Microsoft 365 Copilot SearchでCopilot Chatが右ペイン対応へ|変更点と管理者の確認事項

Microsoft 365 Copilotの「Copilot Search」を使っている最中に、右側のサイドペインからCopilot Chatを利用できるようになります。結論として、この更新は検索結果を見ながら、その場で要約・追加質問・次の作業に進めるようにするUI改善です。ページを切り替えずにチャットできるため、利用者には作業効率の向上が期待できます。一方で管理者は、ライセンス、検索対象データ、SharePointやコネクタの権限、Web検索ポリシー、ユーザー教育を事前に確認しておくべきです。

今回の対象は、Microsoft 365 Roadmap ID 537281「Copilot Chat available when using Copilot Search」です。Microsoftの公式情報では、Microsoft 365 CopilotユーザーがMicrosoft 365 Copilotアプリ内のCopilot Searchを利用する際、右側のサイドペインからCopilot Chatを使えるようになると説明されています。一般提供は2026年4月予定、対象はWorldwideの標準マルチテナント、プラットフォームはDesktopとWeb、ステータスはRolling outです。(Microsoft)

目次

Microsoft 365 CopilotのCopilot Search更新で変わること

今回の変更点は、Copilot SearchとCopilot Chatの行き来を減らすことです。

これまでは、検索結果を確認した後に、別画面や別タブでCopilot Chatを開き、検索で見つけた情報をもとに追加質問する流れになりがちでした。更新後は、Copilot Searchの検索結果を見ながら、右側のサイドペインでCopilot Chatに質問できます。

たとえば、次のような使い方がしやすくなります。

利用シーン従来の困りごと更新後に期待できる使い方
社内資料を探す検索結果を開いて、別途Copilot Chatで要約を依頼する必要があった検索結果を見ながら、右ペインで「この資料の要点をまとめて」と依頼できる
会議前の情報収集関連ファイル、メール、チャットを個別に確認しがち検索結果を起点に「次の会議で確認すべき論点は?」と続けて聞ける
社内用語の確認検索結果から定義を探し直す必要があった検索しながら「この略語を新任者向けに説明して」と依頼できる
提案書作成検索と文章作成の画面を切り替える必要があった関連情報を見ながら、チャットで構成案や確認事項を作れる

ポイントは、Copilot Chat自体の単独機能追加というより、Copilot Searchの利用体験にチャットを組み込む変更であることです。Microsoft 365 Copilot Searchは、Microsoft 365アプリやサードパーティデータソースを横断して検索できるAIベースのユニバーサル検索として位置付けられており、検索からチャットへ自然に移れる設計が説明されています。(Microsoft Learn)

対象ユーザーと影響範囲

今回の更新は、すべてのMicrosoft 365利用者に一律で表示されるものではありません。公式情報上の対象は、Microsoft Copilot(Microsoft 365)、つまりMicrosoft 365 Copilotの利用者です。

項目内容
機能名Copilot Chat available when using Copilot Search
Roadmap ID537281
対象サービスMicrosoft Copilot(Microsoft 365)
主な変更Copilot Search利用中に右側サイドペインからCopilot Chatを利用可能にする
一般提供予定2026年4月
リリースフェーズGeneral Availability
ステータスRolling out
対象プラットフォームDesktop、Web
対象クラウドWorldwide(Standard Multi-Tenant)

特に影響を受けるのは、次のようなユーザーです。

  • Microsoft 365 Copilotアプリで日常的に社内検索を使うユーザー
  • SharePoint、OneDrive、Teams、Outlook、外部コネクタの情報を横断して探すユーザー
  • 検索結果をもとに、要約、比較、説明文、議事録、提案書の下書きを作るユーザー
  • 情報システム部門、セキュリティ部門、データ管理部門

利用者にとっては便利な変更ですが、管理者側から見ると「検索で見つかる情報を、そのままCopilot Chatで深掘りしやすくなる」という意味を持ちます。つまり、これまで以上に検索対象データの権限設計と情報整理の品質が重要になります。

Copilot SearchとCopilot Chatの違いを整理

今回の更新を正しく理解するには、Copilot SearchとCopilot Chatの役割を分けて考える必要があります。

機能主な目的得意なこと注意点
Copilot Search必要な情報を素早く探すファイル、メール、チャット、会議、外部コネクタなどの検索検索結果の品質は権限、メタデータ、ファイル整理に左右される
Copilot Chat情報をもとに会話・生成・整理する要約、比較、質問、下書き作成、次のアクション整理参照できる情報はライセンス、設定、権限、モードに依存する
今回の更新検索中にチャットできるようにする検索結果を見ながら追加質問できる利用者が見えてはいけない情報を見つけないよう、事前の権限確認が重要

Microsoftの説明でも、Copilot Searchは「必要な結果を見つける」用途、Copilot Chatは「より深い回答、コンテンツ作成、タスク実行」に向くものとして整理されています。(Microsoft Learn)

実務では、次のように使い分けると分かりやすいです。

「資料がどこにあるか知りたい」ならCopilot Search。
「その資料を読んで、会議用に3点でまとめたい」ならCopilot Chat。
「検索結果を見ながら、その場で要約や追加確認をしたい」なら今回の右側サイドペインが役立ちます。

利用者にとってのメリット

画面を切り替えずに追加質問できる

最大のメリットは、検索結果とチャットを同じ作業の流れで扱えることです。

たとえば、営業担当者が「A社 価格改定 提案書」と検索したとします。検索結果に過去の提案書、Teamsチャット、関連メールが出てきた場合、右ペインのCopilot Chatで次のように聞けます。

  • 「この検索結果から、最新の提案方針を3点でまとめて」
  • 「古い情報と新しい情報が混ざっていないか確認して」
  • 「次回商談で確認すべき質問を作って」
  • 「部長向けに1分で説明できる要約にして」

検索とチャットが分断されないため、情報収集から資料作成までの流れが短くなります。

検索結果の文脈を保ったまま作業できる

業務検索では、単にファイル名が分かればよい場面ばかりではありません。

「この資料は最新版なのか」
「このメールの決定事項は、どの会議で決まったのか」
「似た資料が複数あるが、どれを参照すべきか」

このような確認には、検索結果を見た直後の文脈が重要です。サイドペインでCopilot Chatを使えるようになると、利用者は検索の流れを保ったまま深掘りできます。

新入社員や異動者のオンボーディングにも使いやすい

Copilot Searchは、社内用語、担当者、プロジェクト名、関連資料を探す用途にも向いています。右ペインでCopilot Chatを使えると、新入社員や異動者は「この略語は何?」「このプロジェクトの背景を初心者向けに説明して」と聞きやすくなります。

ただし、社内用語や重要リンクを正しく表示したい場合は、管理者がブックマークや略語を整備しておくことが重要です。Microsoft 365管理センターのCopilot Search管理機能では、ブックマーク、略語、検索結果、フィルター、利用状況などを管理できると説明されています。(Microsoft Learn)

管理者が最初に確認すべきポイント

今回の更新は、基本的にはユーザー体験の改善です。ただし、管理者が何も確認しなくてよいという意味ではありません。

Microsoft 365 Copilot Searchは、対象ライセンスを持つユーザーであればMicrosoft 365 Copilotアプリ内に表示され、管理者やユーザーによる追加セットアップは不要とされています。(Microsoft Learn) そのため、展開前に「どのユーザーに表示されるか」「検索対象に何が含まれるか」を把握しておくことが重要です。

確認項目確認内容放置した場合のリスク
ライセンスMicrosoft 365 Copilot対象ユーザーを把握する想定外の部署で機能が使われ、問い合わせが増える
SharePoint/OneDrive権限広すぎる共有、全社公開サイト、古い権限を確認する検索とチャットで不要な情報が見つかりやすくなる
コネクタJira、Confluence、Google Driveなど外部データ連携の範囲を確認する外部システムの情報が意図せず検索対象になる可能性がある
ブックマーク・略語社内ポータル、申請手順、略語辞書を整備する誤った情報や古い資料が上位に出やすくなる
Web検索ポリシーCopilotでWeb検索を許可するか確認する社内ポリシーとCopilotの動作がずれる
ユーザー教育検索結果を鵜呑みにしない、機密情報を扱う際の注意点を周知する誤要約、古い情報の利用、過信につながる

SharePointとOneDriveの権限確認は必須

Copilot SearchとCopilot Chatの連携が便利になるほど、重要になるのがSharePointとOneDriveの権限管理です。

Copilotは、ユーザーがアクセス権を持つ情報をもとに動作します。そのため「Copilotが新たに権限を突破する」というより、もともと広く共有されていた情報が見つけやすくなる点に注意が必要です。

特に確認すべき場所は次のとおりです。

  • 「全員」や「組織内のすべてのユーザー」に共有されているサイト
  • 退職者や異動者が所有していた古い共有フォルダー
  • プロジェクト終了後も公開範囲が見直されていないTeams/SharePointサイト
  • 経営資料、人事資料、評価資料、法務資料が含まれるライブラリ
  • 外部共有が有効なフォルダー
  • ラベルや保持ポリシーが未整備のファイル

Microsoftは、Restricted Content DiscoveryやRestricted SharePoint Searchなど、検索やCopilot体験でのコンテンツ露出を制御する考え方も示しています。Restricted SharePoint Searchでは、組織全体の検索とCopilot体験に含めるSharePointサイトを管理者が選んだサイトに制限できます。(Microsoft Learn)

実務では、まず全社公開に近いサイトから棚卸しするのが現実的です。いきなり全サイトを完璧に整理しようとすると進まないため、機密度の高い部門から優先順位を付けましょう。

Web検索ポリシーとチャットの動作も確認する

Copilot Chatが検索画面の右側に表示されると、ユーザーは検索結果を見ながら自然に追加質問します。このとき、Web検索が有効かどうかによって、回答に含まれる情報の範囲が変わる場合があります。

Microsoftの公式ドキュメントでは、CopilotにおけるWeb検索は「Allow web search in Copilot」ポリシーで制御でき、このポリシーはMicrosoft 365 CopilotとMicrosoft 365 Copilot Chatの両方に適用されると説明されています。(Microsoft Learn)

管理者は、次の判断をしておく必要があります。

判断項目推奨される考え方
Web検索を許可するか業務上、最新の公開情報が必要な部署と、社内情報中心の部署を分けて検討する
Work modeとWeb modeの扱い社内データを扱う場面と公開Web情報を扱う場面の違いをユーザーに説明する
ログ・監査Copilotのプロンプト、応答、Web検索クエリの監査方針を確認する
機密情報の入力ルール未公開情報、個人情報、顧客機密を不用意にプロンプトへ含めないルールを周知する

特に、経営企画、法務、人事、研究開発、M&A関連部門では、Web検索を含むCopilot利用ルールを明文化しておくと安全です。

開発者・情シス担当が見るべきコネクタと外部データ

Copilot SearchはMicrosoft 365内のデータだけでなく、コネクタ経由の外部データも検索対象になり得ます。Microsoftのドキュメントでは、Microsoft Catalogの100以上のコネクタ、カスタムコネクタ、ISVコネクタに触れられています。(Microsoft Learn)

開発者や情シス担当は、次の観点で確認しましょう。

対象確認ポイント
Jira、Azure DevOpsチケットのコメントに顧客名、障害情報、未公開仕様が含まれていないか
Confluence、社内Wiki古い手順書や非推奨情報が検索上位に出ないよう整理されているか
Google DriveMicrosoft 365側の権限設計と整合しているか
ServiceNowインシデント、ナレッジ、申請情報の公開範囲が適切か
GitHubプライベートリポジトリ、Issue、Pull Requestの参照範囲が適切か
カスタムコネクタ権限トリミング、インデックス対象、更新頻度、削除反映が正しく設計されているか

失敗しやすいのは、「検索できると便利だから」と対象データを広げすぎることです。Copilot Searchの価値は、検索対象を増やすだけでは高まりません。正しい人に、正しい情報が、正しい鮮度で出ることが重要です。

展開前にやるべき準備手順

今回の更新に備えるなら、次の順番で確認すると実務に落とし込みやすくなります。

手順作業内容担当の例
1Microsoft 365 Copilotの対象ユーザーと部署を確認するMicrosoft 365管理者
2Copilot Searchをよく使う部署を洗い出す情シス、業務部門
3SharePoint/OneDriveの広すぎる共有を確認するSharePoint管理者、セキュリティ担当
4ブックマークと略語を整備する情シス、総務、広報、人事
5外部コネクタの検索対象と権限を確認する開発者、システム管理者
6Web検索ポリシーと監査方針を確認するセキュリティ、コンプライアンス
7パイロットユーザーに操作手順と注意点を共有する情シス、DX推進担当
8問い合わせ内容をもとにFAQを整備するヘルプデスク

最初から全社展開を前提にするより、情報検索の頻度が高い部署でパイロット利用し、検索結果の品質や問い合わせ内容を確認する進め方が現実的です。

ユーザー向けに周知すべき使い方

ユーザーには、機能説明だけでなく「どう使えば仕事が楽になるか」を伝えると定着しやすくなります。

たとえば、次のような案内が有効です。

やりたいことCopilot Searchで検索する例右ペインのCopilot Chatで聞く例
会議前に状況を把握する「Aプロジェクト 進捗 会議資料」「この検索結果から、未解決の論点を3つ挙げて」
過去提案を再利用する「B社 提案書 2025」「最新の提案で使えそうな要素を抜き出して」
社内手順を確認する「経費精算 申請方法」「新入社員向けに手順を短く説明して」
障害対応を振り返る「障害報告 API 先月」「再発防止策として確認すべき項目を整理して」
資料作成を始める「四半期レビュー 売上 資料」「役員向けの説明構成を作って」

ただし、ユーザーには次の注意点も伝えるべきです。

  • Copilotの回答は必ず元資料や引用元を確認する
  • 検索結果に古い資料が混ざることがある
  • 機密情報や個人情報をむやみにプロンプトへ入力しない
  • 「全社公開されているから使ってよい」とは限らない
  • 判断が必要な内容は、担当部門や責任者に確認する

Copilotは作業を速くする道具ですが、最終判断を自動化するものではありません。特に契約、法務、人事、財務、セキュリティに関わる内容は、人による確認を残す運用が必要です。

よくある失敗と回避策

古い資料が検索・要約されてしまう

Copilot Searchで古い資料が見つかり、Copilot Chatでそのまま要約されると、ユーザーが誤って古いルールを使う可能性があります。

回避策は、ファイル名や保存場所だけに頼らず、最新版の置き場を決めることです。社内ポータル、業務手順、テンプレート、規程類は、ブックマークで公式リンクを目立たせると効果的です。

権限が広すぎるファイルが見つかりやすくなる

Copilotの導入でよく起きる問題は、AIそのものではなく、既存の権限設定の甘さが表面化することです。

回避策は、機密度の高いサイトから共有設定を見直すことです。特に「リンクを知っている組織内ユーザー」「全員」「Everyone except external users」のような共有範囲は優先的に確認しましょう。

ユーザーがCopilotの回答をそのまま使う

Copilot Chatが検索画面の横にあると、回答をすぐコピーして資料に使いやすくなります。便利な一方で、誤った要約や文脈違いの回答が混ざる可能性があります。

回避策は、周知文に「回答を使う前に元資料を確認する」「重要文書では担当者レビューを入れる」と明記することです。

ヘルプデスクへの問い合わせが増える

UI変更後は、「右側のCopilot Chatが出ない」「部署によって表示が違う」「検索結果が人によって違う」といった問い合わせが出やすくなります。

回避策は、事前にFAQを作ることです。特に、ライセンス、対象プラットフォーム、権限による検索結果の違い、Web版とデスクトップ版の違いは説明しておくと問い合わせを減らせます。

管理者向けチェックリスト

展開前に、最低限次の項目を確認しておきましょう。

チェック項目確認済み
Microsoft 365 Copilotの割り当てユーザーを把握している
Desktop/Webでの利用対象をヘルプデスクが説明できる
SharePointの全社公開サイトを棚卸しした
OneDriveの広すぎる共有を確認した
Teamsに紐づくSharePointサイトの権限を確認した
重要な社内リンクをブックマークとして整備した
社内略語をCopilot Search向けに整備した
外部コネクタの対象データと権限を確認した
Web検索ポリシーを確認した
Copilot利用時の機密情報入力ルールを周知した
パイロットユーザーから検索結果の品質を確認した
FAQと問い合わせ窓口を用意した

今回の更新は「検索の先にある作業」を速くする変更

今回の「Copilot Chat available when using Copilot Search」は、派手な新機能というより、Microsoft 365 Copilotの日常利用を大きく変える導線改善です。検索結果を見て終わりではなく、その場で要約し、比較し、確認事項を洗い出し、次の資料作成につなげやすくなります。

管理者が特に見るべきなのは、Copilot Chatの右ペイン表示そのものではありません。重要なのは、Copilot Searchで見つかる情報の品質と権限が適切かです。

まずは、Microsoft 365 Copilotの対象ユーザーを確認し、SharePoint/OneDriveの権限、外部コネクタ、ブックマーク、略語、Web検索ポリシーを見直しましょう。そのうえで、情報検索の多い部署から試験的に使い、実際の検索結果とユーザーの使い方を確認するのが安全です。

この更新をうまく活用できれば、社内検索は「ファイルを探す作業」から「必要な情報を理解し、次の行動に進む作業」へ近づきます。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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