結論から言うと、Microsoft 365 CopilotのPowerPoint Agent Modeで、プレゼン作成時にWebページを参照できるようになりました。これにより、製品ページ、公開資料、ニュースリリース、イベントページなどの公開情報を材料にして、PowerPoint上で初稿を作りやすくなります。ただし「URLを渡せば正確なスライドが完成する」という機能ではありません。管理者はWeb検索ポリシー、データ取り扱い、利用者教育、レビュー運用をあわせて確認する必要があります。
Microsoft 365 CopilotのAI/Copilot更新で何が変わるのか
今回の更新は、Microsoft 365 Roadmap ID 555898として公開されている「Microsoft Copilot (Microsoft 365): Reference webpages when creating a presentation with Agent Mode in PowerPoint」です。公式ロードマップ上では、PowerPointとMicrosoft Copilot (Microsoft 365)を対象に、PowerPointのAgent Modeでプレゼンテーションを作成する際にWebページを参照できるようになる更新として示されています。GAは2026年4月、状態はLaunched、対象プラットフォームはWeb、対象クラウドはWorldwide (Standard Multi-Tenant)です。更新日時はUTCでは2026-06-03 23:00:57Zで、日本時間では2026年6月4日に相当します。(Microsoft)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Roadmap ID | 555898 |
| 機能名 | Reference webpages when creating a presentation with Agent Mode in PowerPoint |
| 対象サービス | Microsoft Copilot (Microsoft 365)、PowerPoint |
| できるようになること | Agent Mode in PowerPointでプレゼン作成時にWebページを参照 |
| リリース段階 | General Availability |
| GA予定 | April CY2026 |
| ステータス | Launched |
| プラットフォーム | Web |
| クラウド | Worldwide (Standard Multi-Tenant) |
重要なのは、これは単なる「Web検索結果をコピーする機能」ではなく、PowerPointでの資料作成フローにWebページ参照を組み込める点です。たとえば、公開済みの製品ページ、イベント告知ページ、競合企業の公開情報、公式ブログなどを材料にして、構成案やスライドのたたき台を作る用途に向いています。
一方、Microsoft 365 Roadmapのリリース日や説明は商用機能向けの予定情報であり、内容は変更される可能性があります。展開計画を作る際は、ロードマップだけで確定扱いにせず、Microsoft 365管理センターのメッセージセンター、対象テナントでの実表示、利用ライセンスをあわせて確認するのが安全です。(Microsoft)
利用者にとってのメリット
PowerPointで提案書、社内説明資料、セミナー資料、営業資料を作るとき、公開Webページを見ながら要点を拾い、スライド構成に落とし込む作業は意外に時間がかかります。今回の更新により、Agent Modeでプレゼンを作成する際にWebページを参照できるため、情報収集から初稿作成までの距離が短くなります。
特に効果が出やすいのは、次のような作業です。
| 活用シーン | 使い方の例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 製品紹介資料 | 自社製品ページや公開FAQを参照して、顧客向け説明資料を作る | 価格、仕様、対応地域など変わりやすい情報は必ず再確認する |
| 競合比較 | 競合の公開ページを参照し、自社との差分を整理する | 断定的な優劣表現は避け、出典と確認日を残す |
| イベント資料 | イベントページ、登壇者情報、アジェンダをもとに告知スライドを作る | 開催日時、会場、登壇者変更に注意する |
| 経営層向けブリーフィング | 公式発表や公開レポートを参照し、要点を数枚にまとめる | 数値や引用は原文と照合する |
| 社内勉強会 | Microsoftやベンダーの公開ドキュメントをもとに説明資料を作る | ライセンス条件や社内利用ルールを確認する |
Microsoft 365 CopilotはWord、Excel、PowerPoint、Outlook、TeamsなどのMicrosoft 365アプリと連携し、ユーザーがアクセス権を持つMicrosoft Graph上の仕事用メール、チャット、ドキュメントなどを使って応答を調整します。PowerPointでは、プロンプトやWordファイルから新しいプレゼンテーションを作成し、スライド追加やデッキ全体の書式変更などを支援する機能も位置づけられています。(Microsoft Learn)
Agent Mode in PowerPointの基本的な使い方イメージ
画面や名称は更新状況によって変わる可能性がありますが、Microsoftのサポート情報では、PowerPointのCopilotチャットペインでAdd Contentを選び、Agent Modeを選択して、作成したいプレゼンテーションの内容をプロンプトとして入力する流れが示されています。Copilotは必要に応じて、対象読者、スタイル、画像の方向性などを確認する質問を返す場合があります。(Microsoft サポート)
実務では、単にURLを渡すのではなく、次のように「目的」「対象読者」「出力条件」「確認してほしい観点」をセットで指定すると、使える初稿になりやすくなります。
以下のWebページを参考に、営業部門向けの説明資料を作成してください。
目的:
新サービスの概要を、既存顧客向け提案で説明できるようにする
対象読者:
IT部門の管理者、情報システム部門のマネージャー
出力:
8枚程度のPowerPoint構成
各スライドにタイトル、要点3つ、話す内容のメモを入れる
重視する点:
導入メリット、注意点、既存運用への影響、管理者が確認すべき設定
参照するWebページ:
[対象URL]
より精度を上げたい場合は、次の条件も加えます。
事実と推測を分けてください。
Webページに明記されていない内容は「要確認」としてください。
数値、日付、製品名、ライセンス条件は変更される可能性があるため、スライド内で断定しすぎない表現にしてください。
影響範囲:まず確認すべき対象ユーザーと環境
今回のRoadmap ID 555898は、プラットフォームがWebとして記載されています。つまり、まず確認すべき対象はPowerPoint for the webでAgent Modeを利用するユーザーです。同名のWebページ参照機能にはDesktopやMac向けの別Roadmap IDも存在しますが、展開状況や対象環境を同一視せず、IDごとに確認する必要があります。公式API上では、555896がDesktop、555893がMac向けの同名機能として掲載されています。(Microsoft)
管理者が最初に切り分けるべきポイントは次の通りです。
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| ライセンス | 対象ユーザーがMicrosoft 365 Copilotを利用できる状態か |
| アプリ | PowerPoint for the webで該当機能が表示されるか |
| クラウド | Worldwide (Standard Multi-Tenant)以外の環境では別確認が必要 |
| Web検索設定 | 組織でCopilotのWeb検索を許可しているか |
| ユーザー教育 | Web参照結果をそのまま事実として使わない運用になっているか |
| 監査・コンプライアンス | プロンプト、応答、Web検索クエリの確認方法を把握しているか |
特に「PowerPointでCopilotが使える」ことと「Agent ModeでWebページを参照できる」ことは同じではありません。段階的に展開される場合もあるため、管理者は代表ユーザーだけでなく、部門、ライセンス、更新チャネル、利用アプリごとに確認するのが現実的です。
管理者が確認すべき設定
Web検索ポリシーを確認する
この更新ではWebページ参照が関係するため、最も重要なのはCopilotのWeb検索設定です。Microsoft Learnでは、Microsoft 365 CopilotおよびMicrosoft 365 Copilot Chatが、Webからの情報が応答品質を高める場合にBing検索サービスから情報を取得することがあると説明されています。また、管理者向けの制御と、Microsoft 365 Copilot向けのユーザーレベルのWeb contentトグルが用意されています。(Microsoft Learn)
管理者は、Microsoft 365管理センターのCopilot設定から「Web search for Microsoft 365 Copilot and Microsoft Copilot」を確認し、Microsoft 365 Apps admin centerのCloud Policyで「Allow web search in Copilot」ポリシーを作成・管理する流れを把握しておく必要があります。この設定を有効にすると、Copilotが応答品質を高めるためにWebコンテンツを参照できるようになります。(Microsoft Learn)
選択肢としては、組織全体で許可、組織全体で無効、またはMicrosoft 365 CopilotのWork modeでは無効にしつつWeb modeやCopilot Chatでは有効にする、といった制御が示されています。未構成の場合は標準環境ではWeb検索が利用可能になる扱いですが、Officeの追加のオプション接続エクスペリエンスを無効にしている場合は挙動が制限されます。(Microsoft Learn)
ユーザー側のWeb contentトグルを理解しておく
管理者がWeb検索を有効にしている場合、Microsoft 365 CopilotのユーザーはWeb contentトグルでWebコンテンツを使うかどうかを切り替えられます。管理者がWeb検索を無効にしている場合、このトグルは利用できず、ユーザーが自分で有効化することはできません。(Microsoft Learn)
展開時には、利用者に次のように説明しておくと混乱を減らせます。
| 状況 | 利用者への説明 |
|---|---|
| Web参照を使いたいのに動かない | 組織ポリシー、ライセンス、対象アプリ、展開状況を確認する |
| Web contentトグルが見つからない | 管理者がWeb検索を無効化している可能性がある |
| 同僚は使えるのに自分は使えない | 段階展開、グループ別ポリシー、ライセンス差異を確認する |
| 出力内容が古い | 参照ページ、更新日、Copilotの解釈を人が確認する |
データ、プライバシー、監査の扱いを確認する
Web検索が有効な場合、CopilotはユーザープロンプトからWeb検索に有用な語句を抽出し、Bing検索サービスへ検索クエリを送信します。Microsoftの説明では、送信される検索クエリはユーザーの元のプロンプト全体とは異なり、Microsoft 365ファイル全体、アップロードファイル全体、Microsoft Entra IDに基づくユーザー名・ドメイン・テナントIDなどの識別情報は含まれません。一方で、ユーザーがMicrosoft 365アプリ内でプロンプトを入力している場合や、特定のドキュメントを明示的に参照している場合は、文書内の情報が検索クエリの形成に影響する場合があります。(Microsoft Learn)
管理者にとって重要なのは、Web検索クエリも監査やeDiscoveryの対象として扱える点です。Microsoftは、Copilotがプロンプトから生成したWeb検索クエリについて、管理者が検索、監査、eDiscoveryを実行できると説明しています。また、Microsoft Purview Data Security Posture Management for AIのActivity explorerで、実際に使われたWeb検索語句を確認できるとされています。(Microsoft Learn)
そのため、機密度の高い部門では、Web参照機能をすぐ全面展開するよりも、次のような段階的な運用が向いています。
| 部門・用途 | 推奨運用 |
|---|---|
| 営業・マーケティング | 公開情報ベースの提案資料作成から試す |
| 経営企画 | 外部公開情報と社内資料を混在させる場合はレビュー手順を明確化 |
| 法務・コンプライアンス | Web検索を許可する範囲を限定し、出力内容を必ず人が確認 |
| 研究開発 | コードネームや未公開情報をプロンプトに含めないルールを徹底 |
| 人事・財務 | 個人情報、未公開数値、内部計画を含む資料では慎重に適用 |
関連するエージェント管理も確認する
PowerPointのAgent Modeと完全に同一の管理項目とは限りませんが、Microsoft 365 Copilotアプリ内のWord、Excel、PowerPoint Agentsについては、Microsoftがインストールし、管理者が他のMicrosoftインストール済みエージェントと同様に管理できるとされています。また、Anthropic AIモデルを無効にした場合、ユーザーはこれらのWord、Excel、PowerPoint Agentsを表示・利用できなくなります。(Microsoft Learn)
すでにCopilotのエージェント機能を管理している組織では、PowerPointのAgent Modeだけを見るのではなく、次も確認しておくとよいでしょう。
| 確認領域 | 確認内容 |
|---|---|
| Agents設定 | 誰がエージェントにアクセスできるか |
| AI providers設定 | 他社LLM利用に関する組織方針と設定 |
| Copilot Chat | Web検索の許可範囲 |
| Purview | 監査、DLP、保持、eDiscoveryの運用 |
| ユーザー教育 | 生成物の確認、出典確認、機密情報の扱い |
Microsoft 365管理センターのCopilot設定には、Agents、AI providers、Data security and complianceなどの項目が用意されており、Purviewのデータセキュリティ、秘密度ラベル、保持、監査、eDiscoveryなどの確認につながる導線も示されています。(Microsoft Learn)
開発者・IT運用担当者が注意すべき点
今回の更新は、PowerPointの利用体験に関する機能追加であり、開発者向けAPIの追加を告知するものではありません。そのため、Copilot Studioや独自エージェントからPowerPoint Agent ModeへWebページを渡して自動生成する、といった連携がこのRoadmap IDだけで可能になると解釈しないほうが安全です。
開発者やIT運用担当者は、次の観点で既存運用への影響を確認しましょう。
| 観点 | 確認すべきこと |
|---|---|
| PowerPointテンプレート | 生成されたスライドが社内テンプレート、ブランドルール、スライドマスターに合うか |
| アドイン | 既存のPowerPointアドイン、社内テンプレート配布、ブランドチェックツールと競合しないか |
| DLP | Webページ参照を含むプロンプトや出力に、機密情報が混ざらない運用になっているか |
| 監査ログ | Copilot利用状況、プロンプト、Web検索クエリをどの部門が確認するか |
| ネットワーク | 管理端末やブラウザ制御でPowerPoint for the webとCopilot利用が妨げられていないか |
| ヘルプデスク | 「使えない」「URLを読まない」「出力が違う」などの問い合わせ切り分けを用意しているか |
社内ポータルやSharePointページを「Webページ」として扱うべきかどうかも注意が必要です。Microsoft 365 Copilotは、ユーザーがアクセス権を持つMicrosoft Graph上のコンテンツを利用する設計ですが、公開Webページ参照と、SharePointやOneDriveなどのMicrosoft 365データ参照は同じ意味ではありません。社内情報を使いたい場合は、対象機能がどのデータソースをどの形で参照しているのかを、テナント上の実動作で確認してください。
展開前チェックリスト
本番展開前には、機能が見えるかどうかだけでなく、使ってよい範囲とレビュー方法まで決めておくことが重要です。
| チェック項目 | 管理者・運用担当者の対応 |
|---|---|
| Roadmap IDの確認 | 555898が対象機能であること、Web向けであることを確認する |
| メッセージセンター確認 | 自社テナントへの展開予定や追加条件を確認する |
| ライセンス確認 | 対象ユーザーにMicrosoft 365 Copilot関連ライセンスが割り当たっているか確認する |
| PowerPoint for the web確認 | 対象ユーザーでAgent ModeとWebページ参照が表示されるか検証する |
| Web検索ポリシー | Allow web search in Copilotを組織方針に合わせて設定する |
| グループ別展開 | まず営業、マーケティング、情報システムなど少人数で試す |
| 機密情報ルール | 未公開情報、顧客情報、個人情報を含めないルールを作る |
| 出典確認 | 生成スライドの事実、日付、数値、引用を原文で確認する手順を作る |
| テンプレート確認 | 社内ブランド、ロゴ、色、表記ルールに合うか確認する |
| ヘルプデスク準備 | 利用不可時の切り分け表を用意する |
特に最初の1〜2週間は、全面展開よりも「用途を限定したパイロット」が向いています。たとえば、公開製品ページを参照した営業資料の初稿作成に限定し、出力結果のレビュー観点を蓄積してから対象部門を広げると、失敗が少なくなります。
失敗しやすいポイント
URLを渡せば正確な引用付き資料ができると思い込む
Webページ参照は、資料作成の初稿を速くするための機能です。最終版の正確性を保証するものではありません。特に価格、提供地域、サポート範囲、日付、製品名、法務・規制関連の記述は、人が原文を確認する必要があります。
社外向け資料では、スライドの末尾やノート欄に「参照URL」「確認日」「担当者」を残す運用にすると、後から修正しやすくなります。
公開情報と社内情報を混ぜて扱う
Webページ参照が便利になるほど、社内文書、チャット、メール、公開Webページをまとめて材料にしたくなります。しかし、公開可能な情報と社内限定情報が混ざると、スライドの共有範囲を誤るリスクが高まります。
社外向け資料では、次のように分けて確認しましょう。
| 情報の種類 | 扱い方 |
|---|---|
| 公開Webページ | 出典URLと確認日を残す |
| 社内文書 | 共有先に閲覧権限があるか確認する |
| 顧客情報 | 原則として匿名化・要約化する |
| 未公開計画 | Copilotに入力する前に利用可否を確認する |
| 法務・財務情報 | 必ず専門部門レビューを通す |
Desktop、Mac、Webの展開差を見落とす
今回のRoadmap ID 555898はWeb向けです。DesktopやMacで同名の機能があるとしても、別IDで管理されています。利用者から「PowerPointでは使えない」と問い合わせが来た場合、まずPowerPoint for the webか、デスクトップ版か、Mac版かを確認してください。
展開差を避けたい場合は、社内マニュアルに「確認済み環境」を明記します。
確認済み環境:
PowerPoint for the web
Microsoft 365 Copilot有効ユーザー
Web検索ポリシー有効
確認日: 2026年○月○日
レビュー担当を決めずに使い始める
Copilotで作成したスライドは、見た目が整っているほどチェックが甘くなりがちです。Web参照を使う場合は、最低でも次の3点を確認する担当を決めてください。
| レビュー観点 | 確認内容 |
|---|---|
| 事実確認 | 数値、日付、固有名詞、製品仕様が原文と一致しているか |
| 表現確認 | 誇張、断定、競合批判、法的に危うい表現がないか |
| 情報管理 | 社外秘、個人情報、顧客情報が混ざっていないか |
利用者向けの実用プロンプト例
公開製品ページから営業資料を作る
以下のWebページを参考に、既存顧客向けの営業提案資料を作成してください。
目的:
新機能の価値を短時間で説明し、商談後の検討材料にしてもらう
対象:
情報システム部門の課長、現場の業務改善担当者
構成:
1. 課題提起
2. 新機能の概要
3. 業務での活用例
4. 導入時の確認事項
5. 次のアクション
条件:
10枚以内
専門用語は使いすぎない
Webページに書かれていない内容は「要確認」とする
競合比較のたたき台を作る
以下の公開Webページを参考に、競合比較の社内検討用スライドを作成してください。
比較観点:
対象ユーザー
主な機能
価格やプランに関する公開情報
強みとして訴求している点
当社が提案時に確認すべき論点
注意:
推測は推測として分ける
競合を断定的に批判しない
数値やプラン名は原文確認が必要であることを明記する
イベント告知スライドを作る
以下のイベントページを参考に、社内告知用のPowerPoint資料を作成してください。
対象:
営業部門とカスタマーサクセス部門
目的:
イベントの概要、参加メリット、事前準備を共有する
スライド:
5枚程度
1枚目: イベント概要
2枚目: 注目セッション
3枚目: 参加すべき人
4枚目: 参加前に準備すること
5枚目: 参加後のアクション
注意:
開催日時、登壇者、参加方法は変更される可能性があるため、確認が必要な項目として扱う
移行・展開で大きな作業は必要か
この更新自体は、既存ファイルの移行やPowerPoint資料の変換を求めるものではありません。必要なのは、技術的な移行よりも運用ルールの整備です。
特に、次の3つは早めに決めておくべきです。
| 決めること | 理由 |
|---|---|
| Web参照を許可するユーザー範囲 | 機密度の高い部署では慎重な展開が必要なため |
| 生成資料のレビュー手順 | 公開資料や顧客向け資料で誤情報を避けるため |
| 問い合わせ対応フロー | 機能表示、ライセンス、Web検索ポリシーの切り分けが必要なため |
小規模に始めるなら、営業企画やマーケティングなど、公開情報を扱う機会が多い部門から試すのが現実的です。社外秘情報や規制対象情報を扱う部門は、Web検索ポリシーを含めて慎重に適用範囲を決めてください。
よくある疑問
この機能は自動的に全ユーザーで使えるのか
公式ロードマップ上ではLaunchedですが、実際に使えるかどうかは、ライセンス、対象アプリ、テナントへの展開状況、管理者ポリシーによって変わります。まずはPowerPoint for the webで対象ユーザーに表示されるか確認してください。
Web検索を無効にしていると使えないのか
Webページ参照に関わるため、CopilotのWeb検索設定が影響する可能性があります。Microsoftは、Allow web search in Copilotポリシーにより、Microsoft 365 CopilotとMicrosoft 365 Copilot ChatのWeb検索を管理できると説明しています。(Microsoft Learn)
Webページの内容は安全に扱われるのか
Microsoftの説明では、生成された検索クエリはユーザーやテナントの識別子を除いてBing検索サービスへ送信されます。また、生成されたWeb検索クエリはBingの改善、広告プロファイル作成、ユーザー追跡、広告主との共有、生成AI基盤モデルの学習には使われないとされています。ただし、Web検索クエリの扱いにはMicrosoft 365内のプロンプトや応答とは異なる注意点があるため、機密性の高い語句を含むプロンプトの扱いには注意が必要です。(Microsoft Learn)
開発者がこの機能をAPIから利用できるのか
このRoadmap IDはPowerPointのAgent Modeにおけるユーザー向け機能としての更新であり、APIや開発者向け拡張機能の追加を示すものではありません。Copilot Studio、宣言型エージェント、PowerPointアドインなどと連携したい場合は、それぞれの公式ドキュメントと提供APIを別途確認してください。
まず取るべきアクション
Microsoft 365 CopilotのPowerPoint Agent ModeでWebページ参照が使えるようになることで、公開情報をもとにしたプレゼン作成はかなり効率化できます。特に、営業資料、製品説明、イベント告知、競合調査、社内勉強会資料の初稿作成では効果が出やすい更新です。
管理者は、まず次の順で確認すると無駄がありません。
- Roadmap ID 555898が自社に関係する更新か確認する
- PowerPoint for the webで対象ユーザーにAgent ModeとWebページ参照が表示されるか確認する
- Allow web search in Copilotポリシーを確認する
- 公開情報を使う部門で小さくパイロット展開する
- 出典確認、機密情報、レビュー手順を社内ルール化する
この機能は「資料作成を任せきる機能」ではなく、「Web上の公開情報を使った初稿作成を速くする機能」と考えると導入しやすくなります。最初は用途を絞り、出力品質とリスクを確認しながら展開範囲を広げるのが、実務では最も安全です。

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