AMD GPUブラックアウト・フリーズの真相はメモリ混在だった【VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR対策】

Windows 11 で AMD Radeon GPU を使っていると、ゲームやブラウザ中に突然画面がフリーズし、真っ黒になって復帰を繰り返す──最終的には VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR のブルースクリーン。そんな厄介な症状が、実は「メモリの混在」だけで解決した実例を、原因と対策まで詳しくまとめます。

目次

AMD GPU のブラックアウト/フリーズ症状の全体像

まずは、実際に起きていた症状と環境を整理します。同じような「AMD GPU+Windows 11」でのブラックアウト・フリーズに悩んでいる人は、自分の状況と照らし合わせてみてください。

発生していた代表的な症状

  • 画面が突然カクッと止まり、そのままフリーズする。
  • 数秒〜十数秒すると、画面が完全なブラックアウト(真っ黒)になる。
  • さらに数秒後に復帰するが、しばらくするとまたフリーズ→ブラックアウト→復帰を繰り返す。
  • 最終的には Windows がブルースクリーンを出し、VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR(バグチェック 0x119) で強制再起動。
  • 復帰したタイミングで「AMD ソフトウェアがドライバーのタイムアウトを検出しました」という通知が表示される。

つまり、典型的な「GPU ドライバーの応答停止(TDR: Timeout Detection and Recovery)」からの、動画スケジューラ関連ブルースクリーンという流れです。

発生タイミングと再現性

問題は特定のアプリだけでなく、ほぼ常時・あらゆる場面で発生していました。

  • ブラウジング中や動画視聴中、アイドル状態でも発生。
  • Windows 11 のインストール中ですら発生し、セットアップがまともに完了しないこともあった。
  • 標準の Windows ドライバーを使っても、AMD Software: Adrenalin を導入しても症状は変わらない。

発生環境の概要

項目内容
OSWindows 11(インストール中を含め常時不安定)
GPURadeon RX 7700 XT/Radeon RX 6600(いずれでも再現)
マザーボード異なる個体・別モデルでも再現
ストレージ複数の SSD に入れ替え → それでも再現
メモリ同じ型番と見える 2 枚構成(後述の「混在」が原因)
別 OS での挙動Ubuntu 24.04 では問題が発生しない(安定動作)

ここまでを見ると、「どう考えても GPU か Windows 11 の不具合では?」と感じるはずです。しかし、徹底的な切り分けの結果、真犯人はまったく別のところにいました。

切り分けで分かったこと:GPUでもWindowsでもなかった

原因特定のために、ハードウェア側の切り分けを徹底して行いました。その結果がこちらです。

ハードウェア交換と結果一覧

交換・変更したパーツ内容結果
GPURadeon RX 7700 XT → Radeon RX 6600同じ症状が再現。
GPU 個体不良の可能性はほぼ否定。
マザーボード別モデル・別個体のマザーボードに交換やはりブラックアウト&VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR が発生。
SSD(システムディスク)別メーカー・別容量の SSD に換装症状変わらず。ストレージやファイル破損の線も薄い。
グラフィックドライバー標準ドライバー/AMD Adrenalin/バージョン違いを試すいずれも TDR → ブラックアウト → VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR。
OSWindows 11 再インストール,Ubuntu 24.04 を別ディスクに導入Windows 11:常時不安定
Ubuntu 24.04:安定動作(問題なし)

ここまでやっても解決しないと、「AMD GPU と Windows 11 の相性」「特定ドライバーの致命的バグ」を疑いたくなります。しかし、本当の原因はさらに別のレイヤーにありました。

根本原因:見た目は同じなのに中身が違う RAM の混在

最終的に特定された原因は、意外にもメモリ(RAM)の混在でした。

  • 見た目・ラベル上はまったく同じ型番のメモリモジュール 2 枚。
  • しかし中身の DRAM チップ(IC)をよく確認すると、
    • 片方は Samsung 製 IC
    • もう片方は SK hynix 製 IC
  • つまり、「外装・型番は同じだが、メモリチップのメーカーが異なる 2 枚」が混在していた。

このような「中身の違う IC の組み合わせ」は、仕様上は同じ規格を満たしていても、サブタイミングや限界動作マージンが微妙に異なります。その結果、

  • 2 枚単体では MemTest86 などでもエラーが出ない
  • しかし2 枚同時にデュアルチャネルで動かすときだけ、特定条件下でデータ化けや転送エラーが発生

という「非常に厄介な不安定状態」が生まれます。

メモリ 2 枚の違いイメージ

項目メモリ Aメモリ B
外装ラベル同一型番・同一スペック表記同一型番・同一スペック表記
DRAM チップメーカーSamsungSK hynix
XMP/EXPO プロファイル同じクロックだがマージンやサブタイミングが微妙に異なる可能性同上
単体での MemTestエラーなしエラーなし
2 枚同時+高負荷時GPU 連携の DMA 転送などでまれにデータ破損 → カーネル・ドライバーが不安定化

この「2 枚セットで使ったときだけ壊れる」パターンこそが、原因の特定を難しくしていました。

なぜ RAM の問題が「GPU ドライバーのタイムアウト」になるのか

ここで気になるのが、「メモリがおかしいならメモリエラーが出ればいいのでは? なぜ GPU エラーになるの?」という点です。実際の流れをざっくり整理すると、次のようになります。

  1. Windows カーネルや GPU ドライバーが使用しているメモリ領域に、RAM の不整合によるデータ破損が発生。
  2. GPU との DMA 転送やコマンドキュー(スケジューラ)情報が壊れる。
  3. GPU が正しく処理できず、ドライバーの応答が極端に遅くなったり、異常な状態になる。
  4. Windows の TDR(Timeout Detection and Recovery)機構が「ドライバーが応答しない」と判断し、ドライバーをリセット。
  5. その結果、ブラックアウト → 復帰という挙動が発生。
  6. 破損の程度がひどい場合や連続した場合、VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR(バグチェック 0x119)でブルースクリーンへ。

つまり、「GPU が壊れている」のではなく、GPU ドライバーや動画スケジューラが前提としているメモリ内容が壊れてしまうために、表面的には GPU エラーとして現れている、という構図です。

症状とメモリ起因であることのつながり

表に出る症状裏で起きていること(推定)
画面のフリーズGPU キューやカーネルメモリが一時的に破損し、描画処理が停止。
ブラックアウト→復帰TDR により amdkmdag ドライバーがリセットされ、一度画面出力が落ちて再初期化。
VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR動画スケジューラ関連の構造体やキュー情報が致命的に破損し、OS が安全のため強制停止。
Ubuntu 24.04 では再現しないメモリの使われ方・ドライバー構造・タイミングの違いにより、たまたま問題領域が踏まれない。

このように、不安定な RAM は、最終的な犠牲者として GPU ドライバーを巻き添えにすることがあります。

実際に表示されていたエラーとログ

実例で確認できたエラーは、次のようなものです。

  • デスクトップ復帰後のポップアップ:
    「AMD ソフトウェアがドライバーのタイムアウトを検出しました」
  • イベント ビューアー(システムログ)に記録されるメッセージ:
    • 「Display driver amdkmdag の応答停止と回復」(TDR)
    • BugCheck 0x119(VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR)関連の記録

これらを見ても、普通は「GPU ドライバー or Windows の不具合」と考えてしまいます。実際、GPU 交換やドライバーのクリーンインストール(DDU 使用)などを行っても直らない場合、いったん視点を変えて「メモリ」や「電源」を疑うのが重要です。

最終的に有効だった対処:同一仕様のメモリキットへ交換

最終的な決め手となったのは、メモリを完全に同一仕様の 2 枚組キットに交換したことでした。

実施した対処内容

  • バラで購入していた 2 枚のメモリをすべて取り外す。
  • 同梱 2 枚組(デュアルチャネル用)のメモリキットを新たに購入。
  • 同一ロット・同一 IC 構成が保証されたキットを、そのまま A2/B2 スロット(推奨スロット)に挿す。
  • BIOS を初期化(CMOS クリア)し、メモリトレーニングをやり直す。
  • 必要であれば EXPO/DOCP/XMP を有効にするが、まずは JEDEC 標準設定で安定動作を確認。

この状態にしてから、

  • Windows 11 のインストールが一度も止まらず完了
  • 日常使用でもブラックアウトやフリーズが消失
  • amdkmdag の TDR ログや VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR が一切出なくなった

という結果になりました。つまり、同一仕様のメモリキットへ統一するだけで、長期間悩まされていた AMD GPU のブラックアウト/フリーズ問題が一気に解決したことになります。

すぐメモリを交換できない場合の暫定回避策

とはいえ、「今すぐ新しいメモリキットを買いに行けない」「仕事用 PC なので、とりあえず動かしたい」というケースも多いはずです。その場合に試せる、現実的な暫定対処策をまとめます。

暫定対処一覧

対処内容ポイント期待効果
1 枚挿しで起動(メモリの単体検証)どちらか 1 枚だけを挿して Windows を起動し、安定性を確認。問題のあるモジュールを切り分けやすくなる。
混在時だけ不安定なら「組み合わせ」が原因と判断しやすい。
XMP/DOCP/EXPO を無効化BIOS 設定でオーバークロック系プロファイルをオフにし、JEDEC 標準クロック・電圧に戻す。メモリの負荷を下げ、マージンを稼ぐことでエラー発生頻度を減らす。
DRAM 電圧をわずかに補正定格より +0.02〜0.05V 程度の範囲で軽く盛る(マザーボードメーカー推奨範囲内で)。ギリギリ不安定なメモリを安定動作側に寄せられる可能性がある。
主要タイミングを緩めるtCL / tRCD / tRP / tRAS などを一段階ゆるい値にする。レイテンシを犠牲にする代わりに、エラー発生確率を下げる。
BIOS 更新&CMOS クリア最新 BIOS(AGESA 更新含む)へ更新し、CMOS クリアでメモリトレーニングをやり直す。相性改善やメモリ対応の向上により、同じメモリでも安定度が上がる場合がある。
どうしても不安定なら 1 枚運用安定側の 1 枚だけでしばらく運用する。容量は減るが、業務や作業を継続しやすくなる。
根本解決までは現実的な妥協策。

あくまで暫定策なので、最終的には同一仕様のメモリキットに買い替えることを強くおすすめしますが、「今日中にどうしても動かしたい」という場面では有効な手段になります。

実務向け:効率的な検証・切り分け手順

現場でトラブルシューティングを行う場合、やみくもにパーツを交換するのはコストが高くなりがちです。ここでは、実務で再現しやすい切り分け手順を整理します。

メモリ診断ツールでのチェック

  • MemTest86 を USB メモリから起動し、最低 4 周以上テストする。
  • Windows 標準の「Windows メモリ診断」や、有償系のメモリテストツール(Karhu など)を併用してもよい。
  • 「エラーが出たらアウト」はもちろんですが、エラーが出なくても相性・混在問題は残りうる点に注意。

物理的なメモリ切り分け

次の順番で検証すると、原因に近づきやすくなります。

  1. メモリ A 1 枚のみを推奨スロット(例:A2)に挿して起動 → 安定性を確認。
  2. メモリ B 1 枚のみを同じスロットに挿して起動 → 安定性を確認。
  3. 2 枚同時に挿してデュアルチャネル構成で起動 → 不安定になるかどうかを確認。

「1枚だと安定なのに、2枚にすると途端に不安定になる」場合は、相性・混在・メモリコントローラ周りを強く疑ってください。

イベント ビューアーでのログ確認

「原因は GPU か RAM か」を判断するために、イベント ビューアーを確認するのも有効です。

  • Windows ログ → システム を開く。
  • 以下のキーワードでフィルターまたは検索する。
    • amdkmdag
    • Display driver amdkmdag の応答停止と回復
    • VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR(BugCheck 0x119)

これらが頻繁に出ている場合、GPU ドライバー周辺で何かしらの異常が起きていることが分かります。GPU を替えてもログ内容が変わらない場合、「GPU 以外の要因でドライバーが巻き込まれている」可能性が高くなります。

ドライバーのクリーンインストール(副次的対処)

根本が RAM の場合、ドライバーを入れ直しても決定的な解決にはなりませんが、切り分けには有効です。

  • セーフモードで起動する。
  • DDU(Display Driver Uninstaller)などのツールを使い、AMD ドライバーを完全に削除。
  • 再起動後、最新の AMD Software: Adrenalin をクリーンインストール。

これでも直らない場合は、「ソフトウェア要因ではない」ことがほぼ確定するため、ハードウェア(特にメモリ・電源)に意識を向けやすくなります。

なぜ「GPUやWindowsの不具合」にしか見えなかったのか

今回のケースがやっかいだった理由は、症状がどう見ても GPU や Windows のトラブルにしか見えないことです。

  • エラー名:VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR → 完全に「動画スケジューラ=GPU 周り」の名前。
  • イベントログ:amdkmdag の応答停止と回復 → GPU ドライバーの固有名詞。
  • 症状:ブラックアウト&復帰 → 誰が見ても「グラボが怪しい」挙動。

しかし実際には、

  • 不安定な RAM がカーネル領域や GPU とのデータ転送にダメージを与え、
  • 結果として GPU ドライバーや動画スケジューラが破綻していただけ

でした。このように、真の原因と表に出る症状が別レイヤーにあると、原因特定は一気に難しくなります。

特に「GPU 交換」「マザーボード交換」「SSD 交換」までやっても直らなかった場合、「Windows 11 と AMD の相性が悪いのでは?」と考えたくもなりますが、そこで一度立ち止まり、「メモリは本当に安全か?」を疑う視点が大切です。

再発防止のポイント:メモリ選びと組み立て時のチェック

同じトラブルを避けるために、PC を組むとき・メモリを増設するときに意識したいポイントをまとめます。

メモリ選定の基本方針

ポイント内容
同一キットの 2 枚組を購入2 枚セットで販売されているメモリキットを選び、バラ買い混在を避ける。
同一ロット・同一 IC を優先同梱キットは、可能な限り同一ロット・同一 IC 構成でテストされているため、相性問題が起きにくい。
マザーボードの QVL を確認使用予定のメモリが、マザーボードメーカーのQVL(動作確認リスト)に掲載されているかチェックする。
増設時は同じ型番で統一1 枚だけ増設するのではなく、できるだけ 同一型番のキットで総入れ替えするのが理想。

メモリ交換後にやっておきたい設定

  • CMOS クリアで BIOS 設定をリセットし、メモリトレーニングをやり直す。
  • EXPO/DOCP/XMP を使う場合でも、まずは JEDEC 標準で安定動作を確認してから有効化する。
  • EXPO/DOCP/XMP 有効後に不安定になる場合は、クロックを 1 段階下げるか、タイミングを緩めて様子を見る。

付随して確認しておきたいハードウェア項目

  • GPU の補助電源ケーブルがしっかり奥まで差し込まれているか。
  • PCIe スロットにホコリや異物がないか、GPU が斜めに刺さっていないか。
  • 電源ユニットの容量に十分な余裕があるか(特に RX 7700 XT クラス以上の GPU)。
  • 電源ケーブルを分岐して 1 本で 2 系統に供給していないか(できれば別レーンから 2 本で供給)。

これらは直接の原因ではなかったとしても、ブラックアウト・フリーズ系トラブルの大きなトリガーになりやすい部分なので、合わせて点検する価値があります。

同じ症状で悩んでいる人向け・チェックリスト

最後に、「今まさに AMD GPU でブラックアウト&VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR が出ている」という人向けに、簡易チェックリストをまとめます。

  1. ブルースクリーンのエラーコードは VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR(0x119) か?
  2. イベント ビューアーのシステムログに、amdkmdag の応答停止と回復(TDR) が頻発していないか?
  3. GPU を別の個体・別モデルに替えても、症状やログがほぼ同じままか?
  4. Windows をクリーンインストールしても、インストール中から不安定にならないか?
  5. メモリは「バラで買った 2 枚」や、「昔のメモリ+最近のメモリ」を混在させていないか?
  6. CPU-Z やマザーボードのツールで SPD 情報を確認し、2 枚の IC メーカーが違っていないか?(Samsung+SK hynix など)
  7. 1 枚だけ挿してしばらく使うと、症状が大きく軽減・消失しないか?

これらに複数当てはまる場合、「GPU ではなくメモリ(特に混在)が怪しい」という可能性が高まります。「グラボを疑う前にメモリを疑う」という視点を持つだけでも、原因特定までの時間を大きく短縮できます。

まとめ:AMD GPU のブラックアウトでも、メモリが犯人ということは普通にある

今回のケースは、表面的には「AMD GPU+Windows 11 の致命的な不具合」にしか見えないものでした。しかし、徹底した切り分けの結果、真の原因は見た目同じでも中身が異なる IC を使った RAM の混在であり、

  • 同一仕様の 2 枚組メモリキットへ交換
  • BIOS リセット&メモリトレーニングのやり直し

だけで完全に解決しています。

もしあなたの環境でも、

  • AMD GPU 使用中にブラックアウトとフリーズを繰り返す
  • 「ドライバーのタイムアウト」「amdkmdag の応答停止と回復」が頻発する
  • VIDEO_SCHEDULER_INTERNAL_ERROR(0x119)のブルースクリーンで落ちる

といった症状が出ているなら、GPU や Windows を疑うだけでなく、「メモリの混在」「IC の違い」「相性」にも目を向けてみてください。遠回りに見えて、そこが最短ルートのことも少なくありません。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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