Accessでクエリを実行したはずなのに「Executing selected SQL text is only supported in the Monaco SQL Editor.(選択したSQLの実行はMonaco SQLエディターでのみサポートされます)」と突然表示され、さらに設定で「Monaco SQL Editor」が見当たらない――。この症状は、実は“設定不足”ではなく、実行操作の種類(Run / Run Selected)とAccessの版の違いが原因で起きることが多いです。
発生するエラーの内容と、つまずきやすいポイント
まず、表示されるエラーを整理します。
- 英語メッセージ:Executing selected SQL text is only supported in the Monaco SQL Editor.
- 意味:SQLビューで選択(ハイライト)されている部分だけを実行しようとしているが、その機能はMonaco SQL Editor(新しいSQLエディター)でしか動かない
ここで混乱しやすいのが、「クエリ全体を実行したいだけなのに、“選択部分の実行”扱いになっている」点です。ネット検索では「Monaco SQL Editorをオフにする」と出てきますが、そもそもAccess 2019ではMonacoが前提の機能や設定が表示されないケースがあります。
結論:原因の多くは「Run Selected(選択部分を実行)」を押していること
結論から言うと、このエラーの原因はRun(実行)ではなく、Run Selected(選択部分を実行)を実行していることがほとんどです。特に、リボンの[実行]ボタンに▼(ドロップダウン)が付いている環境では誤操作が起きやすくなります。
| 項目 | Run(実行) | Run Selected(選択部分を実行) |
|---|---|---|
| 用途 | 保存済みクエリ/SQL全文を実行する | SQLビューで選択した範囲だけを“部分実行”する |
| 典型的な操作 | リボンの[実行]の本体ボタンをクリック | [実行]の▼から選ぶ/誤ってショートカット等で呼び出す |
| 前提 | 通常のAccess機能 | Monaco SQL Editor前提(利用可能な版・条件がある) |
| Monacoが使えない場合 | 問題なく実行できる | 今回のエラーになる |
| 現場で起きがちな誤操作 | (特になし) | Runのつもりで▼を押す/ツールバーの並びで押し間違える |
つまり、やるべきことはシンプルです。Run Selectedではなく、Run(実行)を使ってクエリ全体を実行します。
「Monaco SQL Editor」の設定項目が見当たらない理由
ネット記事でよく見る「[ファイル]→[オプション]→[現在のデータベース]→ Monaco SQL Editorをオフ」は、主にAccess for Microsoft 365(いわゆるAccess 365)を前提に書かれています。一方で、質問のようにAccess 2019系の場合は、以下の理由で“そもそも項目が出ない”ことがあります。
- Access 2019はMonaco SQL Editorに対応していない(または機能が提供されない)
- そのため、有効/無効を切り替えるチェック項目自体が表示されない
| 比較項目 | Access 2019 | Access for Microsoft 365 |
|---|---|---|
| Monaco SQL Editor | 原則として利用不可(設定項目が出ないことがある) | 利用できる環境がある(設定項目が表示されることがある) |
| Run Selected(選択SQLの実行) | 基本的に使えない/使うとエラーになりやすい | Monacoが有効なら使える |
| アップデート | 固定版(機能追加は限定的) | 継続的に更新(UIや挙動が変わることがある) |
まずは自分のAccessが「2019」か「Microsoft 365」かを確認する
同じ「Access」という名前でも、導入形態によって使える機能が変わります。切り分けのために、まずは版(ライセンス)とビルドを確認しておくと迷いが減ります。
- Accessを起動し、左側の[ファイル]を開く
- [アカウント](または[ヘルプ])を開く
- [Accessのバージョン情報](About)で「2019」「Microsoft 365」などの表記とビルド番号を確認する
ここで「Access 2019」と出るなら、Monacoの項目が見当たらないのは“正常”寄りです。設定を探すより、Run Selectedを避ける運用に寄せるのが最短です。
今すぐ直す:Run Selectedを回避してクエリを実行する手順
「普通にクエリを動かしたいだけ」なら、次の手順でほぼ解決します。
リボンの[実行(Run)]は“本体ボタン”を押す
- クエリを開きます(SQLビュー/デザインビューどちらでもOK)。
- リボンの[実行(Run)]を探します。
- ▼(ドロップダウン)ではなく、アイコンの本体側をクリックします。
▼から「Run Selected」を選ぶと、Monaco前提の“部分実行”扱いになり、今回のエラーにつながります。
SQLビューで一部が選択されている場合は、選択解除してから実行する
SQLビューでテキストをドラッグしていると「選択部分を実行したい」と誤判定されるケースがあります。次を試してください。
- SQLエディターの余白をクリックして選択を解除する
- Escで選択解除する
- いったんデザインビューに戻って[実行]する(確実)
Runでも動かない場合は“別の原因”の可能性が高い
このエラーは「選択部分の実行」に特有ですが、もしRun(全体実行)でも失敗するなら、SQL文法、参照テーブル、権限、ロック、パラメータ未入力など別の問題の可能性があります。まずは本記事の手順でRun Selectedを排除し、それでも同じであれば、エラーメッセージ全文を控えて原因を切り分けてください。
どうしても誤操作するなら「Run Selected」を押せない配置にする
現場でよくあるのが「▼を押したつもりがないのに押してしまう」「クイックアクセスツールバーに入っていて誤クリックする」パターンです。Accessのカスタマイズで、誤操作の芽を摘めます。
- クイックアクセスツールバーに「Run Selected」がある場合は削除する
- [実行]関連コマンドを近くに並べない(マウスの軌道を短くする)
- クエリ実行はデザインビューで行う運用に統一する
RunとRun Selectedを見分けるコツ(画面上で迷わないために)
「ちゃんと[実行]を押したつもりなのに…」という場合、ボタンの見た目や配置で取り違えていることがあります。Accessは、クエリを開いているときに[クエリ ツール]が表示され、タブ(例:[デザイン])の中に[実行]コマンドが出ます。ここで本体(Run)と▼のメニュー(Run Selectedを含む)が近い位置に並ぶため、クリック位置が数ミリずれるだけで挙動が変わります。
| 確認ポイント | よくある状態 | 対策 |
|---|---|---|
| [実行]の右側に▼がある | ▼を押すと実行メニューが開く | まずはアイコン本体側を押す(▼は押さない) |
| クイックアクセスツールバー | Run Selectedが登録されていて紛らわしい | 不要なら削除し、Runだけ残す |
| SQLビューの選択状態 | 一部がハイライトされている(気づきにくい) | 余白クリック/Esc/デザインビューに戻る |
特にノートPCのタッチパッドや高DPI環境では、クリック位置がぶれやすいです。作業に慣れているほど「いつもの場所」を押してしまうため、エラーが出たときはいったん落ち着いて本体か▼かを確認してください。
Access 365でMonacoが使えないときに疑う“環境要因”
Access for Microsoft 365でも、必ずMonaco SQL Editorが利用できるとは限りません。次のような環境要因で、UIが出なかったり、機能が制限されたりすることがあります。
- 組織のセキュリティポリシーで一部機能が制限されている
- 社内配布のOffice(Click-to-Run等)で更新チャネルや展開タイミングが管理されている
- ファイルが信頼されておらず、機能が制限された状態で開いている(前述のTrusted Location問題)
個人PCでは問題ないのに会社PCだけ再現する場合は、Trust Center設定だけでなく、管理者側の制限も疑ってください。その場合は「Run Selectedを使いたい理由(部分実行で検証したい等)」と「出ているエラー文」を添えて、情報システム部門に相談すると話が早いです。
更新で改善することがある理由と、更新時の注意
この問題は“SQLが壊れた”というより、UIの状態(どの実行コマンドが呼ばれるか)に依存します。Microsoft 365系では更新でリボン周りの挙動が変わることがあり、結果として誤操作が減ったり、メニュー表示が整理されたりして改善することがあります。
- Microsoft 365:[ファイル]→[アカウント]から更新を実行できることが多い
- Access 2019:Officeの更新やWindows Update適用状況に左右される
更新する場合は、Accessを含むOfficeアプリをすべて閉じ、可能ならPCを再起動してから試すと事故が少なくなります。更新後は、クエリを開いた状態で[実行]ボタンの表示や▼メニューの内容が変わっていないかも確認しておくと安心です。
「選択したSQLだけ実行」を本当に使いたい場合の現実的な選択肢
Run Selectedは、SQLビューでSQLの一部だけをハイライトして“部分実行”できるため、長いSQLの検証やサブクエリの切り出しに便利です。ただし、前述の通りMonaco SQL Editorが使える環境が前提になります。
- Access 2019:基本的に不可(エラーになる)
- Access for Microsoft 365:Monacoが有効なら可能
「部分実行」が業務上どうしても必要なら、Access 2019のまま設定で解決しようとするよりも、Access for Microsoft 365への移行を検討する方が早いケースがあります。
Access for Microsoft 365なのにMonacoが出てこないときのチェックポイント
Access 365を使っているはずなのに、Monaco関連の項目が見当たらない/Run Selectedが動かない場合は、セキュリティ設定(信頼)が関係していることがあります。特に、メール添付やダウンロードしたファイルを開いた直後、共有フォルダ上のファイルを開いた直後は要注意です。
| チェック項目 | 起きがちな状況 | 推奨の対処 |
|---|---|---|
| 信頼済みの場所(Trusted Location) | ネットワーク共有/ダウンロードフォルダで運用している | Trust Centerで信頼済みの場所に登録し、そこにDBを置く |
| 信頼済みドキュメント | 初回起動時に警告バーが出て機能が制限される | 警告バーの案内に従い“信頼”扱いにする |
| マクロ設定 | マクロ無効のまま運用している(機能が制限されることがある) | むやみに「すべて有効化」はせず、まずは信頼済みの場所運用に寄せる |
具体的な操作の目安は次の通りです(文言は環境で多少異なります)。
- [ファイル]→[オプション]→[セキュリティ センター]を開く
- [セキュリティ センターの設定]→[信頼できる場所]で保存先フォルダを追加する
- ネットワークパスを使う場合は「ネットワーク上の場所を許可」などの項目も確認する
ポイントは「DBを信頼できる場所に置く」ことです。単にマクロを全許可するとセキュリティリスクが上がるため、組織運用では“信頼済みの場所に集約”する方が現実的です。
「昨日まで動いていたのに突然出た」場合に見るべき3つの観点
この手のエラーは、SQLそのものが壊れたというよりも「実行の解釈」が変わっただけのケースが多いです。突然出たときは、次の3観点で原因を切り分けると早いです。
操作が変わっていないか(Run/Run Selectedの取り違え)
- [実行]ボタンの▼をクリックしていないか
- クイックアクセスツールバーにRun Selectedが混ざっていないか
- SQLビューで文字列を選択したままになっていないか
Access/Officeの更新でUIや挙動が変わっていないか
特にMicrosoft 365系は更新でUIや機能が追加・整理されることがあります。更新後に“実行ボタンの並び”が変わると、長年の手癖で誤クリックしやすくなります。最近急に出るようになった場合は、Officeを最新状態に更新し、同時にリボンの配置を見直すと改善することがあります。
ファイルの信頼状態が変わっていないか
ファイルを別フォルダに移動した、メール添付から開いた、PCを入れ替えた――こうしたタイミングで“信頼”が外れると、機能が制限されることがあります。365環境なら、まずは信頼済みの場所にDBを置き直すのが鉄板です。
トラブルシューティング早見表
現場での切り分けがしやすいように、症状別にまとめます。
| 症状 | もっとも多い原因 | 最短の対処 |
|---|---|---|
| クエリ実行でMonacoエラーが出る | Run Selectedを実行している | リボンの[実行]本体を押す/▼から選ばない |
| Monacoの設定項目が見当たらない | Access 2019でMonaco非対応 | 設定探しをやめ、Run Selectedを使わない運用にする |
| 365なのにRun Selectedが動かない | 信頼されていない場所・ドキュメントで開いている | 信頼済みの場所に移す/信頼済みドキュメントにする |
| 一部だけテストしたい | 2019では部分実行ができない | SQLを別クエリに切り出す/365へ移行する |
部分実行ができない環境でも、検証効率を落とさない工夫
Access 2019でRun Selectedが使えない場合でも、SQL検証の効率は工夫できます。ここでは、部分実行に近い開発体験を作るための実務的な方法を紹介します。
検証用のサブクエリを「別クエリ」として保存する
巨大なSQLの中でJOIN部分だけ、WHERE条件だけを検証したいときは、該当部分を切り出して検証用クエリとして別名保存します。完成後に削除すれば、運用に影響を残しません。
パラメータクエリにして切り替えやすくする
日付範囲や顧客IDなど、検証でよく変える条件はパラメータ化しておくと、SQL編集の回数を減らせます。例えば次のように書きます。
SELECT *
FROM T_売上
WHERE 売上日 BETWEEN [開始日] AND [終了日];
「本番クエリ」と「デバッグクエリ」を分け、デバッグ側だけ編集する
本番で使うクエリは固定し、デバッグ用クエリはそのコピーとして保持します。デバッグ側で絞り込みやTOP句を付けるなど、検証に特化させると安全です。
SELECT TOP 50 *
FROM (本番クエリ名);
よくある質問(FAQ)
Run Selectedを押した覚えがないのに、なぜエラーになりますか?
一番多いのは、[実行]ボタンの右側にある▼を無意識にクリックしているケースです。また、クイックアクセスツールバーにRun Selectedが登録されていて、[実行]のつもりで押してしまうこともあります。まずは「どのボタンを押したか」を確認し、Run(本体)で動くか試してください。
SQLビューで一部を選択していないのに“selected SQL”扱いになることはありますか?
環境によっては、カーソル位置や直前の操作で“選択扱い”になっているように見えることがあります。対策としては、一度デザインビューへ戻ってから実行する、またはSQLビューで余白クリックやEscで選択状態をリセットしてから実行するのが確実です。
Access 2019でMonaco SQL Editorを使う方法はありますか?
残念ながら、Access 2019は固定版のため、Microsoft 365のように新しいエディター機能が提供されないことがあります。Run SelectedやMonaco前提の機能を使いたい場合は、Access for Microsoft 365への移行が現実的な解決策になります。
信頼済みの場所に置くのが難しい(共有フォルダ運用)場合は?
組織ポリシーで共有フォルダ固定の場合は、Trust Centerの「信頼できる場所」に共有パスを登録できるか、また「ネットワーク上の場所を許可」などの設定が許容されているかを確認してください。運用上難しい場合は、ローカルに検証用コピーを置き、検証後に共有へ反映する“二段階”にすると安全です。
まとめ:このエラーは「設定探し」より「実行ボタンの切り分け」が先
- エラーの正体は、クエリ全体ではなく選択部分の実行(Run Selected)を呼び出していることが多い
- Access 2019ではMonaco関連の設定項目が出ないことがあるため、まずはRun Selectedを使わない
- 部分実行が必要ならAccess for Microsoft 365を検討
- 365でも出る場合は、信頼済みの場所や信頼済みドキュメントなど“信頼”設定を見直す
SQLの内容を疑う前に、「どの実行コマンドが動いているか」を確認するだけで、復旧までの時間が大きく短縮できます。まずはリボンの[実行]本体ボタンでの実行から試してみてください。

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