Microsoft 365 Copilot Pay-as-You-Go設定の変更点|料金・移行・期限を解説

2026年6月13日に更新されたMicrosoft Learnの「Set Up Microsoft 365 Copilot Pay-as-You-Go Services」は、Microsoft 365 Copilotの従量課金を設定・管理するための管理者向け情報です。

結論から言うと、一般ユーザーへ自動的に適用される機能更新ではありません。管理者が請求ポリシーを作成し、Microsoft 365 Copilot ChatまたはSharePoint agentsに接続した場合に、対象ユーザーの利用分がAzure経由で課金されます。公式情報には、強制移行の期限や設定を完了すべき期日は示されていません。(Microsoft Learn)

目次

Microsoft 365 Copilot Pay-as-You-Goの主な変更点

公式ページには更新前後の差分表が掲載されていません。そのため、2026年6月13日時点の現行仕様として、管理者が確認すべきポイントを整理すると次のとおりです。

確認項目現行仕様管理者が行うこと
管理場所Microsoft 365管理センターの「Copilot」→「Billing & usage」Power Platform管理センターだけで管理していないか確認する
対象サービスMicrosoft 365 Copilot Chat、SharePoint agents従量課金を有効にするサービスを選ぶ
設定方法請求ポリシーの作成と、サービスへの接続が別工程ポリシーを作成しただけで終了しない
利用者の範囲全ユーザーまたは特定グループ最初は検証用グループに限定する
予算設定利用額に応じた通知を送信利用停止機能ではない点に注意する
Azureとの連携同じテナントのAzureサブスクリプションとリソースグループが必要権限と請求先を事前に確認する
既存設定の移行Power Platform側のポリシーと共存可能必要に応じて管理場所を一本化する
対応期限強制移行期限の記載なし急いで変更するより、既存設定を監査する

Microsoft 365 CopilotのPay-as-You-Goは初期状態で無効です。管理者が明示的に請求ポリシーを接続しない限り、今回の情報更新だけで従量課金が始まるわけではありません。(Microsoft Learn)

誰に影響するのか

一般ユーザー

一般ユーザーによる設定作業はありません。

ただし、自分が所属するグループまたは全ユーザー向けの請求ポリシーがCopilotサービスに接続されると、従量課金対象のエージェントなどを利用できるようになります。利用できる機能や課金の有無は、保有ライセンス、エージェントの構成、使用する機能によって異なります。

Microsoft 365管理者

実際の影響が最も大きいのは、次の役割を持つ管理者です。

  • Billing Administrator
  • AI Administrator
  • Global Administrator

これらの管理者は、請求ポリシーの作成、対象ユーザーの指定、予算通知、Copilotサービスへの接続を担当します。Global Administratorは非常に強い権限を持つため、通常運用ではBilling AdministratorやAI Administratorを優先するのが適切です。(Microsoft Learn)

Azure管理者・経理担当者

請求先としてAzureサブスクリプションを使用するため、Azure側のOwnerまたはContributor権限を持つ担当者にも影響します。

経理担当者は、請求ポリシーごとの予算、Azure Cost Managementの費用、部門別の利用範囲を確認する必要があります。

設定前に確認すべき前提条件

設定画面を開く前に、次の条件を確認してください。

項目必要な条件
Microsoft 365の権限Billing Administrator、AI Administrator、Global Administratorのいずれか
AzureサブスクリプションMicrosoft 365と同じテナントに存在すること
Azureリソースグループ使用するサブスクリプション内に存在すること
Azureの権限サブスクリプションとリソースグループのOwnerまたはContributor
SharePointライセンステナントにSharePointを含むライセンスが1つ以上あること
新規Azureサブスクリプションの作成Billing Account OwnerまたはBilling Account Contributorなどの権限が必要

Azureサブスクリプションやリソースグループがない場合は、Microsoft 365管理センターの請求ポリシー作成画面から新規作成できます。ただし、管理センター内でAzureサブスクリプションを作る場合は、課金アカウントがMicrosoft Customer Agreementに接続されている必要があります。(Microsoft Learn)

Microsoft 365管理センターでの設定手順

請求ポリシーを作成する

Microsoft 365管理センターへサインインし、次の順番で開きます。

Copilot → Billing & usage → Billing policies → Add a billing policy

請求ポリシーには、次の情報を設定します。

  • ポリシー名
  • Azureサブスクリプション
  • リソースグループ
  • リージョン
  • 利用規約への同意

リージョンの選択は、テナントIDや使用状況データの保存場所に関係します。また、一度請求ポリシーに関連付けたAzureサブスクリプションとリソースグループは編集できません。誤った請求先を選ぶとポリシーの再作成が必要になるため、確定前にAzure管理者と確認してください。(Microsoft Learn)

1テナントにつき、最大50個の請求ポリシーを作成できます。部門別や検証環境別に分けられますが、必要以上に細分化すると管理が複雑になるため、費用負担の単位に合わせて設計しましょう。(Microsoft Learn)

対象ユーザーを選ぶ

利用範囲は、次のいずれかから選択します。

  • All users
  • Specific group

Specific groupでは、1つのグループを指定します。全ユーザーをいきなり対象にすると、利用量を予測しにくくなるため、最初は検証用のセキュリティグループを作成して限定公開する方法が安全です。

グループ選択画面には、アルファベット順で最初の1,000グループのみ表示されます。目的のグループが見つからない場合は、検索やグループ名の見直しが必要です。(Microsoft Learn)

予算と通知を設定する

予算設定は任意ですが、Pay-as-You-Goを運用するなら設定しておくべきです。

予算のリセット周期は、月次、四半期、年次から選べます。通知先には、メールが有効なセキュリティグループを指定し、100%に加えて1~99%の範囲で最大4つの通知しきい値を追加できます。実務では、50%、80%、100%などの段階通知が分かりやすいでしょう。(Microsoft Learn)

ただし、予算は支出上限ではありません。予算額の100%に達してもサービスや課金は停止せず、利用は継続します。課金を止めるには、対象サービスと請求ポリシーの接続を解除する必要があります。(Microsoft Learn)

Copilotサービスへ接続する

請求ポリシーを作成しただけでは、Pay-as-You-Goは有効になりません。

Billing & usageのPay-as-you-go servicesタブを開き、次のいずれかのサービスを選択して、作成した請求ポリシーを接続します。

  • Microsoft 365 Copilot Chat
  • SharePoint agents

「ポリシーを作成したがエージェントを利用できない」という場合は、サービスへの接続漏れを最初に確認してください。(Microsoft Learn)

料金はCopilot Creditsの消費量で決まる

現行の従量課金では、エージェントの利用量をCopilot Creditsで測定します。Microsoftのメーター情報では、Pay-as-You-Goの単価は1 Copilot Creditあたり0.01米ドルとされています。(Microsoft Learn)

ただし、1回のプロンプトが必ず1クレジットになるわけではありません。たとえば、主な機能の消費量は次のように異なります。

処理内容消費量の例
Classic answer1 Copilot Credit
Generative answer2 Copilot Credits
Agent action5 Copilot Credits
Tenant graph grounding10 Copilot Credits

1回の処理で複数の機能を使うこともあります。たとえば、Generative answerとTenant graph groundingを組み合わせた応答は、合計12 Copilot Creditsになる場合があります。(Microsoft Learn)

公式の設定確認例でも、テスト用エージェントに簡単な質問を送ると約12クレジットを消費すると説明されています。1クレジット0.01米ドルで単純計算した場合、約0.12米ドルです。ただし、実際の消費量はエージェントの設計や使用機能によって変わります。(Microsoft Learn)

そのため、「1ユーザーあたり月額いくら」と固定的に見積もるより、次の式で試算するのが現実的です。

想定利用回数 × 1回あたりの平均Copilot Credits × 1クレジットの単価

本番導入前に少人数でテストし、Copilot Credits Reportで実測値を確認してから対象範囲を広げましょう。

費用表示と通知には時間差がある

Microsoft 365管理センターの支出グラフには、利用データが表示されるまで最大4時間かかる場合があります。予算通知メールは最大24時間遅れる可能性があります。(Microsoft Learn)

Azure Cost Managementの請求額も即時反映ではなく、利用から表示まで最大24時間かかる場合があります。急激な利用増加を完全にリアルタイムで検知できる仕組みではないため、予算通知だけに依存しない運用が必要です。(Microsoft Learn)

特に初期導入時は、次の対策が有効です。

  • 対象を検証グループに限定する
  • 予算通知を複数段階で設定する
  • 毎日または毎週、使用量を確認する
  • エージェントごとの利用目的と担当者を記録する
  • 想定外の増加時に接続を解除する担当者を決める

Power Platform管理センターからの移行は必須ではない

すでにPower Platform管理センターでPay-as-You-Goの請求ポリシーを設定している場合でも、Microsoft 365管理センター側に新しいポリシーを作成できます。

両方のポリシーは共存でき、同じ利用に対して二重に請求されないよう処理されます。一方で、複数の管理画面に設定が分散すると、担当者が請求元を判断しにくくなります。Microsoft 365 Copilot ChatやSharePoint agentsを中心に運用する場合は、Microsoft 365管理センターへ管理を集約すると分かりやすくなります。(Microsoft Learn)

業務停止を避けながら移行する場合は、次の順番が安全です。

  1. Power Platform側の既存ポリシーと請求先を記録する
  2. Microsoft 365管理センターで新しいポリシーを作成する
  3. 検証用グループでサービスへ接続する
  4. Copilot Credits ReportとAzure Cost Managementで利用を確認する
  5. 問題がなければPower Platform側の不要な設定を停止する

接続を解除しても、ユーザーがエージェントを利用できなくなるまで最大2時間かかる場合があります。解除直後は、請求と利用状況を継続して確認してください。(Microsoft Learn)

設定時に失敗しやすいポイント

請求ポリシーを作成しただけで完了したと思う

請求ポリシーの作成とCopilotサービスへの接続は別工程です。作成後にPay-as-you-go servicesタブを確認してください。

最初から全ユーザーを対象にする

利用量の基準がない状態で全ユーザーへ開放すると、予算を立てにくくなります。検証グループで平均クレジット数を確認してから段階的に拡大しましょう。

予算をハードリミットだと誤解する

設定額を超えても課金は継続します。予算は通知と監視のための機能です。

Azureの請求先を十分に確認しない

ポリシー作成後は、関連付けたサブスクリプションとリソースグループを変更できません。部門やプロジェクトの費用を分ける場合は、Azure側の設計を先に決めてください。

Global Administratorで日常運用する

Global Administratorは緊急時に限定し、通常の請求管理にはBilling AdministratorやAI Administratorを使用するのが安全です。

更新・移行の期限はあるのか

2026年6月13日更新の公式ページには、強制的な切り替え日、移行期限、クライアントアプリの更新期限は記載されていません。

今回の情報は、Microsoft 365 Copilotの従量課金を利用する組織向けに、設定と管理の流れを整理したものと考えるのが適切です。新しいPay-as-You-Go機能が追加される場合はMicrosoft 365メッセージセンターで案内され、既定では無効のため、管理者が有効化するまで課金は始まりません。(Microsoft Learn)

まずはMicrosoft 365管理センターのCopilot→Billing & usageを開き、既存の請求ポリシー、接続中のサービス、Azure請求先を確認してください。新規導入では特定グループによる小規模テストを行い、予算通知とCopilot Credits Reportで実際の消費量を把握してから対象を広げるのが安全です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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