Microsoft Credential retirementとは?2026年の廃止予定資格と確認ポイント

Microsoftの「Credential retirement」は、AzureやMicrosoft 365のパスワード、クライアントシークレット、証明書などの認証情報を廃止する話ではありません。ここでいうCredentialは、Microsoft CertificationsやMicrosoft Applied SkillsといったMicrosoft認定資格・スキル証明を指します。2026年5月上旬時点の公式情報では、Azure、AI、Dynamics 365、Power Platform、Windows Server関連の複数資格が2026年5月末から9月末にかけて順次廃止予定です。Microsoft Learnの該当ページでは、掲載情報は変更される可能性があると明記されています。(Microsoft Learn)

管理者や開発者が今すぐ行うべきことは、対象資格を一覧化し、受験・更新・社内要件・パートナー要件に使っている箇所を確認することです。すでに学習が進んでいる人は期限前の受験を検討し、これから着手する人はAI、クラウド、セキュリティ寄りの新しい資格へ学習計画を切り替えるのが現実的です。

目次

Credential retirementとは何か

MicrosoftのCredential retirementとは、Microsoftが提供する認定資格やApplied Skillsを見直し、現在の技術や職務に合わなくなったものを廃止することです。Microsoftは、資格プログラムを最新のスキルやMicrosoftテクノロジーに合わせるため、CertificationsやApplied Skillsを継続的に確認し、関連性が低くなったものを廃止すると説明しています。(Microsoft Learn)

注意したいのは、「Credential」という言葉だけを見て、Azure Key Vaultのシークレット、Microsoft Entra IDの資格情報、アプリ登録のクライアントシークレットなどと混同しないことです。今回の対象は、Microsoft Learn上の資格・試験・評価ラボ・Applied Skillsに関する変更です。

つまり、AzureリソースやMicrosoft 365テナントの設定が直接変わるわけではありません。ただし、社内研修、案件アサイン、採用要件、Microsoft Partner Programの要件確認、開発者・管理者のスキル証明には影響します。

今回の変更で押さえるべきポイント

Credential retirementで重要なのは、単に「資格名がなくなる」ことではありません。実務上は、次の4点に影響します。

確認ポイント影響内容期限前に行うこと
受験予定廃止後は対象試験や評価ラボを受けられなくなる受験日、再受験の余裕、学習進捗を確認する
更新予定廃止後は更新できない場合がある更新対象なら廃止日前に更新する
社内制度昇格要件、案件参画条件、研修計画に古い資格名が残る資格要件表やスキルマップを更新する
パートナー要件取得済み資格の扱い、ポイント・クレジットの継続期間に影響するPartner Centerや公式案内で要件を確認する

Microsoftの試験・評価ラボの廃止情報では、廃止日後は対象試験や評価ラボを受けられず、関連する認定資格やCredentialも取得できないと説明されています。また、すでに取得済みの認定資格やApplied SkillsはMicrosoft Learnのトランスクリプトに残り、更新資格がある場合は廃止日前の更新が推奨されています。(Microsoft Learn)

Microsoft Partnersについては、廃止前に対象資格やApplied Skillsを取得している場合、廃止日から1年間はPartner要件に対するポイントやクレジットが継続すると説明されています。ただし、新しい資格やApplied SkillsがPartner Program要件に追加される可能性があるため、パートナー企業は社内の資格保有者リストを定期的に更新する必要があります。(Microsoft Learn)

2026年に廃止予定のMicrosoft Certifications

Microsoft LearnのCredential retirementページでは、今後12か月以内に廃止予定の認定資格が掲載されています。あわせて、Exam and assessment lab retirementページでは、試験番号ごとの廃止予定日も確認できます。(Microsoft Learn)

対象資格関連試験廃止予定日影響を受けやすい人
Microsoft Certified: Azure Data Scientist AssociateDP-1002026年6月1日Azure Machine Learning、データサイエンス、MLモデル運用を扱う開発者・データ担当者
Microsoft Certified: Azure AI Engineer AssociateAI-1022026年6月30日Azure AI Services、生成AI、AIアプリ開発を担当するエンジニア
Microsoft Certified: Azure AI FundamentalsAI-9002026年6月30日AI基礎研修、新人研修、非エンジニア向けAIリテラシー教育の担当者
Microsoft Certified: Dynamics 365 Field Service Functional Consultant AssociateMB-2402026年6月30日Dynamics 365 Field Service導入・運用担当者
Microsoft Certified: Dynamics 365: Finance and Operations Apps Solution Architect ExpertMB-7002026年6月30日Dynamics 365 Finance and Operationsのアーキテクト
Microsoft Certified: Dynamics 365 Supply Chain Management Functional Consultant ExpertMB-3352026年6月30日Supply Chain Management領域のコンサルタント
Microsoft Certified: Power Automate RPA Developer AssociatePL-5002026年6月30日Power Automate DesktopやRPA開発者
Microsoft Certified: Power Platform Solution Architect ExpertPL-6002026年6月30日Power Platformの設計・ガバナンス担当者
Microsoft Certified: Azure Developer AssociateAZ-2042026年7月31日Azure Functions、App Service、ストレージ、API開発を扱う開発者
Microsoft Certified: Dynamics 365 Customer Experience Analyst AssociateMB-2802026年7月31日Dynamics 365 Sales、Customer Insights関連の担当者
Microsoft Certified: Azure Security Engineer AssociateAZ-5002026年8月31日Azureセキュリティ、Microsoft Defender for Cloud、Entra ID、Sentinel担当者
Microsoft Certified: Power Platform Functional Consultant AssociatePL-2002026年8月31日Dataverse、Power Apps、Power Automateの業務アプリ担当者
Microsoft Certified: Windows Server Hybrid Administrator AssociateAZ-800 / AZ-8012026年9月30日オンプレミスWindows ServerとAzureのハイブリッド管理者

ここで注意すべきなのは、「廃止予定日があるから、直前まで受ければよい」と考えないことです。受験枠、再受験の余裕、学習教材の更新、社内承認、バウチャー手配を考えると、実務では少なくとも数週間から1〜2か月前に判断を終えておくほうが安全です。

2026年に廃止予定のMicrosoft Applied Skills

Applied Skillsは、特定の実務シナリオに絞ってスキルを証明するCredentialです。今回のCredential retirementでは、AI、Azure AI Search、Azure AI Language、Microsoft 365 Copilot関連のApplied Skillsが廃止予定として掲載されています。(Microsoft Learn)

対象Applied Skills廃止予定日確認すべき対象者
Microsoft Applied Skills: Create an AI agent2026年5月28日AIエージェント構築を学習中の開発者、社内AI研修の担当者
Microsoft Applied Skills: Implement knowledge mining with Azure AI Search2026年5月28日Azure AI Search、ナレッジマイニング、検索拡張生成を扱う担当者
Microsoft Applied Skills: Build a natural language processing solution with Azure AI Language2026年6月30日Azure AI Language、NLP、テキスト分析を扱う開発者
Microsoft Applied Skills: Prepare security and compliance to support Microsoft 365 Copilot2026年6月30日Microsoft 365 Copilot導入前のセキュリティ・コンプライアンス担当者

Applied Skillsは短期間で実務スキルを証明しやすいため、社内研修やスキルアップ施策に組み込まれているケースがあります。LMS、研修資料、評価基準に対象Applied Skillsを入れている場合は、廃止後に受講者が完了できなくなる可能性があります。

特にMicrosoft 365 Copilot関連のApplied Skillsは、Copilot導入準備の研修として使われやすい領域です。廃止予定のCredentialだけに依存せず、Microsoft Purview、Microsoft Entra、SharePoint、Teams、Copilot管理に関する最新のMicrosoft Learnモジュールや、関連する認定資格へ移行する準備が必要です。

すでに廃止済みの資格にも注意する

Credential retirementページには、直近1年以内に廃止された認定資格も掲載されています。たとえば、Microsoft Certified: Information Protection and Compliance Administrator Associateは2025年5月31日、Dynamics 365 FundamentalsのCRMとERPは2025年12月31日、Microsoft 365 Certified: Fundamentalsは2026年3月31日に廃止済みです。(Microsoft Learn)

廃止済みの資格は、これから新規に取得する計画へ入れてはいけません。古い研修ロードマップや人材要件表には、廃止済み資格が残っていることがあります。

確認すべき例は次のとおりです。

  • 新入社員研修のゴールが「MS-900取得」のままになっていないか
  • Dynamics 365案件の参画条件にMB-910、MB-920が残っていないか
  • セキュリティ研修の資格要件に廃止済みのSC-400系Credentialが残っていないか
  • 採用票やRFPで、すでに取得できない資格を必須条件にしていないか

取得済み資格はMicrosoft Learnのトランスクリプトに残りますが、廃止後に同じ資格を新規取得できるとは限りません。社内要件では「保有済みなら可」「新規取得者は後継・関連資格を対象」といった書き分けが必要です。

移行先をどう判断するか

今回の廃止は、単なる名称変更ではなく、Microsoftの資格体系がAI、エージェント、クラウドセキュリティ、MLOpsへ寄っていることを示しています。Microsoft Tech CommunityのSkills Hub Blogでは、既存試験から新しい試験・資格への移行候補として、AI-300、AI-901、AI-103、AI-200、SC-500、AZ-802などが示されています。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

これまでの資格・試験移行先として検討したい資格・試験判断のポイント
DP-100 / Azure Data Scientist AssociateAI-300 / Machine Learning Operations Engineer Associateモデル作成だけでなく、MLOps、GenAIOps、監視、運用自動化まで扱う人向け
AI-900 / Azure AI FundamentalsAI-901 / Azure AI FundamentalsAI基礎を最新のAzure AI、Microsoft Foundry、エージェント寄りに学び直したい人向け
AI-102 / Azure AI Engineer AssociateAI-103 / Azure AI Apps and Agents Developer AssociateAzure AIアプリ、生成AI、エージェント、Microsoft Foundryを扱う開発者向け
AZ-204 / Azure Developer AssociateAI-200 / Azure AI Cloud Developer AssociateAzure上でAIアプリ、バックエンド、コンテナ、イベント駆動、監視まで担当する開発者向け
AZ-500 / Azure Security Engineer AssociateSC-500 / Cloud and AI Security Engineer AssociateクラウドだけでなくAI環境の保護まで扱うセキュリティ担当者向け
AZ-800 / AZ-801 / Windows Server Hybrid AdministratorAZ-802 / Windows Server Hybrid AdministratorWindows ServerとAzureのハイブリッド管理を継続して証明したい管理者向け

ただし、すべての新資格が旧資格と完全に同じ意味を持つわけではありません。たとえば、Azure Developer AssociateからAzure AI Cloud Developer Associateへ移る場合、単なるAzureアプリ開発だけでなく、AIソリューションの設計・実装・監視・セキュリティまで範囲が広がります。AI-200の公式ページでは、Azure SDK、Azureデータ管理サービス、監視、メッセージング、ベクターデータベース、Python、コンテナ化アプリケーションなどの経験が求められています。(Microsoft Learn)

AI-103も同様に、従来のAIサービス利用だけでなく、Microsoft Foundryを使ったエージェントやAIソリューションの設計・開発・デプロイを対象にしています。生成AI、エージェント、コンピュータービジョン、テキスト分析、情報抽出まで含まれるため、AI-102の延長と考えるだけでは不十分です。(Microsoft Learn)

受験中・学習中の人が取るべき判断基準

すでに対象資格を学習している場合は、「今の資格を取り切るか」「新しい資格へ切り替えるか」を早めに判断しましょう。判断基準は、学習開始時期ではなく、合格可能性と実務目的です。

現在の状況推奨アクション理由
模擬試験や演習で合格圏に近い廃止日前に受験する取得済みCredentialはトランスクリプトに残るため
学習を始めたばかり新しい資格へ切り替える廃止直前に古い範囲を学ぶより、今後の職務に合いやすい
社内で資格取得期限が決まっている上長・研修担当に廃止日を共有する期限後に取得できない資格を目標にしている可能性がある
Partner要件で資格が必要Partner Centerと公式案内を確認する廃止後1年間の扱いと新要件を分けて管理する必要がある
日本語教材だけで学習している英語版の試験ガイドも確認するローカライズ版は英語版より更新が遅れる場合がある

Microsoftの試験ガイドでは、一部の試験は英語版が先に更新され、ローカライズ版はおおむね約8週間後に更新されると説明されています。日本語で受験・学習する人ほど、英語版のStudy guideや試験ページも確認しておくと、範囲変更の見落としを防ぎやすくなります。(Microsoft Learn)

管理者が確認すべき社内設定・運用

Credential retirementはテナント設定の変更ではありませんが、管理者には確認すべき運用項目があります。

Microsoft Learnプロフィールとトランスクリプト

まず、対象者がMicrosoft Learnプロフィール上で現在の資格状態を確認できるようにします。取得済み資格、更新期限、受験予約、証明書共有の状態を確認し、社内のスキル管理表と突き合わせます。

特に注意したいのが、受験アカウントです。Microsoftの資格ページでは、試験登録には個人のMicrosoftアカウントを使うことが強く推奨されています。組織の職場または学校アカウントで登録すると、退職時に試験記録を失い、回復できない可能性があると説明されています。(Microsoft Learn)

企業の研修担当者は、社員に対して「会社アカウントで受けるか、個人アカウントで受けるか」を曖昧に案内しないようにしましょう。資格は個人のキャリア資産であり、会社側はトランスクリプト共有や証跡提出のルールを整える形が現実的です。

社内スキルマップと資格要件

次に、社内のスキルマップを確認します。たとえば、次のような表現は見直しが必要です。

古い表現見直し例
Azure開発者はAZ-204必須2026年7月31日まではAZ-204可。以降はAI-200など関連資格を推奨
AIエンジニアはAI-102必須2026年6月30日まではAI-102可。新規育成はAI-103を検討
Azureセキュリティ担当はAZ-500必須2026年8月31日まではAZ-500可。AI環境を含む場合はSC-500を検討
Windows Server HybridはAZ-800/AZ-801必須2026年9月30日まではAZ-800/AZ-801可。以降はAZ-802を確認

ポイントは、古い資格をすぐ無効扱いにしないことです。取得済みの資格は一定期間、実務経験やスキル証明として意味があります。一方で、新規取得の目標としては廃止予定資格を設定し続けないことが重要です。

LMS・研修コンテンツ・講師用資料

MicrosoftのCourse retirementページでは、コースが廃止されるとMicrosoft Learnサイトからコースページが削除される一方、多くの場合Learning PathsやModulesは参照用として残る可能性があると説明されています。また、廃止後はコースを購入できず、デジタル版も廃止後にダウンロードできなくなるとされています。(Microsoft Learn)

社内LMSでMicrosoft Official CourseやMicrosoft Learnのリンクを直接参照している場合、廃止後にリンク切れや起動エラーが発生する可能性があります。研修担当者は、次の項目を確認してください。

  • LMSに登録したコース番号やリンクが廃止対象ではないか
  • 研修スライド内の試験番号が古くなっていないか
  • 講師用資料が新資格の範囲に対応しているか
  • 受講者に配布済みの学習計画表に廃止済み資格が残っていないか
  • 社内ポータルの資格取得奨励金対象リストが更新されているか

特にAZ-204、AI-102、AI-900、DP-100のように人気が高い試験は、過去の研修資料が社内に残りやすい分、誤案内が起きやすくなります。

開発者が確認すべき移行ポイント

開発者にとって、今回のCredential retirementは「資格がなくなる」以上に、Microsoftが求める開発者像の変化を示しています。

従来のAzure開発者向け資格では、App Service、Functions、ストレージ、API、認証、監視などが中心でした。新しいAI-200では、AIソリューション、Azureデータ管理サービス、ベクターデータベース、コンテナ、メッセージング、セキュリティ、監視まで含まれます。(Microsoft Learn)

開発者が確認すべきポイントは次のとおりです。

確認項目具体的に見るべきこと
AIアプリ開発Microsoft Foundry、Azure AI、エージェント、生成AIの実装経験があるか
データ基盤Cosmos DB、PostgreSQL、ベクトル検索、RAGパターンを理解しているか
コンテナAzure Container Apps、AKS、Container Registryを使った実装経験があるか
セキュリティKey Vault、シークレット管理、アプリ構成、アクセス制御を実装できるか
監視OpenTelemetry、KQL、ログ分析、トラブルシューティングを扱えるか
言語PythonやSDK利用に抵抗がないか

AZ-204の学習をしていた開発者は、単に「AI-200の試験番号へ変える」だけではなく、AIを組み込んだクラウドアプリケーション開発へ学習範囲を広げる必要があります。実務では、サンプルアプリを作るだけでなく、認証、シークレット管理、ログ、コスト、デプロイ、再現性まで含めて手を動かすことが重要です。

セキュリティ管理者が確認すべき移行ポイント

AZ-500の廃止予定は、Azureセキュリティ担当者にとって影響が大きい変更です。AZ-500の試験ガイドでは、Azure、マルチクラウド、ハイブリッド環境のセキュリティ実装・管理・監視、Microsoft Defender for Cloud、Microsoft Cloud Security Benchmarkなどが対象として説明されています。(Microsoft Learn)

今後はクラウド基盤だけでなく、AIアプリ、AIモデル、データ、プロンプト、エージェント、Copilot利用まで含めたセキュリティ設計が求められます。資格移行を機に、次の観点を棚卸ししてください。

  • Microsoft Entra IDの条件付きアクセス、多要素認証、権限管理
  • Azureリソースのロール割り当てとPrivileged Identity Management
  • Defender for CloudとMicrosoft Sentinelの運用
  • Key Vaultとアプリケーションシークレットの管理
  • AIアプリのデータアクセス、ログ、監査、利用ポリシー
  • Copilot導入時のデータ保護、情報漏えい対策、権限設計

特にMicrosoft 365 CopilotやAIエージェントを社内展開する場合、「AIを使えるようにする」だけでなく、「AIが参照できるデータを適切に制御する」ことが重要です。資格の移行は、セキュリティ設計を見直す良いタイミングになります。

ベータ試験・新試験へ切り替える際の注意点

新しい資格や試験へ切り替える場合、ベータ試験の扱いにも注意が必要です。AI-200やAI-103の公式ページでは、ベータ試験は問題品質のデータを収集するため、すぐに採点されないと説明されています。また、Practice Assessmentはベータ終了後、一般提供になってから一定期間後に利用可能になる場合があります。(Microsoft Learn)

そのため、次のような人はベータ試験への切り替えを慎重に判断してください。

  • 会社の昇格や案件参画に「合格証明の提出期限」がある
  • 短期間で確実に結果が必要
  • 模擬試験や練習問題で準備状況を確認したい
  • 日本語版教材だけで学習したい
  • 試験範囲が固まってから学びたい

一方で、最新技術に早く対応したい開発者や、AI関連プロジェクトの中核メンバーは、新資格の学習を早めに始めるメリットがあります。特にAIエージェント、ベクトル検索、MLOps、AIセキュリティは、今後の案件で要件化されやすい領域です。

よくある失敗と回避策

廃止日だけを見て受験計画を立てる

廃止日が2026年6月30日でも、その日に確実に受験枠が取れるとは限りません。再受験が必要になった場合、期限を超えてしまう可能性もあります。

回避策は、廃止日の1か月前までに初回受験を終えることです。社内申請やバウチャー購入が必要な企業では、さらに前倒しで動きましょう。

旧資格を新規研修のゴールに設定し続ける

研修資料を作った時点では有効だった資格でも、受講者が受験する頃には廃止されていることがあります。特に新入社員研修や半期単位の育成計画では起きやすい失敗です。

回避策は、研修開始前に必ずMicrosoft Learnの資格ページとCredential retirementページを確認することです。研修ゴールは「2026年6月まではAI-102、以降はAI-103を推奨」のように期限つきで書くと運用しやすくなります。

取得済み資格をすぐ無効扱いする

Credential retirementは、取得済み資格が即座に消えるという意味ではありません。Microsoft Learnの説明では、廃止前に取得または更新したCertificationは、有効期限までActive Certificationsに残り、期限切れ後はHistorical Certificationsへ移動します。(Microsoft Learn)

社内評価では、取得済み資格をすぐに無効にするのではなく、保有者の実務経験や最新スキルの補完状況も含めて判断しましょう。

旧試験と新試験を「完全互換」と考える

AI-102からAI-103、AZ-204からAI-200、AZ-500からSC-500のような流れはありますが、出題範囲や求められる実務スキルは変わります。新資格は、AI、エージェント、クラウドネイティブ、セキュリティ、運用監視の要素が強くなっています。

回避策は、試験番号だけで判断せず、Study guideのSkills measuredを確認することです。資格名が似ていても、学習すべき範囲は大きく変わることがあります。

期限前チェックリスト

最後に、管理者、研修担当者、開発者が期限前に確認すべきことを整理します。

対象者チェック項目
個人の受験者自分が受ける試験が廃止対象か、受験日が廃止日前か、更新可能かを確認する
開発者AZ-204、AI-102、DP-100から新しいAI系資格へ移行すべきか判断する
管理者AZ-500、Windows Server Hybrid、Copilot関連Applied Skillsの廃止予定を確認する
研修担当者LMS、教材、資格取得奨励金、受講者向け案内を更新する
パートナー企業Partner要件、資格保有者一覧、廃止後1年間の扱いを確認する
採用・人事担当求人票や職務定義に廃止済み・廃止予定資格が残っていないか確認する

Credential retirementへの対応で大切なのは、古い資格を慌ててすべて捨てることではありません。すでに取得済みのCredentialは有効期限や社内での扱いを確認し、これから取得する資格は将来の職務に合うものへ切り替えることです。

まずは、社内外で使っている資格名を棚卸ししてください。そのうえで、廃止日前に取り切る資格、新資格へ切り替える資格、社内要件から外す資格を分けて整理しましょう。MicrosoftのCredential retirementは、資格管理の作業であると同時に、AI時代に合わせて開発者・管理者のスキル基準を見直す機会でもあります。

この記事を書いた人

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