VMware FusionでWindows 11 ARMインストール時にネットワークが認識されない時の完全解決ガイド

Apple Silicon Mac上でVMware Fusion Player 13を使ってWindows 11 ARMをクリーンインストールすると、セットアップ途中で「ネットワークに接続しましょう」が突破できずに詰まる――本記事ではこの典型的なトラブルを最短で回避し、さらにドラッグ&ドロップやキーボードショートカットまで含めた総合的な解決策を詳説する。Fusion ProやParallelsとの比較・検証も挟みつつ、現場で即使えるコマンドと設定値を網羅した。Mac Studio M2 Ultra/macOS Sequoia 15.2で動作確認済み。

目次

1. Windows 11 ARMインストールが「ネットワークに接続しましょう」で停止する原因

Windows 11 ARM版のOOBE(初期セットアップ)はNRO(Network Requirement Overlay)でオンライン接続を必須化している。ところがFusionが提示する仮想NICは初期状態ではWindows側にドライバーが無く、NICが「Unknown Device」扱いとなり、結果的にOOBEから[次へ]ボタンがグレーアウトする。

1‑1 最速:ネットワークチェックを無効化する

手順コマンド/操作ポイント
1Shift + Fn + F10Mac外付け/内蔵どちらでも可。英語配列は左下にFnキー
2oobe\bypassnro → Enterバイパス用スクリプト実行。自動再起動する
3「インターネットがありません」を選択ローカルアカウントで続行可能に
4Windows起動後にVMware Toolsを導入仮想NICが即認識、ネット接続OK

1‑2 根本対応:正規ドライバーでNICを認識させる

  1. 仮想マシンをシャットダウンし、Fusionの「Network Adapter」を開く。
    • 「Connected」にチェック
    • 「Share with my Mac(NAT)」または「Bridged」
  2. Virtual Machine > Install VMware ToolsでTools ISOをマウント。
  3. セットアップ画面を再開し、再度Shift + Fn + F10 → 例:D:setup.exeでToolsをインストール。
  4. 自動再起動後、VMXNET3が「VMware Virtual NIC」として認識。NROを通過した状態でMicrosoftアカウントも利用できる。

Tips: Player版は一部機能制限があり、Fusion Pro 13.6.2ではOOBE中に自動的に仮想NICが有効化されるため、プロフェッショナル利用ではPro版を推奨。

2. Mac↔Windows 11 ARMでドラッグ&ドロップ/クリップボード共有が動かない

2‑1 基本チェックリスト

  • VMware Toolsのバージョン確認:Player標準の古いToolsでは不安定。Pro版ISO(arm64.iso)の利用で改善するケースが多い。
  • 仮想マシンを必ず「シャットダウン→完全終了→起動」。サスペンド復帰では設定が反映されない。

2‑2 Isolation設定の再適用

  1. VM設定 → Isolationで  「Enable drag and drop」「Enable copy and paste」を一旦オフ→OK→再度オン→OK。
  2. macOS側:システム設定 > プライバシーとセキュリティ > 入力監視/フルディスクアクセスVMware Fusionを追加し、Macを再起動。

2‑3 共有フォルダー機能での代替転送

ドラッグ&ドロップが不安定な場合は、VM設定のSharingで「共有フォルダー」を有効化。ホストの特定ディレクトリをマウントし、Z:\ドライブとして常時アクセス可能にすることでファイル転送事故をゼロにできる。

機能メリットデメリット
Drag & Drop直感的・高速Player版で不安定、転送サイズ2 GB前後で失敗例あり
共有フォルダー大容量も確実、オフラインでも可都度コピー操作が必要、リアルタイム性に欠ける

3. MacキーボードでWindowsショートカットを快適に使う

3‑1 Fnキーの物理位置

Mac Studio付属日本語JIS/USいずれも、左下の「fn/地球儀」キーがWindows用Fnキーとして機能する。

3‑2 ファンクションキーを「標準」に設定

  1. システム設定 > キーボードファンクションキー
  2. 「メディアキーとして使用」をオフ  → F1~F12がそのまま送信され、Shift+F10で右クリックメニューが即表示。

3‑3 代表的ショートカット早見表

操作Mac キーボード用途
コマンドプロンプト(OOBE)Shift + Fn + F10ネットワークバイパスやDISM実行
右クリックメニューShift + F10タッチパッド無効時でも操作可
スクリーンショット⌘Cmd + Shift + 3macOS側で取得→共有フォルダー経由が便利

4. Parallels Desktopとの違いは?

Apple Silicon上でWindows 11 ARMを動かす手段は大きくVMware FusionParallels Desktopの二択。ParallelsはOOBEで自動的にParallels Toolsを投入し、NICも即時認識するためネットワーク問題は発生しない。一方、FusionはPlayer版でも商用無償で使用できる強みがあり、CLI好きには欠かせないvmrunVagrantプラグインが公式サポートされる点が魅力。用途・予算で選択しよう。

5. トラブルシューティングをさらに効率化するヒント

5‑1 スナップショットで手戻りゼロ

OOBE手前でスナップショットを取得しておくと、手順を誤っても即ロールバックできる。Fusion Playerでも基本的なSnapshotは利用可能。

5‑2 CLI自動化サンプル

# NICモードをNATに変更しVM起動
vmrun -T fusion start ~/VM/Win11ARM.vmwarevm/Win11ARM.vmx nogui
vmrun -T fusion setNetworkConnectionType ~/VM/Win11ARM.vmwarevm/Win11ARM.vmx nat

5‑3 macOS 15.2特有の制限

  • SequoiaではGatekeeperがISOマウント時に積極的に警告を出すため、「隔離属性」を解除(xattr -d com.apple.quarantine)しないとVMware Toolsが起動しないケースがある。
  • Apple シリコンのIOMMU仕様変更により、macOS 15以降はNested Virtualizationが無効化された。WSL2をWindows 11 ARMゲスト内で動かす場合はParallelsを選ぶか、Fusion Tech Previewに切り替えると良い。

6. まとめ

Windows 11 ARMセットアップでネットワークが認識されない最大の要因は、OOBEが要求するNICドライバー未導入に起因する。oobe\bypassnroでオフラインインストールに切り替え、起動直後にVMware Toolsを投入すればほぼ確実に解決できる。ドラッグ&ドロップが不安定な場合はIsolation設定の再適用とmacOS権限付与、必要に応じて共有フォルダーへ逃げるのが鉄板。Mac独自のFn設定を押さえておけば、Windowsショートカットもストレスなく使える。これらの手順を押さえることで、Mac Studio上の仮想Windows環境を最短10分で安定運用へ乗せられるだろう。

コメント

コメントする

目次