Microsoft 365の公式文書「Overview of Loop components in the Microsoft 365 ecosystem」が更新されたと聞き、「新機能が追加されるのか」「設定変更や移行が必要なのか」と気になっている方も多いでしょう。
結論から言うと、今回確認すべき中心点は、Loopコンポーネントの保存先、所有者、権限、退職者が発生したときの扱いです。一般ユーザーに特定バージョンへの更新や一括移行は求められていません。管理者は、作成場所ごとに異なる保存先と、Cloud Policy・SharePoint PowerShellの設定を確認する必要があります。
なお、指定された概要ページに表示されている最終更新日は2026年5月14日です。2026年6月16日に更新された関連公式文書は、保存先とライフサイクルを整理した「Overview of Loop storage」です。本記事では両方の情報を照合し、2026年6月16日時点で実務上確認すべき内容を整理します。(Microsoft Learn)
「Overview of Loop components in the Microsoft 365 ecosystem」の変更点
今回の情報は、新しいボタンや画面が一斉に追加される機能アップデートというより、LoopコンポーネントをMicrosoft 365環境で安全に管理するための仕様整理として読むのが適切です。
| 確認項目 | 結論 |
|---|---|
| 新機能 | 今回参照した公式文書では、新機能の展開開始は告知されていない |
| 保存先 | 作成したアプリや場所により、OneDrive、SharePointサイト、SharePoint Embeddedに分かれる |
| 一般ユーザーの対応 | アプリ更新や一括移行は不要。共有権限と保存場所の確認が重要 |
| 管理者の対応 | Cloud PolicyとSharePoint PowerShellの両方を確認する |
| 料金 | 新たな料金改定の記載はない。ライセンスとストレージ容量は確認が必要 |
| 期限 | 強制移行日や利用終了日は示されていない |
| 注意点 | .loopファイルを別のライブラリへ移動すると、既存の表示やリンクが機能しなくなる場合がある |
Loopコンポーネントは、Teamsのチャット、Outlookメール、OneNote、Whiteboardなどに挿入できる共同編集可能なコンテンツです。表、タスクリスト、文章などを複数人がその場で編集でき、変更内容がリアルタイムで反映されます。実体は主に.loopファイルとして保存されます。(Microsoft Learn)
Loopコンポーネントの保存先は作成場所で変わる
運用上、最も重要なのが保存先です。Loopコンポーネントは、すべてが同じ場所に保存されるわけではありません。
2026年6月16日更新の公式情報では、作成場所と保存先の関係が次のように整理されています。(Microsoft Learn)
| 作成した場所 | 主な保存先 | ライフサイクルの基準 |
|---|---|---|
| Loopアプリの個人用ワークスペース | SharePoint Embedded | ユーザーアカウント |
| Loopアプリの共有ワークスペース | SharePoint Embedded | ワークスペース所有者 |
| Teamsのチャットノート | SharePoint Embedded | Teamsチャット |
| Teamsのプライベートチャット | 作成者のOneDrive | ユーザーアカウント |
| Teamsのプライベート会議 | 作成者のOneDrive | ユーザーアカウント |
| Teamsチャネル | チャネルのSharePointサイト | Microsoft 365グループ |
| Teamsチャネル会議 | SharePointサイトの「Meetings」フォルダー | Microsoft 365グループ |
| Outlookメール | 作成者のOneDrive | ユーザーアカウント |
| OneNote | 作成者のOneDrive | ユーザーアカウント |
| Whiteboard | 作成者のOneDrive | ユーザーアカウント |
「Teamsで作成したら必ずOneDrive」ではない
概要ページでは、TeamsやOutlookで作成したLoopコンポーネントが作成者のOneDriveに保存されると説明されています。一方、現行の保存先一覧では、Teamsチャネルから作成したコンテンツはSharePointサイト、チャットノートなどはSharePoint Embeddedに保存されるケースも示されています。(Microsoft Learn)
したがって、管理者は「LoopはすべてOneDriveにある」と考えず、どの画面から作成されたかを確認する必要があります。
長期間利用する部署共通の議事録やタスクリストは、個人チャットではなくTeamsチャネルから作成する方が管理しやすくなります。個人チャットで作成すると、作成者のOneDriveと退職時の保持設定に依存するためです。
誰に影響するのか
一般ユーザー
Teams、Outlook、OneNote、WhiteboardでLoopコンポーネントを作成または共有するユーザーが対象です。
日常の編集方法が大きく変わるわけではありませんが、次の点に注意が必要です。
- コンポーネントにはファイルとしての所有者がいる
- 共有先を変更するときはアクセス権も確認する
.loopファイルを通常のOfficeファイルと同じ感覚で移動しない- 重要なコンポーネントを個人所有のまま放置しない
Microsoft 365管理者
影響が大きいのは、Microsoft 365、Teams、SharePoint、OneDriveを管理する担当者です。
特に確認が必要なのは、次のような組織です。
- Loopの利用範囲を部署やユーザーごとに制御している
- Teamsのチャットや会議でLoopを利用している
- 外部ユーザーとLoopコンポーネントを共有している
- 退職者のOneDriveを一定期間後に削除している
- SharePointストレージ容量を厳格に管理している
Loopの作成制御にはCloud PolicyとSharePoint PowerShellの両方が使われます。Cloud Policyだけを設定しても、Teams内のLoop機能を完全には制御できません。(Microsoft Learn)
一般ユーザーが確認する手順
OneDriveで.loopファイルを確認する
OneDriveを開き、検索欄に.loopまたはコンポーネント内のキーワードを入力します。
作成元によって、次のフォルダーに保存されることがあります。
| 作成元 | OneDrive内の主な保存先 |
|---|---|
| Teamsプライベートチャット | Microsoft Teams Chat files |
| Teamsプライベート会議 | Meetings |
| Outlook | Attachments |
| OneNote | OneNote Loop files |
| Whiteboard | Whiteboard\Components |
保存先は作成方法やMicrosoft 365側の仕様変更によって変わる可能性があります。見つからない場合は、Loopアプリ、OneDriveの「最近使用した項目」、Microsoft 365の検索も確認してください。.loopファイルはOneDriveやLoopアプリから検索でき、バージョン履歴による復元も可能です。(Microsoft Learn)
共有相手の権限を確認する
Loopコンポーネントを別のTeamsチャットやメールへ貼り付けても、新しい相手に自動で権限が付与されるとは限りません。
特に、組織の既定リンクが「特定のユーザー」に設定されている場合は、共有画面を開き、新しい受信者を明示的に追加します。20人を超えるグループチャットでは、権限の手動選択が必要になる場合もあります。(Microsoft Learn)
.loopファイルを別のライブラリへ移動しない
OneDriveに保存された.loopファイルをSharePointサイトへ移動すると、TeamsやOutlookに埋め込まれていたLoopコンポーネントが読み込めなくなることがあります。
同じライブラリ内のフォルダー移動では表示が継続する場合がありますが、別のライブラリへの移動は避けるべきです。(Microsoft Learn)
また、.loopファイルを端末へダウンロードしても、そのままデスクトップアプリで開くことはできません。再利用するには、OneDriveまたはSharePointへアップロードし直す必要があります。
管理者が確認する設定
Microsoft 365管理センターのLoop設定だけでは不十分
Microsoft 365管理センターの「組織設定」から変更できるLoopのチェックボックスは、主にLoopワークスペースの作成を制御する設定です。
Teams、Outlook、OneNote、Whiteboardを含めてLoop全体を制御する単一のスイッチではありません。管理センターだけを確認して「Loopを無効化できた」と判断しないようにしてください。(Microsoft Learn)
Cloud Policyで確認する設定
Microsoft 365 Apps管理センターのCloud Policyでは、主に次の設定を確認します。
| 設定名 | 主な対象 |
|---|---|
| Create Loop workspaces in Loop | Loopワークスペース |
| Create and view Loop files in Microsoft apps that support Loop | Outlook、OneNote、Whiteboard、Teams新しいカレンダーなど |
| Create and view Loop files in Outlook | OutlookとTeams新しいカレンダー |
「未構成」の場合は、基本的に作成が許可される動作です。無効化したい場合は、明示的に「Disabled」を設定します。
Cloud Policyの変更が反映されるまでの目安は、既存のポリシーを変更した場合で最大90分、初めてポリシーを作成した場合で最大24時間です。(Microsoft Learn)
TeamsのLoop設定をPowerShellで確認する
TeamsのチャットやチャネルにおけるLoopコンポーネントは、SharePoint Onlineのテナント設定で制御されます。
現在の値は、最新のSharePoint Online Management Shellから確認します。
Get-SPOTenant |
Select-Object IsLoopEnabled, IsCollabMeetingNotesFluidEnabled
主なプロパティは次のとおりです。
| プロパティ | 対象 |
|---|---|
IsLoopEnabled | TeamsのチャットやチャネルにおけるLoopコンポーネント |
IsCollabMeetingNotesFluidEnabled | Teamsの共同会議メモ |
有効化する場合は、次のように実行します。
Set-SPOTenant -IsLoopEnabled $true
Set-SPOTenant -IsCollabMeetingNotesFluidEnabled $true
これらのTeams向け設定はテナント全体に適用され、ユーザー単位では指定できません。マルチジオ環境で無効化する場合は、各リージョンで設定をそろえる必要があります。(Microsoft Learn)
外部共有と条件付きアクセスを確認する
外部ユーザーがLoopコンポーネントを利用するには、組織レベルの外部共有が許可されている必要があります。環境によっては、ゲストアカウントやB2B招待の仕組みも必要です。
また、次の設定によって外部ユーザーが開けない場合があります。
- SharePointまたはOneDriveの外部共有設定
- 秘密度ラベル
- 条件付きアクセスポリシー
- 「特定のユーザー」リンクへの受信者未登録
- ゲストアカウントの未作成
外部共有では、会社全体向けリンクではなく、対象者を明示した「特定のユーザー」リンクが利用されます。(Microsoft Learn)
更新・移行・料金・期限で確認すべきこと
更新作業
今回参照した公式文書には、Microsoft 365 AppsやTeamsを特定バージョンへ更新する指示はありません。
通常のMicrosoft 365更新チャネルを維持しつつ、利用できない場合はライセンス、管理ポリシー、ネットワーク、条件付きアクセスを確認します。リアルタイム共同編集には、Microsoft 365の必要な接続先に加え、*.svc.msと*.office.comへのWebSocket通信が必要です。(Microsoft Learn)
移行
強制的なデータ移行は案内されていません。
ただし、個人のOneDriveにある.loopファイルを部署のSharePointへ単純移動する方法は、移行手段として適切ではありません。既存のTeamsチャットやOutlookメールから開けなくなる可能性があるためです。
部署で長期利用するコンテンツは、最初からTeamsチャネルなど、Microsoft 365グループがライフサイクルを管理する場所で作成するのが実務的です。
料金とライセンス
今回の更新に伴う、新しいLoopコンポーネント利用料金や値上げは記載されていません。
一方、Loopコンポーネントの利用にはOneDriveまたはSharePointのライセンスが必要です。Loopワークスペースについては、対象となるMicrosoft 365プランやサービスプラン、ストレージ要件を確認する必要があります。Copilot機能をLoop内で利用する場合は、別途Microsoft 365 Copilotの対象ライセンスが必要です。(Microsoft Learn)
Loopワークスペースは組織のSharePointストレージ容量に算入されます。そのため、利用者数が多い組織では、追加料金そのものよりも、SharePointの空き容量と追加ストレージ契約の有無を確認することが重要です。(Microsoft Learn)
期限
今回の公式情報には、次のような期限は示されていません。
- 強制移行日
- 旧形式の利用終了日
- 管理者設定の必須変更日
- Loopコンポーネントの新しい課金開始日
ただし、退職者のOneDriveに保存されたLoopコンポーネントには、組織のOneDrive保持期間が適用されます。
ユーザーアカウントを削除した場合、OneDriveの既定の保持期間は30日ですが、管理者が変更できます。保持期間後はサイトコレクションのごみ箱へ移動し、通常はさらに93日間保持されます。Microsoft Purviewの保持ポリシーやeDiscoveryの保留が設定されている場合は、そちらが優先されます。(Microsoft Learn)
退職者が所有する重要なLoopコンポーネントは、アカウント削除後ではなく、退職処理の開始時点で確認するのが安全です。
Loopコンポーネントで起こりやすいトラブルと対処
| 症状 | 主な原因 | 対処 |
|---|---|---|
| コンポーネントではなくリンクで表示される | 対象アプリでLoopが無効化されている | Cloud PolicyとTeams向けPowerShell設定を確認する |
| 別のチャットに貼り付けたら開けない | 新しい受信者に権限が付与されていない | 共有画面から受信者を追加する |
| 外部ユーザーが開けない | 外部共有、ゲスト、条件付きアクセスの制限 | SharePoint共有設定とゲストアカウントを確認する |
| ファイル移動後に読み込めない | .loopファイルを別ライブラリへ移動した | 元の保存先へ戻せるか確認し、必要に応じて新しいコンポーネントを作成する |
| 作成者の退職後に開けない | OneDriveの保持期間が終了した | 管理者にOneDriveの復元可否を確認する |
| Teams検索で元の会話が見つからない | 検索結果がメッセージではなくLoopファイルを返す | コンポーネントのリンクから開き、共有元を別途確認する |
Loopを無効化しても、既存の.loopファイルが直ちに削除されるわけではありません。アプリ内では対話型コンポーネントではなくリンクとして表示され、編集権限があればブラウザーから開いて編集できます。(Microsoft Learn)
まず実施すべき確認事項
一般ユーザーは、重要なLoopコンポーネントの作成者と共有権限を確認し、.loopファイルを別のライブラリへ移動しないようにします。
管理者は、次の順序で確認すると効率的です。
- Loopを利用しているアプリと作成場所を洗い出す
- Cloud Policyと
Get-SPOTenantの設定値を確認する - OneDrive、SharePoint、SharePoint Embeddedの保存先を把握する
- 外部共有、退職者対応、保持期間、ストレージ容量を確認する
今回のポイントは、Loopコンポーネントを単なるチャット内の部品ではなく、所有者と保存場所を持つMicrosoft 365ファイルとして管理することです。個人所有と組織所有を使い分けることで、退職や組織変更があっても業務を継続しやすくなります。

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