VS CodeのAgents windowで、Markdownをプレビューしながら直接編集し、文章中の特定箇所に「AIへの修正指示」をコメントとして付けられるようになりました。追加されたのは「Hybrid Markdown editor」と呼ばれる実験機能です。
ポイントは、手作業で直したい部分はその場で編集し、構成変更や文章の書き直しは対象範囲を選択してエージェントに任せられることです。ただし、GitHubの2026年7月まとめはVS Code 1.127~1.131を対象としていますが、このMarkdown編集機能自体はVS Code 1.131のリリースノートでExperimentalとして案内されています。GA済みの安定機能として扱わないよう注意が必要です。(The GitHub Blog)
VS Code Agents windowでMarkdownを直接編集しコメントでAIへ変更を頼む
VS Code 1.131では、Agents windowに「Hybrid Markdown editor」が追加されました。Markdownを整形済みの状態で表示しながら、その場で文章を編集できます。
さらに、特定の文章を選択してコメントを追加すると、そのコメントをエージェントへの修正指示として送信できます。単なるメモではなく、エージェントが実際のファイル変更に利用できる「actionable comments」である点が特徴です。(Visual Studio Code)
主な機能は次のとおりです。
| 機能 | できること |
|---|---|
| Markdownのレンダリング表示 | 見出し、表、リスト、コードブロックなどを整形した状態で確認する |
| その場での直接編集 | プレビューの文脈を保ったまま文章を手作業で直す |
| 範囲指定コメント | 選択した文章に対して具体的な修正内容を指示する |
| エージェントへの一括送信 | 複数箇所のコメントをまとめてエージェントに渡す |
| Git変更マーカー | 追加、変更、削除された場所を余白の色で確認する |
| エディター切り替え | Markdown Editor、Markdown Preview、テキストエディターを使い分ける |
この機能により、READMEや設計書を確認するたびに、チャットへ「3段落目を直してください」と書いて場所を説明する必要が減ります。修正対象そのものを選択できるため、AIへ渡す指示の曖昧さを抑えられます。
VS Code 1.127~1.131のすべてに追加された機能ではない
GitHubが2026年7月30日に公開した変更まとめは、7月中に提供されたVS Code 1.127~1.131を対象にしています。その中で「Edit Markdown with agents」が紹介されています。
一方、VS Code公式リリースノートでは、Hybrid Markdown editorは2026年7月29日公開のVS Code 1.131で追加されたExperimental機能として説明されています。したがって、「1.127から使える機能」ではなく、「1.127~1.131の更新まとめに含まれる、1.131の新機能」と理解するのが正確です。(The GitHub Blog)
また、機能ごとの状態も分けて考える必要があります。
| 対象 | 公式上の状態 |
|---|---|
| Agents window | PreviewまたはPublic Preview |
| Hybrid Markdown editor | Experimental |
| Markdownへのactionable comments | ExperimentalなMarkdown Editorを利用するレビュー機能 |
| VS Code 1.131 | 正式リリースされたVS Code本体のバージョン |
VS Code本体が正式リリースされていても、その中のすべての機能がGAとは限りません。Experimental機能は、今後のアップデートで名称、UI、設定項目、動作条件が変わる可能性があります。
Hybrid Markdown editorを使うための準備
利用前に、次の条件を確認します。
- Hybrid Markdown editorが案内されたVS Code 1.131以降を使用している
- Agents windowを利用できる環境である
- GitHub Copilotへアクセスできるアカウントでサインインしている
- 対象のフォルダーまたはリポジトリをWorkspace Trustで信頼している
- actionable commentsを使う場合は、対応するエージェントセッションを開いている
Agents windowの公式ドキュメントでは、VS CodeとGitHub Copilotへのアクセスが前提条件として案内されています。Agents window自体は現在Previewで、公式FAQではVS Code Insidersへの組み込みも説明されています。Stable版で項目が見つからない場合は、段階的なロールアウト状況とInsiders版の両方を確認するのが現実的です。(Visual Studio Code)
Agents windowを開く方法
Agents windowは、次のいずれかの方法で開けます。
- VS Codeのタイトルバーから「Open in Agents」を選択する
- コマンドパレットで「Chat: Open Agents Window」を実行する
- ターミナルから次のコマンドを実行する
code --agents
Agents windowは通常のエディター画面とは別の専用ウィンドウとして開きます。ワークスペースごとのセッション、チャット、変更ファイルを一つの画面で管理する構成です。(Visual Studio Code)
Markdown Editorを有効にする設定
Hybrid Markdown editorの既定エディターを制御する設定は、次の項目です。
{
"workbench.editor.markdownDefaultEditorInAgentsWindow": true
}
公式ドキュメントでは、この設定は既定で有効とされています。有効な場合、Agents window内の.mdファイルが「Markdown Editor (Experimental)」で開きます。無効にすると「Markdown Preview」が使用されます。(Visual Studio Code)
設定が有効でも別のエディターで開いている場合は、エディターのメニューから「Reopen Editor With」を実行し、Markdown Editorを選択します。必要に応じて通常のテキストエディターへ戻すこともできます。(Visual Studio Code)
EditingモードでMarkdownを直接編集する手順
Hybrid Markdown editorには、主に「Editing」と「Locked」の2つのモードがあります。
Markdownを手作業で直す場合は、Editingモードを使用します。
- Agents windowで対象セッションを開く
- 右側のChangesタブまたはFilesタブから
.mdファイルを開く - Markdown Editorが開いていることを確認する
- 「Editing」モードへ切り替える
- 見出しや文章を直接編集する
- ファイルを保存する
- 変更マーカーまたはdiffで修正内容を確認する
Editingモードでは、Markdownの表示文脈を保ちながら内容を直接変更できます。ソースだけを見るテキストエディターと、内容を確認するだけのプレビューを往復せずに済むのが利点です。(Visual Studio Code)
Git変更マーカーの見方
Markdown Editorでファイルを編集すると、エディターの余白にGitの変更マーカーが表示されます。
| 色 | 意味 |
| – | ——- |
| 緑 | 追加された内容 |
| 青 | 変更された内容 |
| 赤 | 削除された内容 |
マーカーは保存してファイルを開き直した後も残り、該当する変更を取り消すか元に戻すと消えます。長いREADMEや設計書を修正するときは、文章の見た目だけでなく、変更マーカーとdiffも併用すると見落としを防ぎやすくなります。(Visual Studio Code)
actionable commentsでエージェントへ修正を依頼する手順
AIに文章を直してもらう場合は、Lockedモードを使用します。
- Agents windowのChangesタブを開く
- エージェントが作成または変更したMarkdownファイルを開く
- ファイルがワークスペース内にあることを確認する
- Markdown Editorを「Locked」モードへ切り替える
- 修正してほしい文章を選択する
- 選択範囲にフィードバックコメントを追加する
- 必要に応じて別の場所にもコメントを追加する
- 「Submit Feedback」でコメントをエージェントへ送信する
- エージェントによる変更をdiffで確認する
Lockedモードでは文書がレンダリングされた読み取り専用状態になり、選択範囲へのフィードバック入力が可能になります。エージェントは送信されたコメントを読み取り、修正を行い、処理済みのコメントを解決します。解決済みコメントはdiff表示から消えます。(Visual Studio Code)
同じMarkdownファイルを通常のテキストエディターで開き直しても、フィードバック情報は両方のエディター間で同期されます。(Visual Studio Code)
EditingモードとLockedモードの使い分け
| モード | ファイル編集 | コメントによるAI指示 | 向いている作業 |
|---|---|---|---|
| Editing | 可能 | 基本的に使用しない | 誤字修正、固有名詞の訂正、短い追記 |
| Locked | 不可 | 可能 | 要約、構成変更、文章の書き直し |
| Markdown Preview | 不可 | Markdown Editorの機能は使用しない | 最終的な見た目の確認 |
| Text Editor | 可能 | フィードバックは同期される | Markdown記法や細かなソース編集 |
「AIに直してほしいのにコメント入力が表示されない」という場合は、まずLockedモードへ切り替えているか確認してください。
AIが処理しやすいコメントの書き方
actionable commentsでは、単に「直してください」と書くよりも、変更内容と制約を明示した方が意図を伝えやすくなります。
曖昧なコメント
分かりやすくしてください。
この指示では、文章を短くするのか、用語を補足するのか、構成を変えるのか判断できません。
実行しやすいコメント
この段落を120文字以内に短縮し、最初の文で結論を示してください。
製品名と設定名は変更しないでください。
見出しを直すコメント
この見出しを、初心者が手順の内容を予測できる表現に変更してください。
「Markdown」と「Agents window」の語句は残してください。
手順を整理するコメント
この説明を番号付きの5手順に整理してください。
設定値とコマンドはコードブロックのまま残してください。
表を修正するコメント
列数は変更せず、各セルを一文以内に短縮してください。
Experimental機能であることは削除しないでください。
コメントには、次の4要素を入れると実務で使いやすくなります。
- 何を変更するか
- どのような形にするか
- 変更してはいけない部分
- 完了と判断できる条件
選択範囲によって「どこを」、コメントによって「どう直すか」を示すのが基本です。
直接編集、コメント、チャットのどれを使うべきか
すべての修正をAIへ任せる必要はありません。変更内容に応じて操作を使い分けると効率的です。
| 修正内容 | 適した方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 誤字を1文字直す | Editingモード | AIへ送るより速く、結果も確実 |
| 文章を短くする | actionable comments | 対象範囲を限定して書き直しを依頼できる |
| 複数段落の順番を変える | actionable comments | 対象箇所と完成条件を結び付けやすい |
| README全体を書き直す | チャット | ファイル全体の目的や読者像を説明しやすい |
| 複数のMarkdownを統一する | チャット | リポジトリ全体を対象にした指示に向いている |
| 製品名や数値を訂正する | Editingモード | AIによる不要な言い換えを避けられる |
| AIの変更を追加修正する | Lockedモードのコメント | レビューと再修正を同じ画面で繰り返せる |
独自性や正確性が必要な固有名詞、バージョン、URL、コマンドは人が直接直し、文章の再構成や表現調整をエージェントに任せる方法が安全です。
READMEを更新する具体的なワークフロー
たとえば、エージェントにREADMEの初稿を作らせた後は、次の流れで仕上げられます。
エージェントに初稿を作らせる
チャットで、対象読者や必要な章を指定します。
このプロジェクトのREADMEを作成してください。
対象読者は初めてリポジトリを開く開発者です。
概要、必要環境、インストール、起動方法、テスト方法、
トラブルシューティングの順に構成してください。
Editingモードで事実を訂正する
生成されたREADMEをChangesタブから開き、次のような項目を直接直します。
- 正式な製品名
- 対応バージョン
- 実際のコマンド
- 社内固有のパス
- 問い合わせ先
Lockedモードで文章改善を依頼する
インストール手順を選択し、次のようなコメントを付けます。
WindowsとmacOSの手順を分けてください。
既存のコマンドは変更せず、それぞれに前提条件を1文追加してください。
概要部分には、次のように指示できます。
最初の2文だけで、このツールの目的と利用対象が分かるように書き直してください。
技術スタックの説明は後ろの段落へ移してください。
diffで最終確認する
エージェントの修正後は、最低でも次の項目を確認します。
- コマンドが勝手に変更されていないか
- バージョン番号が正しいか
- Markdownのリンクが壊れていないか
- 表やコードブロックの表示が崩れていないか
- コメントで指定していない箇所まで変更されていないか
- Experimentalなどの重要な注意書きが消えていないか
actionable commentsは修正依頼を効率化する機能であり、変更内容の正確性を保証する機能ではありません。最終的な採用判断はGit diffを見て行う必要があります。
コメント機能が表示されないときの確認項目
Markdown Previewで開いている
Markdown Previewではなく、「Markdown Editor (Experimental)」で開いているか確認します。
必要に応じて「Reopen Editor With」からエディターを切り替えるか、次の設定を有効にします。
{
"workbench.editor.markdownDefaultEditorInAgentsWindow": true
}
Editingモードのままになっている
文章を直接編集できるEditingモードではなく、Lockedモードへ切り替えます。Markdownへの範囲指定フィードバックはLockedモードで入力します。(Visual Studio Code)
Filesタブから任意のMarkdownを開いている
公式ドキュメントでは、Markdownへの範囲指定フィードバックは、エージェントが作成または変更したファイルをChangesタブから開く手順として説明されています。
コメントを追加したい場合は、次を確認してください。
- 対象ファイルがChangesタブに表示されている
- 対象ファイルがワークスペース内にある
- 現在のエージェントセッションに関連する変更である
ワークスペース外のファイルでは、Markdownのフィードバック入力を利用できません。(Visual Studio Code)
対応するエージェントセッションではない
diff上のフィードバック機能は、agent host provider経由で動作するエージェントを対象として説明されています。セッションの種類やロールアウト状況によっては、同じ操作が表示されない可能性があります。(Visual Studio Code)
Agents window自体が見つからない
次の順に確認します。
- VS Codeを1.131以降へ更新する
- コマンドパレットで「Chat: Open Agents Window」を検索する
code --agentsを試す- GitHub Copilotへサインインしているか確認する
- VS Code Insidersで利用可否を確認する
- 組織管理端末では、管理者設定の影響を確認する
実験機能として運用する際の注意点
GA機能を前提とした手順書にしない
Hybrid Markdown editorにはExperimentalの表記があります。社内マニュアルへ掲載する場合は、「今後も同じ設定名と画面構成で提供される」と断定しない方が安全です。
手順書には、確認したVS Codeのバージョンと確認日を併記すると変更を追いやすくなります。
確認環境:Visual Studio Code 1.131
確認日:2026年8月
機能状態:Experimental
コメントを正式なレビュー記録の代わりにしない
エージェントが処理して解決したコメントは、diff表示から消えます。承認履歴や監査記録を残す必要がある場合は、Gitのコミット、Pull Requestのレビューコメント、Issueなどを併用する運用が適しています。(Visual Studio Code)
AIへ送信する前にコメントをまとめる
複数箇所へコメントを付け、最後にまとめてSubmit Feedbackできます。関連する修正を一度に送れば、見出しと本文の整合性を保ちながら変更させやすくなります。(Visual Studio Code)
ただし、異なる目的の修正を大量にまとめると指示が複雑になります。「用語統一」「文章短縮」「構成変更」のように目的ごとに分けて送る方がレビューしやすくなります。
Hybrid Markdown editorでMarkdownレビューを効率化する
VS Code 1.131のHybrid Markdown editorでは、Agents window内でMarkdownをレンダリング表示しながら直接編集できます。さらにLockedモードで文章を選択し、actionable commentsとしてエージェントへ修正を依頼できます。
利用時は、次の順に進めると迷いません。
- VS Code 1.131以降とAgents windowの利用可否を確認する
- エージェントにMarkdownを作成または変更させる
- ChangesタブからMarkdown Editorでファイルを開く
- 小さく確実な修正はEditingモードで直接直す
- 書き直しが必要な箇所はLockedモードでコメントする
- Submit Feedbackでエージェントへ送信する
- Git変更マーカーとdiffで結果を確認する
GitHubの2026年7月更新まとめはVS Code 1.127~1.131を対象としていますが、Hybrid Markdown editorは1.131で追加されたExperimental機能です。まずはREADMEや内部ドキュメントなど、変更結果をGitで確認しやすいファイルから試すのが適切です。(The GitHub Blog)

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