Microsoft Learn更新:FabricのPostgreSQLミラーリング制限変更点【2026年6月12日】

Microsoft Learnの「Limitations of Fabric Mirrored Databases From Azure Database for PostgreSQL flexible server」で2026年6月12日に行われた変更は、未対応データ型一覧の重複を解消するドキュメント修正です。Microsoft Fabricの機能追加や制限緩和ではなく、この更新だけを理由に設定変更、再構築、移行を行う必要はありません。

管理者は社内資料に転記したデータ型一覧を見直し、これからミラーリングを構成する場合は、サーバーのSKU、テーブル数、権限、データ型を改めて確認してください。

目次

2026年6月12日の変更点

Microsoftの公式GitHub履歴では、2026年6月12日に「PostgreSQLミラーリングの未対応データ型を重複排除する」という修正が記録されています。変更対象は1つのMarkdownファイルで、差分は6行追加、22行削除でした。(GitHub)

修正前は、次のようなデータ型が未対応一覧の中に複数回掲載されていました。

  • json、jsonb
  • inet、cidr、macaddr、macaddr8
  • tsvector、tsquery
  • box、circle、line、lseg、path、point、polygon
  • interval

修正後は重複部分が削除され、daterange、int4range、int8range、numrange、tsrange、tstzrangeなど、重複ブロックにだけ含まれていた型が1つの一覧へ整理されています。未対応とされるデータ型の範囲を新たに増減させたというより、既存情報を読みやすく統合した変更です。(GitHub)

なお、Microsoft Learn本文の最終更新日は確認時点で「2026年4月30日」と表示されていますが、公式GitHubのファイル履歴には2026年6月12日の修正が記録されています。変更内容を正確に確認する場合は、ページ下部の日付だけでなく、公式リポジトリの差分も確認すると確実です。(Microsoft Learn)

今回の更新で影響を受ける人

対象者影響対応
既存のミラーリング利用者動作上の直接的な影響は確認されていないこの更新だけを理由に再起動や再構成をしない
新規導入を検討している管理者制限事項を確認しやすくなった最新一覧と実環境の適合性を確認する
データベース設計者データ型の対応可否が設計に影響する本番導入前にテーブル単位で検証する
社内手順書の管理者重複した一覧を転記している可能性がある公式ページを参照して一覧を更新する
PostgreSQLミラーリングを使っていない利用者影響なし対応不要

公開された差分では、FabricのAPI、管理画面、レプリケーション処理、料金体系の変更は示されていません。そのため、実務上は「製品アップデート」ではなく「制限事項ページの整理」と捉えるのが適切です。(GitHub)

現在も確認が必要な主な制限

2026年6月12日の修正で、既存の制限が解除されたわけではありません。導入前や構成変更前には、次の項目を確認してください。

サーバーと高可用性の制限

Fabric Mirroringが対応するAzure Database for PostgreSQL Flexible Serverのバージョンは、PostgreSQL 14、15、16、17、18です。Burstableコンピューティングレベルはサポートされていません。

HA構成で透過的にフェールオーバーできるのはPostgreSQL 17以降です。それ以前のバージョンでは、フェールオーバー後にミラーリングセッションの再確立が必要です。

また、ポイントインタイムリストアで新しいサーバーを復元した場合はミラーリングの再構成が必要です。メジャーバージョンアップ前にはミラーリングを無効化し、アップグレード完了後に再度有効化します。(Microsoft Learn)

データベースとテーブル数の制限

ミラーリングできるのは、書き込み可能なプライマリデータベースです。1つのAzure Database for PostgreSQLデータベースを、同時に複数のFabricアイテムへミラーリングすることはできません。

ミラーリング可能なテーブル数は最大1,000です。「Mirror all data」を選択した場合、スキーマ名、テーブル名の順で並べた先頭1,000テーブルが対象となり、それ以降はレプリケートされません。テーブル数が多い環境では、意図した重要テーブルが対象外になっていないか確認が必要です。(Microsoft Learn)

権限とネットワークの制限

接続に使用するデータベースロールには、構成方法に応じてCREATEDB、CREATEROLE、LOGIN、REPLICATION、azure_cdc_adminなどの権限が必要です。さらに、ミラーリング対象テーブルの所有者であることも求められます。

Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverでは、システム割り当てマネージドIDを有効化し、プライマリIDとして設定します。パブリック接続を利用しない場合は、プライベートエンドポイントやファイアウォール規則へ接続できる仮想ネットワークデータゲートウェイが必要です。(Microsoft Learn)

テーブル構造と再同期の制限

ビュー、マテリアライズドビュー、外部テーブル、パーティションテーブル、TimescaleDBのハイパーテーブルは対象外です。TRUNCATE TABLEもサポートされていません。

ミラーリングを停止して再開すると、ソーステーブルのデータは最初から再取得されます。大容量データベースでは、再同期時間だけでなく、ソース側のCPU、IOPS、WAL、ネットワークへの負荷も考慮してください。(Microsoft Learn)

設定・更新・移行・料金・期限の確認結果

確認項目2026年6月12日の更新による変更
設定必須の設定変更は確認されていない
サーバー更新このドキュメント修正に伴う手動アップデートは不要
既存データの移行移行やミラーの再作成は不要
料金料金体系の変更は記載されていない
対応期限適用期限や強制移行日は記載されていない

既存のFlexible Serverに対するミラーリングコンポーネントの更新は、通常のメンテナンスサイクルで段階的に提供され、更新を受け取るためにミラーリングを無効化して再有効化する必要はないと公式チュートリアルで案内されています。(Microsoft Learn)

料金についても、今回の変更による改定はありません。Fabric OneLakeへのレプリケーションに使用するバックグラウンドコンピューティングは無料です。ミラーリング用ストレージは購入した容量の1CUにつき1TBまで無料で、上限超過時や容量停止中はOneLakeストレージ料金が発生する場合があります。SQL、Power BI、Sparkによるクエリ処理には通常のFabric容量が使用されます。(Microsoft Learn)

Azure Database for PostgreSQLとFabric容量が異なるリージョンにある場合は、データ転送料金が発生する可能性があります。料金確認ではFabricだけでなく、ソースデータベースのリージョンとAzure側のコストも確認してください。(Microsoft Learn)

管理者が行う確認手順

Azure側の構成を確認する

Azureポータルで、次の項目を確認します。

  • PostgreSQLのバージョンが14~18である
  • コンピューティングレベルがBurstableではない
  • システム割り当てマネージドIDが有効である
  • wal_levelがlogicalに設定されている
  • azure_cdc拡張機能が許可・プリロードされている
  • 必要なmax_worker_processesが確保されている
  • プライベート構成ではゲートウェイから接続できる

ミラーリングするデータベースごとに、max_worker_processesを3増やす必要があると公式チュートリアルで説明されています。(Microsoft Learn)

CDCの前提条件をSQLで検査する

azure_cdcの準備後は、次の公式チェック関数を実行します。

SELECT *
FROM azure_cdc.check_prerequisites();

IDENTITY_NOT_CONFIGURED、USER_NOT_CDC_ADMIN、NO_CREATE_PRIVILEGE_ON_DATABASE、MAX_WORKER_PROCESSES_TOO_LOWなどが返された場合は、ミラーリングを開始する前に解消します。(Microsoft Learn)

テーブルごとの適合性を確認する

次の関数で、対象テーブルに未対応データ型や所有者の問題がないか確認できます。

SELECT *
FROM azure_cdc.get_all_tables_mirror_status();

特に確認したいステータスは次のとおりです。

  • UNSUPPORTED_DATA_TYPE
  • UNSUPPORTED_TYPE_IN_REPLICA_IDENTITY
  • NOT_REGULAR_TABLE
  • NOT_TABLE_OWNER
  • NO_INDEX_FULL_IDENTITY

主キーまたは適切な一意インデックスがないテーブルでは、REPLICA IDENTITY FULLが必要となり、WAL使用量やパフォーマンスへの影響が大きくなる可能性があります。(Microsoft Learn)

Fabric側のレプリケーション状態を確認する

Fabricポータルの「Monitor replication」で、データベースとテーブルの状態、レプリケートされた行数、最終完了時刻を確認します。

「Running with warning」や「Failed」のテーブルがある場合は、ソースの適合性チェック結果と照合してください。継続的な監視が必要な環境では、ワークスペース監視を有効化し、MirroredDatabaseTableExecutionのログを利用できます。(Microsoft Learn)

データ型は実環境での検証が必要

確認時点では、公式の制限事項ページとトラブルシューティングページで、一部データ型の記載が一致していません。

制限事項ページではjson、jsonb、ネットワーク型、範囲型、幾何型などが未対応一覧に含まれています。一方、トラブルシューティングページでは、これらの多くが対応する列型として掲載されています。(Microsoft Learn)

そのため、JSON型や範囲型を使用している環境では、文書の一覧だけで本番対応可否を判断しない方が安全です。次の順序で確認してください。

  1. azure_cdc.get_all_tables_mirror_status()を実行する
  2. Fabricのテーブル選択画面で警告やエラーを確認する
  3. 開発・検証環境で初期スナップショットと更新処理を試す
  4. レプリカ側で件数、NULL、データ型変換結果を照合する
  5. 結果が公式記載と異なる場合はMicrosoftサポートへ確認する

今回のMicrosoft Learn更新に伴う緊急対応は不要です。まず社内の制限事項一覧から重複を取り除き、次にサーバーSKU、1,000テーブル上限、ロールと所有者、マネージドID、データ型の適合性を確認してください。新規導入時は、SQLによる事前検査と小規模なテストミラーリングを行ってから本番へ進めるのが確実です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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