2026年6月16日付の「Azure Databricks platform release notes」では、Lakeflow Designerの一般提供、Microsoft Copilot CoworkとGenieの連携、Marketplaceからのサードパーティアプリ導入、Workspace Filesの読み取り高速化が発表されました。
既存環境に対する強制移行や対応期限は示されていません。ただし、機能は段階的に展開されるため、発表日から1週間以上経過してもワークスペースに反映されない場合があります。管理者は、プレビュー設定、Unity Catalogの権限、外部通信、使用するDatabricks Runtimeを優先して確認してください。(Microsoft Learn)
2026年6月16日のAzure Databricks変更点
| 変更点 | 提供状態 | 主な対象者 | 最初に確認すること |
|---|---|---|---|
| Lakeflow Designer | 一般提供(GA) | データアナリスト、データエンジニア | Unity Catalogと汎用コンピュートの利用権限 |
| GenieとMicrosoft Copilot Coworkの連携 | Beta | Azure Databricks管理者、Microsoft 365管理者 | Previews設定、OAuth、プラグイン配布方法 |
| Marketplaceのサードパーティアプリ | 提供開始 | ワークスペース管理者、セキュリティ担当者 | アプリ権限、外部通信先、コンピュート使用量 |
| Workspace Filesの読み取り高速化 | 段階展開 | 開発者、データエンジニア | Databricks Runtime 18以上を利用しているか |
今回の中で、一般ユーザーに最も分かりやすい変化はLakeflow Designerです。一方、管理者にとって影響が大きいのは、Copilot Cowork連携とサードパーティアプリです。どちらも認証情報やデータアクセス、外部通信を伴うため、利用者へ開放する前の審査が欠かせません。
Lakeflow Designerが一般提供に移行
Lakeflow Designerは、データの取り込み、結合、フィルター、集計、変換などをドラッグ&ドロップで組み立てられるビジュアルデータ準備機能です。自然言語でGenie Codeに変換内容を指示することもできます。
作成した処理は単なる画面上の設定ではなく、実行可能なコードに裏付けられています。Gitでのバージョン管理やジョブとしての定期実行にも対応するため、試作したデータ加工を本番処理へ移しやすい点が特徴です。(Microsoft Learn)
誰に影響するのか
主な対象は、SQLやPythonを毎回記述せずにデータ加工を行いたいデータアナリストです。既存のETL・ELT処理を管理するデータエンジニアにも影響します。
たとえば、次のような作業に向いています。
- CSVやExcelのデータを取り込み、不要な行を除外する
- 売上データと顧客マスターを結合する
- 部門別、月別に集計してUnity Catalogのテーブルへ出力する
- テスト環境と本番環境でパラメーターを切り替える
- 作成した処理をスケジュール実行する
利用前に確認する設定
Lakeflow Designerを利用するには、Unity Catalogが有効なワークスペースと、少なくとも1つの汎用コンピュートに対するCAN USE権限が必要です。対象のコンピュートには、サーバーレスまたはAll-purpose computeを利用できます。(Microsoft Learn)
ワークスペースで次の順に確認するとスムーズです。
- サイドバーの「New」に「Visual data prep」が表示されるか確認する
- Unity Catalogが有効か確認する
- 利用者に必要なカタログ、スキーマ、テーブルの権限を付与する
- 汎用コンピュートの
CAN USE権限を確認する - 少量のデータでプレビューしてからジョブ化する
コンプライアンスセキュリティプロファイルが有効なワークスペースについては、2026年6月16日時点で「近日対応」とされています。該当環境で機能が見つからない場合は、権限だけでなく提供状況も確認してください。(Microsoft Learn)
料金面の注意点
今回の一般提供に伴う新しい料金や移行期限は、リリースノートでは案内されていません。ただし、プレビューや本番実行にはコンピュートを使用します。
特に「Rows scanned」を「Max」にすると、上流処理を含めて全データを再処理する場合があります。大規模なテーブルでは、実行時間とコンピュート使用量が増える可能性があるため、開発中は処理行数を制限するのが安全です。(Microsoft Learn)
GenieをMicrosoft Copilot Coworkから利用可能に
Microsoft Copilot Coworkから、Azure DatabricksのGenieへ自然言語で質問できるプラグインがBetaとして追加されました。
利用者はCopilot Coworkを離れることなく、「先週の受注件数は何件か」「地域別の売上を比較して」といった質問を行えます。接続にはAzure Databricksが提供するGenie managed MCP serverを使用します。(Microsoft Learn)
管理者が行う設定
この連携は自動的に有効になる機能ではありません。主に次の作業が必要です。
- Azure DatabricksのPreviewsページで機能を有効にする
- Azure DatabricksでカスタムOAuthアプリ接続を作成する
- Teams Developer PortalでOAuthクライアントを登録する
- ワークスペースURLなどをプラグインのマニフェストへ設定する
- マニフェストをZIP形式でパッケージ化する
- Microsoft 365組織へプラグインをインストールする
- Copilot Coworkでプラグインを有効にしてサインインする
設定にはAzure Databricksのアカウント管理者権限、Teams Developer Portalへのアクセス、Node.jsなどが必要です。また、OAuth接続で生成したクライアントシークレットは後から再表示できないため、作成時に安全な保管場所へ保存する必要があります。(Microsoft Learn)
Beta機能としての注意点
Azure DatabricksのBeta機能は、原則として初期状態では無効です。管理者がワークスペース単位で有効化します。
公式のリリース区分では、Betaは本番利用を目的とせず、インターフェースの安定性、SLA、正式サポートの対象外とされています。まず検証用ワークスペースと限定した利用者で試し、回答精度、データ権限、監査方法を確認してください。(Microsoft Learn)
なお、MCP server経由のアクセスでもUnity Catalogの権限が適用されます。利用者が本来参照できないデータを、Copilot Coworkから参照できるようになるわけではありません。(Microsoft Learn)
Databricks Marketplaceからサードパーティアプリを導入可能に
Databricks Marketplaceで、データセットやAIモデルだけでなく、外部ベンダーが提供するデータ・AIアプリケーションを検索し、Azure Databricksワークスペースへインストールできるようになりました。
アプリは利用者側のAzure Databricks環境で動作し、利用者側のコンピュートリソースを使用します。アプリのコードは非公開の場合がありますが、外部アクセスや必要なリソースはインストール時に承認します。(Microsoft Learn)
インストール前に確認する項目
Marketplaceで「Apps」カテゴリを選択し、対象アプリの詳細画面からインストールします。実行前には少なくとも次の項目を確認してください。
| 確認項目 | 判断基準 |
|---|---|
| 提供元 | 信頼できる企業・パートナーか |
| 利用規約 | データ利用、責任範囲、サポート条件が明確か |
| Unity Catalog権限 | 必要以上のカタログやテーブルへアクセスしないか |
| アプリリソース | Jobs、SQL Warehouse、コンピュートサイズが適切か |
| 外部通信 | 接続先ドメインやAPIが社内ポリシーに適合するか |
| インストール処理 | 事前実行するノートブックの内容を確認したか |
| 更新方法 | 新バージョンの検証担当者と更新手順を決めたか |
アプリによっては、セットアップ用ノートブックの実行が必要です。また、ジョブ、SQL Warehouse、Unity Catalogのデータ資産、コンピュートサイズなどへのアクセスを要求する場合があります。表示された権限を確認せず、そのまま許可する運用は避けてください。(Microsoft Learn)
Marketplace権限の初期状態に注意
Unity Catalogが有効な環境では、account usersグループにUSE MARKETPLACE ASSETS権限が既定で付与されている場合があります。この権限がある利用者は、無料で即時利用できる製品などへアクセスできます。
全ユーザーにMarketplaceの利用を認めない場合は、メタストア管理者が既定の権限を取り消し、利用を許可するグループへ限定して付与します。(Microsoft Learn)
REVOKE USE MARKETPLACE ASSETS ON METASTORE FROM `account users`;
GRANT USE MARKETPLACE ASSETS ON METASTORE TO `<許可するグループ>`;
ネットワーク制限がある環境での注意点
Secure Egress Gatewayや制限付きのネットワークポリシーを使用している場合、アプリが必要とする外部エンドポイントへの通信が遮断される可能性があります。
いきなり許可リストを広げるのではなく、ネットワークポリシーのドライランやsystem.access.outbound_networkシステムテーブルを使い、実際に拒否された宛先を確認してから必要なドメインだけを許可する方法が安全です。(Microsoft Learn)
料金については、今回のリリースノートに一律の料金改定は記載されていません。ただし、アプリは自社ワークスペースのコンピュートを使用します。アプリ提供元の利用条件に加え、SQL Warehouse、ジョブ、サーバーレスコンピュートなどの使用量も確認してください。
Workspace Filesの読み取り処理が高速化
サーバーレスコンピュートと、Databricks Runtime 18以上を実行するクラシックコンピュートで、Workspace Filesへの一般的なアクセスパターンが自動検出されるようになりました。
ディレクトリ情報やファイル内容がバックグラウンドで先読みされるため、次の処理で速度向上が期待できます。
findやgrepによるファイル検索- Pythonモジュールのインポート
- 多数のファイルを参照する処理
- Git関連の操作
利用者による追加設定は案内されていません。対象Runtimeを利用していれば、段階的な展開後に改善が適用されます。(Microsoft Learn)
性能改善と機能拡張を混同しない
今回の変更は読み取り性能の改善であり、Workspace Filesの制限が撤廃されたわけではありません。
たとえば、ファイルサイズは500MBまでで、Spark executorからWorkspace Filesへ書き込むことはできません。また、サーバーレスコンピュートでは、Spark executorからWorkspace Filesを直接読み込む方法もサポートされていません。(Microsoft Learn)
効果を確認する際は、同じコンピュート、同じRuntime、同じファイル群で処理時間を比較してください。1回だけではキャッシュや起動時間の影響を受けやすいため、複数回実行した中央値で判断すると実態を把握しやすくなります。
設定・移行・料金・期限の確認結果
| 項目 | 2026年6月16日時点の確認結果 |
|---|---|
| 強制的な設定変更 | 発表されていない |
| 既存処理の移行 | 必須の移行は発表されていない |
| 対応期限 | 発表されていない |
| 一律の料金改定 | 今回の4件では発表されていない |
| 管理者の対応 | Preview、OAuth、Marketplace権限、外部通信を確認 |
| Runtime更新 | Workspace Files高速化はDatabricks Runtime 18以上が対象 |
| 反映時期 | 段階展開のため、初回リリースから1週間以上かかる場合がある |
「期限がないから何もしなくてよい」という変更ではありません。特にMarketplaceとCopilot Cowork連携は、利用開始後に権限を整理するより、公開前に対象ユーザーとアクセス範囲を限定した方が安全です。
管理者が今すぐ確認すべき順序
最初に、対象ワークスペースで4つの変更が表示されているか確認します。表示されない場合は、権限不足と段階展開の両方を切り分けてください。
次に、次の順序で対応します。
- Lakeflow Designerを非本番データで試し、出力先スキーマとコンピュート使用量を確認する
- Copilot Cowork連携を利用する場合は、検証用ワークスペースでBetaを有効にする
- Marketplaceの
USE MARKETPLACE ASSETS権限を棚卸しする - サードパーティアプリの権限、外部通信先、利用規約を審査する
- Databricks Runtime 18以上の環境でWorkspace Filesの処理時間を測定する
- 検証結果、承認者、利用対象者を運用手順へ記録する
今回のAzure Databricks platform release notesは、データ加工のノーコード化と外部サービス連携を前進させる内容です。一方で、機能を利用可能にすることと、安全に全社展開することは別です。まず権限とネットワークを確認し、小規模な検証から開始してください。

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