PowerPointでトリミングした動画を保存・書き出す方法

PowerPointのスライド上で動画をトリミングしただけでは、短くした動画ファイルとして取り出せないことがあります。Windows版PowerPointでは、「ビデオのトリミング」→「メディアの圧縮」→「メディアに名前を付けて保存」の順に操作するのがポイントです。

先にメディアを圧縮してから保存することで、スライド上で指定した開始位置と終了位置を反映した動画ファイルを書き出せます。なお、対象になるのは基本的にパソコン内から挿入した動画です。YouTubeなどWeb上から挿入した動画には同じ操作を適用できません。([マイクロソフト サポート][1])

メディアの圧縮では、埋め込まれた字幕や代替音声トラックが失われる可能性があります。作業前に、元の動画ファイルとPowerPointファイルのコピーを保存しておきましょう。([マイクロソフト サポート][2])

目次

PowerPointで短くした動画を書き出す操作の流れ

PowerPointでトリミングした動画を保存する手順は、次のとおりです。

順番操作目的
1元データをバックアップする圧縮前の動画とプレゼンを残す
2動画の開始位置と終了位置を設定する必要な範囲だけを指定する
3スライド上で再生確認する切り出す位置に問題がないか確認する
4メディアを圧縮するトリミング結果を書き出せる状態にする
5メディアに名前を付けて保存する短い動画ファイルとして取り出す
6保存した動画を外部プレーヤーで確認する長さ、音声、画質を確認する

特に重要なのが、右クリックで動画を保存する前に「メディアの圧縮」を実行することです。圧縮せずに保存すると、スライド上では短く再生されていても、元の長さの動画が取り出される場合があります。

事前に確認しておきたい適用条件

今回の方法を使用できるか、最初に環境と動画の種類を確認します。

確認項目使用可否の目安注意点
Windows版PowerPointデスクトップアプリ使用可能今回の手順に適した環境
Mac版PowerPoint同じ手順は使用不可「メディアの圧縮」が用意されていない
PowerPoint for the web同じ手順は使用不可デスクトップアプリで開く必要がある
パソコン内から挿入した動画使用可能スライド内に挿入された動画を選択する
YouTubeなどのオンライン動画使用不可PowerPointのトリミング対象にならない
動画の冒頭や末尾を削る使用可能開始位置と終了位置を指定できる
動画の途中だけを削除する使用不可別の動画編集ソフトが必要

Microsoftの公式案内では、動画のトリミングはパソコンから挿入した動画を対象としており、Webから挿入した動画には利用できないとされています。また、メディアの圧縮はWindows版PowerPointで利用でき、Mac版やWeb版では利用できません。([マイクロソフト サポート][1])

作業前に元の動画とPowerPointをバックアップする

最初に、次の2つを別の場所へコピーしてください。

  • 元の動画ファイル
  • 動画を挿入したPowerPointファイル

例えば、作業中のファイルが「商品説明.pptx」であれば、先に「商品説明_動画切り出し用.pptx」というコピーを作成します。

メディアの圧縮は、単に動画の容量を小さくするだけではありません。トリミングで除外した部分や、動画に含まれる一部の情報が失われる可能性があります。圧縮後に保存してPowerPointを閉じると、元の状態へ簡単に戻せないこともあります。

また、プレゼンテーション内に複数の動画がある場合、メディアの圧縮はほかの動画にも影響することがあります。切り出したい動画だけを新しいPowerPointファイルへコピーしてから作業すると、安全に進められます。

動画の開始位置と終了位置を設定する

動画を選択して再生タブを開く

標準表示で、スライド上の動画をクリックします。

動画が正しく選択されると、リボンに動画用のタブが表示されます。PowerPointのバージョンによって表記は多少異なりますが、通常は次のようなタブです。

  • ビデオ形式
  • 再生

「再生」タブを開き、「ビデオのトリミング」を選択します。

「ビデオのトリミング」が表示されない場合は、動画そのものではなく、動画の外側にある図形やプレースホルダーを選択していないか確認してください。

再生しながら切り出し位置を探す

「ビデオのトリミング」画面で再生ボタンを押し、残したい部分の開始位置を探します。

切り出したい位置に到達したら一時停止し、開始位置を調整します。同様に、残したい部分の終了位置も設定します。

Windows版では、一般的に次のマーカーを使用します。

  • 緑色のマーカー:動画の開始位置
  • 赤色のマーカー:動画の終了位置

例えば、2分間の動画から30秒から50秒までを取り出したい場合は、開始時刻を「00:30」、終了時刻を「00:50」に設定します。

マーカーをドラッグするだけでなく、開始時刻と終了時刻を数値で入力できる画面であれば、時刻を直接指定した方が正確です。細かい位置を調整するときは、前後のフレームへ移動するボタンも利用できます。([マイクロソフト サポート][1])

トリミングを確定する

開始位置と終了位置を設定したら、「OK」を選択します。

この時点では、PowerPoint上の再生範囲が変更された状態です。まだ短い動画ファイルとして保存されたわけではありません。

スライド上でトリミング結果を確認する

メディアを圧縮する前に、動画を最初から最後まで再生します。

確認する項目は次のとおりです。

  • 残したい場面から始まっているか
  • 冒頭の音声や話し始めが切れていないか
  • 終了位置が早すぎないか
  • 最後の音声が途中で途切れていないか
  • 映像と音声にずれがないか

会話やナレーションを含む動画では、発話の直前と直後に0.2秒から0.5秒ほど余裕を残すと、不自然な切れ方を防ぎやすくなります。

例えば、話し始めが30秒ちょうどの場合でも、開始位置を29.7秒程度にすると、最初の子音や息継ぎが欠けにくくなります。

PowerPointのトリミングは本格的な動画編集機能ではないため、厳密なフレーム単位の編集が必要な動画では、専用の動画編集ソフトを使用した方が確実です。

メディアを圧縮してトリミング結果を反映する

トリミング結果に問題がなければ、メディアを圧縮します。

  1. 「ファイル」を選択します。
  2. 「情報」を開きます。
  3. 「メディアの圧縮」を選択します。
  4. 使用する画質を選びます。
  5. 圧縮処理が完了するまで待ちます。

Microsoftの公式手順でも、トリミングしたメディアをPowerPointの外部で使用できる別ファイルとして保存するには、先にメディアを圧縮し、その後「メディアに名前を付けて保存」を使用する流れになっています。([マイクロソフト サポート][1])

書き出しが目的なら高い画質を選ぶ

新しいバージョンのPowerPointでは、次のような画質が表示されることがあります。

画質向いている用途注意点
フルHD・1080p再利用、会議、Web掲載画質を優先する場合の第一候補
HD・720pメール共有、社内資料容量と画質のバランスがよい
標準・480p容量をできるだけ減らしたい場合文字や細部が見にくくなる可能性がある

古いバージョンでは、「プレゼンテーション品質」「インターネット品質」「低品質」などの名称で表示されることがあります。([マイクロソフト サポート][2])

今回の目的は容量削減ではなく、トリミング結果を動画ファイルへ反映することです。そのため、迷った場合は最も高い画質を選ぶのが無難です。

ただし、最高品質を選んでも元の動画と完全に同じ品質が維持されるとは限りません。圧縮処理によって再エンコードされ、画質や音質が変化することがあります。

トリミングした動画をファイルとして保存する

メディアの圧縮が完了したら、スライドへ戻ります。

  1. トリミングした動画をクリックします。
  2. 動画の上で右クリックします。
  3. 「メディアに名前を付けて保存」を選択します。
  4. 保存先のフォルダーを指定します。
  5. ファイル名を入力します。
  6. 「保存」を選択します。

PowerPointのバージョンや表示言語によっては、メニューの名称が若干異なる場合があります。

例えば、元の動画が「説明会全編.mp4」で、必要な場面だけを切り出した場合は、次のように内容が分かる名前を付けます。

説明会_サービス紹介部分.mp4

「動画1.mp4」「新しい動画.mp4」といった名前では、後から内容や元データとの関係が分かりにくくなります。

保存されるファイル形式は、元の動画形式やPowerPointのバージョンによって異なることがあります。PowerPointは一般的な動画変換ソフトではないため、必ず希望する拡張子になるとは限りません。

保存した動画をPowerPoint以外で再生確認する

保存が完了したら、PowerPoint内ではなく、Windowsのメディアプレーヤーなどで動画を開きます。

最低限、次の項目を確認してください。

確認項目確認する内容
再生時間指定した長さになっているか
開始位置元動画の不要な冒頭が残っていないか
終了位置必要な場面が途中で切れていないか
映像画質が大きく低下していないか
音声音が出るか、映像とずれていないか
字幕必要な字幕が残っているか
ファイル形式使用するWebサービスやアプリで開けるか

PowerPoint内で正常に再生できても、保存した動画ファイルに問題がないとは限りません。外部プレーヤーで最後まで確認してから、元のPowerPointやバックアップを整理してください。

トリミングしたのに元の長さで保存される場合

スライド上では短くなっているのに、保存した動画が元の長さに戻ってしまう場合は、メディアを圧縮せずに保存した可能性があります。

次の順番でやり直します。

  1. バックアップしたPowerPointファイルを開きます。
  2. 動画のトリミング位置を設定します。
  3. 「ファイル」から「情報」を開きます。
  4. 「メディアの圧縮」を実行します。
  5. 圧縮完了後に動画を右クリックします。
  6. 「メディアに名前を付けて保存」を実行します。

重要なのは、トリミング後、保存前に圧縮することです。

また、圧縮後のPowerPointを保存せずに閉じた場合、次回開いたときに圧縮結果が保持されていないことがあります。メディアの圧縮が完了したら、PowerPointファイル自体も保存しておくと安全です。

「メディアの圧縮」が表示されない場合

「ファイル」から「情報」を開いても「メディアの圧縮」が見つからない場合は、次の点を確認します。

Mac版やWeb版を使用していないか

メディアの圧縮はWindows版PowerPointの機能です。Mac版PowerPointやPowerPoint for the webでは、同じ手順を使用できません。([マイクロソフト サポート][2])

WebブラウザでPowerPointを開いている場合は、Windowsパソコンにインストールされたデスクトップ版PowerPointでファイルを開き直してください。

圧縮できる動画が挿入されているか

PowerPoint内に対応する動画や音声が含まれていない場合、「メディアの圧縮」が表示されないことがあります。

スライド上に動画が見えていても、次のような形式では対象にならない可能性があります。

  • YouTubeなどのオンライン動画
  • Webページへのリンクとして挿入した動画
  • 動画ファイルではなく画像として貼り付けたサムネイル
  • オブジェクトとして挿入したファイル
  • 外部ファイルへのリンクのみを設定したメディア

パソコン内に保存されている動画を、「挿入」から通常の動画として追加し直して確認します。

PowerPointの製品情報を確認する

PowerPointのバージョンや更新状態によって、ボタンの名称や配置が異なることがあります。

「ファイル」から「アカウント」を開き、使用している製品名とバージョンを確認してください。会社や学校で管理されたパソコンでは、更新方法や利用できる機能が組織の設定によって制限されている場合もあります。

「メディアに名前を付けて保存」が表示されない場合

動画を右クリックしても保存メニューが表示されない場合は、動画そのものが選択されていない可能性があります。

次の操作を試します。

  • 標準表示に切り替える
  • 動画の中央ではなく、枠線部分を一度クリックする
  • 動画がグループ化されている場合はグループを解除する
  • プレースホルダーではなく動画本体を選択する
  • オンライン動画ではないことを確認する
  • PowerPoint for the webではなくデスクトップ版で開く

スライドショー表示や閲覧表示ではなく、編集できる標準表示で操作してください。

また、動画がリンクや埋め込みオブジェクトとして配置されている場合は、「メディアに名前を付けて保存」が利用できないことがあります。その場合は、元の動画ファイルを探し、通常の動画として挿入し直します。

圧縮後に画質が悪くなった場合

書き出した動画の画質が悪い場合は、圧縮時に低い品質を選んだ可能性があります。

圧縮を繰り返すと画質がさらに低下することがあるため、圧縮済みのPowerPointを使い回すのではなく、バックアップしておいた圧縮前のファイルからやり直します。

手順は次のとおりです。

  1. 圧縮前のPowerPointファイルを開きます。
  2. トリミング位置を確認します。
  3. 「メディアの圧縮」で最も高い品質を選びます。
  4. 改めて動画を書き出します。

元の動画が4Kなどの高解像度であっても、PowerPointの圧縮で選択できる品質がフルHDまでの場合、元の解像度を維持できないことがあります。高画質のまま切り出す必要がある場合は、動画編集ソフトを使用した方が適しています。

字幕や別の音声が消えた場合

PowerPointのメディア圧縮では、動画に埋め込まれている字幕や代替音声トラックが失われる可能性があります。Microsoftも、圧縮によって埋め込み字幕と代替音声トラックが失われると案内しています。([マイクロソフト サポート][2])

次のような動画は特に注意が必要です。

  • 日本語と英語の音声を切り替えられる動画
  • 動画ファイル内に字幕トラックが含まれている動画
  • 聴覚支援用の字幕を含む動画
  • 解説音声や副音声を含む動画

これらを保持したまま短くしたい場合は、PowerPointの圧縮を使用せず、字幕や複数音声トラックに対応した動画編集ソフトで編集します。

PowerPointでの切り出しが向いているケース

PowerPointの動画トリミングと書き出しは、次のような作業に向いています。

  • プレゼン用動画の冒頭と末尾だけを削りたい
  • 長い説明動画から1場面だけを取り出したい
  • 会議で使用した動画を短くして再利用したい
  • 専用の動画編集ソフトを用意せずに簡単な切り出しをしたい
  • 数秒から数分程度の動画を素早く作りたい

一方、次のような編集には適していません。

やりたいことPowerPointでの対応
動画の冒頭を削除する可能
動画の末尾を削除する可能
20秒から40秒だけを取り出す可能
動画の途中だけを削除する不可
複数の場面をつなぎ合わせる不向き
テロップや効果音を追加する不向き
4K画質を維持して編集する不向き
字幕や複数音声を維持する不向き
多数の動画を一括処理する不向き

PowerPointはプレゼンテーション作成ソフトであり、動画編集機能は補助的なものです。開始位置と終了位置を指定するだけで済む作業なら便利ですが、複数箇所のカットや高品質な編集には専用ソフトを使用します。

「ビデオの作成」と「メディアの保存」の違い

PowerPointには、「エクスポート」から「ビデオの作成」を選ぶ機能もあります。ただし、これはスライドショー全体を動画に変換する機能です。

今回使用する「メディアに名前を付けて保存」とは目的が異なります。

操作保存される内容
ビデオの作成スライド、アニメーション、ナレーションを含むプレゼン全体
メディアに名前を付けて保存選択した動画や音声ファイル
PowerPointに名前を付けて保存プレゼンテーションファイル

スライドの背景や文字を含めず、挿入した動画だけを取り出したい場合は、「ビデオの作成」ではなく「メディアに名前を付けて保存」を使用します。

1本の動画から複数の短い動画を作る場合

1本の長い動画から複数の場面を取り出す場合は、場面ごとにPowerPointファイルを分けると安全です。

例えば、次の3本を作るとします。

  • 00:20~00:40
  • 01:10~01:35
  • 02:00~02:30

この場合は、元のPowerPointを3つコピーします。

  • 動画切り出し_01.pptx
  • 動画切り出し_02.pptx
  • 動画切り出し_03.pptx

それぞれで異なる開始位置と終了位置を設定し、メディアを圧縮して保存します。

同じPowerPoint内に動画を複製して複数の範囲を設定すると、圧縮対象や保存する動画を間違えやすくなります。数が多い場合は、最初から動画編集ソフトを使用した方が効率的です。

PowerPointでトリミングした動画を保存するときの要点

PowerPointで切り詰めた動画を、短い動画ファイルとして取り出すには、操作の順番が重要です。

  1. 元の動画とPowerPointをバックアップする
  2. 動画を選択する
  3. 「再生」から「ビデオのトリミング」を開く
  4. 開始位置と終了位置を設定する
  5. スライド上で再生確認する
  6. 「ファイル」から「情報」を開く
  7. 「メディアの圧縮」を実行する
  8. 動画を右クリックする
  9. 「メディアに名前を付けて保存」を選ぶ
  10. 保存した動画を外部プレーヤーで確認する

トリミングしただけで右クリック保存するのではなく、必ずメディアの圧縮を先に実行することが最大のポイントです。

ただし、字幕や代替音声、高解像度を維持したい場合や、動画の途中を削除したい場合は、PowerPointではなく動画編集ソフトを使用してください。
[1]: https://support.microsoft.com/en-us/powerpoint/trim-a-video-music-clip-or-sound-clip-in-powerpoint “Trim a video, music clip, or sound clip in PowerPoint | Microsoft Support”
[2]: https://support.microsoft.com/en-us/powerpoint/compress-your-media-files “Compress your media files | Microsoft Support”

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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