Office LTSC / Project LTSC / Visio LTSC 2021を管理している組織が今すぐ行うべきことは、対象端末の棚卸し、移行先の分類、設定差分の確認、利用部門への周知です。Microsoftは2026年4月20日のPartner Center告知で、Office LTSC 2021、Project LTSC 2021、Visio LTSC 2021のサポートが2026年10月13日に終了し、その後は更新プログラム、セキュリティ修正、技術サポートを受けられなくなると案内しています。(Microsoft Learn)
特に管理者が注意すべきなのは、「サポート終了日までまだ時間がある」と考えて後回しにすることです。ProjectやVisioは利用者数が少なく見えても、設計、工程管理、設備管理、監査資料などの重要業務に紐づいていることが多く、直前の入れ替えでは互換性確認が間に合いません。この記事では、IT admins、operations owners、deployment planners向けに、発表直後から展開完了までに確認すべき実務チェックリストを整理します。
まず押さえるべき結論
Office LTSC / Project LTSC / Visio LTSC 2021のサポート終了対応は、単なるOfficeのバージョンアップ作業ではありません。管理上は、次の4つに分けて進めると失敗しにくくなります。
| 判断項目 | 管理者が決めること | 成果物 |
|---|---|---|
| 対象確認 | どの端末にOffice LTSC 2021、Project LTSC 2021、Visio LTSC 2021が入っているか | 対象端末一覧、利用者一覧 |
| 移行先 | Microsoft 365に移行するか、Office LTSC 2024に更新するか | 移行方針、例外リスト |
| 設定差分 | 更新チャネル、ライセンス認証、言語、アプリ構成、配布方式をどう変えるか | configuration.xml、ポリシー設計 |
| 周知 | 利用者、部門責任者、ヘルプデスク、セキュリティ部門に何を伝えるか | 周知文、FAQ、問い合わせ導線 |
MicrosoftのLifecycleページでも、Office LTSC 2021、Project 2021 LTSC、Visio LTSC 2021はいずれもメインストリームサポート終了日が2026年10月13日と示されています。日付はMicrosoftの表示上、太平洋時間を基準に扱われる場合があるため、グローバル拠点を持つ組織では「2026年10月13日までに完了」ではなく、社内期限を数週間前倒しして設定するのが安全です。(Microsoft Learn)
Office LTSC 2021のサポート終了で何が変わるのか
サポート終了後に重要なのは、アプリが起動するかどうかではなく、業務環境としてサポートされた状態を維持できるかです。
Microsoftは、Office LTSC 2021を「機能更新を受け取れない高度に規制された環境または制限された環境」で使うエディションとして説明しており、Microsoft 365 Appsとは別の製品です。また、Office LTSC 2021にはProjectやVisioを含めて5年間のメインストリームサポートがあり、その後の延長サポートはないとされています。(Microsoft Learn)
サポート終了後に発生しやすい影響は、次のとおりです。
| 影響領域 | 起こり得る問題 | 管理者の対応 |
|---|---|---|
| セキュリティ | 脆弱性修正を受けられず、メール添付、マクロ、外部ファイルのリスクが高まる | サポート終了前に移行、例外端末は隔離・監視 |
| 監査・コンプライアンス | 「サポート対象ソフトウェアを利用しているか」の監査で指摘される | 例外承認書、移行計画、完了証跡を準備 |
| 業務継続 | Projectファイル、Visio図面、Excelマクロ、COMアドインの互換性問題が直前に判明する | 重要業務ファイルを早期にテスト |
| ヘルプデスク | 利用者から「Officeが変わった」「Projectが開けない」と問い合わせが集中する | 事前周知、FAQ、切り戻し手順を用意 |
| 調達・ライセンス | 新規PCや再イメージ端末に古いLTSCを入れ続ける | 標準イメージと調達仕様を更新 |
ここでのポイントは、Office本体だけを見ないことです。Project LTSCとVisio LTSCは、利用者数が少ないほど資産管理台帳から漏れやすく、現場の「特定担当者だけが使うツール」になっている場合があります。移行計画では、Office利用者全体とは別に、Project利用者とVisio利用者を抽出してください。
発表直後に行う初動チェックリスト
2026年4月20日の告知を受けた直後は、技術検証に入る前に、関係者の認識を揃えることが重要です。最初の1〜2週間で次の項目を片付けておくと、その後の展開が進めやすくなります。
| 優先度 | チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|---|
| 高 | サポート終了日の共有 | 2026年10月13日を社内の正式期限として扱う |
| 高 | 対象製品の範囲確認 | Office LTSC 2021、Project LTSC 2021、Visio LTSC 2021を対象に含める |
| 高 | 新規導入の停止 | 既存イメージ、キッティング手順、調達仕様でLTSC 2021を使い続けていないか確認 |
| 高 | 管理責任者の決定 | 情シス、セキュリティ、購買、業務部門、海外拠点の責任者を決める |
| 中 | 移行先の候補整理 | Microsoft 365、Office LTSC 2024、Project/Visioのサブスクリプションを比較 |
| 中 | 例外条件の定義 | 閉域、規制、製造装置、検証端末などクラウド移行できない理由を文書化 |
| 中 | 影響範囲の見積もり | 対象台数、利用部門、拠点、言語、ネットワーク帯域を確認 |
| 中 | 利用者向け周知準備 | 変更内容、作業日、利用者側の対応、問い合わせ先を整理 |
この段階で「Microsoft 365に移行するか、LTSC 2024にするか」を全台一律で決める必要はありません。むしろ、端末の用途ごとに分けるのが現実的です。情報系端末はMicrosoft 365、閉域・固定用途端末はOffice LTSC 2024、すぐに移行できない端末は例外管理、というように分類します。
対象端末の棚卸しチェックリスト
棚卸しでは、単に「Office 2021が入っている端末数」を数えるだけでは不十分です。移行時のトラブルは、アーキテクチャ、言語、アドイン、ライセンス認証、Project/Visioの有無で起こります。
端末・製品情報で確認すること
| 確認項目 | 見るべき内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 製品名 | Office LTSC 2021、Project Professional/Standard 2021、Visio LTSC Professional/Standard 2021 | ProjectとVisioはOffice本体とは別枠で集計する |
| エディション | Standard、Professional Plus、Professional、Standard for Macなど | 契約と実インストールの不一致を確認 |
| バージョン・ビルド | Officeアプリの「ファイル」→「アカウント」などで確認 | 古いビルドは更新サイズが大きくなりやすい |
| 32ビット/64ビット | OfficeClientEdition、実インストール状態 | 64ビット化で古いCOMアドインが動かないことがある |
| 言語 | UI言語、校正ツール、言語パック | 海外拠点や多言語文書の利用者を漏らさない |
| 更新元 | Office CDN、ローカル共有、Configuration Managerなど | 閉域端末は更新ファイルの配布設計が必要 |
| 認証方式 | KMS、MAK、Active Directoryベースの認証 | LTSC 2024へ移行する場合はキーとKMSホストを確認 |
| 配布方式 | Intune、Configuration Manager、GPO、手動展開、VDIイメージ | 検出ルールと再起動制御を先に設計 |
| 業務依存 | マクロ、VBA、COMアドイン、テンプレート、業務アプリ連携 | 部門責任者に確認しないと見つからないことが多い |
| Project/Visio依存 | .mpp、.vsdx、ステンシル、図面テンプレート | 利用頻度が低くても業務重要度が高い場合がある |
Microsoftは、Office LTSC 2021がWindows Installerではなくクイック実行をインストールテクノロジとして使用すること、またOffice 2019などと同じメジャーバージョン16.0を使うため既存のポリシー設定が引き続き効く場合があることを説明しています。移行時は「古いOfficeだからMSIだろう」と決めつけず、実際のインストール方式を確認してください。(Microsoft Learn)
利用者・部門情報で確認すること
端末情報だけでは、移行優先度を判断できません。次の情報も合わせて集めます。
- 利用者の所属部門と拠点
- ProjectまたはVisioを使う業務の内容
- 月末、四半期末、監査、決算など作業できない期間
- オフライン利用の有無
- 共有PC、VDI、キオスク端末、製造ライン端末の有無
- 外部取引先と共有するファイル形式
- マクロやアドインを作成した担当者の有無
- 移行後に必要な教育や操作説明
特にProjectとVisioは、「常時使う人」よりも「必要な時だけ使う人」が多い製品です。資産管理ツールの利用頻度だけで判断すると、重要な図面ファイルや工程表の利用者を見落とします。
移行先を決める判断基準
Microsoftの2026年4月20日の告知では、多くの顧客にMicrosoft 365への移行を推奨し、エンタープライズではMicrosoft 365 E3を主な推奨パスとして示しています。一方、規制、接続性、技術的制約でクラウド利用が難しい場合は、Office LTSC 2024、Project LTSC 2024、Visio LTSC 2024などのオンプレミス代替も選択肢として案内されています。(Microsoft Learn)
| 移行先 | 向いている環境 | 注意点 |
|---|---|---|
| Microsoft 365 Apps / Microsoft 365 E3 | 一般的な情報系端末、クラウド利用可能な企業、継続的な更新と管理機能を重視する組織 | サブスクリプション、ID、更新チャネル、ネットワーク帯域の設計が必要 |
| Office 365 E3 / Microsoft 365 Apps for enterprise | 既存のMicrosoft 365基盤を活用し、Officeアプリを最新状態で管理したい組織 | セキュリティ・管理機能の範囲は契約プランで差が出る |
| Microsoft 365 Business Premium / Business Standard / Apps for business | 300ユーザー未満の中小規模組織 | 将来のセキュリティ管理やデバイス管理要件も含めて選ぶ |
| Planner and Project Plan 3 / Visio Plan 2 | Project LTSC、Visio LTSCをクラウドベースの製品に移行したい場合 | 既存ファイル、テンプレート、操作差分の確認が必要 |
| Office LTSC 2024 / Project LTSC 2024 / Visio LTSC 2024 | 閉域、規制、固定機能、製造装置、長期検証が必要な端末 | 新機能の継続提供は前提にしない。次のサポート期限も計画に入れる |
Office LTSC 2024は、ProjectとVisioを含めて5年間のメインストリームサポートを受けますが、その後の延長サポートはありません。LTSCを選ぶ場合でも、「これで長期間安心」ではなく、次の更新時期まで含めたライフサイクル管理が必要です。(Microsoft Learn)
設定差分チェックリスト
移行先を決めたら、設定差分を洗い出します。ここを曖昧にしたまま展開すると、インストールは成功しても、更新、認証、言語、アドイン、利用者体験で問題が出ます。
Microsoft 365 Appsへ移行する場合
Microsoft 365 Appsへ移行する場合は、LTSCの「端末単位・固定バージョン」から、Microsoft 365の「ユーザー単位・継続更新」へ管理思想が変わります。Microsoftのアップグレードガイダンスでも、アプリ互換性、インフラ、ネットワーク、ユーザーライセンス、IDを事前に評価することが示されています。(Microsoft Learn)
| 設定項目 | 確認すること | 実務上の判断基準 |
|---|---|---|
| ライセンス | 対象ユーザーに適切なMicrosoft 365ライセンスが割り当てられているか | 共有PCやVDIは通常端末と分けて検討 |
| ID | Microsoft Entra ID、同期、サインイン方式 | オフライン利用が長い端末は要件確認が必要 |
| 更新チャネル | Current Channel、Monthly Enterprise Channel、Semi-Annual Enterprise Channelなど | 変更頻度と業務検証期間のバランスで選ぶ |
| アプリ構成 | Access、Publisher、Teams、OneDriveなどを含めるか | 既存業務で使うアプリを不用意に除外しない |
| Project/Visio | サブスクリプション版にするか、LTSC 2024を併用するか | ファイル互換性と利用者ライセンスを確認 |
| アドイン | VBA、COMアドイン、Officeアドイン、帳票ツール | パイロットで実データを使って検証 |
| 言語 | UI言語、校正ツール、表示言語 | 海外拠点と日本本社で標準を分ける場合は明文化 |
| プライバシー・接続機能 | 接続エクスペリエンス、診断データ、クラウド機能 | セキュリティ・法務部門と合意してから配布 |
| 旧Office削除 | 既存Officeをどう削除するか | Click-to-Run版とMSI版で削除方法が異なる |
注意したいのは、RemoveMSIの扱いです。Microsoftの説明では、RemoveMSIはMSIでインストールされた旧Officeの削除に使えますが、クイック実行を使う以前のOffice、Visio、Projectは削除されません。Click-to-Run版を削除する場合は、コントロールパネルまたはOffice展開ツールのRemove要素を使う必要があります。(Microsoft Learn)
Office LTSC 2024へ移行する場合
Office LTSC 2024、Project LTSC 2024、Visio LTSC 2024を展開する場合は、Office展開ツール(ODT)とconfiguration.xmlを中心に設計します。Microsoftは、Office LTSC 2024の構成と展開にODTを使用し、Office CDNから直接インストールするか、ローカル共有にダウンロードして展開できると説明しています。(Microsoft Learn)
| 設定項目 | 確認すること | 例 |
|---|---|---|
| OfficeClientEdition | 32ビットか64ビットか | 互換性重視なら32ビット継続、メモリ利用重視なら64ビット |
| Channel | LTSC 2024の更新チャネル | PerpetualVL2024 |
| Product ID | 導入する製品 | ProPlus2024Volume、Standard2024Volume、ProjectPro2024Volume、ProjectStd2024Volume、VisioPro2024Volume、VisioStd2024Volume |
| SourcePath | インストールファイルの取得元 | Office CDN、\\server\share |
| PIDKEY | MAKまたはKMS用キー | 契約と認証方式に合わせる |
| Language | UI言語、校正ツール | ja-jp、en-us、ProofingToolsなど |
| RemoveMSI / Remove | 旧Officeの削除 | MSI版はRemoveMSI、Click-to-Run版はRemoveを検討 |
| Display | ユーザー表示 | サイレント展開ならLevel="None" |
| ExcludeApp | 除外アプリ | AccessやPublisherなどを含めるか確認 |
Office LTSC 2024の更新は、通常は月1回、第2火曜日に提供されます。また、Office LTSC 2024はリリース後に新機能を受け取らないため、新機能を継続的に利用したい端末はMicrosoft 365 Appsへの移行を検討すべきです。(Microsoft Learn)
configuration.xmlの確認例
以下は、Office LTSC 2024をローカル共有からサイレント展開する場合の考え方を示すサンプルです。実際の製品ID、言語、キー、除外アプリは、契約と標準構成に合わせて変更してください。
<Configuration>
<Add OfficeClientEdition="64" Channel="PerpetualVL2024" SourcePath="\\Server\Share">
<Product ID="ProPlus2024Volume" PIDKEY="#####-#####-#####-#####-#####">
<Language ID="ja-jp" />
</Product>
</Add>
<RemoveMSI />
<Display Level="None" AcceptEULA="TRUE" />
</Configuration>
ODTの基本的な流れは、configuration.xmlを作成し、必要に応じてsetup /download configuration.xmlでインストールファイルを取得し、setup /configure configuration.xmlで展開する形です。Microsoftのドキュメントでは、ProjectやVisioを含むOffice LTSC 2024の製品ID、SourcePath、PIDKEY、RemoveMSIなどの設定項目が整理されています。(Microsoft Learn)
ライセンス認証の確認
LTSCを継続する場合、ライセンス認証の確認は必須です。ボリュームライセンス版のOffice、Project、Visioでは、KMS、MAK、Active Directoryベースの認証が利用できます。KMSを使う場合は、Microsoft 365管理センターのボリュームライセンス関連画面でキーを取得し、Office LTSC 2024ボリュームライセンスパックなどを適切に構成する必要があります。(Microsoft Learn)
認証まわりでよくある失敗は、Office本体だけを認証確認して、ProjectやVisioの認証を見落とすことです。展開後の検証では、WordやExcelだけでなく、Project、Visio、Outlook、Accessなど、業務で使うアプリを実際に起動して確認してください。
展開順序チェックリスト
Office LTSC / Project LTSC / Visio LTSCの移行は、全台一斉展開ではなく、段階展開が基本です。特にグローバル拠点がある場合は、ネットワーク帯域、タイムゾーン、言語、ヘルプデスク体制を考慮してリング展開します。
| フェーズ | 実施内容 | 完了条件 |
|---|---|---|
| 設計 | 移行先、対象範囲、更新チャネル、配布方式、認証方式を決定 | 設計書と承認済み例外リストがある |
| ラボ検証 | 代表端末でインストール、削除、認証、更新、アプリ起動を確認 | 主要アプリとProject/Visioが起動する |
| 業務検証 | VBA、マクロ、アドイン、テンプレート、外部連携を確認 | 部門責任者が利用可否を判断済み |
| パイロット | 情シス、協力部門、Project/Visio利用者で小規模展開 | 問い合わせ内容と回避策をFAQ化 |
| 第1展開 | 影響の少ない部門から展開 | 失敗率、認証失敗、ヘルプデスク負荷を記録 |
| 第2展開 | 主要部門・海外拠点へ展開 | 拠点別の完了率を可視化 |
| 最終展開 | 残端末、休眠端末、例外端末を処理 | サポート終了対象がゼロ、または承認済み例外のみ |
| 完了監査 | 資産台帳、構成管理、ライセンス、周知記録を確認 | 証跡を保管し、次回更新計画に反映 |
展開中は、成功率だけでなく失敗理由を分類してください。「インストール失敗」「旧Office削除失敗」「認証失敗」「アドイン不具合」「利用者操作不明」を分けると、次のリングに進めるか判断しやすくなります。
周知チェックリスト
利用者への周知は、単に「Officeを更新します」では不十分です。利用者が知りたいのは、作業日、利用できない時間、自分が何をすべきか、問い合わせ先、変更後の見た目です。
| 周知先 | 伝える内容 | 伝え方 |
|---|---|---|
| 一般利用者 | Office更新の目的、作業日、PCを起動しておく必要、作業中にOfficeを閉じる必要 | メール、社内ポータル、Teams投稿 |
| Project利用者 | Projectの移行先、既存.mppファイルの確認、ライセンス変更 | 個別メール、部門説明会 |
| Visio利用者 | 図面ファイル、ステンシル、テンプレートの確認 | 個別メール、FAQ |
| 部門責任者 | 業務影響、検証依頼、作業不可日程の申告 | 部門長向け依頼文 |
| セキュリティ部門 | サポート終了リスク、例外端末、監査証跡 | リスク管理資料 |
| ヘルプデスク | よくある問い合わせ、切り分け手順、エスカレーション先 | ナレッジベース |
| 購買・調達 | LTSC 2021の新規導入停止、標準仕様変更 | 調達ルール更新 |
| 海外拠点 | 現地時間での作業日、言語、サポート窓口 | 拠点別メール、現地責任者経由 |
利用者向け周知文の例
件名: Office LTSC 2021 サポート終了に伴うOffice更新作業のお知らせ
Office LTSC 2021、Project LTSC 2021、Visio LTSC 2021は、2026年10月13日にMicrosoftのサポート終了を迎えます。
これに伴い、当社では対象PCのOffice環境を順次更新します。
対象者:
Office LTSC 2021、Project LTSC 2021、Visio LTSC 2021を利用している方
利用者の対応:
- 作業予定日はPCを社内ネットワークまたはVPNに接続してください
- 作業前にWord、Excel、Outlook、Project、Visioを終了してください
- 重要なファイルは事前に保存してください
- ProjectまたはVisioで業務ファイルを利用している場合は、更新後にファイルが開けるか確認してください
問い合わせ先:
社内ヘルプデスク / Office移行担当チーム
周知では、サポート終了を脅し文句のように使うよりも、「セキュリティ更新と業務継続のために必要な作業」と説明した方が協力を得やすくなります。特にProjectやVisioの利用者には、単なるOffice更新ではなく、業務ファイルの確認が必要であることを明記してください。
失敗しやすいポイントと対策
ProjectとVisioをOffice本体の付属品として扱ってしまう
ProjectとVisioは、Office本体よりも利用者が限定されがちです。そのため、全社展開の対象から漏れたり、ライセンスだけ後回しになったりします。
対策として、資産管理ツールで製品名を分けて抽出し、Project利用者、Visio利用者、両方の利用者を別々に集計してください。部門ヒアリングでは「使っているか」だけでなく、「どのファイルを、いつ、誰と共有しているか」まで確認します。
RemoveMSIを過信する
RemoveMSIは便利ですが、すべての旧Officeを削除する万能設定ではありません。Click-to-Runで入っているOffice、Project、Visioは別の削除方法が必要になる場合があります。移行パッケージの検証では、Office LTSC 2021が入った実端末と同じ条件でアンインストールを確認してください。(Microsoft Learn)
32ビットから64ビットへの変更を軽く見る
近年は64ビットOfficeが選ばれやすくなっていますが、古いCOMアドイン、帳票ツール、Access関連ツール、VBA資産がある場合は注意が必要です。全社標準を64ビットにする場合でも、業務アプリのオーナーに確認し、例外的に32ビットを残す端末がないか検討します。
閉域端末の更新元を決めていない
Office LTSC 2024はOffice CDNから直接更新できますが、閉域端末ではローカル共有やConfiguration Managerなどを使った配布設計が必要です。Microsoftは、CDNに接続しない端末では内部ネットワークの共有フォルダーから更新を取得する構成が可能であり、その場合は管理作業とディスク領域が増えると説明しています。(Microsoft Learn)
標準イメージやキッティング手順が古いまま残る
移行作業で既存端末を更新しても、新規PCのキッティングでOffice LTSC 2021を入れ続けてしまうケースがあります。標準イメージ、Autopilot、Configuration Managerタスクシーケンス、VDIマスター、手順書、調達仕様を同時に更新してください。
例外端末を「未対応」として放置する
閉域、製造装置、検証端末、監査用端末など、すぐに移行できない端末はあります。ただし、例外は放置ではありません。端末名、設置場所、責任者、理由、代替策、監視方法、次回見直し日を記録し、セキュリティ部門と承認プロセスを作る必要があります。
管理者向けの実行スケジュール例
2026年4月下旬時点で着手する場合、次のようなスケジュール感で進めると、2026年10月13日のサポート終了前に余裕を持って完了できます。
| 時期 | 実施内容 | ゴール |
|---|---|---|
| 2026年4月下旬〜5月 | 告知共有、棚卸し、移行方針の仮決定 | 対象台数と移行先の見込みを出す |
| 2026年5月〜6月 | 設定設計、ライセンス確認、ODT/Intune/Configuration Managerのパッケージ作成 | ラボ検証を開始できる状態にする |
| 2026年6月〜7月 | 業務検証、Project/Visio利用者テスト、アドイン・マクロ確認 | 重大な互換性問題を洗い出す |
| 2026年7月〜8月 | パイロット展開、FAQ整備、ヘルプデスク訓練 | 展開手順と問い合わせ対応を固める |
| 2026年8月〜9月 | 部門別・拠点別の本番展開 | 大半の対象端末を移行完了 |
| 2026年9月下旬〜10月上旬 | 残端末対応、例外承認、監査証跡整理 | 未対応端末をゼロまたは承認済みにする |
| 2026年10月13日以前 | 最終確認、標準イメージ更新、運用引き継ぎ | サポート終了後も管理可能な状態にする |
このスケジュールで最も重要なのは、6〜7月までに業務検証を終えることです。8月以降にアドインやProjectファイルの互換性問題が見つかると、利用部門の調整、ベンダー確認、代替手順作成が間に合わなくなります。
最終確認チェックリスト
展開完了前に、次の項目を確認してください。
| 分類 | チェック項目 |
|---|---|
| 対象端末 | Office LTSC 2021、Project LTSC 2021、Visio LTSC 2021が残っていない |
| 例外管理 | 残存端末は理由、責任者、期限、リスク対策が承認されている |
| ライセンス | Microsoft 365、Project、Visio、LTSC 2024のライセンスが適切に割り当てられている |
| 認証 | KMS、MAK、Active Directoryベースの認証が正常に動作している |
| 更新 | 更新チャネル、更新元、更新ポリシーが設計通りに適用されている |
| アプリ | Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Project、Visioなど必要アプリが起動する |
| 業務互換 | マクロ、アドイン、テンプレート、外部連携が検証済み |
| 周知 | 利用者、部門責任者、ヘルプデスク、購買、海外拠点に案内済み |
| 標準化 | 新規PC、再イメージ、VDI、キッティング手順が更新済み |
| 証跡 | 棚卸し結果、展開ログ、例外承認、周知記録を保管済み |
Office LTSC / Project LTSC / Visio LTSC 2021のサポート終了対応は、後半になるほど選択肢が狭くなります。まずは対象端末とProject/Visio利用者を正確に洗い出し、Microsoft 365へ移行する端末、LTSC 2024に更新する端末、例外管理する端末を分けてください。そのうえで、設定差分、展開順序、周知内容をチェックリスト化すれば、サポート終了直前の混乱を大きく減らせます。

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