…」から「設定」をクリックしてもウィンドウが固まる、または即座に落ちる |
| タブを増やすとクラッシュ | 新しいタブを 1 つ開いただけ、もしくは 2~3 タブ開いただけで Edge 全体が落ちる |
| メモリエラー表示 | 「このページを開くのに十分なメモリがありません」と表示されるが、実メモリには余裕がある |
| アップデーターも起動しない | バージョン確認画面や更新画面にたどり着く前にクラッシュしてしまう |
特に多いパターンは、Windows 11 環境・物理メモリ 8GB 以上・空きメモリも十分なのに「メモリ不足」と表示されるというものです。これはハードウェア的なメモリ不足ではなく、Edge の特定機能と現行ビルドの相性問題が原因と考えられます。
根本原因:Web セキュリティ強化モードと特定ビルドの相性問題
今回の不具合の主犯とされているのが、Edge のセキュリティ機能「Web セキュリティを強化する(Enhance your web security)」です。この機能は、危険なサイトやスクリプトからユーザーを守るため、ブラウザの挙動をより厳格にする仕組みですが、特定のバージョンの Edge では次のような問題を引き起こすことがあります。
- セキュリティ強化モードが有効なプロファイルだけ、タブが開けなくなる
- 設定画面を開こうとした瞬間にクラッシュする
- 内部的な保護機構が誤作動し、「メモリ不足」と誤検知しているような挙動になる
実際にはメモリに余裕があるにもかかわらず、「このページを開くのに十分なメモリがありません」と表示されるのは、ブラウザ内部の安全機構が反応して処理を止めているためであり、物理メモリやページファイルが本当に枯渇しているわけではありません。
| 項目 | 実際の状態 | 表示されるエラー |
|---|---|---|
| 物理メモリ | 8GB 以上・空き 6GB 前後など十分に余裕 | 「十分なメモリがありません」と表示 |
| ディスク空き容量 | 数十 GB 以上空きがあることが多い | 特に警告なし |
| 内部セキュリティ機能 | 特定バージョンで異常動作し、ページ読み込みを強制停止 | 結果としてメモリエラー扱いになる |
このため、真の解決策は「メモリを増設する」ことではなく、「Web セキュリティ強化モード」を無効化するか、修正済みの最新版に更新することです。
設定画面に入れる場合の対処手順:まずはセキュリティ強化モードを無効化
まだ Edge の設定画面まではなんとか開ける場合、最も簡単かつ効果的な対処が次の手順です。
「Web セキュリティを強化する」をオフにする
- Edge を起動し、右上の「…」(設定など)をクリックします。
- メニューから「設定」を選択します。
- 左メニューから「プライバシー、検索、サービス」を開きます。
- 画面を下にスクロールし、「セキュリティ」セクションを探します。
- その中にある「Web セキュリティを強化する (Enhance your web security)」という項目のスイッチをオフにします。
- Edge をいったん終了し、再起動して動作を確認します。
この設定変更は、Edge のユーザープロファイルごとに保存されるため、同じ Microsoft アカウントでログインしている他の端末にも同期されます(同期設定がオンの場合)。
| 状態 | 期待される挙動 |
|---|---|
| Web セキュリティ強化:オン | 一部の環境でタブが開けない・設定が開けない・メモリエラー |
| Web セキュリティ強化:オフ | タブ操作・設定画面・アップデート画面が正常に表示される |
設定をオフにしても症状が変わらない場合は、次に紹介する方法(Beta 版の利用やレジストリ操作)も併用してください。
設定画面に入れない場合の回避策:Edge Beta 版でプロファイル設定を変更
そもそも Edge の設定画面にたどり着く前に落ちてしまう場合は、通常の手順では「Web セキュリティを強化する」をオフにできません。その場合に有効なのが、Microsoft Edge Beta 版を一時的に利用する方法です。
Microsoft Edge には、以下のような「Insider」向けビルドが用意されています。
- Beta
- Dev
- Canary
このうち Beta 版は比較的安定しており、通常版 Edge と同居インストールが可能です。ポイントは、同じ Microsoft アカウントでサインインすれば、プロファイル設定(セキュリティ強化モードのオン/オフなど)が共有されるという点です。
Edge Beta 版で設定を変更する手順
- Microsoft Edge Beta をインストールします。
- 通常版 Edge がインストールされていても、別アプリとして共存できます。
- インストール時に既定のブラウザに変更するかどうかは任意です。
- Beta 版 Edge を起動し、右上のプロフィールアイコンをクリックします。
- 問題の出ている通常版 Edge と同じ Microsoft アカウントでサインインします。
- 同期が有効になっていることを確認します(少なくとも設定・プロフィールが同期される必要があります)。
- Beta 版内で、先ほどと同じ手順で「プライバシー、検索、サービス」→「Web セキュリティを強化する」をオフにします。
- 設定を閉じ、Beta 版 Edge を終了します。
- 通常版 Edge を起動し直し、クラッシュやメモリエラーが解消しているか確認します。
この方法の利点は、通常版 Edge が不安定でも、別ビルドで設定だけ先に変更できる点です。同期が正常に機能すれば、Beta 版でオフにした設定が一般版にも自動反映されます。
| 状況 | 推奨される対処 |
|---|---|
| 設定画面はなんとか開ける | 通常版 Edge から直接オフにする |
| 設定画面を開こうとすると落ちる | Edge Beta をインストールして、そちらから設定変更 |
| Edge 自体が一切起動しない | 後述のレジストリ編集 + オフラインインストーラーでの更新 |
Edge がまったく起動しない場合:レジストリで機能をオフにする(上級者向け)
Edge がアイコンをクリックしてもすぐ落ちてしまい、通常版も Beta 版も起動しない場合には、Windows のレジストリから直接設定を上書きするという手段があります。ただし、レジストリ編集は誤った操作をするとシステム全体に影響するため、必ずバックアップを取ったうえで自己責任で実施してください。
事前準備:レジストリのバックアップ
- Win + R キーを押し、「regedit」と入力して Enter を押します。
- ユーザーアカウント制御が表示されたら「はい」をクリックします。
- レジストリエディターのメニューから「ファイル」→「エクスポート」を選び、全体をバックアップします。
- 保存先は C ドライブ直下ではなく、ドキュメントや別ドライブなどを推奨します。
Edge ポリシーに EnhanceSecurityMode を追加する
バックアップが取れたら、次の手順で Edge のポリシーを設定します。
- レジストリエディターで、次のキーを開きます。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft - 「Edge」キーが存在しない場合は作成します。
- 「Microsoft」を右クリック →「新規」→「キー」→ 名前を「Edge」と入力。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edgeを選択した状態で、右ペインの何もないところを右クリックし、「新規」→「DWORD (32 ビット) 値」を選択します。- 新しい値の名前を
EnhanceSecurityModeとし、ダブルクリックして値を0に設定します。 - レジストリエディターを閉じ、Windows を再起動します。
- 再起動後、Edge を起動してメモリエラーやクラッシュが改善しているか確認します。
| 値 | 意味 | 特徴 |
|---|---|---|
| 0 | Web セキュリティ強化モードを常に無効 | 今回の不具合を回避する目的では、この設定が推奨 |
| 1 | バランスモードで常に有効 | Edge が安定して動作するバージョンに更新されてから検討 |
| 2 | 厳格モードで常に有効 | セキュリティ重視だが、今回のような相性問題再発の可能性あり |
このポリシーは、「ユーザー設定よりも優先して適用される強制設定」となるため、Edge の設定画面からセキュリティ強化モードをオンに戻そうとしても上書きできません。問題が完全に解消され、安定したバージョンになった後で、必要に応じて値を 1 または 2 に変更してください。
追加パッチと最新ビルドに更新する重要性
Microsoft は、2024 年 3 月 2 日以降に、今回のような不具合を解消するための追加パッチ(修正バージョン)を順次配信しています。したがって、根本的な対処としては「最新の安定版 Edge に更新する」ことが最も重要です。
Edge が起動する場合の更新手順
- Edge を起動し、右上の「…」→「設定」を開きます。
- 左側メニューから「Microsoft Edge について」(または「設定」画面の最下部近く)を選択します。
- バージョン情報画面が開くと、自動的に更新プログラムのチェックが行われます。
- 更新が見つかった場合はダウンロードとインストールが開始されるので、完了後に Edge を再起動します。
ここで 「Microsoft Edge は最新の状態です」と表示され、かつメモリエラーが解消されていれば、そのまま利用して問題ありません。
Edge が起動できない場合:オフラインインストーラーで上書きする
更新画面にたどり着く前に落ちてしまう場合は、オフラインインストーラーによる上書きインストールが有効です。概ね次のステップで実施します。
- 別のブラウザ(例:Chrome、Firefox、他の PC など)から、Microsoft Edge のインストーラーを入手します。
- 可能であれば、オフライン版(スタンドアロンインストーラー)をダウンロードします。
- 対象の Windows 11 PC にインストーラーをコピーします(USB メモリ等を利用)。
- Edge が起動していれば終了し、インストーラーを実行します。
- 画面の指示に従ってインストール(または修復インストール)を完了させます。
- 完了後、PC を再起動し、Edge の動作を確認します。
上書きインストールにより、破損したファイルや不具合のあるビルドが置き換えられ、セキュリティ強化モードとの相性問題が解消されることが期待できます。
補助的な対処法:プロファイル変更・ポリシー確認・設定リセット
上記の基本対処に加えて、環境によっては次のような補助的な方法も有効です。
別ユーザープロファイルで起動してみる
Edge の設定や拡張機能はプロファイル単位で管理されています。現在利用しているプロファイルだけが壊れている場合、別プロファイルでの起動が有効です。
- Edge を起動し、右上のプロフィールアイコンをクリックします。
- 「プロファイルの追加」を選択し、新しいプロファイルを作成します。
- 必要であれば別の Microsoft アカウントでサインインするか、ローカルプロファイルとして作成します。
- 新しいプロファイルで Edge が安定して動作するか確認します。
- 問題が出ない場合は、そのプロファイルからセキュリティ強化モードの設定を確認・変更します。
これにより、既存プロファイル側の設定や拡張機能が原因かどうかを切り分けることができます。
edge://policy でポリシーを確認する
企業・組織の PC であったり、過去にグループポリシーを設定している場合、管理者ポリシーによってセキュリティ強化モードが強制オンになっている可能性があります。その確認には、次の手順でポリシー画面を利用します。
- Edge のアドレスバーに
edge://policyと入力してアクセスします。 - ポリシー一覧の中に、「EnhanceSecurityMode」など関連する項目があるか確認します。
- 「強制」設定されている場合は、ローカルの設定画面から変更しても無効です。
- この場合は、レジストリやグループポリシー側で設定を調整する必要があります。
もし edge://policy 画面自体が開けない場合は、前述のレジストリによる直接設定を優先します。
設定のリセット・修復を試す
セキュリティ強化モードをオフにしても不安定さが残る場合には、Edge の設定リセットや修復機能を試す価値があります。
- Edge を起動し、「…」→「設定」を開きます。
- 左メニューから「設定のリセット」(もしくは類似の項目)を選びます。
- 「設定を既定値に戻す」「修復」といった項目を順に試します。
- ホームページ・検索エンジン・固定タブなど、一部設定が初期化される可能性があります。
- ブックマークやパスワードは通常保持されますが、心配であれば事前にエクスポートしておきましょう。
| 操作 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 設定リセット | 誤った設定や拡張機能による不具合を解消しやすい | 一部カスタマイズ内容が消える |
| 修復インストール | 破損したプログラムファイルを再配置できる | 再起動が必要な場合がある |
セキュリティ強化モードをオフにすることのリスクと折り合い
「Web セキュリティを強化する」をオフにしてしまうと、セキュリティ的に不安という声もあります。ここでは、その影響と現実的な折り合い方を整理します。
- この機能は、「通常のスマートスクリーンや安全機能に加えて、さらに厳しい制限をかけるオプション」という位置づけです。
- オフにしても、Edge 自体の基本的な保護機能(危険サイトのブロックなど)は依然として動作します。
- ただし、強化モードならではの追加防御も無効になるため、安全とは言いつつ「より安全ではなくなる」のは事実です。
現実的には、次のような方針がおすすめです。
| 状況 | 推奨設定 |
|---|---|
| Edge が不具合で全く使えない | いったん Web セキュリティ強化モードを無効化し、安定後に再検討 |
| 重要な業務で利用している | OS・Edge を最新に更新し、不具合が解消されたことを確認したうえでバランスモード以上を検討 |
| 家族共用 PC・利用者が初心者中心 | 最新版で安定動作するようになった段階で、段階的に強化モードを再有効化 |
Edge がまともに動かない状況では、セキュリティ以前にブラウザとしての機能を果たせません。まずは不具合を解消するために一時的にオフにし、修正パッチ適用後に改めてオンにするという運用が現実的です。
トラブル再発を防ぐためのチェックポイント
今回のような「アップデート直後にブラウザが使えなくなる」トラブルを減らすために、日頃から次の点を意識しておくと安心です。
OS とブラウザは常に最新状態へ
- Windows Update で OS を最新に保つ。
- Edge の自動更新を基本的にはオンにしておく。
- 企業環境では、検証用マシンで先行アップデートして問題の有無を確認する運用を検討する。
プロファイルと設定のバックアップ
- ブックマーク(お気に入り)は定期的に HTML としてエクスポートする。
- パスワード管理は Edge だけに依存せず、必要に応じてパスワードマネージャーも併用する。
- 同期を有効にしておくと、別端末から設定を復旧しやすい。
レジストリ編集は最小限に・記録を残す
- どうしてもレジストリを変更する場合は、必ずバックアップを取る。
- どのキーをどの値に変更したか、メモやスクリーンショットで記録しておく。
- 問題が解消した後、不要になった設定は元に戻すことも検討する。
よくある質問(FAQ)
Q. メモリを増設すれば「このページを開くのに十分なメモリがありません」は直りますか?
A. 今回のケースでは、物理メモリ不足が原因ではないことが多いため、メモリ増設だけで改善する可能性は低いです。まずは本記事で紹介したように、「Web セキュリティを強化する」をオフにし、最新の Edge に更新することを優先してください。
Q. セキュリティ強化モードをオフにしたまま使い続けても平気ですか?
A. 即座に危険になるわけではありませんが、防御の層が 1 つ減るのは事実です。不具合が解消され、最新版で安定動作することが確認できたら、バランスモードや厳格モードの再有効化を検討することをおすすめします。
Q. レジストリの「EnhanceSecurityMode」を 1 や 2 にするとどうなりますか?
A. 1 は「バランスモードで常に有効」、2 は「厳格モードで常に有効」となり、ユーザー側の設定より優先して適用されます。セキュリティ面では強力ですが、今回のような相性問題が再発する可能性もあるため、まずは 0 にして不具合を解消し、状況を見ながら慎重に切り替えることをおすすめします。
Q. Beta 版を入れたままにしておくと問題はありますか?
A. 一般的には、Beta 版は比較的安定しており、日常利用しても大きな問題は出にくいとされています。ただし、通常版より新しい機能が先行して入るため、まれに予期しない挙動が出ることもあります。重要な業務では通常版をメインにしつつ、検証用として Beta 版を併用するのが無難です。
まとめ:まずはセキュリティ強化モードの無効化と最新版への更新を
Windows 11 環境で、Edge アップデート後に起動不可や「このページを開くのに十分なメモリがありません」エラーが発生する問題は、多くの場合「Web セキュリティを強化する」機能と特定ビルドの相性問題が原因と考えられます。
解決の優先順位は、次のように整理できます。
- 設定画面に入れる場合は、「プライバシー、検索、サービス」→「Web セキュリティを強化する」をオフにする。
- 設定画面が開けない場合は、Microsoft Edge Beta 版をインストールし、同じアカウントでサインインしてから同様の設定を変更する。
- ブラウザ自体が全く起動しない場合は、レジストリキー
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\EdgeにEnhanceSecurityMode = 0を追加し、機能を強制的に無効化する。 - そのうえで、追加パッチが適用された最新版の Edge へ更新する。起動できない場合はオフラインインストーラーで上書きインストールする。
- 必要に応じて、別プロファイルの作成、edge://policy の確認、設定リセット・修復インストールなども併用する。
これらの手順を組み合わせることで、多くの環境で Edge のクラッシュやメモリエラーが解消されたことが報告されています。同様の症状に悩まされている場合は、あわてて OS の再インストールやメモリ増設に走る前に、まず本記事の手順を順番に試してみてください。

コメント