Microsoft が 2026年4月9日に更新した Microsoft Learn の Microsoft Intune ロードマップを見ると、今回の焦点はかなり明確です。中心にあるのは、Android 管理の近代化、Apple デバイスの登録体験改善、共有端末の扱い強化、そしてセキュリティ運用とレポート基盤の実務改善です。言い換えると、次の Intune は「新機能を増やす」よりも、「多様な端末を安全に、しかも回しやすくする」方向を強めていると読めます。(Microsoft Learn)
このページは、未リリースの UI 更新や機能を準備・計画のためにまとめたもので、定期的に更新されます。一方で、掲載内容は全機能を網羅するものではなく、日付や機能も変わり得ます。さらに、機能がプレビューまたは一般提供に入ると掲載先は「What’s new」へ移るため、確定した公開予定表ではなく、優先順位を決めるための先行シグナルとして読むのが実務的です。(Microsoft Learn)
4月9日更新はどこが動いたのか
Microsoft Learn 側のページには最終更新日として 2026-04-09 が表示されています。加えて、公式 GitHub 履歴を見ると、4月2日から9日にかけてこのページに複数の更新が入り、Android の LOB アプリ管理、Credential Provider 制御、Managed Home Screen 関連、Intune Management Extension の最低バージョン、強化アプリインベントリ、Intune Data Warehouse(beta)connector の廃止案内などが段階的に追加・調整されていました。4月9日には Android LOB 管理に関する文言修正コミットも確認できます。つまり今回の更新は、単なる日付更新ではなく、4月初旬に積み上がった内容を反映したものと見てよさそうです。(Microsoft Learn)
今回の Microsoft Intune ロードマップで見える5つの優先事項
- Android Enterprise と BYOD 管理の近代化
Managed Google Play に依存しない直接 LOB 配布、Credential Provider の許可制御、BYOD work profile の AMAPI 移行、Managed Home Screen の強化など、Android 関連の更新が厚く並んでいます。(Microsoft Learn) - Apple 管理は登録体験と新デバイス対応が軸
Apple Business Manager / Apple School Manager のアクセス管理、macOS ADE 中の Platform SSO、visionOS / tvOS の userless ADE など、Apple 管理は「登録フロー」と「新しいデバイスカテゴリ」に寄っています。(Microsoft Learn) - 共有端末・フロントライン端末への配慮が強い
EPM の昇格要求拡張、Managed Home Screen のロック中アプリ抑止と一時解除、multi-user デバイスのレポート注意点など、1人1台前提ではない運用を強く意識した項目が目立ちます。(Microsoft Learn) - セキュリティは権限・承認・監査の実装へ
STIG 監査向けベースライン、Device control の適用範囲拡張、agentic identity、EPM の scope tags、Multi Admin Approval への Change Review Agent 表示など、ゼロトラスト運用を現場に落とし込む方向です。(Microsoft Learn) - 管理画面とレポートは“見やすさ”と“鮮度”がテーマ
デバイス詳細ページの刷新、アプリインベントリの鮮度向上、コンプライアンスレポートの見え方の明確化、Power BI 接続の見直しなど、日々の運用負荷を下げる変更が続いています。(Microsoft Learn)
Android Enterprise と BYOD 管理の近代化がかなり強い
今回の Intune ロードマップ更新で最も厚みがあるのは、やはり Android 領域です。Managed Google Play を使わずに APK を直接 Intune へアップロードして配布できる Direct Android LOB app management、Credential Provider 制御による パスワード自動入力やパスキー保存元の制御、Location 設定の 3 択化、個人所有 work profile の Android Management API(AMAPI)移行と Web ベース登録、さらに Managed Home Screen のロック時挙動改善まで並んでいます。加えて、MAM では Multiple Managed Accounts も予定されており、複数組織や複数メールボックスをまたぐ働き方への対応も進みます。(Microsoft Learn)
実務では、Android をひとまとめにせず、BYOD / 社給スマホ / 専用端末 に分けて判断すると優先順位が見えやすくなります。BYOD が多い企業は AMAPI 移行と Web 登録の影響確認を、倉庫・店舗・受付端末のような専用端末が多い企業は Managed Home Screen の新機能と直接 LOB 配布を先に検証すると効率的です。逆に失敗しやすいのは、パスキー対応だけを急いで Credential Provider に使えるアプリの制約を見落とすことです。4月9日時点の案内では、Google Password Manager は corporate-owned work profile や personally owned work profile では使えず、代替アプリの利用が必要とされています。(Microsoft Learn)
Apple 管理は「登録体験」と「新カテゴリ対応」に寄っている
Apple 側では、Apple Business Manager / Apple School Manager の access management settings、macOS Automated Device Enrollment(ADE)中の Platform SSO 登録、visionOS / tvOS の userless ADE が目立ちます。特に visionOS と tvOS の userless ADE は、Apple Vision Pro や Apple TV を業務端末として扱う組織にとっては見逃せない項目です。4月9日時点のページでは、この機能は Microsoft Intune Plan 2 前提で、visionOS 26 以降 / tvOS 26 以降が要件とされています。(Microsoft Learn)
Apple 管理で今すぐやるべきことは、登録体験の棚卸しです。macOS を ADE でゼロタッチ展開している企業は、Platform SSO をセットアップ段階で完了させる流れを小規模に検証しておくべきです。4月9日更新時点の説明では、EnableRegistrationDuringSetup の設定、Setup Assistant の Await final configuration への関連付け、そして Company Portal 5.2604.0 以降 の LOB 配布が前提で、現状はサインインが 2 回発生します。つまり、PSSO を入れればすぐ楽になるわけではなく、展開設計とヘルプデスク文書まで含めて整える必要があります。(Microsoft Learn)
さらに見落としたくないのがサポート境界です。4月9日時点の Notices には、Intune が iOS / iPadOS 17 以上、macOS 14 以上 をサポート対象にしていく方針も引き続き掲載されています。既存の enrolled device はそのまま残るケースがあっても、新規登録や将来のサポート可否は別問題です。Apple 管理者は、ABM/ASM の設定だけでなく、今ある端末の OS 世代 も同時に見直した方が安全です。(Microsoft Learn)
共有端末・フロントライン端末の運用をかなり意識している
今回のロードマップで特に実務的なのが、共有端末への寄り方です。Endpoint Privilege Management(EPM)の support approved elevation requests は、これまでの「プライマリユーザーか登録ユーザーのみ」という制約が緩み、端末を使う全ユーザー に拡張される予定です。Managed Home Screen では、PIN 画面や認証画面の間にアプリが通知やダイアログを出して迂回を狙うリスクを抑える app silencing が入り、さらに MHS を一時解除して標準ランチャーへ出し、時間経過後に自動復帰させる遠隔操作も追加されます。(Microsoft Learn)
この並びを見ると、Microsoft は Intune を 個人専有端末の管理基盤としてだけでなく、店舗、倉庫、病院、学校、会議室、受付のような現場端末の管理基盤としても磨いていると読めます。しかも、コンプライアンスレポートの注意点では、multi-user device では最後にチェックインしたユーザーの状態が出るなど、共有端末特有の見え方まで明示されています。shared device を使う組織は、ポリシー適用だけでなく、レポートの読み方とサポート手順までセットで見直した方がよいタイミングです。(Microsoft Learn)
セキュリティは「設定追加」より「誤配布防止」と「監査性」が中心
セキュリティ面では、Windows 向けの STIG 監査用 Security Baseline、Microsoft Defender for Endpoint の security settings management で管理している端末への Intune Device control policy 適用、Policy Configuration Agent の agentic identity 化、EPM レポートの scope tags 対応、Multi Admin Approval 画面での Change Review Agent 推奨表示などが並んでいます。方向性としては、単に設定項目を増やすのではなく、どの権限で、どの端末に、どう安全に適用するか を細かく詰めるアップデートが目立ちます。(Microsoft Learn)
運用上、とくに注意したいのは Device control policy です。4月9日時点の案内では、Defender for Endpoint の security settings management で管理され、Intune には未登録 の Windows 10 / 11 デバイスにも、割り当て対象に含まれていれば Device control policy が適用されるようになります。対象グループの作りが粗いままだと、意図しない端末に制御を当ててしまう可能性があります。セキュリティ担当と Intune 担当が別れている組織ほど、割り当てグループ、例外グループ、承認フロー の見直しを先にやっておくべきです。(Microsoft Learn)
管理画面とレポートは「速く、分かりやすく」が軸
管理者体験も大きく変わります。デバイス詳細ページは、これまでの Overview / Hardware などを再編した フルページ型の新レイアウト になり、操作状況、ツールとレポート、プロパティ、デバイス詳細を 1 画面で追いやすくなります。さらに、enhanced app inventory はより速く詳細なデータを提供する方向で、初期対応は Windows から始まる予定です。コンプライアンスレポートについても、チェックイン依存、multi-user、Pending、summary と detail のズレといった「現場が誤読しやすい点」をドキュメントで明確化する方針が示されています。(Microsoft Learn)
ここは「画面が少し見やすくなるだけ」と軽く見ない方が安全です。運用手順書、一次切り分けの説明、社内レポートの注釈が変わる可能性があるためです。加えて、Windows の Intune Management Extension は 1.58.103.0 以降が必要 になり、古い版では Win32 アプリ配布、PowerShell スクリプト、Remediations、platform scripts など IME 依存の処理を受け取れなくなります。同期不良端末や長くオフラインだった端末が多い組織は、UI 変更より先に IME の健康状態監視 を優先した方が実害を防げます。(Microsoft Learn)
さらに、Power BI を使っている組織にはかなり実務的な注意点があります。Intune Data Warehouse(beta)connector は廃止予定で、4月9日時点の案内では、2025年11月以降に作成したレポートは connector v2 を使う一方、それ以前のレポートは beta connector のままの可能性があり、移行は 2026年4月下旬から 2 週間かけて実施 されるとされています。Intune レポートを Power BI に依存しているなら、まず「どのレポートが何の connector を使っているか」の棚卸しが必要です。ここを後回しにすると、障害ではなく仕様変更なのに「突然データが止まった」と見えてしまいます。(Microsoft Learn)
このロードマップの見方で間違えやすい点
- 「今後の新機能」と「すでに進行中の要対応通知」が混在している
同じページ内に、2026年4月下旬開始予定の Data Warehouse(beta)connector 移行だけでなく、2026年1月19日開始の MAM 関連更新 や、2025年12月2日以降のネットワークエンドポイント変更 も載っています。つまり、単純な未来予告ページではありません。(Microsoft Learn) - ロードマップは確定予定ではない
Microsoft 自身が、このページは今後の期待値を示すもので、日付や機能は変わり得て、全ての開発項目を記載するものでもないと明記しています。(Microsoft Learn) - 公開時期の目安は別ソースも併用する必要がある
ページ内でも、戦略的な deliverables と timeline は Microsoft 365 roadmap を参照するよう案内されており、公開済み機能は「What’s new」へ移るとされています。ロードマップだけで全体判断を完結させない方が安全です。(Microsoft Learn)
このページを実務で使うなら、未公開機能の検討 と 期限付きの運用対応 を分けて読むのがコツです。同じ「更新ページ」でも、やるべきことの緊急度はかなり違います。(Microsoft Learn)
管理者が今すぐ動くならこの順番
- 期限や停止リスクのある項目から先に棚卸しする
Power BI の Intune Data Warehouse(beta)connector、iOS の Intune App SDK / App Wrapper、Android の Intune Company Portal、Azure Front Door 用のネットワーク allowlist、Windows の IME バージョンは、後回しにすると実害が出やすい領域です。特に 4月9日時点のページでは、MAM 更新に未対応だとアプリ起動がブロックされ得ることや、ネットワークエンドポイント変更で Company Portal や保護アプリに影響し得ることが明記されています。(Microsoft Learn) - 端末群ごとに pilot の優先順位を決める
Android BYOD が多いなら AMAPI と Web 登録、専用端末が多いなら Managed Home Screen と直接 LOB 配布、macOS ゼロタッチ展開があるなら ADE 中の Platform SSO を小規模に試すのが基本です。すべてを一斉に追うより、自社で台数が多い端末群から 着手した方が失敗しにくくなります。(Microsoft Learn) - 権限と割り当ての設計を見直す
Device control policy の対象範囲、EPM レポートの scope tags、Multi Admin Approval の運用、shared device のレポート解釈は、今回の更新と相性が強い論点です。機能が増えるほど、設定値より 誰が何を見られて、どこへ適用できるか の設計が重要になります。(Microsoft Learn) - ロードマップ監視を“イベント”ではなく“運用”にする
このページは定期更新で、RSS でも追跡できます。Microsoft Intune ロードマップ、What’s new、必要なら Microsoft 365 roadmap をセットで確認する運用にすると、公開済み機能と準備中機能を混同しにくくなります。(Microsoft Learn)
今回の Microsoft Intune ロードマップ更新から見えるのは、Microsoft が Intune を クロスプラットフォームの端末管理基盤 としてだけでなく、権限統制・共有端末運用・データ鮮度まで含めた実務の基盤 として磨いていることです。まずは自社テナントに影響する項目を 3 つに絞り、次に期限付きの依存関係を潰し、そのうえで pilot を回す。この順番で進めると、ロードマップ情報を「読むだけ」で終わらせず、実際の改善につなげやすくなります。(Microsoft Learn)

コメント