Exchange Server 2026年4月は更新なし:ESUとSE移行で確認すべき判断基準

2026年4月のExchange Serverは、セキュリティ更新プログラムを探して慌てて適用する月ではありません。Microsoftは、Exchange Server Subscription Edition、Exchange Server 2016 ESU、Exchange Server 2019 ESUのいずれについても、2026年4月のセキュリティ更新プログラムはリリースしないと案内しています。つまり、今月の正しい初動は「パッチ適用」ではなく、「更新なしの事実確認」「現行ビルドの棚卸し」「ESUとExchange Server SE移行計画の再確認」です。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

ただし、更新がない月は「安全な月」ではありません。Exchange管理者、脆弱性管理チーム、メッセージング運用リードは、Patch Tuesday後の確認作業を省略せず、監査証跡として“なぜ適用作業が発生しなかったのか”を説明できる状態にしておく必要があります。特にExchange Server 2016/2019はすでにサポート終了済みであり、ESUは移行完了までの一時的な安全網にすぎません。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

目次

2026年4月の結論:Exchange Serverのセキュリティ更新はリリースなし

MicrosoftのExchange Team Blogによると、2026年4月はExchange Serverのどのバージョンにもセキュリティリリースはありません。対象には、Exchange Server Subscription Edition、Exchange Server 2016 ESU、Exchange Server 2019 ESUが含まれます。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

この発表を運用上どう扱うべきかは、次のように整理できます。

確認項目2026年4月の判断実務上の対応
Exchange Server SEのSUなしExchangeのSU適用作業は不要。ただし現在のビルド確認は実施
Exchange Server 2016/2019 ESUのSUなしESU契約者でも4月分のExchange SUはなし。ESUの有効期間と次期契約を確認
脆弱性管理チケット自動的にクローズしない「4月SUなし」を証跡として残し、既存の未適用・EOL指摘は別管理
移行計画延期理由にしないExchange Server SEまたはExchange Onlineへの移行作業を継続

重要なのは、「今月リリースがない」ことと「自社環境が最新で安全である」ことを分けて考えることです。前回以前のSecurity UpdateやHotfix Updateが未適用なら、4月に新しいSUがなくても環境は古いままです。

Patch TuesdayでExchangeチームが最初に見るべき判断ポイント

Patch Tuesday後のExchange運用は、毎月同じ流れで確認すると抜け漏れを減らせます。更新がある月だけでなく、今回のようなno-update monthでも同じ手順で確認することが大切です。

判断ポイント確認先・確認方法判断の目安
今月ExchangeのSUが出たかExchange Team Blog、Microsoft Learnのビルド番号ページ、MSRC情報リリースなしならExchange SUの緊急適用は不要
現在のビルドは最新基準に近いかHealthChecker、ExSetup.exeのFileVersionInfo前回以前のSU/HUが未適用なら、4月の新規SUがなくても是正対象
2016/2019がESU対象かESU契約、対象CU、社内ライセンス記録ESUなしの2016/2019はサポート外リスクとして扱う
移行計画に遅れがないかSE移行計画、DAG、名前空間、証明書、ハイブリッド構成no-update月を移行作業の準備期間に使う
監査・脆弱性管理に説明できるか変更管理チケット、CAB記録、例外承認「該当SUなし」と「未対応リスクなし」は別に記録

脆弱性管理チームにとっては、「Microsoftが今月Exchange SUを出していない」ことを証跡として残すだけでは不十分です。資産ごとのExchangeバージョン、直近の適用済みSU、ESU加入状況、インターネット公開有無をセットで確認し、リスクを判断する必要があります。

no-update monthでも必ず実施したいExchange security-update status checks

Exchange Serverの更新状況は、単に「Exchange管理センターで見えるバージョン」だけでは判断できません。Microsoft Learnでは、Exchange HealthChecker scriptでBuild NumberやSecurity Hotfixの検出状況を確認する方法が推奨されており、Get-ExchangeServerだけではSU/HUの適用状況を確認できない点にも注意が必要です。(Microsoft Learn)

推奨:HealthCheckerで全体を確認する

まずはMicrosoftが提供するExchange HealthChecker scriptを使い、各サーバーのビルド、既知の設定問題、更新状態を確認します。結果はHTMLレポートとして残せるため、変更管理や監査にも使いやすい形式です。

確認時に見るべきポイントは次の通りです。

項目見る理由
Build Number現在のExchangeビルドが最新基準からどれだけ離れているか確認する
Latest Install Time直近のSU/HU適用日を確認する
Exchange IU or Security Hotfix DetectedSUやHUが認識されているか確認する
Server RoleMailbox、Edge Transportなど、影響範囲を切り分ける
Unsupported / Unpatchedの警告脆弱性管理チケットに直結するため優先度を上げる

コマンドで最低限のビルドを確認する

HealthCheckerをすぐ実行できない場合でも、Exchange Management ShellでExSetup.exeのファイルバージョンを確認できます。

Get-Command ExSetup.exe | ForEach-Object {$_.FileVersionInfo}

複数サーバーを管理している場合は、サーバーごとに結果を取得し、構成管理台帳に記録します。

Get-ExchangeServer | Sort-Object Name | Format-Table Name,Edition,AdminDisplayVersion

ただし、このGet-ExchangeServerの結果は主にCUレベルの確認に使うもので、SUやHUの適用状態を正確に示すものではありません。SU/HUの確認には、HealthCheckerまたはExSetup.exeのファイルバージョン確認を組み合わせてください。(Microsoft Learn)

2026年4月時点で見ておきたい代表的なビルド基準

Microsoft Learnのビルド番号ページでは、2026年4月時点でExchange Server SE、Exchange Server 2019、Exchange Server 2016のビルド情報を確認できます。4月の新規SUはありませんが、前回以前のSU適用状況を判断する基準として使えます。(Microsoft Learn)

製品・ブランチ確認対象の例ビルド例
Exchange Server SE RTMFeb26SU15.2.2562.37
Exchange Server 2019 CU15Feb26SU15.2.1748.43
Exchange Server 2019 CU14Feb26SU15.2.1544.39
Exchange Server 2016 CU23Feb26SU15.1.2507.66

Exchange Server 2016/2019のESU更新は、契約・対象バージョン・提供方法の制約を受けます。ビルド表に記載があるからといって、すべての組織が通常のWindows Updateや公開ダウンロードから入手できるわけではありません。ESU契約者向けの配布手順は、自社のMicrosoftアカウントチームまたはESU案内に従って確認する必要があります。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

Exchange Server 2016/2019のESU運用で誤解しやすいポイント

Exchange Server 2016とExchange Server 2019は、2025年10月14日にサポート終了済みです。ESUは、通常サポートの延長ではなく、移行を完了できない組織が限定的に重要なセキュリティ更新を受け取るためのプログラムです。Microsoftも、ESUはライフサイクルサポートの延長ではないと説明しています。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

ESUは「毎月必ず更新が出る契約」ではない

Exchange ServerのSUは、Patch Tuesdayごとに必ず出るわけではありません。Microsoftは、CriticalまたはImportantに該当するセキュリティ上の製品変更が必要な場合にSUを提供すると説明しています。したがって、ESU契約があっても、対象期間中に毎月更新が届くとは限りません。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

この点を誤解すると、脆弱性管理レポートで「ESU契約があるのに4月更新が未適用」といった誤った指摘が出やすくなります。正しくは、「2026年4月はMicrosoftがExchange Server向けSUをリリースしていないため、4月分のExchange SU適用作業は発生しない」と記録します。

Period 1とPeriod 2は別契約として扱う

2026年4月15日付で、MicrosoftはExchange Server 2016/2019 ESUのPeriod 2を発表しています。Period 1は2025年10月から2026年4月まで、Period 2は2026年5月から2026年10月末までの6か月間です。Period 2はPeriod 1の自動延長ではなく、必要な組織は別途購入する必要があります。また、Microsoftはこのプログラムについて、Period 2以降の追加延長はないと説明しています。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

ESU期間対象期間運用上の注意
Period 12025年10月〜2026年4月既存ESU契約の対象期間。2026年4月で終了
Period 22026年5月〜2026年10月末別途購入が必要。自動更新ではない
2026年11月以降Microsoftは追加延長なしと案内Exchange Server SEまたはExchange Onlineへの移行完了が前提

Exchange 2016/2019を2026年5月以降も稼働させる予定があるなら、4月のno-updateを確認して終わりにせず、Period 2の調達、対象CU、配布手順、保守ウィンドウをすぐ確認する必要があります。

ESU対象バージョンを外すと、更新を受けられない可能性がある

Period 2では、MicrosoftはExchange Server 2016 CU23、Exchange Server 2019 CU14/CU15に対してセキュリティ更新を提供する計画だと説明しています。古いCUのまま運用している場合、ESU契約以前に対象バージョンへ上げる計画が必要です。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

実務では、次のような確認を月次チェックに入れてください。

確認項目OKの状態NGの例
Exchange 2016CU23で稼働CU22以前のまま
Exchange 2019CU14またはCU15で稼働CU13以前のまま
ESU契約対象期間と対象サーバーが明確「契約済みのはず」だけで証跡なし
配布手順ESU User Guideや入手経路を把握Windows Updateに出る前提で待っている
変更管理適用手順、ロールバック、DAG順序を準備済み更新が出てから初めて計画する

Exchange Server SE移行スケジュールへの影響

2026年4月にExchange SUが出ていないことは、Exchange Server SEへの移行スケジュールを緩める理由にはなりません。むしろ、停止を伴うSU適用がない月は、移行前の整理に使いやすいタイミングです。

Microsoftの移行案内では、Exchange Server 2019 CU14/CU15からExchange Server SEへのインプレースアップグレードが可能で、Exchange Server 2016からExchange Server SEへは新しいサーバーを導入してメールボックスなどを移すレガシーアップグレードが必要とされています。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

現在の環境推奨される進め方注意点
Exchange Server SEのみ現行ビルド確認と通常運用を継続4月SUなしを変更管理に記録
Exchange Server 2019 CU14/CU15Exchange Server SEへインプレースアップグレードDAG環境では通常のCU適用手順に近い計画で進める
Exchange Server 2019 CU13以前まずCU15へ更新し、SEへ進む古いCUのままESUやSE移行を前提にしない
Exchange Server 2016 CU23Exchange Server SEを新規導入し、メールボックス移行2016を残したまま長期運用しない
Exchange Server 2016 CU22以前CU23へ更新後、SE移行を計画ESU対象外になりやすいため優先度を上げる

特に注意したいのは、Exchange Server SE CU2以降の共存制約です。Microsoftは、Exchange Server SE CU2でExchange Server 2013、2016、2019との共存をブロックする予定を示しています。H2 2026の予定として示されているため、Exchange 2016/2019が残る組織は、SE CU2の時期までに古いExchangeを撤去する工程を逆算する必要があります。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

no-update monthを移行準備に変える具体的な作業

4月のExchange SU適用が不要になった分、運用チームは次の作業に時間を振り向けると効果的です。

Exchange管理者が進める作業

  • 全Exchangeサーバーのビルド、CU、SU/HU適用状況を棚卸しする
  • DAG構成、データベースコピー、キュー、証明書期限を確認する
  • Exchange Server SE移行先のOS、Active Directory、.NET要件を確認する
  • Exchange 2016が残る場合は、メールボックス移行順序とサービス停止影響を整理する
  • Exchange 2019からSEへ進む場合は、インプレースアップグレードの検証環境を用意する

脆弱性管理チームが進める作業

  • 2026年4月のExchange SUが存在しないことを公式情報で記録する
  • EOL指摘とパッチ未適用指摘を分けて管理する
  • ESU契約の有無を脆弱性管理台帳に反映する
  • インターネット公開中のOWA/ECP、SMTP、Autodiscoverの露出状況を再確認する
  • 更新なしの月でも、EDR、WAF、ログ監視、バックアップの補完統制を確認する

メッセージング運用リードが進める作業

  • CABに「Exchange SUなし」の判断根拠を提出する
  • 5月以降も2016/2019を残す場合、Period 2 ESUの調達判断を期限付きで進める
  • SE移行のマイルストーンを、ライセンス、サーバー構築、メールボックス移行、旧サーバー撤去に分ける
  • Exchange Onlineとのハイブリッド構成がある場合、メールフロー、コネクタ、証明書、送信元IPを再確認する
  • 経営・監査向けに「4月は更新なし。ただし移行計画は継続」という説明を準備する

変更管理チケットに残すべき記録例

no-update monthでは、作業が少ないほど記録が曖昧になりがちです。監査やインシデント後の確認に耐えるよう、チケットには次の粒度で残しておくと実務で使いやすくなります。

記録項目記載例
判断日2026-04-15
対象Exchange Server SE、Exchange Server 2016 ESU、Exchange Server 2019 ESU
公式確認結果Microsoftが2026年4月のExchange Serverセキュリティ更新なしを案内
自社環境の状態Exchange SE RTM Feb26SU適用済み、Exchange 2019 CU15 ESU対象など
今月の作業判断Exchange SUの展開なし。OS更新、バックアップ確認、監視確認は通常通り実施
残リスクExchange 2016/2019が残る場合はサポート終了済みリスクを継続管理
次のアクションPeriod 2 ESU要否判断、Exchange Server SE移行計画更新、旧サーバー撤去日程確認

この記録で大切なのは、「パッチがないから何もしなかった」ではなく、「公式情報を確認し、適用対象がないと判断し、別のリスク対応を継続した」と説明できることです。

Exchange Onlineへのメール送信がある環境は“古いまま”に注意

Exchange OnlineとメールフローがあるオンプレミスExchangeでは、古いExchangeサーバーの扱いにも注意が必要です。Microsoftは、サポート外または大きく更新が遅れたExchangeサーバーからExchange Onlineへのメールについて、レポート、スロットリング、ブロックを含む仕組みを説明しています。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

2026年4月に新しいExchange SUがないとしても、前回以前の更新を怠っているサーバーまで安全扱いにはできません。特に、送信リレー、Edge Transport、ハイブリッド構成、レガシーアプリのSMTP送信でExchangeを残している場合は、メールフロー停止が事業影響に直結します。

確認すべき観点は次の通りです。

観点確認内容
送信元サーバーExchange Onlineへ送信しているオンプレExchangeの一覧
更新状態直近のCU/SU/HU適用状況
公開範囲インターネットから到達可能なサービスとポート
代替経路SMTPリレーやアプリ送信をSEまたは別基盤へ移せるか
監視キュー滞留、NDR、スロットリング兆候を検知できるか

よくある判断ミスと回避策

「4月は更新なし」だけで脆弱性チケットを閉じる

4月分のExchange SUが存在しないことは、4月の新規SU未適用チケットを閉じる根拠にはなります。しかし、Exchange 2016/2019のサポート終了、古いCU、過去SU未適用、インターネット公開リスクまで消えるわけではありません。

チケットは次のように分けて管理します。

チケット種別4月の扱い
2026年4月Exchange SU未適用公式にSUなしとしてクローズ可能
過去SU/HU未適用継続対応
Exchange 2016/2019 EOL継続対応
ESU未契約継続対応
Exchange SE移行遅延継続対応

ESUを通常サポートと同じように扱う

ESUは通常サポートではありません。サポートケースの範囲、更新の提供有無、配布経路に制約があります。Microsoftは、Exchange 2016/2019のESUについて、必要なSUがある場合はESU顧客に限定して提供すると説明しています。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

そのため、ESU環境では「更新が公開されたらWSUSで配る」という通常運用だけでは不十分です。Microsoftアカウントチーム、ESU User Guide、社内調達担当、変更管理担当を含めた手順を事前に整えておく必要があります。

Exchange Server SE移行を“次の更新が出てから”にする

Exchange Server SEへの移行は、セキュリティ更新の有無とは別の期限で進めるべき作業です。Exchange Server 2019 CU14/CU15からSEへはインプレースアップグレードが可能であり、Exchange Server 2016からはレガシーアップグレードが必要です。移行方式が異なるため、2016が残る環境ほど早めの設計と検証が必要です。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

4月にExchange SUがないなら、移行検証、変更申請、DAG順序設計、バックアウト手順作成に時間を使うのが合理的です。

2026年4月に取るべき次のアクション

最後に、Exchangeチームが今すぐ実行すべき作業を短く整理します。

優先度アクション担当の目安
高Microsoftの2026年4月Exchange SUなし発表を変更管理に記録Exchange管理者
高全ExchangeサーバーのビルドとSU/HU適用状況を確認Exchange管理者
高Exchange 2016/2019が残る場合、ESU契約と対象CUを確認運用リード、調達担当
高2026年5月以降も旧バージョンを残すならPeriod 2 ESUを判断運用リード、セキュリティ責任者
中SE移行計画のマイルストーンを更新メッセージング運用リード
中脆弱性管理台帳で「4月SUなし」と「EOLリスク」を分けて記録脆弱性管理チーム
中旧Exchange撤去、名前空間、証明書、メールフローを再確認Exchange管理者

2026年4月のExchange Serverは、更新適用ではなく確認と計画修正の月です。Exchange Server SEだけで運用している組織は、現行ビルドを確認して通常の保守サイクルを継続してください。Exchange Server 2016/2019が残る組織は、ESUの有無にかかわらず、サポート終了済みのリスクを前提に、Period 2 ESUの必要性とExchange Server SEへの移行期限を明確にすることが最優先です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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