SharePointで、管理者や業務オーナーが承認済みのWordテンプレートを一元管理し、利用者がフォームに入力するだけで契約書・提案書を生成する運用は可能です。利用するのは、SharePointの「Structured Document Generation with Forms」と呼ばれる機能です。
ただし、2026年7月20日時点では正式提供前です。Microsoft 365 Roadmap ID 545896は「In development」とされ、一般提供は2026年9月に予定されています。一方、Microsoft Learnではすでにパブリックプレビュー向けの設定方法が公開されています。そのため、現時点で利用できるかどうかは、テナントへの展開状況、Microsoft 365 Copilotライセンス、SharePointの権限、管理者による利用範囲の設定で決まります。(Microsoft)
SharePointのフォームによる文書自動生成でできること
Structured Document Generation with Formsでは、SharePoint文書ライブラリにあるWord文書をテンプレート化し、ブラウザーで入力できるフォームへ変換します。
基本的な流れは次のとおりです。
承認済みWordテンプレート → 入力項目の設定 → フォーム公開 → 利用者が入力 → WordまたはPDF生成 → SharePointへ保存
利用者がフォームを送信すると、入力値がテンプレート内の指定箇所へ差し込まれ、新しい文書が生成されます。固定された文章やレイアウトはテンプレート側で維持されるため、担当者がWordファイルをコピーして手作業で書き換える運用よりも、表記揺れや旧版テンプレートの使用を抑えやすくなります。(Microsoft Learn)
主な用途には、次のような文書があります。
- 契約書、秘密保持契約書、業務委託契約書
- 見積書、提案書、入札関係書類
- 発注書、支払依頼書
- 採用通知書、在職証明書
- 顧客向け案内文、社内申請文書
ここでいうフォームは、SharePoint文書ライブラリのコマンドバーにある「Forms」から作成する「Document generation form」です。通常のMicrosoft Formsでアンケートを作り、Power AutomateでWordへ転記する方式とは、作成場所や文書管理の仕組みが異なります。(Microsoft Learn)
Roadmap ID 545896の提供状況
2026年7月20日時点のMicrosoft公式ロードマップAPIでは、次の内容が登録されています。
| 項目 | 公式情報 |
|---|---|
| Roadmap ID | 545896 |
| 機能名 | Structured Document Generation with Forms |
| 状態 | In development |
| 対象製品 | SharePoint、Microsoft Copilot(Microsoft 365) |
| プラットフォーム | Desktop、Web |
| 対象クラウド | Worldwide(Standard Multi-Tenant) |
| リリース段階 | Preview、General Availability |
| 一般提供予定 | 2026年9月 |
| 最終更新 | 2026年7月10日 |
ロードマップにはPreviewとGeneral Availabilityの両方がリリース段階として登録されていますが、API上の一般提供日は2026年9月、プレビュー提供日は未設定です。別のMicrosoft Learn文書では、Copilot in SharePointのオプトアウト型プレビューが2026年6月中旬から展開されると案内されています。
したがって、「プレビューと一般提供が両方とも2026年9月に始まる」と断定するより、プレビューは対象テナントへ展開中で、一般提供は2026年9月予定と整理するのが正確です。(Microsoft)
また、この項目は障害や既知の不具合ではありません。そのため、「解決済み」「未解決」といった状態で判断する対象ではなく、ロードマップ上の「開発中」「展開中」「提供済み」で確認します。現時点の状態は「In development」です。(Microsoft)
テンプレートを一元管理できる範囲
管理者や業務オーナーは、契約書や提案書のテンプレートをSharePoint文書ライブラリで管理できます。利用者にはテンプレートそのものを直接編集させず、公開されたフォームだけを案内する運用が可能です。
ただし、「一元管理」の範囲には注意が必要です。
公式文書で説明されているのは、文書ライブラリに関連付けられたフォームとテンプレートの管理です。各フォームとテンプレートは1対1で関連付けられます。現時点では、テナント全体の全サイトへ単一テンプレートを自動配布するグローバルテンプレートカタログとしての動作までは明記されていません。(Microsoft Learn)
実務では、次のような専用サイトを作ると管理しやすくなります。
- 契約書作成ポータル
- 営業提案書作成サイト
- 人事通知書作成サイト
- 総務文書テンプレートサイト
専用サイト内に、テンプレート、生成文書、運用ルールをまとめます。テンプレートの編集権限は少人数に限定し、一般利用者にはフォームリンクだけを公開する構成が適しています。
利用に必要なライセンスと権限
役割ごとに必要な条件が異なります。
| 役割 | 必要な条件 |
|---|---|
| SharePoint管理者 | Copilot in SharePointの利用範囲やサイト設定を管理 |
| テンプレート作成者 | Microsoft 365 Copilotライセンス、文書ライブラリの編集権限 |
| フォーム送信者 | 公開されたフォームへのアクセス |
| 生成文書の閲覧者 | 保存先ライブラリまたは生成文書への閲覧権限 |
| 承認者 | 生成文書への閲覧・編集権限と、必要に応じて承認フローへのアクセス |
テンプレートを作成・設定するユーザーには、Microsoft 365 Copilotライセンスと文書ライブラリの編集権限が必要です。元になるファイルはWord形式の.docxでなければなりません。(Microsoft Learn)
一方、公開済みフォームから文書を生成する利用者には、Microsoft 365 Copilotライセンスは必須ではありません。Microsoft公式ブログでは、フォームやワークフローの構築にはCopilotライセンスが必要ですが、テンプレートから文書を生成する利用者には不要と説明されています。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)
なお、フォームを送信できることと、生成後の文書を閲覧できることは別です。利用者は保存先ライブラリへのアクセス権がなくてもフォームを送信できますが、完成した文書を見るには別途閲覧権限が必要です。(Microsoft Learn)
SharePointで契約書・提案書のフォームを作成する手順
Wordテンプレートを準備する
最初に、組織として承認済みのWordテンプレートを用意します。
変動する箇所には、次のような目印を付けておくと、Copilotによる項目検出の精度を高めやすくなります。
契約先:{契約先名}
契約開始日:{契約開始日}
契約金額:{契約金額}
業務内容:{業務範囲}
Microsoftも、{}や[]などで入力箇所を明示したWord文書を推奨しています。Copilotは文書構造を分析し、氏名、日付、住所、役割などの候補項目を自動検出します。(Microsoft Learn)
ただし、AIが検出した項目をそのまま公開するのは避けます。次の点を人が確認してください。
- 固定文言が誤って入力項目になっていないか
- 同じ値を入れる箇所が正しく関連付けられているか
- 契約条項の一部が入力者によって変更可能になっていないか
- 必須項目が漏れていないか
- 金額、日付、メールアドレスのデータ型が適切か
文書ライブラリからフォームを作成する
フォームの作成手順は次のとおりです。
- 対象のSharePoint文書ライブラリを開きます。
- コマンドバーの「Forms」を選択します。
- 「Document generation form」を選択します。
- 必要に応じて、生成文書を保存する対象フォルダーを作成します。
- テンプレートにするWord文書を指定します。
- Copilotが検出した入力項目を確認します。
- 項目名、説明、必須設定、データ型、初期値を設定します。
- テンプレート内の挿入位置を確認します。
- 「Publish and open in Forms」で公開します。
テンプレートは、現在のSharePoint文書ライブラリ、OneDrive、ローカル端末から選択できます。生成された文書は、フォームに関連付けたSharePointフォルダーへ保存されます。(Microsoft Learn)
入力項目のデータ型を設定する
公式文書で案内されている主な項目型は次のとおりです。
| 項目型 | 契約書・提案書での利用例 |
|---|---|
| 1行テキスト | 契約先名、案件名、担当部署 |
| 複数行テキスト | 業務範囲、提案概要、特記事項 |
| 数値 | 数量、契約番号の一部 |
| 通貨 | 契約金額、見積金額 |
| 日付と時刻 | 契約開始日、提出期限 |
| ハイパーリンク | 仕様書、案件管理ページ |
| メール | 担当者のメールアドレス |
| 選択肢 | 契約種別、提案プラン、対象地域 |
| 画像 | 会社ロゴ、承認済み画像 |
| SharePointリスト | 取引先マスター、案件マスター |
SharePointリスト型を使うと、別のSharePointリストに登録された値を選択させられます。取引先名や部門名を自由入力にせず、管理済みのマスターから選ばせたい場合に有効です。(Microsoft Learn)
同じ文書ライブラリ内の複数フォームで共通する項目は、既存のSharePoint列として再利用できます。たとえば、複数の契約書フォームで「契約先名」列を共有すれば、重複した列の増加や名称の揺れを防げます。共有中の列は、フォーム側から列名やデータ型を自由に変更できない点に注意してください。(Microsoft Learn)
条件によって条項やセクションを切り替える
条件付きセクションを設定すると、フォームの回答によって文書に含める部分を変更できます。
たとえば、次のような使い分けが考えられます。
- 契約種別が「秘密保持契約」の場合だけ秘密保持条項を表示
- 対象地域が「日本」の場合だけ日本向けの条項を表示
- 提案プランが「保守付き」の場合だけ保守サービスの説明を表示
- 自動更新が「あり」の場合だけ更新条項を表示
条件は上から順に評価され、複数条件をANDまたはORで組み合わせられます。複雑な法的判断までフォームへ持たせるのではなく、選択肢が明確な定型分岐に限定するのが安全です。(Microsoft Learn)
出力形式とファイル名を設定する
公開後のフォームでは、生成ファイルの形式としてWordまたはPDFを選択できます。
ファイル名には、固定文字と必須項目を組み合わせたパターンを設定できます。
契約書_{契約先名}_{契約開始日}
提案書_{案件名}_{提出日}
ファイル名に挿入できるのは必須項目です。契約先名や案件名をファイル名へ含める場合は、フォーム上でも必須項目に設定しておきます。(Microsoft Learn)
生成文書には、一意の参照番号も自動的に付与されます。参照番号はサイト内で重複せず、ファイルを移動またはコピーしても維持されます。再生成した文書には新しい参照番号が割り当てられます。
参照番号には、年度や部門などの接頭辞・接尾辞を組み合わせられます。
LEGAL-2026-0001
SALES-2026-0001
契約書管理番号とファイル名を分けて管理したい組織に適した仕組みです。(Microsoft Learn)
フォームを公開して利用者へ共有する
公開したフォームのリンクは、次の場所で共有できます。
- SharePointサイトページ
- Microsoft Teams
- Outlook
- SharePointエージェント
- 社内ポータル
フォームを再公開してもリンクは変わりません。利用者は同じURLから最新の公開版を利用できます。社内ポータルに「契約書作成」「提案書作成」といったボタンを設置しておけば、旧テンプレートを探してコピーする運用を減らせます。(Microsoft Learn)
契約書フォームの具体的な設計例
業務委託契約書を作成する場合、次のような項目構成が考えられます。
| フォーム項目 | データ型 | 必須 | 設計上の注意 |
|---|---|---|---|
| 契約先名 | 1行テキストまたはSharePointリスト | 必須 | 取引先マスターがあればリスト選択にする |
| 契約種別 | 選択肢 | 必須 | 条件付き条項の判定に利用 |
| 契約開始日 | 日付と時刻 | 必須 | ファイル名にも使用可能 |
| 契約終了日 | 日付と時刻 | 必須 | 自動更新契約では運用ルールを決める |
| 契約金額 | 通貨 | 必須 | 税込・税別を項目名で明示 |
| 業務範囲 | 複数行テキスト | 必須 | 入力例と最大粒度を説明文に記載 |
| 自動更新 | 選択肢 | 必須 | 「あり」「なし」に統一 |
| 担当者メール | メール | 必須 | 通知や承認フローに利用 |
| 関連案件 | SharePointリスト | 任意 | 案件管理リストと関連付ける |
契約書では、入力者が変更してよい部分と、法務・総務だけが変更できる固定部分を明確に分けることが重要です。契約条項全体を複数行テキストとして入力させるのではなく、案件固有の業務範囲や金額だけを可変項目にします。
自動生成された文書をそのまま締結版にせず、承認前の「ドラフト」として扱う設計も必要です。文書生成、法務確認、承認、電子署名は、それぞれ別の工程として整理してください。
提案書フォームの具体的な設計例
提案書では、次のような構成が使いやすくなります。
| フォーム項目 | 利用方法 |
|---|---|
| 顧客名 | 表紙、ヘッダー、ファイル名へ差し込み |
| 案件名 | 表紙と管理用メタデータへ差し込み |
| 顧客課題 | 課題整理セクションへ差し込み |
| 提案プラン | 条件付きセクションの判定に利用 |
| 提案概要 | エグゼクティブサマリーへ差し込み |
| 金額 | 見積概要へ差し込み |
| 導入予定日 | スケジュールへ差し込み |
| 営業担当メール | 生成後の通知に利用 |
| 会社ロゴ | 表紙へ画像として差し込み |
プランごとに説明内容が大きく異なる場合は、1つのフォームへ複雑な条件を詰め込むより、「標準プラン提案書」「個別開発提案書」などにフォームを分けた方が管理しやすくなります。
公開後のテンプレートを更新する方法
公開済みフォームでは、項目の構造を直接変更できません。
項目の追加、削除、データ型変更などを行う場合は、次の手順で更新します。
- SharePointのフォーム画面からテンプレートをWordで開きます。
- 「Manage templates」ペインで「Edit template」を選択します。
- 項目や条件付きセクションを修正します。
- 「Publish and open in Forms」で再公開します。
- テスト送信して生成結果を確認します。
項目の表示・非表示、テーマ、回答受付の停止、通知設定など、構造に影響しない変更はSharePointのフォーム画面から行えます。再公開後もフォームリンクは維持されます。(Microsoft Learn)
フォームを削除しても、元のテンプレートは保持されます。また、文書ライブラリの「Forms」メニューから、フォームの編集、削除、回答受付の開始・停止を管理できます。(Microsoft Learn)
管理者がCopilot in SharePointの利用範囲を設定する方法
2026年6月中旬以降のプレビューはオプトアウト方式で展開され、対象テナントでは原則として管理者による事前の有効化操作は不要です。ただし、以前にテナントまたは特定サイトを除外していた場合、その設定は維持されます。(Microsoft Learn)
プレビュー期間中は、SharePoint Online Management ShellのKnowledgeAgentScopeを使って、利用可能なサイトを制御できます。
| 値 | 動作 |
|---|---|
AllSites | すべてのサイトで利用可能 |
IncludeSelectedSites | 指定したサイトだけで利用可能 |
ExcludeSelectedSites | 指定したサイト以外で利用可能 |
NoSites | すべてのサイトで利用不可 |
最初は専用の検証サイトだけを対象にする方法が安全です。
# SharePoint Online Management Shellを更新
Update-Module -Name Microsoft.Online.SharePoint.PowerShell
# 管理センターへ接続
Connect-SPOService https://contoso-admin.sharepoint.com
# 現在の設定を確認
Get-SPOTenant |
Select-Object KnowledgeAgentScope, KnowledgeAgentSelectedSitesList
# 指定したサイトだけで利用可能にする
Set-SPOTenant -KnowledgeAgentScope IncludeSelectedSites
# 検証サイトを指定
Set-SPOTenant `
-KnowledgeAgentSelectedSitesList @(
"https://contoso.sharepoint.com/sites/document-generation"
)
# 設定結果を確認
Get-SPOTenant |
Select-Object KnowledgeAgentScope, KnowledgeAgentSelectedSitesList
公式文書では、SharePoint Online Management Shell 16.0.26615.12013以降が案内されています。指定サイトの一覧は最大100件で、マルチジオ環境ではジオごとに設定が必要です。(Microsoft Learn)
KnowledgeAgentScopeパラメーターが見つからない場合は、古いSharePoint Online Management Shellや複数バージョンの競合が考えられます。モジュールを更新し、次のコマンドでインストール済みバージョンを確認します。
Get-Module -Name Microsoft.Online.SharePoint.PowerShell -ListAvailable |
Select-Object Name, Version, Path
複数バージョンが残っている場合は、古いモジュールを整理してPowerShellを再起動します。(Microsoft Learn)
機能が表示されない場合の確認方法
SharePoint文書ライブラリに「Forms」や「Document generation form」が表示されない場合は、次の順番で確認します。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| ロードマップ | Roadmap ID 545896が開発中・展開中・提供済みのどれか |
| テナント展開 | 対象テナントへプレビューが届いているか |
| Copilot設定 | KnowledgeAgentScopeで対象サイトが除外されていないか |
| ライセンス | テンプレート作成者にMicrosoft 365 Copilotライセンスがあるか |
| SharePoint権限 | 作成者に文書ライブラリの編集権限があるか |
| ファイル形式 | テンプレートが.docxか |
| クラウド環境 | Worldwide Standard Multi-Tenantか |
| サイト設定 | Restricted Content Discoveryが有効になっていないか |
| モジュール | 管理用PowerShellが必要なバージョンか |
Restricted Content Discoveryが有効なサイトでは、Copilot in SharePointやAIアクションが表示されません。KnowledgeAgentScopeで許可していても、この設定が優先されます。(Microsoft Learn)
また、Copilot in SharePointのプレビューは、GCC、GCC High、DoD、閉域クラウド、21Vianet運用環境では現時点でサポートされていません。(Microsoft Learn)
生成後の承認や通知をPower Automateで自動化する
フォーム送信後の処理は、SharePointルールやPower Automateと組み合わせられます。
想定できる処理には次のものがあります。
- 新しい契約書が生成されたら法務担当者へ通知
- 契約金額や契約種別に応じて承認先を変更
- 承認済み文書を別フォルダーへ移動
- 顧客名や年度に応じて保存先を整理
- 生成文書の情報を案件管理システムへ連携
- 承認完了後に担当者へTeams通知を送信
プレビュー版のSharePointコネクタには、「Form submitted」「Get form metadata」「Generate document from form」に相当するトリガーやアクションが用意されています。文書生成を単独機能として使うだけでなく、申請、確認、承認、保存までを一連の業務フローにできます。(Microsoft Learn)
ただし、これらのコネクタ機能もプレビュー表記です。本番の契約業務へ組み込む場合は、エラー時の通知、再実行方法、重複生成の防止、監査ログの確認手順も用意してください。
導入前に確認すべき制限
テンプレートはWord形式のみ
テンプレートとして設定できるのは.docx形式です。既存のPDF契約書を直接テンプレートとして登録することはできません。PDFしかない場合は、先に正式なWord原本を整備する必要があります。(Microsoft Learn)
機密ラベル使用時はPDF生成に制限がある
Microsoft Learnでは、サイトまたはライブラリで秘密度ラベルが有効な場合、PDF生成が動作しない制限が案内されています。(Microsoft Learn)
契約書で秘密度ラベルを使用している組織は、ラベルを無効化して回避するのではなく、Word出力で運用するか、分類を維持できる承認済みの変換方法を検討してください。
送信者に生成文書の権限は自動付与されない
フォームを送信した利用者が、生成文書を必ず閲覧できるとは限りません。保存先フォルダーの権限、個別共有、受領オプションなどを事前に設計する必要があります。(Microsoft Learn)
契約書を部署横断で扱う場合、保存先を全社員に公開する設計は避けます。法務、総務、営業など、文書を扱う組織単位でサイトやライブラリを分ける方が安全です。
外部向け匿名フォームとしては設計しない
公式文書では、公開したフォームリンクを組織内のユーザーへ共有する利用方法が説明されています。匿名ユーザーや一般消費者からの入力受付は、現時点の公式仕様では確認できません。(Microsoft Learn)
取引先から直接情報を集めたい場合は、外部共有要件を確認し、Microsoft FormsやPower Pagesなどを入口にする別構成も検討します。
プレビュー中は利用上限がある
Copilot in SharePointのプレビューには、ユーザー単位の日次・週次の利用上限があります。上限へ達すると、リセットされるまでCopilot機能が一時的に利用できなくなります。大規模な一斉利用を予定している場合は、プレビュー環境だけで処理能力を確定しないようにします。(Microsoft Learn)
既存の文書作成方法との使い分け
| 方法 | 適しているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| Structured Document Generation with Forms | 社内の契約書、提案書、通知書を統一したい | プレビュー中で、Copilotライセンスや対象環境の条件がある |
| SharePointのWordテンプレート | 利用者がWordを開いて直接編集する単純な運用 | 入力漏れや固定文言の変更を防ぎにくい |
| Microsoft Forms+Power Automate | 外部入力や複数サービスとの連携が必要 | フローやWord差し込み処理の構築・保守が必要 |
| Power Apps+Power Automate | 複雑な入力制御、検索、更新処理が必要 | 開発規模と管理負担が大きくなる |
| Copilotによる自由文書作成 | 文章の下書きや構成案を素早く作りたい | 厳密な固定文言やデータ差し込みには向かない |
定型文書のレイアウトと文言を固定し、変動項目だけを安全に入力させたい場合は、Structured Document Generation with Formsが適しています。
一方、複数データベースからの自動取得、外部ユーザーからの受付、複雑な計算、電子署名まで含める場合は、Power AutomateやPower Appsとの組み合わせが必要です。
本番導入前に行う検証項目
最初から全社展開せず、契約書または提案書を1種類だけ選び、専用サイトで検証します。
最低限、次の項目を確認してください。
- Copilotライセンスを持つ作成者がフォームを作れる
- Copilotライセンスを持たない利用者が文書を生成できる
- 必須項目が未入力の場合に送信できない
- 金額や日付が正しい形式で差し込まれる
- 条件付き条項が正しく切り替わる
- WordとPDFの出力結果が崩れない
- 日本語フォント、改ページ、表の幅が維持される
- ファイル名が命名規則どおりになる
- 参照番号が重複しない
- SharePoint列へメタデータが保存される
- 送信者が不要な文書を閲覧できない
- テンプレート更新後もフォームURLが変わらない
- Power Automateの承認・通知が失敗した場合に検知できる
一般提供予定の2026年9月以降も、ロードマップ、Microsoft Learn、Microsoft 365管理センターのメッセージセンターを確認し、プレビュー時の設定や制限が変更されていないか再検証してください。一般提供予定日は計画であり、展開時期が変更される可能性があります。(Microsoft)
まとめ
SharePointのStructured Document Generation with Formsを使えば、承認済みのWordテンプレートをSharePointで管理し、利用者がフォームに入力するだけで契約書や提案書を生成できます。
導入時の重要点は、次のとおりです。
- テンプレート作成者にはMicrosoft 365 Copilotライセンスと編集権限が必要
- フォーム送信者にはCopilotライセンスが必須ではない
- テンプレートは
.docx形式に限定される - 生成文書はSharePointへ保存され、入力値がメタデータにも反映される
- 構造変更はWordテンプレートを修正して再公開する
- 一般提供は2026年9月予定だが、現時点ではプレビュー機能として扱う
- PDF、秘密度ラベル、閲覧権限、外部利用には制限がある
まずは専用のSharePointサイトを用意し、1種類の文書、少人数の作成者、限定された利用者で検証します。生成結果だけでなく、テンプレート更新、権限、承認、保存、監査まで確認してから対象文書を増やすことが、安全な導入につながります。

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