FacilitatorやChannel AgentなどのTeams内蔵エージェントを制限したい場合は、Teams管理センターの「Built-in Teams agents」専用画面で可用性を変更します。これらのエージェントは、対象ライセンスを持つユーザーに既定で有効です。そのため、利用範囲を限定したい組織では、何も設定しないままにせず、ユーザーまたはグループ単位で明示的に制御する必要があります。
Microsoft 365ロードマップID 564766は、2026年7月の一般提供として「Launched」になりました。Microsoftは2026年7月15日付のリリースノートでも、Teams内蔵エージェントを専用画面から管理できるようになったことを案内しています。従来の「組織全体のMicrosoftアプリ設定」とは独立して管理される点が、今回の重要な変更です。
Teams内蔵エージェントの管理で何が変わったのか
Teams内蔵エージェントとは、Teamsのアプリストアからインストールする一般的なアプリではなく、チャット、チャネル、会議などのTeams本体の機能に直接組み込まれたエージェントです。
代表例には、次のようなものがあります。
- 会議の進行や議事メモを支援するFacilitator
- チャネルの会話整理や進捗確認を支援するChannel Agent
- チャット、チャネル、会議の各場面に組み込まれる今後のTeamsエージェント
Microsoftの管理資料では、これらはアプリストアからのインストールを必要とせず、通常の「Manage apps」画面ではなく、Teams管理センターの専用ページから管理する対象と整理されています。(Microsoft Learn)
変更前後の違い
| 確認項目 | 一般的なTeamsアプリ | Teams内蔵エージェント |
|---|---|---|
| 主な管理画面 | Teams appsのManage apps | Teams appsのBuilt-in Teams agents |
| 配布方法 | アプリストアから追加・事前インストール | Teamsの基本機能に直接組み込み |
| 組織全体のMicrosoftアプリ設定 | 設定の影響を受ける | 原則として独立して管理 |
| 利用範囲の指定 | アプリ中心の管理などで指定 | 全員、特定ユーザー・グループ、誰にも許可しない |
| ライセンス | アプリごとに異なる | エージェントごとのライセンス要件が必要 |
特に注意したいのは、Teams管理センターの「組織全体のアプリ設定」でMicrosoft製アプリを無効にしても、それだけではTeams内蔵エージェントの可用性を制御したことにならない点です。
Microsoftの最新資料では、FacilitatorやChannel Agentなどの内蔵エージェントは「Microsoft apps」の一括設定から分離され、専用の「Built-in Teams agents」ページで管理すると説明されています。(Microsoft Learn)
Teams管理センターでユーザー・グループ別に制御する手順
Teams内蔵エージェントの利用範囲は、Teams管理センターから次の手順で変更します。
事前に準備するもの
設定を始める前に、次の項目を確認してください。
- Teams管理者権限を持つ管理者アカウント
- 利用を許可するユーザーまたはグループ
- 対象エージェントを利用できるライセンス
- Facilitatorの場合はLoopなど、エージェント固有の前提機能
Teams管理センターでエージェントやアプリを管理するには、Teams Administratorなどの適切な管理者ロールが必要です。Microsoftは、必要以上に強い権限を使わず、可能な範囲で最小権限の管理者ロールを利用することを推奨しています。(Microsoft Learn)
Teams内蔵エージェントの可用性を変更する
- Teams管理センターへ管理者アカウントでサインインします。
- 左側のメニューから「Teams apps」を開きます。
- 「Built-in Teams agents」を選択します。
- 制御したいエージェントを選択します。
- 「Edit availability」を選択します。
- 利用範囲を次のいずれかに変更します。
- Everyone
- Specific users or groups
- No one
- 画面の案内に従って変更を保存または適用します。
- 対象ユーザーと対象外ユーザーの両方で、実際の表示と利用可否を確認します。
複数のエージェントを選択し、まとめて可用性を変更することも可能です。Microsoftの管理資料では、全員、特定ユーザーまたはグループ、誰にも許可しない、という単位で利用範囲を設定できます。(Microsoft Learn)
日本語表示のTeams管理センターでは、メニュー名が「組み込みTeamsエージェント」などに翻訳される可能性があります。見つからない場合は、「Teams apps」配下で「Built-in」「agent」などの名称を確認してください。
可用性の設定は3つの層に分けて考える
Teams内蔵エージェントの管理では、管理画面で「利用可能」にするだけでは不十分です。
次の3つの条件を分けて確認すると、設定漏れを防げます。
ライセンス
ユーザーが対象エージェントを利用できるライセンスを持っているかを確認します。
例えばFacilitatorでは、Microsoft 365 Copilotライセンスに加え、対象となるMicrosoft 365の基本ライセンスとTeamsライセンスが必要です。Microsoft 365の契約がTeamsを含まない構成の場合は、Teamsライセンスを別途用意する必要があります。(Microsoft Learn)
Teams管理センター上の可用性
ライセンスを持っていても、「Built-in Teams agents」で利用対象から外されていれば使用できません。
反対に、「Everyone」を選択しても、ライセンスを持たないユーザーへライセンスが自動付与されるわけではありません。
エージェント固有の前提機能
エージェントによっては、別のサービス設定や会議ポリシーが必要です。
Facilitatorを会議で利用するには、TeamsにおけるLoopエクスペリエンスが有効になっている必要があります。つまり、専用ページでFacilitatorを許可しても、Loop関連設定が無効であれば正常に利用できません。(Microsoft Learn)
この関係は、次のように整理できます。
| 確認する層 | Facilitatorでの例 | 問題がある場合の症状 |
|---|---|---|
| ライセンス | Microsoft 365 Copilot、Teamsなど | 対象機能が表示されない、開始できない |
| エージェントの可用性 | Built-in Teams agentsで許可 | 特定ユーザーだけ利用できない |
| 前提機能 | TeamsのLoopエクスペリエンス | AI生成メモなどが動作しない |
組織に合った利用範囲の決め方
Teams内蔵エージェントは、対象ライセンスを持つユーザーに既定で有効です。そのため、導入方針が決まっていない段階で放置すると、管理者が想定する前に利用が始まる可能性があります。
組織の状況に応じて、次のように使い分けると管理しやすくなります。
| 導入方針 | 推奨する可用性 | 適している組織 |
|---|---|---|
| 全社展開 | Everyone | 利用ルールや研修が整備済み |
| 段階導入 | Specific users or groups | 初めてAIエージェントを導入する |
| 部署限定 | Specific users or groups | 会議の多い部門などに限定したい |
| 評価中・一時停止 | No one | セキュリティや運用を検討中 |
| 少人数検証 | 特定の検証グループ | 情報システム部門で先行評価したい |
最初はグループ単位の段階導入が安全
初めて導入する場合は、個人を1人ずつ指定するより、Microsoft Entra IDのグループを利用する方が管理しやすくなります。
例えば、次のようなグループを用意します。
Teams-Facilitator-PilotTeams-Agent-AllowedTeams-ChannelAgent-Users
利用者の追加や異動があった場合も、Teams管理センターの設定を毎回変更せず、グループのメンバーシップで管理できます。
ただし、グループを複雑にネストすると、誰が利用対象なのか追跡しにくくなります。初期導入では、対象者を直接登録した単純なグループから始めるとトラブルを減らせます。
部署ではなく業務内容で対象者を決める
Facilitatorは、会議が多いユーザーほど効果を得やすいエージェントです。
そのため、単純に「営業部全員」と指定するのではなく、次のような条件で対象者を選ぶ方が効果を検証しやすくなります。
- 定例会議を週に複数回開催する
- 会議後の議事録作成に時間がかかっている
- PlannerやLoopを業務で利用している
- 会議のアクション項目を継続的に管理している
- AI生成内容を確認できる担当者がいる
利用者数だけでなく、議事録作成時間やタスクの抜け漏れが減ったかを確認すると、本格展開の判断材料になります。
Facilitatorを許可する前に確認したい注意点
Facilitatorは、個人だけが見る通常のCopilotとは動作が異なります。
Microsoftの説明では、TeamsのCopilotに入力したプロンプトと回答は基本的にそのユーザーだけが確認します。一方、Facilitatorへの入力と応答は、会議チャットで他の参加者からも見える形で共有されます。(Microsoft Learn)
そのため、利用者には次の点を事前に周知しておく必要があります。
- Facilitatorへの指示は会議参加者から見える
- 個人情報や不要な機密情報を入力しない
- AIが生成した議事メモをそのまま確定情報として扱わない
- 会議終了前に担当者、期限、決定事項を人が確認する
- 外部参加者がいる会議では、利用可否を慎重に判断する
Facilitatorのデータ保存先
Facilitatorが会議で生成したデータは、Facilitatorを開始したユーザーのOneDriveにある「Meetings」フォルダーへ、.loopファイルとして保存されます。Microsoftは、このデータを会議トランスクリプトデータとして扱うと説明しています。(Microsoft Learn)
そのため、導入前に次の運用を決めておくことが重要です。
- 誰がFacilitatorを開始するか
- 生成されたメモの所有者を誰とするか
- 退職・異動時にファイルをどう扱うか
- 保存期間をどう設定するか
- 機密会議で利用を認めるか
Facilitatorの保存先や動作を、すべてのTeams内蔵エージェントにそのまま当てはめないようにしてください。データの保存方法や利用するサービスは、エージェントごとに確認が必要です。
一部の関連設定はユーザー別にできない
Teams内蔵エージェント自体は、専用画面からユーザー・グループ別に制御できます。
一方、FacilitatorのAI生成会議メモに関係するIsCollabMeetingNotesFluidEnabled設定は、Microsoftの資料ではテナント全体に適用され、ユーザー単位では構成できないと説明されています。無効にすると、組織全体でAI生成会議メモが無効になります。(Microsoft Learn)
つまり、次の2つは別々に管理する必要があります。
- Facilitatorを利用できるユーザー
- AI生成会議メモを組織全体で利用するか
「Facilitatorは一部ユーザーだけに許可し、Loop関連機能は全社で有効にする」といった設計もあり得ます。エージェントの可用性と、関連する基盤機能の設定を混同しないことが重要です。
設定時によくある失敗
組織全体のMicrosoftアプリ設定だけを変更する
今回の変更後、Teams内蔵エージェントは組織全体のMicrosoftアプリ設定から独立して管理されます。
「Microsoft製アプリを無効にしたからFacilitatorも無効になっているはず」と判断せず、「Built-in Teams agents」を直接確認してください。(Microsoft Learn)
Manage appsだけを検索する
FacilitatorやChannel Agentを「Manage apps」で検索しても、期待する管理項目が見つからないことがあります。
内蔵エージェントは専用ページの管理対象です。
- 一般アプリ:Teams apps > Manage apps
- 内蔵エージェント:Teams apps > Built-in Teams agents
この切り分けを最初に確認すると、設定画面を探し続ける無駄を防げます。
ライセンス付与だけで利用できると思う
ライセンスは利用条件の一つにすぎません。
次のすべてを確認してください。
- 必要なライセンスが割り当てられている
- Built-in Teams agentsで利用対象になっている
- Loopや会議関連の前提設定が有効
- 対象クライアントで機能が提供されている
- 対象エージェントがテナントのリリースチャネルで利用可能
Microsoftは、テナントと同じリリースチャネルに展開されたエージェントやアプリだけを管理画面で確認できると説明しています。エージェントが一覧にない場合は、設定ミスだけでなく、提供チャネルや展開状況も確認してください。(Microsoft Learn)
管理者アカウントだけで動作確認する
管理者自身がライセンスを持っていると、一般ユーザーと異なる結果になることがあります。
最低でも、次の2種類のアカウントで確認してください。
- 利用を許可した一般ユーザー
- 利用対象外の一般ユーザー
グループ展開の場合は、新しく追加したメンバーでも確認します。設定変更後はTeamsへ再サインインし、デスクトップ版やWeb版など実際に利用する環境でテストしてください。
導入後に確認するチェックリスト
設定が完了したら、次の項目を確認します。
- Built-in Teams agentsに対象エージェントが表示されている
- 利用範囲がEveryone、Specific users or groups、No oneのいずれかで意図どおりになっている
- 対象グループに正しいユーザーが登録されている
- 対象ユーザーに必要なライセンスが割り当てられている
- 対象外ユーザーがエージェントを開始できない
- FacilitatorでLoopエクスペリエンスが有効になっている
- 会議参加者に入力内容が共有されることを周知している
- 生成データの保存先と所有者を確認している
- パイロット期間と見直し日を決めている
- 本格展開または利用停止を判断する担当者を決めている
Teams内蔵エージェントは「何もしない」が既定許可になる
Teams内蔵エージェントの管理で最も重要なのは、対象ライセンスを持つユーザーには既定で有効になるという点です。
利用範囲を限定したい場合は、Teams管理センターで次の順番に確認してください。
- 「Teams apps > Built-in Teams agents」を開く
- 対象エージェントを選択する
- 「Edit availability」で利用範囲を変更する
- ユーザーまたはグループ単位で段階展開する
- ライセンスとエージェント固有の前提設定を確認する
- 対象ユーザーと対象外ユーザーの両方で動作確認する
特に、従来の組織全体Microsoftアプリ設定だけでは制御できない点に注意が必要です。まずは少人数の検証グループに限定し、データ保存、利用ルール、会議運用を確認したうえで対象範囲を広げると、安全に導入できます。

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