GitHub Copilot BusinessまたはGitHub Copilot Enterpriseを部門別のコストセンターで管理する場合、AIクレジットプールとコストセンター予算は、どちらか一方を選ぶ機能ではありません。原則として併用できます。
AIクレジットプールは、各コストセンターが使える「ライセンス料金に含まれたAIクレジット」の範囲を制御します。一方、コストセンター予算は、含有AIクレジットを使い切った後に発生する従量課金を制御します。部門間の公平性と追加支出の上限を両方管理したいなら、両方を設定するのが基本です。
2026年7月20日からは、GitHub Enterprise Cloudの請求画面でコストセンターを作成・編集する際に、AIクレジットプールを直接有効化できるようになりました。以前はREST APIによる設定が必要でした。対象はGitHub Copilot BusinessとGitHub Copilot Enterpriseです。(The GitHub Blog)
AIクレジットプールとコストセンター予算は併用できる
結論を利用目的ごとに整理すると、次のようになります。
| 管理したい内容 | 設定する機能 |
|---|---|
| 一部の部門が全社の含有AIクレジットを使いすぎるのを防ぐ | AIクレジットプール |
| 含有分を超えた後の追加料金を制限する | コストセンター予算 |
| 部門ごとの含有枠と追加支出を両方管理する | 両方を併用 |
| 含有枠を超えた利用を一切認めない | AIクレジットプールを有効化し、上限到達時にブロック |
| 全社で含有クレジットを柔軟に融通する | AIクレジットプールを無効化 |
| 利用を止めず、超過状況だけ通知する | コストセンター予算を設定し、停止オプションを無効化 |
GitHubの公式ドキュメントでも、含有利用量を制御するAIクレジットプールと、従量課金を制御するコストセンター予算は別の機能であり、同じコストセンターに両方を設定できると説明されています。(The GitHub Blog)
AIクレジットプールとコストセンター予算の違い
両者の違いは、制御するタイミングにあります。
| 比較項目 | AIクレジットプール | コストセンター予算 |
|---|---|---|
| 制御対象 | ライセンスに含まれるAIクレジット | 含有枠を超えた後の従量課金 |
| 有効になる段階 | 含有利用の段階 | 有料の従量課金段階 |
| 上限の決め方 | GitHubがライセンス数から自動計算 | 管理者が米ドルで指定 |
| 上限値の手入力 | 不可 | 可能 |
| 上限到達時 | ブロックまたは有料超過へ移行 | 停止または通知のみ |
| 固定ライセンス料金 | 制御しない | 制御しない |
| 同時設定 | 可能 | 可能 |
AIクレジットプールは含有枠の「取り分」を管理する
GitHub Copilotのライセンスには、毎月一定量のAIクレジットが含まれます。標準の含有量は、Copilot Businessが1ユーザー当たり1,900 AIクレジット、Copilot Enterpriseが1ユーザー当たり3,900 AIクレジットです。
コストセンターのAIクレジットプールを有効にすると、そのコストセンターに割り当てられたライセンス分を合算して上限が自動計算されます。たとえば、Copilot Businessが10ライセンス、Copilot Enterpriseが5ライセンスなら、標準付与量に基づく上限は次のとおりです。
Copilot Business:10 × 1,900 = 19,000
Copilot Enterprise:5 × 3,900 = 19,500
合計:38,500 AIクレジット
管理者が「38,500」のような数値を入力する必要はありません。GitHubがライセンス構成に合わせて自動調整します。(GitHub Docs)
既存顧客には、2026年6月1日から9月1日まで一時的に高い含有量が適用される場合があります。この期間の公式記載は、Copilot Businessが3,000、Copilot Enterpriseが7,000 AIクレジットです。実際の設計では数値を固定せず、コストセンター画面に表示される自動計算値を確認してください。(GitHub Docs)
コストセンター予算は追加支出を管理する
コストセンター予算は、チームが含有AIクレジットを使い切り、有料の従量課金へ移行した後の支出を制限します。
AIクレジットは1クレジット当たり0.01米ドルです。たとえば、コストセンターに250米ドルのCopilot AIクレジット予算を設定すると、最大25,000 AIクレジット相当の追加利用を許可する計算になります。
250米ドル ÷ 0.01米ドル
= 25,000 AIクレジット
ただし、この予算はCopilotの固定ライセンス料金を含む「請求総額の上限」ではありません。あくまで、対象として選択した製品やSKUの従量課金を制御するものです。(GitHub Docs)
コストセンター予算だけでは含有AIクレジットの公平性を守れない
AIクレジットプールを有効にしていない場合、各ユーザーの含有AIクレジットは、基本的にエンタープライズ全体の共有プールとして扱われます。
たとえば、次の2部門があるとします。
| コストセンター | ライセンス構成 | 標準含有量 |
|---|---|---|
| 開発部 | Copilot Business 20人 | 38,000 |
| 研究部 | Copilot Enterprise 10人 | 39,000 |
| 全社合計 | 30人 | 77,000 |
AIクレジットプールを設定していなければ、開発部が60,000 AIクレジットを使用することも可能です。この時点では全社共有プールに17,000残っているため、従量課金はまだ始まりません。
その結果、研究部は自部門のライセンスが39,000 AIクレジット分を提供しているにもかかわらず、実質的には17,000しか残っていない状態になります。
ここで開発部にコストセンター予算を設定していても、予算は従量課金段階でしか機能しません。共有プール内での60,000クレジット消費を止めることはできません。
AIクレジットプールを有効にすれば、開発部は38,000、研究部は39,000を上限として、それぞれのライセンスが提供した範囲だけを使用します。GitHubは、プールを有効にしたコストセンターについて、他部門が提供した含有AIクレジットを引き続き利用できないようにします。(GitHub Docs)
併用時の制御順序
GitHub CopilotのAIクレジット消費では、複数の制御が段階的に評価されます。
ユーザーレベル予算が最初に確認される
ユニバーサル、コストセンター単位、個人単位のユーザーレベル予算を設定している場合、最初にその上限が確認されます。
複数のユーザーレベル予算が重複する場合は、次の順で具体的な設定が優先されます。
個人ユーザー予算
↓
コストセンターのユーザーレベル予算
↓
全ユーザー共通のユニバーサル予算
ユーザーレベル予算は、含有クレジットと有料クレジットの両方を合計して制限します。また、常にハードストップとして動作します。
そのため、ユーザー予算が低すぎると、コストセンターのAIクレジットプールや追加予算に余裕があっても、そのユーザーだけが先にブロックされます。(GitHub Docs)
次にAIクレジットプールが確認される
AIクレジットプールを有効にしたコストセンターでは、そのコストセンターに帰属するライセンス分の含有AIクレジットが使用されます。
上限に到達したときの動作は、設定時に次のどちらかを選択します。
- それ以上のAIクレジット利用をブロックする
- 有料の追加利用へ移行する
AIクレジットプールを無効にしているコストセンターは、エンタープライズ全体の共有プールから引き続きAIクレジットを利用します。(The GitHub Blog)
有料利用ポリシーが確認される
プール上限到達後に有料利用へ移行するには、エンタープライズまたは組織の「AI credit paid usage」ポリシーが有効である必要があります。
このポリシーが無効なら、コストセンター予算に残額があっても有料利用へは移行せず、AIクレジットを消費するリクエストはブロックされます。(GitHub Docs)
最後にコストセンター予算などの従量課金上限が確認される
有料利用へ移行した後は、コストセンター予算やエンタープライズ予算など、適用対象となる支出上限が確認されます。
コストセンター予算の残額がなくなった場合、「Stop usage when budget limit is reached」が有効なら利用が停止します。無効なら、予算額を超えても課金は継続します。
この停止オプションは初期状態では無効です。単に予算額を入力しただけでは、支出を完全には止められない点に注意が必要です。(GitHub Docs)
制御順序を簡略化すると、次のようになります。
ユーザーレベル予算
↓
コストセンターのAIクレジットプール
↓
有料利用ポリシー
↓
コストセンター予算
↓
重複する組織・エンタープライズ予算
複数の予算が適用される場合、残りの余裕が最も少ない制御が先に利用を止めます。コストセンター予算だけを引き上げても、ユーザー予算やエンタープライズ予算が先に上限へ到達していれば、ユーザーはブロックされたままです。(GitHub Docs)
目的別の設計例
部門ごとの公平性と追加料金を両方管理する
多くの企業で基本となる構成です。
| 設定項目 | 推奨設定 |
|---|---|
| AIクレジットプール | 有効 |
| プール上限到達時 | 有料超過を許可 |
| コストセンター予算 | 設定 |
| 予算到達時の停止 | 有効 |
| リソース割り当て | ユーザーまたはエンタープライズチーム |
| エンタープライズ予算 | 全体の安全網として設定 |
この構成では、各部門がまず自部門のライセンス分を使用します。必要な部門だけが、その後に承認済みの追加予算を使用できます。
部門単位で予算責任を持たせたい場合や、社内振替・原価配賦を行いたい場合に適しています。GitHubも、ビジネスユニット単位で管理するケースでは、含有利用制御とコストセンター予算の併用を案内しています。(GitHub Docs)
含有枠を超えた利用を認めない
追加料金を一切発生させたくない場合は、次のように設定します。
| 設定項目 | 推奨設定 |
|---|---|
| AIクレジットプール | 有効 |
| プール上限到達時 | ブロック |
| コストセンター予算 | Copilot AIクレジット用は原則不要 |
| 有料利用ポリシー | 必要に応じて無効 |
この場合、AIクレジットプールの上限で利用が止まるため、Copilot AIクレジット用のコストセンター予算が発動する場面はありません。
ただし、同じコストセンターでGitHub ActionsやCodespacesなども管理している場合は、それらの従量課金用予算を残す必要があります。
全社共有プールを最大限活用する
部門ごとの公平性よりも、全社として含有クレジットを使い切ることを優先する構成です。
| 設定項目 | 推奨設定 |
|---|---|
| AIクレジットプール | 無効 |
| コストセンター予算 | 有料超過の管理用に設定 |
| ユーザーレベル予算 | 一部ユーザーの過剰利用防止用に設定 |
| エンタープライズ予算 | 全社上限として設定 |
この構成では、利用量の多い部門が、利用量の少ない部門の未使用分を活用できます。
一方で、コストセンター予算は共有プールの消費中には機能しません。部門ごとに購入分を確保したい企業には向いていません。
研究開発部門だけ追加利用を多く認める
研究開発やAIエージェント活用など、一部の部門だけ利用量が多い場合の構成です。
| 設定項目 | 一般部門 | 研究開発部門 |
|---|---|---|
| AIクレジットプール | 有効 | 有効 |
| 上限到達時 | ブロックまたは少額超過 | 有料超過を許可 |
| コストセンター予算 | 少額 | 高額 |
| ユーザーレベル予算 | 標準 | 個別上書き |
| コストセンター除外 | 無効 | 必要な場合のみ有効 |
コストセンター除外を有効にすると、そのコストセンターの従量課金はエンタープライズ全体の予算上限から独立します。研究開発部門が独自の予算承認を持つ場合には便利ですが、支出はそのコストセンター予算だけで管理されるため、ハードストップの設定が重要です。(GitHub Docs)
AIクレジットプールを設定する手順
2026年7月20日以降は、請求画面から作成時・編集時のどちらでも設定できます。
- GitHubのエンタープライズアカウントを開きます。
Billing and licensingを選択します。Cost centersを開きます。- 新規作成する場合は
New cost center、既存の場合は対象コストセンターの編集画面を開きます。 - コストセンターにユーザーまたはエンタープライズチームを割り当てます。
AI credit poolを有効にします。- 上限到達時にブロックするか、有料超過へ移行するかを選択します。
- 設定を保存します。
有効化後は、コストセンターの画面にAIクレジットプールが有効であることと、現在の消費量、GitHubが自動計算した上限が表示されます。(The GitHub Blog)
なお、REST APIの公式仕様では、ai_credit_pool_enabledを有効にしたコストセンターで使用できるリソースはUserとTeamに限定されています。組織やリポジトリ中心で構成した既存コストセンターでは、そのまま有効化できない可能性があるため、事前にリソース構成を確認してください。(GitHub Docs)
コストセンター予算を設定する手順
AIクレジットプールを設定した後、追加料金を許可する場合はコストセンター予算を設定します。
- エンタープライズの
Billing and licensingを開きます。 Budgets and alertsを選択します。New budgetをクリックします。- 予算タイプを選びます。
- 予算のスコープとして対象コストセンターを指定します。
- 米ドルで月額予算を入力します。
- 支出を確実に止める場合は、
Stop usage when budget limit is reachedを有効にします。 - 75%、90%、100%の通知を受ける場合は、予算アラートを有効にします。
- 既存のエンタープライズ予算と競合していないか確認します。
予算タイプは、管理対象によって使い分けます。
| 予算タイプ | 適したケース |
|---|---|
| Bundled AI credits budget | Copilot、Copilot cloud agent、Sparkなど、AIクレジットを使う機能をまとめて管理する |
| SKU-level budget | Copilot AIクレジットだけを個別に管理する |
| Product-level budget | 特定製品全体の従量課金を管理する |
Copilotだけの追加料金を把握したい場合は、Copilot AI creditsのSKUレベル予算が分かりやすい設計です。AI関連機能全体を一つの枠で管理したい場合は、Bundled AI credits budgetが適しています。(GitHub Docs)
予算額の決め方
コストセンター予算は、社内で認める月額総額をそのまま入力するのではなく、固定ライセンス料金を差し引いて考えます。
社内で認める月額上限
- Copilotなどの固定ライセンス料金
= 従量課金に割り当てられる予算
たとえば、ある部門のGitHub関連費用の社内上限が月額5,000米ドルで、固定ライセンス料金の見込みが4,200米ドルなら、従量課金に設定できる予算は最大800米ドルです。
5,000-4,200
= 800米ドル
AIクレジット換算では80,000クレジット相当です。
800 ÷ 0.01
= 80,000 AIクレジット
実際には、ユーザーレベル予算、エンタープライズ予算、為替変動、他のAIクレジット対応機能による消費も考慮し、社内上限より少し低い金額から開始するのが安全です。
設定時に失敗しやすいポイント
予算を設定すれば共有プールの使いすぎも防げると思う
コストセンター予算が機能するのは、基本的に従量課金へ移行した後です。含有AIクレジットの段階で部門別の上限を設けるには、AIクレジットプールが必要です。
予算額を入力しただけで利用が止まると思う
Stop usage when budget limit is reachedが無効なら、予算を超えても利用と課金は継続します。予算を上限として機能させたい場合は、停止オプションを明示的に有効にしてください。(GitHub Docs)
ユーザーレベル予算を低く設定しすぎる
ユーザーレベル予算は、含有分と追加利用分の両方に適用されます。低すぎる設定では、部門のプールに余裕があっても個人が先にブロックされ、共有化の効果を得られません。
組織だけをコストセンターに割り当てる
CopilotのライセンスやAIクレジット利用は、ユーザーを直接コストセンターへ割り当てた方が予測しやすくなります。
ユーザーが複数組織からCopilotライセンスを受け取っている場合、課金先となる組織が請求サイクルごとに変わる可能性があります。直接ユーザーまたはエンタープライズチームを割り当てることで、コストセンターへの帰属を安定させられます。(GitHub Docs)
エンタープライズ予算との重複を確認していない
コストセンター予算に残額があっても、適用対象となるエンタープライズ予算の残額が少なければ、エンタープライズ側の上限で先にブロックされます。
予算は階層間で自動的に合算されません。コストセンター予算を増やした場合は、エンタープライズ予算との整合も確認する必要があります。(GitHub Docs)
AIクレジットプールを月途中で有効にすれば、過去の消費も再配分されると思う
AIクレジットプールを有効にしても、すでに消費された全社共有プールが遡って部門別に再配分されるわけではありません。有効化後の利用から、そのコストセンターに帰属するライセンス分のプールが適用されます。(GitHub Docs)
ライセンス削除直後にプール上限も減ると思う
ライセンス追加や上位プランへの変更によるプール増加は、原則として即時反映されます。一方、ライセンス削除、ダウングレード、プール対応コストセンター間のメンバー移動による減少は、次の請求サイクル開始時に反映されます。(GitHub Docs)
上限到達後に利用できなくなる機能
予算やプール上限によってブロックされた場合、Copilot Chat、CLI、クラウドエージェントなど、AIクレジットを消費する機能は利用できなくなります。
一方、コード補完とNext Edit SuggestionsはAIクレジットの課金対象外であり、ブロック後も引き続き使用できます。安価なモデルへ自動的に切り替わる機能はありません。(GitHub Docs)
実務では「含有枠」と「追加支出」を分けて設計する
GitHub BillingでCopilotのコストを設計するときは、次の2段階に分けて考えると設定を誤りにくくなります。
第1段階:ライセンスに含まれるAIクレジットの配分
→ AIクレジットプールで制御
第2段階:含有分を超えた追加料金
→ コストセンター予算で制御
部門ごとに購入分を確保しつつ、必要な追加利用だけを認めるなら、AIクレジットプールを有効にし、上限到達後は有料超過へ移行させたうえで、コストセンター予算にハードストップを設定します。
追加料金を認めない場合は、プール上限到達時にブロックします。全社で未使用分を融通することを優先する場合は、プールを無効にして共有運用とします。
設定後は、ユーザーレベル予算、エンタープライズ予算、有料利用ポリシーも確認してください。コストセンター単体では正しく見えても、上位または個人単位の制御によって想定より早くブロックされることがあります。

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