iOSのFilesでOneDriveの「共有」「ライブラリ」が消える理由と対処法

iPhoneやiPadの「ファイル」アプリで、OneDriveの「共有」や「ライブラリ」が突然見えなくなっても、ファイルが削除されたとは限りません。

Microsoftは、OneDrive for iOSとAppleのFilesアプリとの連携を「Replicated File Provider API」へ移行します。これによりアップロード状況が分かりやすくなる一方、Filesアプリ内に表示されていた読み取り専用の「Shared」と「Libraries」の場所は表示されなくなります。必要な共有フォルダーやSharePointライブラリは、あらかじめ「Add to OneDrive」、日本語画面では主に「マイ ファイルへのショートカットの追加」を実行し、OneDriveの「マイ ファイル」から開ける状態にしておくことが基本的な対処法です。

ただし、ショートカットを追加しても編集権限が新たに付与されるわけではありません。閲覧だけが許可されたフォルダーは引き続き読み取り専用となり、編集権限がある場所だけ書き込みやアップロードができます。

目次

OneDriveのiOS Files連携で何が変わるのか

Microsoft 365 Roadmap ID 568761では、OneDrive for iOSのFilesアプリ連携をAppleのReplicated File Provider APIへ移行すると案内されています。Microsoftが示している主な変更点は、次の2つです。

  • Filesアプリでアップロードの進行状況が分かりやすくなる
  • 読み取り専用の「Shared」と「Libraries」の場所がFilesアプリから表示されなくなる

変更前後を整理すると、次のようになります。

項目移行前移行後
Filesとの連携基盤従来のOneDrive連携AppleのReplicated File Provider API
アップロード状況進捗や完了状態が分かりにくい場合があるアップロード進捗の表示が改善
OneDriveのマイファイルFilesアプリから利用引き続きFilesアプリから利用
「共有」の専用表示Filesアプリ内に表示される場合がある読み取り専用の場所としては表示されなくなる
「ライブラリ」の専用表示SharePointやTeamsのライブラリが表示される場合がある読み取り専用の場所としては表示されなくなる
今後のアクセス方法「共有」「ライブラリ」から直接参照必要なフォルダーをマイファイルへ追加して参照
編集・アップロードアクセス権限に依存引き続きアクセス権限に依存

AppleのReplicated File Providerは、クラウド上のファイルと端末側のファイル状態を同期するための仕組みです。Appleは、この仕組みを使うことでFilesアプリ上にアップロード進捗を表示できると説明しています。(Apple Developer)

「共有」と「ライブラリ」が消える理由

今回消えるのは、OneDrive内のデータそのものではなく、Filesアプリ内に用意されていた特殊な参照場所です。

OneDriveの「共有」は、ほかのユーザーから共有されたファイルやフォルダーをまとめて表示するビューです。「ライブラリ」は、主にSharePointやMicrosoft Teamsで利用しているドキュメントライブラリを参照するための場所です。

これらは、自分のOneDriveに保存された通常のフォルダーとは構造が異なります。Filesアプリから見ると、独立した保存場所というより、OneDriveやSharePoint上の複数の場所をまとめて見せる仮想的な一覧に近いものです。

新しい連携方式では、この読み取り専用の一覧をFilesアプリにそのまま公開するのではなく、利用者が必要なフォルダーを自分の「マイ ファイル」に追加してアクセスする方式へ整理されます。

したがって、変更後に「共有」や「ライブラリ」が見えなくなっても、次の状態であればデータ消失ではありません。

  • OneDriveアプリの「共有」では確認できる
  • OneDriveのWeb版では開ける
  • SharePointまたはTeamsからは開ける
  • 所有者や管理者から付与されたアクセス権が残っている

まずOneDriveアプリやWeb版で対象データが存在するかを確認し、存在する場合はFilesアプリの不具合や削除と判断せず、ショートカットへの移行を行います。

「読み取り専用の場所」と「閲覧権限」は別の意味

今回の変更で混同しやすいのが、「読み取り専用」という言葉です。

Microsoftの案内にある読み取り専用の「Shared」「Libraries」は、Filesアプリに表示される場所の性質を指しています。一方、個々のファイルやフォルダーを編集できるかどうかは、OneDriveやSharePointで設定されたアクセス権によって決まります。

例えば、部署のSharePointライブラリをマイファイルに追加した場合でも、アクセス権が閲覧のみなら、Filesアプリから内容を見ることはできても上書き保存はできません。

状態Filesでの表示編集・アップロード
フォルダーに閲覧権限だけがある追加できる対象であれば表示可能不可
フォルダーに編集権限がある表示可能可能
アクセス権が削除された表示できない、またはエラーになる不可
ショートカットだけを削除したマイファイルから消える元データと権限は原則そのまま
元の共有フォルダーを削除した利用者全員に影響する可能性がある復元が必要になる場合がある

Add to OneDriveはアクセス権を変更する機能ではありません。 あくまで、すでにアクセスできるフォルダーを「マイ ファイル」から参照しやすくする機能です。Microsoftも、書き込みは許可されている場合に限られると説明しています。

Add to OneDriveで共有フォルダーを移行する手順

Microsoftのロードマップでは「Add to OneDrive」と表現されていますが、実際の画面では「Add shortcut to My files」または日本語の「マイ ファイルへのショートカットの追加」と表示されることがあります。

画面表記はアカウントの種類や更新状況によって異なりますが、目的は同じです。

OneDriveで共有されたフォルダーを追加する

  1. ブラウザーでOneDriveにサインインします。
  2. 職場または学校のアカウントを使用していることを確認します。
  3. 左側のメニューから「共有」を開きます。
  4. 「あなたと共有」などの一覧から、Filesアプリで利用したいフォルダーを選択します。
  5. 「マイ ファイルへのショートカットの追加」を選択します。
  6. OneDriveの「マイ ファイル」を開き、追加したフォルダーが表示されることを確認します。
  7. iPhoneまたはiPadで「ファイル」アプリを開きます。
  8. 「ブラウズ」から「OneDrive」を開き、追加したフォルダーが見えるか確認します。

Microsoftによると、職場または学校のアカウントでは、OneDrive、SharePoint、Teamsで共有されたフォルダーをマイファイルへ追加できます。追加したショートカットは、OneDriveのWeb版、モバイルアプリ、Teamsなどにも表示されます。(マイクロソフトサポート)

SharePointやTeamsのライブラリを追加する

SharePointまたはTeamsのファイルをFilesアプリから利用している場合は、ライブラリ全体を追加するか、日常的に使うフォルダーだけを追加します。

  1. SharePointサイト、またはTeamsの対象チームを開きます。
  2. 利用するドキュメントライブラリを開きます。
  3. ライブラリ全体、または必要なフォルダーを選択します。
  4. 「マイ ファイルへのショートカットの追加」を選択します。
  5. OneDriveの「マイ ファイル」にショートカットが追加されたことを確認します。
  6. iOSのFilesアプリからOneDriveを開き、対象フォルダーを確認します。

Microsoftのサポート情報では、SharePointやTeamsの共有ライブラリ全体だけでなく、ライブラリ内の特定フォルダーもマイファイルに追加できます。(マイクロソフトサポート)

業務で使うライブラリが大きい場合は、ライブラリ全体を追加するより、頻繁に使用する部署別・年度別・案件別フォルダーだけを追加した方が探しやすくなります。

Add to OneDriveはコピーではなくショートカット

「マイ ファイルへのショートカットの追加」を実行しても、共有フォルダーのデータが自分のOneDriveへ複製されるわけではありません。

元のフォルダーを参照する入口がマイファイルに追加されます。そのため、ショートカット経由でファイルを編集すると、権限がある場合は元の共有フォルダーへ変更が反映されます。

この違いは、特に削除操作で重要です。

  • 「ショートカットを削除」すると、自分のマイファイルから入口だけが消える
  • フォルダー内のファイルを削除すると、共有元のデータを削除する可能性がある
  • ショートカットを通常のフォルダーと同じ感覚で削除すると、元データへ影響する場合がある

ショートカットを外したい場合は、通常の削除操作ではなく「マイ ファイルからショートカットを削除」または「ショートカットの削除」を選びます。Microsoftも、操作方法によっては共有フォルダー内のデータを削除してしまう可能性があるとして注意を促しています。(マイクロソフトサポート)

ショートカットを追加できないケース

すべての共有コンテンツをAdd to OneDriveで移行できるわけではありません。

個別の共有ファイル

マイファイルへ追加できるのは、基本的にフォルダーまたはライブラリです。個別のWord文書、Excelファイル、PDFなどには「マイ ファイルへのショートカットの追加」が表示されません。(マイクロソフトサポート)

個別ファイルだけが共有されている場合は、次のいずれかで対応します。

  • OneDriveアプリの「共有」から開く
  • OneDriveのWeb版から開く
  • 所有者に依頼して共有フォルダーへ格納してもらう
  • 権限や組織ルールが許す場合は、自分のOneDriveへコピーする

コピーを作成すると、元ファイルとの同期や共同編集は維持されません。更新を共有する必要がある業務ファイルでは、共有フォルダー化してもらう方が適切です。

外部ユーザーから共有されたフォルダー

Microsoftの職場・学校向けサポート情報では、ショートカット追加の手順は組織内部のユーザー向けとされており、外部ユーザーから共有されたフォルダーには追加できない場合があります。(マイクロソフトサポート)

取引先や別組織から共有されたフォルダーが対象の場合は、OneDriveアプリ、SharePoint、Teams、ブラウザーからの利用を継続します。

個人用OneDriveの閲覧専用フォルダー

個人用Microsoftアカウントでは、Microsoftの案内上、マイファイルへ追加できる共有フォルダーは編集権限があるものです。閲覧専用の共有フォルダーでは追加項目が表示されない可能性があります。(マイクロソフトサポート)

管理者が機能を無効化している

Microsoft 365管理者は、組織全体で「Add shortcut to OneDrive」を無効化できます。そのため、対象がフォルダーであってもショートカット追加の項目が表示されないことがあります。(マイクロソフトサポート)

業務アカウントで項目が見つからない場合は、利用者が何度もアプリを再インストールする前に、管理者へ次の点を確認します。

  • Add shortcut to OneDriveが組織で無効化されていないか
  • 対象フォルダーが外部共有ではないか
  • 利用者に必要なアクセス権があるか
  • すでにショートカットが追加されていないか
  • 追加可能なショートカット数の上限に達していないか

FilesアプリにOneDrive自体が表示されない場合

今回の変更では、「共有」や「ライブラリ」だけでなく、OneDriveそのものがFilesアプリから消えたように見えることがあります。その場合は、Filesアプリの場所設定を確認します。

  1. OneDriveアプリをインストールし、対象アカウントでサインインします。
  2. iPhoneまたはiPadで「ファイル」アプリを開きます。
  3. 「ブラウズ」を開きます。
  4. 右上のメニューボタンから「編集」を選択します。
  5. 「場所」の一覧でOneDriveを有効にします。
  6. 「完了」をタップします。

Appleも、FilesアプリでOneDriveなどの外部クラウドを利用するには、クラウドアプリを設定したうえで「ブラウズ」画面の編集メニューから有効化するよう案内しています。(Apple Support)

OneDriveが一覧に出ない場合は、次の順番で確認します。

  • OneDriveアプリを一度開き、サインインが維持されているか確認する
  • OneDriveアプリを最新版へ更新する
  • Filesアプリを終了して開き直す
  • iPhoneまたはiPadを再起動する
  • OneDriveアプリで対象ファイルを正常に開けるか確認する
  • 組織のIntuneやモバイル端末管理でFiles連携が制限されていないか確認する

移行後によくある症状と判断方法

症状主な原因対処
Filesから「共有」だけが消えた新しいFiles連携への移行必要な共有フォルダーをマイファイルへ追加
「ライブラリ」が消えた読み取り専用ライブラリ表示の廃止SharePointまたはTeamsでショートカットを追加
OneDriveアプリでは見えるがFilesでは見えないショートカット未追加OneDriveのマイファイルへ追加
OneDrive自体がFilesにないFilesの場所設定が無効Filesの「ブラウズ」からOneDriveを有効化
ショートカット追加の項目がない個別ファイル、外部共有、管理者制限などOneDriveアプリやWeb版を利用し、管理者へ確認
フォルダーは見えるが保存できない閲覧権限しかない所有者または管理者へ編集権限を依頼
アップロード進捗は出るが完了しない通信、権限、容量、アプリ状態などOneDriveアプリやWeb版でアップロード結果を確認
一部の端末だけ表示が違う段階的な展開やアプリ更新状況の差アプリ版とアカウントを確認して端末ごとにテスト

新APIでアップロード進捗が改善されても、権限不足や通信障害まで自動的に解消されるわけではありません。アップロード後は、OneDriveアプリまたはWeb版でファイルが実際に作成されているか確認することが重要です。

企業や自治体の管理者が事前に行うべきこと

今回の変更は、Filesアプリを業務の保存先選択画面として利用している組織ほど影響が大きくなります。

例えば、次のような運用は事前確認が必要です。

  • メール添付をFiles経由でSharePointへ保存している
  • SafariからPDFを共有ライブラリへ保存している
  • スキャナーアプリからTeamsのフォルダーへアップロードしている
  • 写真や現場資料を部署のSharePointへ直接保存している
  • iPadの文書編集アプリから共有フォルダーへ上書きしている

管理者は、次の順番で準備すると混乱を抑えられます。

利用中の共有先を洗い出す

「OneDriveを使っているか」だけではなく、Filesアプリからどの保存先を使っているか確認します。

特に、OneDriveのマイファイルではなく、次の場所を使っている利用者が対象です。

  • 自分と共有されたフォルダー
  • Teamsのチャネルに関連するファイル
  • SharePointのドキュメントライブラリ
  • 他部署が所有する共同作業フォルダー

必要なフォルダーだけをマイファイルへ追加する

すべてのライブラリを無条件に追加すると、マイファイルが分かりにくくなります。

「経理共有」「会議資料」「現場写真」のように、Filesアプリから日常的に使うフォルダーだけを追加する運用が適しています。

実際の保存操作をテストする

フォルダーが表示されるだけでは確認として不十分です。

  1. Filesアプリからテストファイルをアップロードする
  2. アップロード進捗が表示されるか確認する
  3. OneDriveまたはSharePointのWeb版でファイルを確認する
  4. ファイル名を変更する
  5. 編集権限がある利用者で上書き保存する
  6. 閲覧権限だけの利用者では編集できないことを確認する

このテストにより、表示上の問題と権限設定の問題を切り分けられます。

外部共有の代替手順を案内する

外部組織から共有されたフォルダーは、ショートカットを追加できないことがあります。

その場合は、Filesアプリに表示させることを前提とせず、次の利用方法を標準手順として案内します。

  • OneDriveアプリの「共有」から開く
  • TeamsまたはSharePointアプリから開く
  • ブラウザーで共有リンクを開く
  • 必要に応じて所有者へ共有方法の変更を依頼する

展開時期は端末や組織によって異なる可能性がある

Microsoft 365 Roadmap ID 568761では、一般提供予定が2026年8月とされています。一方、2026年9月3日時点で公開API上の状態は「In development」です。したがって、すべての利用者へ同時に適用済みとは限りません。

Microsoft 365 Roadmapの日付は予定であり、提供時期や内容は変更される可能性があります。また、段階的な展開では、同じ組織でも端末やアカウントによって表示が異なることがあります。(Microsoft)

現時点で「共有」や「ライブラリ」がまだ表示されている場合でも、Filesアプリから日常的に使うフォルダーは事前にマイファイルへ追加しておくと安全です。

OneDriveのiOS Files連携移行に備えるポイント

OneDriveのiOS Files連携移行では、アップロードの進捗表示が改善される一方、Filesアプリ内の読み取り専用「共有」「ライブラリ」は表示されなくなります。

重要なのは、ファイルが消えるのではなく、Filesアプリからの入口が変わる点です。

まず、Filesアプリから利用している共有フォルダーやSharePointライブラリを確認します。次に、必要なフォルダーへ「マイ ファイルへのショートカットの追加」を実行し、OneDriveのマイファイル経由で開けるかテストしてください。

ショートカットを追加できない個別ファイル、外部共有、管理者によって制限されたフォルダーは、OneDriveアプリ、SharePoint、Teams、Web版から利用します。保存できない場合は、Filesアプリの不具合と決めつけず、編集権限、組織ポリシー、共有形態を順番に確認することが解決への近道です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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