Windows 10でVS Codeの「ターミナル > 新しいターミナル」を開くと、画面が分割されたままフリーズして操作不能になる…。再インストールでも直らない場合、原因は統合ターミナルのGPUアクセラレーションにあることが多いです。安全に切り分けながら復旧する手順をまとめます。
VS Codeで「新しいターミナル」が固まる症状を整理する:症状チェック
このトラブルは「ターミナルが開けない」ではなく、開いた“ように見える”のに内部が壊れている状態になりやすいのが特徴です。具体的には次のような症状がまとまって出ます。
- メニューの[ターミナル]→[新しいターミナル]を選ぶと、エディターが分割されて下部ペインが出る
- しかしプロンプト(例:
PS C:\\Users\\...)が表示されず、入力も反応が悪い/できない - カーソルが黄色のまま、あるいは点滅しないなど、描画が不自然になる
- 数秒〜数十秒固まった後も回復せず、最終的に[閉じる]で抜けるしかない
- VS Codeの再インストールをしても改善しない(設定やユーザーデータが残っていると特に)
| 状況 | よくある見え方 | ポイント |
|---|---|---|
| ターミナル起動直後 | 分割だけされる/真っ黒 | 「起動処理」は走るが、表示(レンダリング)がこけている可能性 |
| 数秒後 | 黄色カーソルのまま/パスが出ない | 統合ターミナルの描画エンジン(GPU関連)が疑わしい |
| 操作不能 | ウィンドウ全体が固まる | 拡張機能よりも、描画・ドライバー・Electron側の問題で起きやすい |
原因の本命:統合ターミナルのGPUアクセラレーション
VS Codeの統合ターミナルは、見た目は普通のコンソールでも、内部ではWeb技術(ターミナル表示ライブラリ)で描画しています。ここでGPUアクセラレーション(主にWebGL系)が有効になっていると、環境によっては次のような相性問題が発生します。
- GPUドライバー更新(Windows Update含む)後に突然起きる
- マルチモニター、HDR、可変リフレッシュレートなど表示周りの設定変更後に起きる
- リモートデスクトップ(RDP)や仮想環境で描画パスが変わり起きる
- GPUが省電力モードに切り替わるタイミングでフリーズしやすい
要するに、ターミナルの「表示を速くするためのGPU機能」が逆に不安定要因になるパターンです。VS Code本体を再インストールしても、ドライバーや表示環境の相性が原因なら再発します。
最優先で試す回避策:統合ターミナルのGPUアクセラレーションを無効化
この症状で最も効果が出やすいのが、統合ターミナルのGPUアクセラレーションをOFFにする方法です。根本原因がドライバー側にあっても、VS Code側の描画パスを切り替えることで安定動作に寄せられます。
設定画面からOFFにする手順
- VS Codeを開き、左下の歯車(管理)から[設定]を開く(または
Ctrl+,) - 検索ボックスにGPU acceleration(またはTerminal › Integrated: Gpu Acceleration)と入力
- Terminal › Integrated: Gpu Acceleration をOFF(無効)に変更
- VS Codeを再起動し、再度[ターミナル]→[新しいターミナル]を試す
settings.jsonで直接指定する方法:確実に反映させたい場合
UIで見つけにくい/設定が反映されているか不安な場合は、settings.jsonに直接書くのが確実です。
- コマンドパレット(
Ctrl+Shift+P)を開く - Preferences: Open User Settings (JSON) を実行
- 次の設定を追記して保存
{
"terminal.integrated.gpuAcceleration": "off"
}
環境やVS Codeのバージョンによっては値が「on / off / auto」のように扱われます。まずはoffに固定して挙動を確認するのが切り分けとして分かりやすいです。
| 設定項目 | おすすめ値 | 期待できる効果 | 副作用(起きるかもしれないこと) |
|---|---|---|---|
terminal.integrated.gpuAcceleration | off | 「新しいターミナル」でのフリーズ回避/描画の安定化 | 大量出力時にスクロールが少し重くなる場合がある |
terminal.integrated.gpuAcceleration | auto | 環境に応じて自動選択 | 不具合環境だと再発する可能性 |
なぜOFFで直るのか:仕組みをざっくり理解する
統合ターミナルは、文字の表示・スクロール・カーソル描画などを高頻度で行います。GPUアクセラレーションが有効だと、これらをGPU側に寄せて高速化できますが、GPUドライバーや描画APIの相性によっては、
- 描画処理が詰まって入力が返ってこない
- レンダリングスレッドが固まり、VS Code全体が巻き込まれる
- 「黄色カーソル」など半端な状態で止まる
といった症状になります。OFFにすると、描画がソフトウェア側(CPU側)に寄り、ドライバー依存の不安定要因を減らせるため、結果としてフリーズが収まるケースが多い、というわけです。
改善しない場合にやること:実用チェックリスト
GPUアクセラレーションをOFFにしても直らない場合は、原因が「別の描画問題」や「シェル起動の問題」にずれている可能性があります。ここからは、再現性を保ちながら効率よく切り分ける順番で紹介します。
| 優先度 | やること | 狙い | 手間 |
|---|---|---|---|
| 高 | VS Codeを最新版へ更新/再起動 | 既知バグ修正を取り込む | 低 |
| 高 | GPUドライバーを更新(メーカー公式推奨) | 描画系の不具合修正 | 中 |
| 中 | 拡張機能なしで起動して確認 | 拡張がターミナルに干渉していないか確認 | 低 |
| 中 | 既定のシェルを切り替える | シェル側の起動やプロファイルの問題を除外 | 低 |
| 低 | VS Codeのハードウェアアクセラレーション自体をOFF | Electron側のGPU問題を回避 | 中 |
| 低 | ユーザーデータを一時退避して初期化 | 壊れた設定・キャッシュを除外 | 中〜高 |
VS Code本体を更新する:突然発生した場合ほど効果が出やすい
Windows UpdateやGPUドライバー更新の直後に起きたなら、VS Code側も更新して既知不具合の修正を取り込みましょう。安定版(Stable)での確認が基本です。
- ヘルプメニューから更新確認(環境により表記は異なります)
- 更新後は必ずVS Codeを再起動し、ターミナルを新規作成して再現するか確認
GPUドライバーを「Windows Update任せ」にしない
この手のフリーズは、Windows Updateが配布するドライバーと相性が出ることがあります。可能ならNVIDIA/AMD/Intelの公式サイトやメーカー配布のドライバーに揃えると安定するケースが多いです。
- ノートPCは、メーカー(PCベンダー)の推奨ドライバーが最優先
- デスクトップGPUは、GPUベンダー公式の最新版へ
- 更新後は再起動し、再現テストは必ず「新しいターミナル」で行う
拡張機能を無効化して切り分ける
Python拡張、Git関連、プロンプト装飾、ターミナル統合系の拡張が、ターミナル起動に干渉することもあります。次の方法で「拡張が原因か」を一発で切り分けできます。
- コマンドパレットで Help: Restart With Extensions Disabled(拡張機能を無効化して再起動)を実行
- その状態で[新しいターミナル]を開き、症状が再現するか確認
拡張なしで直るなら、最近追加した拡張やアップデートされた拡張が怪しいため、1つずつ有効化して原因を特定します。
既定のシェルを切り替えて確認する
統合ターミナルが固まっているように見えて、実は起動したシェル(PowerShell等)のプロファイルが重いことがあります。特に、プロンプト装飾(例:oh-my-posh、starship)、起動時にネットワークアクセスするスクリプト、過剰な自動補完があると、起動直後に固まったように見えます。
切り分けとしては、まず最小構成のシェルで試すのが効果的です。
- 一時的に cmd.exe を既定にして試す
- PowerShellの場合、プロファイル(
$PROFILE)で重い処理がないか確認 - WSLやGit Bashを既定にしている場合はいったん外して試す
VS Code(ウィンドウ側)のGPUを無効化する
統合ターミナルのGPUをOFFにしても改善しないなら、VS Code本体(Electron)のGPUアクセラレーションが悪さをしている可能性もあります。ターミナル以外にも描画の乱れや固まりがある場合は、こちらを試す価値があります。
- 起動オプションで
--disable-gpuを付けて起動して挙動を見る - ランタイム設定(argv.json)でハードウェアアクセラレーションを無効化できる場合があります
ただし、この方法は全体の描画パフォーマンスが落ちることもあるため、まずは統合ターミナル側のGPU OFFを優先し、必要な場合だけ追加で実施してください。
ユーザーデータを一時退避して初期化する:最後の切り分け手段
再インストールしても直らないのに、設定を大きく変えた記憶がある場合は、ユーザーデータの破損や設定の組み合わせが原因であることがあります。次のように「戻せる形」で一時退避すると安全です。
- 設定ファイル(settings.json / keybindings.json)をバックアップする
- 拡張機能やキャッシュを含むユーザーデータフォルダを別名にして再起動し、初期状態で再現するか確認
初期状態で直るなら、設定を少しずつ戻して「地雷設定」を特定できます。とくにターミナル関連の設定(フォント、レンダラー、プロファイル)を段階的に戻すのがコツです。
現場で役立つ再発防止のコツ
原因がGPUドライバー起因の場合、環境の変化で再発することがあります。開発を止めないために、次の運用をおすすめします。
- 統合ターミナルのGPUアクセラレーションは、安定するならOFFのまま運用する
- GPUドライバー更新は「Windows Update直後」に一度ターミナル動作を確認する
- プロンプト装飾や起動スクリプトは、重い処理(ネットワークアクセス、巨大なgit status等)を避ける
- 拡張機能は必要最小限にし、更新後に不具合が出たらすぐ切り戻せるよう把握しておく
不具合報告や相談をするときに揃える情報
社内ITやコミュニティ、GitHub issueに相談する場合、情報が揃っていると解決が早いです。最低限、次をメモしておくとやり取りがスムーズになります。
- Windowsのエディションとバージョン(例:Windows 10 Pro 22H2)
- VS Codeのバージョン(Help > About などで確認)
- GPUの種類(Intel/NVIDIA/AMD)とドライバーバージョン
- 既定のシェル(PowerShell / cmd / Git Bash / WSL など)
terminal.integrated.gpuAccelerationの設定値- 拡張機能を無効化しても再現するか
「いつから発生したか(直前に更新したものがあるか)」も重要なヒントになります。突然発生したなら、OS更新・ドライバー更新・VS Code更新・拡張更新のどれかがトリガーになっている可能性が高いです。
よくある質問:FAQ
GPUアクセラレーションをOFFにすると遅くなりますか?
大量ログを高速スクロールするようなケースでは、環境によっては体感で差が出る場合があります。ただ、普段のPython開発(実行ログ、仮想環境の操作、gitコマンド)程度なら、安定性のメリットの方が大きいことが多いです。
再インストールしても直らないのはなぜですか?
VS Codeは設定や拡張機能、ユーザーデータが別領域に残るため、再インストールだけでは「壊れた設定」や「相性の悪い状態」が引き継がれることがあります。また、根っこがGPUドライバーやOS側にある場合は、アプリを入れ直しても症状が続きます。
「ターミナルだけ」が固まるのに、VS Code全体がフリーズします
統合ターミナルはVS Codeのウィンドウと同じ描画・イベント処理の流れに組み込まれています。そのため、ターミナルの描画が詰まると、結果としてVS Code全体が反応しなくなったように見えることがあります。
まとめ:まずはターミナルGPUをOFF、次に環境を切り分ける
Windows 10環境でVS Codeの「新しいターミナル」が固まる症状は、統合ターミナルのGPUアクセラレーションが引き金になっていることが少なくありません。設定でGPUアクセラレーションをOFFにして再起動するだけで改善するケースが多いので、最初に試す価値があります。
それでも改善しない場合は、ドライバー更新、拡張機能の無効化、シェルの切り替え、ユーザーデータ初期化の順で切り分けると、最短で原因にたどり着けます。開発が止まる前に、安定する構成を作っておきましょう。

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