Microsoft Intuneの公式ドキュメント更新「More terminology updates」は、緊急の機能変更というより、Apple ADE(Automated Device Enrollment)まわりの用語を「profile」中心から「policy」中心へ整理する更新として読むのが現実的です。
ただし、Intune管理者、セキュリティ管理者、コンプライアンス担当者にとっては軽視できません。手順書、監査証跡、ヘルプデスクの案内、委託先向けキッティング手順に「Profiles」「Assign profile」「Set Default Profile」といった旧表記が残っていると、実際のMicrosoft Intune admin centerの画面と食い違い、作業ミスや監査時の説明不足につながるためです。
2026年4月29日のMicrosoftDocs/memdocsコミットでは、Microsoft Intune関連ドキュメントの14ファイルが更新され、主にAppleデバイス登録に関する表記が修正されています。差分は43行追加、47行削除で、中心は「登録プロファイル」ではなく「登録ポリシー」として読み替えるべき箇所の整理です。(GitHub)
Microsoft Intuneの公式ドキュメント更新「More terminology updates」で何が変わったか
今回の更新で最も重要なのは、Apple ADEの登録設定を説明する表現が、従来の「profile」から「policy」へ寄せられている点です。
たとえば、iOS/iPadOS向けの手順では、管理センター上の操作として「Profiles」ではなく「Enrollment policies」、「Create profile」ではなく「Create policy」、「Assign profile」ではなく「Assign policy」、「Set Default Profile」ではなく「Set Default Policy」と表記されるように修正されています。(GitHub)
| 確認ポイント | 旧表記の例 | 新しい表記の例 | 実務での対応 |
|---|---|---|---|
| ADE登録設定の名称 | Profile | Enrollment policy / Policy | 社内手順書では「登録ポリシー」として統一する |
| 作成操作 | Create profile | Create policy | スクリーンショットと手順名を更新する |
| デバイスへの割り当て | Assign profile | Assign policy | キッティング手順・委託先手順を修正する |
| 既定設定 | Set Default Profile | Set Default Policy | 既定ポリシー設定手順を更新する |
| 画面タブ | Apple | Apple mobile | iOS/iPadOS、tvOS、visionOSの手順で確認する |
| 動的グループ条件 | profile name | policy name | ただしパラメーター名は安易に変更しない |
ここで注意したいのは、「profile」という言葉がMicrosoft Intuneから消えたわけではないことです。Intuneには引き続き構成プロファイル、証明書プロファイル、Appleデバイス上の管理プロファイルといった文脈があります。今回の更新は、主にApple ADEの登録設定を「enrollment policy」として扱うための用語整理です。
仕様変更と見なすべきか、ドキュメント整理と見なすべきか
結論として、今回の「More terminology updates」は、既存のMicrosoft Intune構成を直ちに変更しなければならないリリースではありません。既存のADE登録ポリシーを作り直す、登録済みデバイスをワイプする、トークンを再発行する、といった対応を自動的に行う必要はありません。
ただし、画面名や操作名の変更は、運用現場では十分に影響があります。特に次のような環境では、早めに確認したほうが安全です。
- Apple Business ManagerまたはApple School ManagerとIntuneを連携している
- iOS/iPadOS、macOS、tvOS、visionOSのADE登録を運用している
- キッティング作業を外部ベンダーや現地ITチームに委託している
- 監査用の手順書や証跡で「profile assigned」といった表記を使っている
- 動的グループや登録名を使ってアプリ・ポリシー配布を制御している
Microsoft LearnのiOS/iPadOS向け手順でも、現在は「Apple mobile」タブを選択し、「Enrollment program tokens」から「Enrollment policies」を開き、「Create policy > iOS/iPadOS」を選ぶ流れとして記載されています。(Microsoft Learn)
セキュリティ管理者が確認すべきポイント
ADE登録ポリシーの割り当て漏れを防ぐ
セキュリティ管理者が最初に確認すべきなのは、用語そのものよりも「登録前にポリシーが正しく割り当てられているか」です。
Microsoft Learnでは、デバイスがアクティブになる前に登録ポリシーを割り当てる必要があり、Apple Business ManagerまたはApple School Managerから同期されたデバイスに登録ポリシーが割り当てられていない状態でセットアップを開始すると、登録が失敗すると説明されています。(Microsoft Learn)
運用上は、次のように確認するとミスを減らせます。
| 確認項目 | 確認方法 | 失敗した場合の影響 |
|---|---|---|
| ADEトークンに既定ポリシーがあるか | Enrollment program tokensで対象トークンを確認 | 新規同期デバイスに意図した登録設定が適用されない |
| 個別デバイスにポリシーが割り当て済みか | Devices一覧でAssign policyの状態を確認 | 初回セットアップ時に登録失敗や設定不足が起きる |
| 登録前にデバイスがワイプ済みか | キッティング手順で確認 | ADE前提の初期セットアップが成立しない |
| 旧手順の「Assign profile」が残っていないか | 社内Wiki、Runbook、委託先資料を検索 | 作業者が正しい画面を見つけられない |
特に大量展開では、「既定ポリシーを設定しているから問題ない」と思い込むのは危険です。トークン単位の既定ポリシー、個別割り当て、デバイスの同期状態を分けて確認してください。
既存ポリシー変更時の再アクティベーション要件を確認する
iOS/iPadOSの公式手順では、既存の登録ポリシーに変更を加えた場合、新しい設定は割り当て済みデバイスにすぐ反映されるわけではなく、原則として工場出荷状態へのリセットと再アクティベーションが必要です。例外として、デバイス名テンプレート設定は次回チェックインで反映されると説明されています。(Microsoft Learn)
つまり、今回の用語更新を見て「登録ポリシーを少し直せば既存デバイスの登録体験も変わる」と考えるのは誤りです。セキュリティ設定やロック登録、Setup Assistantの表示項目を変更する場合は、既存デバイスへの影響、再キッティングの要否、ユーザー通知の必要性を事前に整理しましょう。
コンプライアンス担当者が確認すべきポイント
監査資料では「profile」と「policy」を混在させない
コンプライアンスチームにとって重要なのは、技術的な設定値だけではありません。監査人や内部統制担当者に説明できる言葉で、管理対象、設定主体、適用範囲を明確にすることです。
今回の更新後は、Apple ADEの登録設定を説明する場面では「enrollment policy」「登録ポリシー」を基本表記にしたほうがよいでしょう。一方で、次のような文脈では「profile」という言葉が残ります。
| 用語 | 意味 | 置き換えてよいか |
|---|---|---|
| Enrollment policy | ADE登録時の体験や設定を定義するIntune側の登録ポリシー | 今回の主な更新対象 |
| Configuration profile | Wi-Fi、VPN、制限、証明書などの構成を配布するIntuneのプロファイル | 置き換えない |
| Management profile | Appleデバイス上にインストールされるMDM管理プロファイル | 置き換えない |
| Compliance policy | 準拠状態を評価するIntuneのコンプライアンスポリシー | Enrollment policyと混同しない |
監査資料で「profile」という旧表記を残す場合は、何を指しているのかを明記してください。たとえば「ADE enrollment policy(旧手順書ではenrollment profileと表記)」のように注記しておくと、過去資料との整合性を保ちやすくなります。
証跡のスクリーンショット更新を優先する
今回のような用語変更では、本文だけ直してスクリーンショットを放置しがちです。しかし監査や運用引き継ぎでは、スクリーンショットの古いボタン名が混乱の原因になります。
優先して更新すべき証跡は次の順です。
| 優先度 | 更新対象 | 理由 |
|---|---|---|
| 高 | ADE登録ポリシー作成手順 | 新規展開や再キッティングで直接使う |
| 高 | Assign policy手順 | デバイス登録失敗に直結する |
| 高 | Set Default Policy手順 | 大量展開時の初期設定漏れに関わる |
| 中 | 動的グループ説明 | 自動割り当ての誤解を防ぐ |
| 中 | 委託先向け作業書 | 現地作業者が画面名で迷いやすい |
| 低 | 過去完了済み案件の資料 | 参照用なら注記で対応できる |
エンタープライズITが移行準備として行うべきこと
今回の更新は、設定移行というより「用語移行」と「運用文書の整備」として進めるのが適切です。
まず社内資料を検索する
社内Wiki、Runbook、チケットテンプレート、変更管理票、作業チェックリストで次の語句を検索してください。
- Profiles
- Create profile
- Assign profile
- Set Default Profile
- enrollment profile
- profile settings
- TestProfile
- Appleタブ
- visonOS
GitHubの差分では、チュートリアル内のサンプル名も「TestProfile」から「TestPolicy」へ変更されています。社内トレーニングで同じサンプル名を使っている場合は、あわせて直すと混乱を防げます。(GitHub)
次に現在の管理センター画面で検証する
Microsoft Learnの手順と自社テナントの表示が常に同じタイミングで一致するとは限りません。表示言語、ロール、機能展開状況、テナントのリングによって見え方が異なる場合があります。
そのため、更新作業は次の順序で進めると安全です。
| 手順 | 作業内容 | 完了条件 |
|---|---|---|
| 1 | 公式差分を確認する | 影響ファイルと変更語句を把握する |
| 2 | 自社テナントの画面を確認する | 実際のタブ名・ボタン名を記録する |
| 3 | 社内資料の旧表記を洗い出す | 修正対象リストを作る |
| 4 | 重要手順から更新する | Assign policy、Set Default Policyを優先する |
| 5 | パイロット登録で確認する | 新規またはワイプ済み検証端末で登録できる |
| 6 | ヘルプデスクへ周知する | 旧表記を問い合わせ時に読み替えられる |
自動化や動的グループは安易に名称変更しない
見落としやすいのが、動的グループやスクリプトで使っているパラメーター名です。
Microsoft Learnでは、「policy name」を使って動的グループのenrollmentProfileNameパラメーターを定義できると記載されています。つまり、説明上は「policy name」に変わっていても、パラメーター名までenrollmentPolicyNameのように変わったと判断してはいけません。(Microsoft Learn)
実務では、次のルールで確認してください。
- 画面ラベルや手順書は「policy」へ更新する
- Graph API、動的グループ条件、スクリプトのプロパティ名は公式仕様を確認してから変更する
- 既存の
enrollmentProfileName条件を機械的に置換しない - 変更する場合は検証グループで登録からアプリ配布まで確認する
Apple ADEプラットフォーム別の確認ポイント
iOS/iPadOS
iOS/iPadOSでは、今回の用語変更の影響が最も分かりやすく出ています。Microsoft Learnの現在の手順では、Devices、Device onboarding、Enrollment、Apple mobile、Enrollment program tokens、Enrollment policies、Create policyという流れで登録ポリシーを作成します。(Microsoft Learn)
確認すべき点は次の3つです。
- 「Apple」ではなく「Apple mobile」タブとして案内しているか
- 「Create profile」ではなく「Create policy」として説明しているか
- 「Assign profile」ではなく「Assign policy」として割り当て手順を説明しているか
ユーザーアフィニティ、Company Portal、Setup Assistant with modern authentication、ロック登録などの判断基準は、用語変更だけでなくセキュリティ設計にも関わります。既存の登録ポリシーを更新する場合は、反映条件と再登録要否を必ず確認してください。
macOS
macOSのADEでも、「Enrollment policies > Create policy > macOS」や「Assign policy」「Set Default Policy」への表記整理が行われています。Microsoft Learnでは、macOS ADE登録ポリシーの作成、デバイスへの割り当て、既定ポリシーの設定手順が現在の表記で説明されています。(Microsoft Learn)
macOSでは、用語変更とあわせてLAPS関連の確認も重要です。Microsoft LearnのmacOS展開ガイドでは、macOS ADE enrollment policiesを利用する場合、Intuneで管理できるローカル管理者アカウントと暗号化された管理者パスワードを実現するため、macOS account configuration with LAPSの構成が推奨されています。(Microsoft Learn)
特に企業利用のMacでは、次の観点で見直すと効果的です。
- ADE登録ポリシー名が命名規則に沿っているか
- ユーザーアフィニティの有無が利用シーンに合っているか
- ローカル管理者アカウントの扱いが標準化されているか
- LAPS管理の対象、権限、監査ログ確認手順が明確か
tvOSとvisionOS
tvOSとvisionOSでは、今回の更新で「policy settings」「Create policy」「Assign policy」といった表記が整理されています。また、公式手順では、tvOSとvisionOSのADE登録はユーザーアフィニティなしの登録として説明され、コンプライアンスポリシーがサポートされない点も記載されています。(Microsoft Learn)
この点は、コンプライアンス担当者が誤解しやすい部分です。iOS/iPadOSやmacOSと同じ感覚で「全Appleデバイスに同じ準拠ポリシー評価を適用できる」と考えるのではなく、tvOSとvisionOSでは登録、構成、監視、例外管理を分けて設計する必要があります。
また、GitHub差分では、tvOSとvisionOSの手順からApple Configurator証明書に関する一部の手順文が削除されています。これを見た場合も、独自手順をすぐ削除するのではなく、現在の自社運用でApple Configuratorや証明書をどの工程で使っているかを確認してから更新してください。(GitHub)
Enrollment time grouping関連で確認したい小さな変更
今回の差分には、visonOSをvisionOSへ修正するスペル修正も含まれています。小さな修正に見えますが、社内資料やタグ、検索キーワード、ナレッジベースで誤記が残っていると、検索性が落ちます。
Microsoft LearnのEnrollment time groupingページでは、対象としてWindows 11、Android、visionOS、tvOSが示されており、登録時にMicrosoft Entraセキュリティグループへ追加することで、アプリやポリシー構成の配布を早める仕組みとして説明されています。未構成の場合、登録後にアプリやポリシーをすべて受け取るまで最大8時間かかる場合があるとも記載されています。(Microsoft Learn)
大量展開や共有デバイス運用では、用語修正だけでなく、Enrollment time groupingを使うべきかもあわせて確認するとよいでしょう。
よくある読み違いと避けるべき対応
「profile」という言葉をすべて消してしまう
今回の更新は、Apple ADEの登録設定に関する「profile」表記を「policy」へ寄せるものです。Intuneの構成プロファイルやAppleの管理プロファイルまで一括で言い換えると、かえって誤った資料になります。
たとえば、Wi-Fi構成プロファイル、VPNプロファイル、証明書プロファイル、デバイス制限プロファイルなどは、登録ポリシーとは別物です。置換作業をする場合は、文脈ごとに判断してください。
既存デバイスへ即時反映されると思い込む
登録ポリシーの内容を変更しても、既存のADE登録済みデバイスに即時反映されるとは限りません。特にSetup Assistantやロック登録など初回登録体験に関わる設定は、再登録やワイプが必要になる場合があります。
用語更新をきっかけにポリシー設定まで変更する場合は、変更管理票に「用語修正」と「設定変更」を分けて記録しましょう。
APIやスクリプトのプロパティ名まで変更する
画面上の「profile」が「policy」へ変わったからといって、スクリプト内のプロパティ名や動的グループ条件まで自動的に変わるとは限りません。特にenrollmentProfileNameのように、現在も公式手順内で使われている名称は慎重に扱う必要があります。
変更前に、検証テナントまたは限定的なデバイスグループで、登録、グループ参加、アプリ配布、コンプライアンス評価、条件付きアクセスまで一連の流れを確認してください。
いま実施すべきチェックリスト
今回のMicrosoft Intune公式ドキュメント更新「More terminology updates」を受けて、まず行うべきことは設定変更ではなく、運用ドキュメントと実画面の整合性確認です。
- Apple ADE関連の社内資料で「profile」表記を検索する
- ADE登録設定は「enrollment policy」「登録ポリシー」へ統一する
- 「Create profile」「Assign profile」「Set Default Profile」を現行画面に合わせて更新する
- iOS/iPadOS、macOS、tvOS、visionOSの手順を別々に確認する
- 動的グループ条件やスクリプトのプロパティ名は安易に置換しない
- 委託先、ヘルプデスク、監査担当へ読み替えルールを共有する
- 新規またはワイプ済み検証端末でADE登録の一連の流れを確認する
この更新を「単なる表記ゆれ」として放置すると、現場手順と公式画面のズレが残ります。一方で、製品仕様が大きく変わったと早合点して既存ポリシーを作り直すのもリスクです。
まずは、Apple ADEの登録ポリシー、既定ポリシー、割り当て手順、動的グループ条件の4点を棚卸しし、社内資料を現行のMicrosoft Intune表記に合わせて更新しましょう。

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