新TeamsでJabraヘッドセット通話が保留再開時に切断される問題と対策

新しいTeamsクライアントで、Jabra 930ヘッドセットを使用中に外線通話を保留から再開すると突然通話が切断されるという事象が一部ユーザーから報告されています。この問題はWindows 10/11など様々な環境で再現し、業務に支障を来すケースもあります。さらにWeb版や旧Teamsでは起こらないことから、オーディオドライバーやクライアントバージョンとの関連も注目されています。本記事では、ワークアラウンドや考えられる原因、そして今後の修正見込みについて詳しくご紹介します。

目次

Teams新クライアントとJabra 930ヘッドセット問題の概要

新しいTeamsクライアント(通称「新Teams」や「Teams 2.0」などと呼ばれることもあります)が登場して以降、Jabra 930ヘッドセットを使用しているユーザーの一部で、外線(PSTN)通話時の「保留」や「コンサルト転送」操作を行った後に通話が強制切断されるという不具合が報告されています。特にOperator Connectを利用している環境で多く見られますが、Direct Routingや他の接続方式でも同様の事象が起きる可能性があります。

この不具合は、Windows 10やWindows 11といった幅広いOS環境、さらにドメイン参加PCやエントラID参加PC(旧Azure AD参加)など、さまざまな構成で再現することが特徴です。一方でWeb版のTeams、従来のTeams(クラシックTeams)、さらには他社製のヘッドセットやスピーカーフォンを利用している場合には発生しないケースが多いとされています。また、同様の問題として「Microsoft Audio Dock」でも一部事例があるという報告があり、音声デバイスと新Teamsとの相性問題が疑われています。

主な症状

  • 保留中の外線通話を再開した瞬間に、通話が切断されてしまう
  • 通話先から見ると、突然電話が切れてしまったように認識される
  • オーディオドライバーを最新にアップデートしても改善しないケースが多い
  • 旧Teamsに戻す(または特定バージョンにダウングレードする)と問題が起きない場合がある
  • 一部環境では、保留ではなくコンサルト転送をしようとした瞬間にも切断が起きる

なぜ旧TeamsやWeb版では問題が起きにくいのか

旧Teams(クラシックTeams)は従来のElectronベースのアプリケーションであり、新Teamsが採用している技術スタックやオーディオの制御方法が異なります。Web版のTeamsはブラウザの制御下で動作するため、PC内のオーディオドライバーとの連携方法やデバイスの制御方法がネイティブアプリとは別ルートになります。そのため、新しいTeamsと特定の音声デバイスの組み合わせでのみ生じる不具合は、旧TeamsやWeb版では起きない、という構図が推測されます。

原因の推測と検証状況

オーディオドライバーとアプリのボタン同期機能

多くのヘッドセットには、着信応答や保留、終話などをワンボタンで行う機能があります。新Teamsには「デバイスボタンを同期する」というオプションがあり、ここが有効な場合、ヘッドセット側のボタン操作とTeams内の操作が連動する仕組みになっています。
Jabra 930では、このボタン同期機能に何らかの競合が発生し、保留再開時に異常な音声制御が行われる結果、通話が切断される可能性が指摘されています。

Realtekドライバーの影響

PCメーカー純正のオーディオドライバー(Realtekなど)を最新化すると改善したという事例が少数ながら存在します。これは、各メーカーが新Teamsへの対応状況を随時アップデートしている可能性があるためと考えられます。ただし、多くの環境では最新ドライバーへの更新が決定打にならなかったという報告が大半であり、原因を完全には解消しないことが多いようです。

アプリケーションバージョンとの相性

新Teamsといってもリリースされるごとにバージョンが更新されています。テストの結果、「24033系」など、特定バージョンの新Teamsでは問題が比較的発生しにくいという報告がある一方、別の環境では発生するなど、バージョンごとの違いだけで根本的な解決には至っていません。
一部ではクラシックTeamsにダウングレードした後、再インストールによって綺麗に旧Teamsに固定できた環境では問題が収束したという声があるものの、組織全体のアップデートポリシーやユーザーの操作手順に左右され、再現性はまちまちです。

主なワークアラウンドと手順

ここでは、現時点で報告されている主な回避策を一覧表にまとめます。いずれも根本的な解決策ではなく、あくまでも暫定対応である点にご注意ください。

ワークアラウンド具体的手順メリットデメリット
デバイスボタン同期をオフにするTeamsを起動 → 設定 → デバイス → 「デバイスボタンを同期する」のチェックを外す・通話切断が起きなくなる事例が多い・ヘッドセットのボタンでの操作が不可能になる
・クレードルの着信音が鳴らない場合がある
旧Teams(クラシック)を使用するTeams管理センター → アップデートポリシーで「新Teamsを無効」
または.msix版などの特定バージョンにダウングレードする
・従来通り保留再開しても切断されない
・実績が比較的多い
・組織全体のポリシー変更が必要になる可能性
・今後の新機能が使えない
オーディオドライバーの最新化各PCメーカー(Dell, HP, Lenovoなど)のサイトから
Realtekやその他ドライバーを最新に更新
・一部環境で改善した報告あり・ほとんどの環境では根本解決に至らない
・時間と手間がかかる割に効果が限定的
Microsoft/Jabraの公式修正待ち正式なパッチやドライバーアップデートを待つ
JabraやMicrosoftに問い合わせチケットを発行する
・恒久的な解決が期待できる・リリース時期が未定
・ユーザー側でできることが限られる

「デバイスボタンを同期する」をオフにする手順例

  1. Teamsの右上にある「・・・(設定など)」アイコンをクリックし、「設定」を選択
  2. 左メニューから「デバイス」を選択
  3. 「デバイスボタンを同期する(英語環境では Sync device buttons)」という項目のチェックを外す
  4. 設定を保存し、Teamsを再起動(必要に応じて)
  5. ヘッドセットの物理ボタンでの応答や保留が効かない可能性があるため、通話操作はTeamsアプリ上で行う

この手順を実施すると、Jabraのクレードルからの着信音が出力されなくなる場合があるので、セカンダリ着信音をPCスピーカーから鳴るように変更する、または別のサウンドデバイスを設定するといった運用上の工夫が必要です。

旧Teamsの利用強制

組織全体または個別のユーザー単位で、Teams管理センターの「アップデートポリシー」をカスタマイズし、新しいTeamsを無効化することで旧Teamsのみを起動させることができます。これは企業規模によっては簡単ではありませんが、コールセンターなどでJabraヘッドセットを多用する環境では一時的な対策として有力です。
また、個別のPCで.msixファイルを取得し、古いバージョンにロールバックする方法も存在しますが、正式な手順ではなく、トラブルシューティングの一環として自己責任で行う必要があるため注意が必要です。

旧Teamsに戻す際の注意点

  • 既存の新Teamsがインストールされている状態で旧Teamsを導入すると、競合が発生する場合があります
  • 完全なアンインストールのためにはキャッシュや関連フォルダを削除する必要があります
  • 旧Teamsに戻した後も、自動アップデートが再度新Teamsをインストールする可能性があります(ポリシーの設定が必要)

Realtekなどのドライバー更新に関する詳細

更新手順の概略

  1. 使用しているPCメーカー(Dell, HP, Lenovo, 富士通など)のサポートサイトへアクセス
  2. シリアル番号や機種名を入力し、該当PCのドライバー一覧を表示
  3. オーディオドライバー(Realtek High Definition Audioなど)を探してダウンロード
  4. 管理者権限でドライバーをインストールし、PCを再起動

新Teamsとオーディオドライバーの組み合わせで、特定の操作時に通話が切断されるという不具合が残っている場合、ドライバー更新後も同じ症状が出るケースが多々報告されています。しかし、一部環境では改善が見られた報告もあるため、試してみる価値はあります。

ドライバー更新後の検証例

# PowerShellでドライバーのバージョンを確認する例
# 実行すると、オーディオドライバーを含む各種デバイスの情報を取得できます

Get-WmiObject Win32_PnPSignedDriver | Select DeviceName, DriverVersion | 
  Where-Object { $_.DeviceName -like "*Realtek*" }

上記のようなコマンドを使って、PCにインストールされているRealtekドライバーのバージョンをチェックし、メーカーダウンロードサイトに記載の最新バージョンと比較することで、更新作業が正常に完了しているかを確認できます。ただし、ドライバーをアップデートしても100%問題が解決するわけではない点に留意が必要です。

MicrosoftおよびJabraへの問い合わせ状況

Jabraユーザーコミュニティや公式サポートからは、すでにMicrosoft側へケースを提出しているという情報が上がっています。具体的には「Case #231108142000079」などのケース番号が報告されており、Microsoft側でも状況を把握している模様です。
しかしながら、現時点では公式に問題の原因や修正パッチのリリース時期をアナウンスしていないため、恒久的な解決策は公表されていません。企業ユーザーやコールセンターなどでJabra 930を使っている場合は業務インパクトが大きい問題となるため、今後のアップデート情報に注視する必要があります。

コミュニティでの情報共有

Microsoft 365管理センターのヘルプやMicrosoft Tech Community、Jabraのフォーラムなどでも本件に関するトピックが散見されます。互いの環境情報やデバイスのファームウェアバージョン、新Teamsのバージョン情報を共有することで、共通点や回避策が見つかる場合があります。
特にオーディオ関連の不具合はハードウェア・ファームウェア・OS・アプリ・ドライバーの複合要因となりやすく、原因究明に時間がかかることが一般的です。ユーザー同士が積極的に知見を共有することが、有効な対処法を見つける近道になり得ます。

まとめと今後の展望

新しいTeamsクライアントでJabra 930ヘッドセットを使用した際に起こる外線通話の保留再開時切断問題は、多くのユーザーにとって深刻な課題です。現状では以下のような選択肢で対処することが主流となっています。

  • デバイスボタン同期をオフにし、通話切断を回避する
  • 旧Teamsへの切り替えや特定バージョンへのダウングレードを行う
  • PCメーカー配布の最新オーディオドライバーを試す
  • MicrosoftおよびJabraからの正式修正を待つ

デバイスボタン同期をオフにすることで問題が解消される可能性は高いものの、ヘッドセット側の機能が制限されるというデメリットは小さくありません。特にコールセンター業務などでワイヤレスヘッドセットの操作性を重視している場合は、旧Teamsへの切り替えを検討するか、あるいは別のメーカーのヘッドセットを一時的に利用するなどの判断も必要になるでしょう。

また、新Teamsは今後さまざまな新機能やパフォーマンス改善が予定されているため、旧Teamsを使い続けることも中長期的には難しくなる可能性があります。最終的にはMicrosoftとJabraによる公式の修正パッチやドライバー更新が待たれますが、そのリリース時期は不透明です。定期的にTeamsのリリースノートやJabraの公式アナウンスをチェックしつつ、コミュニティの情報交換を活用して最新の状況を把握することが重要です。

ワークフローの見直しも視野に

最後に、今回の問題を機に、自社の通話ワークフロー自体を見直すことも検討材料に入れるとよいでしょう。例えば、保留やコンサルト転送を多用する業務フローを部分的にTeamsチャットや会議機能で代替することで、物理的なヘッドセットボタンによる操作回数を減らすアプローチもあります。通話ソリューション全体を再考することで、将来的なIT投資やライセンスコストの見直しにつなげるケースもあります。

  • Teamsのチャットや音声メッセージ機能を活用し、短いやりとりをテキストベースに移行
  • ボイスメールの利用と通知フローを整備し、外線着信への即応を減らす
  • 電話会議やウェビナーへの移行を進め、PSTN通話の絶対数を減らす

これらは根本的に業務プロセスを変えるアプローチであり、短期対策としてはハードルが高いかもしれません。しかし、テクノロジーの移り変わりが早い中で、通話デバイスの不具合や互換性問題は今後も別の形で発生する可能性があるため、柔軟に対応できる環境整備も視野に入れておくと安心です。

今後のアップデート情報に注目を

Microsoftが定期的に発行するMicrosoft 365のアップデート情報や、Jabraのファームウェアアップデートリリースノートには、本問題に関連する記載がないか定期的に目を通すことを推奨します。
不具合修正が正式リリースされれば、多くの場合リリースノートに記載されるため、組織としては速やかに情報を収集してパイロットユーザーでテストし、本番環境へ反映する計画を立てるとよいでしょう。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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