GitHub CopilotのAIクレジットプールをBilling UIで設定する手順|コストセンター別に上限管理

GitHub Copilot BusinessまたはGitHub Copilot EnterpriseをGitHub Enterprise Cloudで利用している場合、コストセンターごとのAIクレジットプールはREST APIを使わず、Billing UIから設定できます。

企業アカウントの「Billing and licensing」からコストセンターを新規作成または編集し、「AI credit pool」を有効化したうえで、上限到達時に利用を停止するか、追加料金による利用を継続するかを選択します。プール上限は割り当てられたCopilotライセンスから自動計算されるため、管理者がAIクレジット数を入力する必要はありません。(The GitHub Blog)

目次

Billing UIで設定できる対象と前提条件

この機能は、3つの独立したサービスを対象にしているわけではありません。正確には、GitHub Enterprise Cloud上でGitHub Copilot BusinessまたはGitHub Copilot Enterpriseを利用している企業が対象です。GitHub Enterprise Serverや個人向けCopilotプランの設定ではありません。(The GitHub Blog)

設定前に、次の条件を確認してください。

確認項目必要な状態
GitHub環境GitHub Enterprise Cloud
CopilotプランGitHub Copilot BusinessまたはGitHub Copilot Enterprise
管理権限原則としてEnterprise ownerまたはBilling manager
コストセンター新規作成、または編集可能な既存コストセンター
対象リソースCopilotライセンスが割り当てられたユーザーまたは、そのユーザーを含むEnterprise team・Organization
追加利用を許可する場合Enterprise側で追加料金による利用が許可されていること

Enterprise ownerとBilling managerは、企業内の任意のリソースを対象にコストセンターを作成・編集できます。Organization ownerも、自分のOrganizationに含まれるリソースを対象としたコストセンターを管理できますが、企業全体を対象とする設定では権限が不足する場合があります。(GitHub Docs)

AIクレジットプールとコストセンター予算の違い

設定前に理解しておきたいのが、AIクレジットプールとコストセンター予算は別の制御機能だという点です。

設定制御するもの上限値動作するタイミング
AIクレジットプールコストセンターが共有プールから利用できる付与済みAIクレジットライセンス数から自動計算追加料金が発生する前
コストセンター予算プール消化後に発生する従量課金額管理者が米ドルで設定追加料金の発生後
コストセンターのユーザーレベル予算コストセンター内の各ユーザーが利用できる金額管理者がユーザー単位で設定付与分と追加利用の両方
Enterprise予算企業全体または未割り当てユーザーの従量課金管理者が設定追加料金の発生後

AIクレジットプールは、ある部門の大量利用によって、別部門のライセンスから生じた付与分まで使い切られることを防ぐための仕組みです。一方、コストセンター予算は、AIクレジットプールを使い切った後に発生する追加料金を制御します。両方を同じコストセンターに設定できます。(The GitHub Blog)

たとえば、開発部門のライセンスから生じたAIクレジットは開発部門で使わせつつ、超過後は月額500米ドルまで追加利用を認めたい場合、次のように設定します。

  • AIクレジットプールを有効化する
  • 上限到達後の追加利用を許可する
  • コストセンター予算を500米ドルに設定する
  • 予算到達時に利用を停止する設定を有効化する

AIクレジットプールだけを有効化して追加利用を許可すると、別途予算を設定しない限り、追加料金の明確な上限にはなりません。

新規コストセンターでAIクレジットプールを有効にする手順

EnterpriseのBilling UIを開く

GitHub.comで対象のEnterpriseに移動します。

画面上部の「Billing and licensing」を選択し、続いて「Cost centers」を開きます。コストセンター一覧の右上にある「New cost center」を選択してください。(GitHub Docs)

コストセンター名を入力する

「Name」にコストセンター名を入力します。

後から利用明細やAI usageを確認することを考えると、単なる略称ではなく、費用の所属先が分かる名前にします。

具体例は次のとおりです。

  • Engineering-Japan
  • Product-AI-Development
  • Copilot-Pilot-2026
  • Corporate-IT
  • Project-Alpha

年度やプロジェクト名を含める場合は、終了後の扱いも決めておきましょう。毎年コストセンターを作り直すと管理数が増えるため、恒常部門は固定名、期間限定施策は年度付きという分け方が実用的です。

対象ユーザーやEnterprise teamを割り当てる

「Resources」で、コストセンターに含めるユーザー、Enterprise team、Organization、Repositoryを選択します。

GitHub CopilotとAIクレジットの費用配賦では、RepositoryよりもCopilotを使用したユーザーの所属が重要です。費用の帰属を明確にしたい場合は、対象ユーザーをコストセンターへ直接割り当てる方法が最も予測しやすくなります。(GitHub Docs)

人数が多い場合はEnterprise teamを割り当てる方法もあります。Enterprise teamのメンバーが増減すると、コストセンターの所属も自動的に追従するため、ユーザーを一人ずつ追加・削除する必要がありません。(GitHub Docs)

ただし、割り当てには優先順位があります。

  • ユーザーの直接割り当てが優先される
  • 直接割り当てがなければEnterprise teamの所属が使われる
  • それもなければ、Copilotライセンスを付与したOrganizationの所属が使われる
  • 複数のOrganizationからライセンスを受けているユーザーは、Organization単位の費用配賦が予測しにくくなる場合がある

部門別の費用管理を厳密に行う場合は、Organizationだけを登録するのではなく、ユーザーまたはEnterprise teamを明示的に割り当てるのが安全です。

なお、同じリソースを複数のコストセンターへ同時に所属させることはできません。すでに別のコストセンターに所属しているリソースを追加すると、新しいコストセンターへ移動します。(GitHub Docs)

AI credit poolを有効化する

コストセンターの作成画面にある「AI credit pool」の切り替えをオンにします。

ここでは、AIクレジット数を手動入力しません。GitHubが、コストセンターに割り当てられたCopilot BusinessおよびCopilot Enterpriseのライセンスに基づいて上限を計算します。数値入力欄が表示されないのは、画面の不具合ではなく仕様です。(The GitHub Blog)

上限到達時の動作を選択する

AIクレジットプールの上限に到達したときの動作を選択します。

利用をブロックする

コストセンターに割り当てられた付与済みAIクレジットを使い切った時点で、対象メンバーの追加利用を停止します。

次のようなケースに向いています。

  • Copilotの試験導入
  • 追加料金を一切発生させたくない部門
  • 原価をライセンス料金内に限定したいプロジェクト
  • 外部委託先や期間限定チーム
  • 予算超過よりも利用停止を優先できる業務

追加料金を確実に防げる反面、月の途中でCopilot Chatやコーディングエージェントなどが利用できなくなる可能性があります。業務継続への影響を事前に利用者へ周知しておく必要があります。

追加料金で利用を継続する

コストセンターの付与済みAIクレジットを使い切った後、追加料金による利用へ移行します。

この選択肢は、Enterpriseで追加利用が許可されている場合に利用できます。コストセンターが自身の上限まで共有プールを使用した後は、Enterprise全体に未使用の付与分が残っていても、そのコストセンターでは従量課金フェーズに移行します。これにより、他部門のライセンスから生じた付与分を保護できます。(GitHub Docs)

本番開発や障害対応など、Copilotの停止を避けたい部門ではこちらが適しています。ただし、追加利用を許可する場合は、後述するコストセンター予算も併用してください。

コストセンターを作成する

設定内容を確認し、「Create cost center」を選択します。

作成後の利用分は、原則としてその時点以降、設定したコストセンターへ帰属します。過去の利用実績が新しいコストセンターへ付け替えられるわけではありません。(GitHub Docs)

既存コストセンターのAIクレジットプールを変更する手順

既存のコストセンターでも、同じBilling UIからAIクレジットプールを有効化・変更できます。

  1. 対象のEnterpriseを開く
  2. 「Billing and licensing」を選択する
  3. 「Cost centers」を開く
  4. 対象コストセンターの右側にあるメニューを開く
  5. 「Edit」を選択する
  6. 「AI credit pool」をオンにする
  7. 上限到達時の動作を選択する
  8. 変更内容を保存する

コストセンターのメニューからは、「View details」「Edit」「Delete」を選択できます。削除ではなく設定変更を行う場合は、必ず「Edit」を使用してください。(GitHub Docs)

設定を途中で有効にしても、その月にすでに消費されたEnterprise共有プールが過去にさかのぼって再配分されることはありません。有効化後、対象コストセンターのユーザーは、そのコストセンターに帰属するライセンスから計算されたAIクレジットを共有します。設定を無効化すると、再びEnterpriseの共有プールから利用できる状態になります。(GitHub Docs)

AIクレジットプールの上限が自動計算される仕組み

GitHubの公式ドキュメントでは、通常時の月間付与量として次の値が示されています。

Copilotプラン1ライセンス当たりの標準AIクレジット
Copilot Business月間1,900
Copilot Enterprise月間3,900

たとえば、Copilot Businessが10ライセンス、Copilot Enterpriseが5ライセンス割り当てられている場合、標準値によるプール上限は次の計算になります。

10 × 1,900 + 5 × 3,900 = 38,500 AIクレジット

ただし、2026年6月1日から9月1日まで、既存顧客には通常より多いプロモーション付与量が適用されると公式ドキュメントに記載されています。今後のプラン改定やキャンペーンでも値が変わる可能性があるため、運用では手計算した値ではなく、Billing UIに表示される上限を基準にしてください。(GitHub Docs)

ライセンス変更時の反映タイミングは次のとおりです。

変更内容プールへの影響反映時期
ライセンス付きユーザーの追加上限が増える即時
BusinessからEnterpriseへのアップグレード上限が増える即時
ユーザーの削除・ライセンス解除上限が減る次の請求サイクル開始時
EnterpriseからBusinessへのダウングレード上限が減る次の請求サイクル開始時
制御対象のコストセンター間でユーザーを移動両方の上限を再計算次の請求サイクル開始時

ユーザーを削除した直後に上限が減らなくても、必ずしも設定ミスではありません。月途中にすでに利用したクレジットを取り消さないため、減少は次の請求サイクルから反映されます。(GitHub Docs)

追加利用を許可する場合はコストセンター予算も設定する

AIクレジットプールの上限後も利用を継続させる場合は、コストセンター予算を設定します。

コストセンター予算の作成手順

  1. 「Billing and licensing」を開く
  2. 「Budgets and alerts」を選択する
  3. 「New budget」を選択する
  4. 「Bundled AI credits budget」を選択する
  5. 「Budget scope」で「Cost center」を選択する
  6. 対象のコストセンターを指定する
  7. 月額予算を米ドルで入力する
  8. 必要に応じて「Stop usage when budget limit is reached」を有効にする
  9. 「Receive budget threshold alerts」を有効にする
  10. 通知先を追加する
  11. 「Create budget」を選択する

「Bundled AI credits budget」は、Copilot、Copilot cloud agent、Sparkなど、AIクレジットを消費する複数の機能をまとめて制御します。特定の機能だけを管理したい場合は、SKU単位の予算を検討します。(GitHub Docs)

予算アラートを有効にすると、75%、90%、100%到達時にGitHub上の通知やメールを受け取れます。ただし、「Stop usage when budget limit is reached」を有効にしなければ、予算超過の通知は行われても利用は停止しません。(GitHub Docs)

運用方針別のおすすめ設定

運用方針AIクレジットプール到達時コストセンター予算向いているケース
厳格な費用管理ブロック原則不要試験導入、外部委託、期間限定施策
費用と継続性の両立追加利用を許可ハード上限とアラートを設定一般的な開発部門
業務継続を最優先追加利用を許可高めの上限とアラートを設定本番運用、障害対応、基幹開発
個人の大量利用も制御追加利用を許可コストセンター予算とユーザーレベル予算を併用利用量の差が大きいチーム

多くの企業では、AIクレジットプールで部門間の公平性を確保し、コストセンター予算で追加料金を制御する構成が扱いやすいでしょう。

設定後に確認するポイント

コストセンター詳細で有効状態を確認する

AIクレジットプールを有効化すると、コストセンターのホーム画面に有効状態が表示され、消費済みAIクレジットと上限を確認できます。

表示上限が想定より少ない場合は、次の項目を確認してください。

  • Copilotライセンスがユーザーへ正しく割り当てられているか
  • 対象ユーザーがコストセンターに直接所属しているか
  • Enterprise teamのメンバーが最新か
  • ユーザーが別のコストセンターへ移動していないか
  • ライセンス削除やダウングレードの反映時期ではないか

コストセンター詳細では、「AI credit pool enabled」と、現在の消費量および上限を確認できると公式ドキュメントで案内されています。(GitHub Docs)

AI usageで利用状況を確認する

Enterprise設定の「Billing and licensing」から「AI usage」を開くと、AIクレジットの消費状況をユーザー、モデル、Organization、コストセンターなどで絞り込めます。必要に応じてデータをエクスポートし、部門別の利用傾向や追加料金を確認してください。(GitHub Docs)

次の項目を月1回程度確認すると、予算超過を早期に把握できます。

  • コストセンター別のAIクレジット消費率
  • 追加利用へ移行したコストセンター
  • 特定ユーザーへの利用集中
  • 高コストモデルの利用比率
  • コストセンターに割り当てられていない利用
  • 予算アラートの通知先が現在の担当者になっているか

詳細な費用配賦を確認する場合は、利用レポートのcost_center_name列も確認できます。コストセンターに帰属しない利用は、集計画面上でEnterprise側の利用として扱われます。(GitHub Docs)

設定できない・想定どおり動かない場合の確認事項

症状主な原因対処
AI credit poolが表示されない対象プラン・環境・権限を満たしていないGitHub Enterprise Cloud、Copilot Business/Enterprise、管理者権限を確認する
上限値を入力できない上限はライセンスから自動計算される仕様手入力せず、対象ライセンスとユーザー割り当てを確認する
追加利用を選択できないEnterprise側で追加料金による利用が許可されていないEnterpriseの課金ポリシーや予算設定を確認する
上限が想定より少ないユーザーが別のコストセンターに所属している、またはライセンスがないユーザー、Enterprise team、ライセンスの関連付けを確認する
ユーザーが上限前に停止した個人予算や別スコープの予算が先に上限へ達したユーザー、Organization、コストセンター、Enterpriseの予算を確認する
設定直後に過去の利用が再配分されない有効化前の利用は遡及して再配分されない有効化後の利用データで確認する
ユーザー削除後も上限がすぐ減らない減少は次の請求サイクルから反映される次回サイクル開始後に再確認する
Organizationごとの配賦が安定しないユーザーが複数Organizationからライセンスを受けているユーザーをコストセンターへ直接割り当てる

複数の予算が同じユーザーへ適用されている場合、余裕が最も少ない予算によって先に利用が停止する可能性があります。コストセンター予算だけを確認するのではなく、個人、Organization、コストセンター、Enterpriseの各スコープを横断して確認してください。(GitHub Docs)

大規模運用で知っておきたい制限

GitHub Enterprise Cloudでは、1つのEnterpriseにつき有効なコストセンターは最大500個です。1つのコストセンターには最大25,000リソースを含められ、一度に追加または削除できるリソースは最大50件です。チームごとに異なる予算を設定したい場合は、同じコストセンター内で分けるのではなく、コストセンター自体を分ける必要があります。(GitHub Docs)

そのため、最初から部署、プロジェクト、Organizationのすべてに細かいコストセンターを作るのではなく、次の単位から始めるのが現実的です。

  • 費用責任者が異なる部門
  • 予算上限が異なる部門
  • 追加利用の許可方針が異なる部門
  • 独立して請求・報告したいプロジェクト
  • Copilotの試験導入グループ

単に利用状況を細かく見たいだけであれば、AI usageのフィルターやエクスポートで対応できる場合があります。予算や利用停止の方針が同じチームまで分割すると、管理負担が増えるため注意してください。

REST APIを使わない場合の実務的な進め方

Billing UIは、最初の数個のコストセンターを作成する場合や、設定変更が不定期な場合、変更内容を画面で確認しながら管理したい場合に適しています。大量のコストセンターを継続的に同期する用途でなければ、REST APIを導入する必要はありません。(GitHub Docs)

実際の設定は、次の順番で進めると失敗を防げます。

  1. 費用を分ける必要がある部門やプロジェクトを決める
  2. Copilot利用者をユーザーまたはEnterprise teamで整理する
  3. Billing UIでコストセンターを作成する
  4. AIクレジットプールを有効化する
  5. 上限到達時に停止するか、追加利用を許可するか決める
  6. 追加利用を許可する場合はコストセンター予算を設定する
  7. AI usageでコストセンター別の消費量を確認する
  8. 月次でライセンス数、所属ユーザー、予算アラートを見直す

重要なのは、AIクレジットプールを単なる「予算上限」と考えないことです。AIクレジットプールは、各コストセンターが自身のライセンスに基づく付与分を利用するための境界です。追加料金まで含めて制御するには、コストセンター予算やユーザーレベル予算を組み合わせてください。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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