EFIパーティション誤削除で起動不能を復旧:USBからEFI再作成とbcdbootでWindowsを修復する完全手順

MBRからGPTへ移行中にNVMe SSDのEFIシステムパーティションを誤って削除し、Windowsが起動しなくなった——そんな“やってしまった”状況でも、落ち着いて手順を踏めば高確率で復旧できます。本記事は、USBインストールメディアからの起動→EFI再作成→ブートファイル再展開→WinREとUEFI設定の整備まで、現場で確実に通る具体策を豊富なコマンド例と検証ポイント付きで解説します。

目次

ケースの全体像と症状の整理

本記事の想定シナリオは次のとおりです。MBR→GPT変換作業中にNVMe SSD上のEFI(システム)パーティションを削除してしまい、Windows 10が起動不能に。別ディスクの他インストールからは起動できるものの、下記の問題が残存します。

  • BIOS/UEFIの起動デバイス一覧に当該NVMe SSDが現れない(Windows Boot Managerが無い)。
  • Windows回復環境(WinRE)が壊れており reagentc /enable が失敗する。
  • 起動時の「Windows を選択してください」メニューが二重表示される(重複エントリ)。
  • サードパーティ復旧ツールでパーティションを“復元”しても起動できない。

なぜ起動できないのか(要点)

UEFIブートでは、EFIシステムパーティション(FAT32, 通常100MB〜260MB)にある \EFI\Microsoft\Boot\ 配下のファイル群と、UEFI NVRAMに登録された「Windows Boot Manager」エントリが起動のカギです。EFIパーティションを削除すると、これらが消失(あるいは参照不能)となり、BIOSにNVMeが起動対象として出てきません。サードパーティの“パーティション復元”で領域自体を戻せても、ブートファイルやNVRAM登録は自動では復元されないため、最終的に bcdboot 等で“作り直す”必要があります。

最短で復旧するロードマップ(要約)

  1. Windows 10/11 のUSBインストールメディアでPCをUEFIブートし、セットアップ画面で Shift+F10 を押してコマンドプロンプトを開く。
  2. diskpartでNVMe SSD上にEFIパーティション(100MB, FAT32)を新規作成し、ドライブレターを S: に割り当て。
  3. bcdbootでOSボリューム(例:C:\Windows)からEFIへブートファイルを再展開(/f UEFI)。
  4. 必要に応じてWindows回復環境(WinRE)を有効化/再配置(reagentc)。
  5. BIOS/UEFIでCSM無効・Secure Boot有効(任意)・起動順位でWindows Boot Manager(NVMe)を最上位に。
  6. 再起動してNVMeから起動できること、起動メニューが一つに収まっていることを確認。

準備:USBインストールメディアをUEFIで起動

  • 別PCでMicrosoft公式ツール等からWindows 10/11のインストールUSBを作成。
  • 対象PCの起動メニューで「UEFI: ○○」と書かれたUSBを選択して起動します(Legacy/CSMルートでは不可)。
  • セットアップ最初の画面でShift + F10 → コマンドプロンプトを開きます。

手順1:ディスクとボリュームの特定(誤操作防止)

まずは対象NVMeとWindowsが入っているボリュームを確実に特定します。間違い防止のため、一覧→選択→中身確認の順で進めます。

diskpart
list disk
select disk <NVMeの番号>
list vol

OSボリュームの候補が複数あるときは、exit でdiskpartを抜け、各ドライブレターの Windows フォルダー有無で確認します。

C:
dir
D:
dir
確認ポイント目安/判断材料
OSボリューム直下に Windows、Program Files、Users がある
EFI候補通常はサイズ100〜260MB・FAT32。削除済みなら「未割り当て」
他ディスクの影響別物理ディスクにもEFI/Windowsがあると二重起動メニューの原因に

手順2:EFIシステムパーティションの新規作成

未割り当てが100MB以上あればそこに作成します。なければOSボリュームを100MBだけ縮小します。

diskpart
list disk
select disk <NVMeの番号>
list vol
rem (必要時のみ:縮小。<OSのボリューム番号> を確認して…)
select vol <OSのボリューム番号>
shrink desired=100 minimum=100

rem EFIパーティション作成・フォーマット・ドライブレター割当
create partition efi size=100
format fs=fat32 quick label="EFI"
assign letter=S
exit 

補足:EFIのサイズは100MBで十分です。容量に余裕があるなら260MBでも構いません。Windowsが作成するMSRパーティション(16MB)はMBR→GPT変換時に必要ですが、今回の“起動回復”ではEFIのみで問題ありません。

手順3:ブートファイルの再展開(bcdboot)

OSのパス(例:C:\Windows)を指定し、EFIにUEFI用ブートファイルを展開・NVRAMへ登録します。

bcdboot C:\Windows /s S: /f UEFI
  • C: はOSが入っているドライブに読み替えてください。
  • 正常完了なら「ブート ファイルは正常に作成されました。」と表示されます。

これにより、UEFIの起動項目として Windows Boot Manager(NVMeのディスク) が自動登録され、BIOSの起動順位に現れます。

うまくいかないときの対処

現象主な原因対処
bcdboot が「コピーに失敗」EFIにドライブレター未割当/FAT32以外/書き込み不可diskpartで assign letter=S 済みか、format fs=fat32 を再確認
BIOSにWindows Boot Managerが出ないNVRAM登録失敗/CSM起動で作業したUSBをUEFIで起動し直し、再度 bcdboot。BIOSでCSM無効化
OSの場所が分からないドライブレターが異なる/複数インスタンスdir で Windows フォルダー有無を確認し正しいパスを指定

手順4:Windows回復環境(WinRE)の復旧

起動後に管理者コマンドプロンプトで次を試します。WinREが壊れていると /enable は失敗します。

reagentc /disable
reagentc /enable

それでも失敗する場合は、WinREの収納場所を明示します。既定では C:\Recovery\WindowsRE が使われます。

mkdir C:\Recovery\WindowsRE
reagentc /setreimage /path C:\Recovery\WindowsRE
reagentc /enable
reagentc /info

reagentc /info で「Windows RE の状態: 有効」「Windows RE の場所: \\?\GLOBALROOT\device\harddiskX\partitionY\Recovery\WindowsRE」が確認できればOKです。もし Winre.wim が見つからない場合は、C:\Windows\System32\Recovery にある Winre.wim を C:\Recovery\WindowsRE へコピーしてから /enable を実行します。

専用のリカバリパーティションを用意したい場合(任意)

将来の機能更新やBitLocker運用を考慮して、OSとは別に1GB程度の回復用パーティションを切る選択もあります(任意)。

diskpart
select disk <NVMeの番号>
create partition primary size=1024
format quick label="Recovery"
assign letter=R
exit

mkdir R:\Recovery\WindowsRE
copy C:\Windows\System32\Recovery\Winre.wim R:\Recovery\WindowsRE\Winre.wim
reagentc /setreimage /path R:\Recovery\WindowsRE
reagentc /enable
reagentc /info 

手順5:BIOS/UEFI設定の見直し

  • CSM(レガシーブート)無効:UEFI専用の起動に統一する。
  • Secure Boot 有効:Windows 11要件。Windows 10でも基本的に有効で問題ありません。
  • 起動順位:Windows Boot Manager(NVMe SSD) を最上位に。

古いマザーボードでUEFI項目が出ない場合は、BIOSアップデートや、USBの起動モード誤り(Legacyで起動して作業)を疑いましょう。

重複した起動メニューを解消する

別ディスクのBCDや重複エントリが原因のことが多いです。まずはGUIの msconfig が手軽です。

  1. Windows起動後、Win + R → msconfig →「ブート」タブ。
  2. 意図しないエントリを選択して「削除」を実行。

コマンドで厳密に対応したい場合は bcdedit を使います(削除は慎重に)。

bcdedit /enum {fwbootmgr} /v
bcdedit /enum all /v
rem 不要なGUIDが分かったら…
bcdedit /delete {&lt;不要GUID&gt;}

他ディスク側のEFIに残ったBCDが勝手に拾われるケースでは、そのディスクを一時的に外して起動確認し、問題なければ当該ディスクのEFIをクリーンアップ(またはそのディスクの起動順位を下げる)といった運用面の整理も有効です。

MBR→GPT 変換を安全にやり直すには(mbr2gpt.exe)

Windows 10 バージョン1703以降なら、Microsoft純正の mbr2gpt.exe が安全で確実です。条件が満たされていれば、OSを保持したまま変換できます。

mbr2gpt /validate /allowFullOS /disk:&lt;番号&gt;
mbr2gpt /convert  /allowFullOS /disk:&lt;番号&gt;
観点mbr2gpt の要点
対象システムディスク(OS起動ディスク)
前提十分な連続空き or 末尾での縮小が可能であること
作成物GPT 変換+EFI/MSRパーティション自動作成
利点サードパーティ不要・整合性担保・リカバリが簡単
注意BitLockerは一時中断推奨。バックアップは必須

今回のようにEFIが欠損した場合は、本記事のように diskpart + bcdboot で復旧してから、改めて mbr2gpt を使うのが王道です。

よくあるハマりどころと回避策

ハマりポイント具体例回避策/修正策
USBをLegacyで起動して作業作業完了後もWindows Boot Managerが現れないUSBをUEFIで起動し直して同手順を実施。CSMを無効化
EFIのフォーマット誤りNTFSで作ってしまったEFIは必ずFAT32。format fs=fat32 quick
ドライブレターの勘違いbcdboot D:\Windows にしてしまうdir で中身確認後に実行(Windows フォルダの有無)
別ディスクの影響ブートメニューが2つ出る/勝手に他OSが既定になる起動順位見直し・msconfig で整理・不要BCDの削除
WinREが有効化できないreagentc /enable が失敗/disable→/setreimage→/enable の順にやり直す
BitLockerの存在UEFIから見えるが起動しない事前に一時停止/復号。回復キーの控えを用意

検証フロー(ワンパスで直すためのチェックリスト)

  • USBをUEFIモードで起動しているか。
  • 対象NVMeディスク番号・OSボリュームを確認済みか(list disk, list vol, dir)。
  • EFIを100MB/FAT32で作成し、S: を割り当てたか。
  • bcdboot <OS> /s S: /f UEFI が成功したか。
  • BIOSでWindows Boot Manager(NVMe)が最上位になっているか。
  • 起動後にWinREが有効(reagentc /info)か。
  • 起動メニューは1項目のみになったか。

コマンド一覧(作業の写経用)

目的コマンドメモ
EFI作成create partition efi size=100未割り当てが必要。なければ shrink
EFIフォーマットformat fs=fat32 quick label="EFI"FAT32必須
ドライブレター付与assign letter=S任意の未使用レターでOK
ブート再展開bcdboot C:\Windows /s S: /f UEFIOSのドライブレターに置換
WinRE有効化reagentc /disable & reagentc /enableだめなら /setreimage
WinRE位置指定reagentc /setreimage /path C:\Recovery\WindowsREパス作成後に実行
起動エントリ確認bcdedit /enum all /vGUIDを把握して整理

復旧後にやっておくと安心なこと(ベストプラクティス)

項目推奨内容
事前の保険システムイメージの作成やディスク全体のクローン
MBR→GPT変換Windows 10以降はmbr2gpt.exe /allowFullOSで安全に実施
ツール選定有料ツールがなくてもdiskpart・bcdbootで復旧可能。GUI操作は誤削除リスクに注意
WinREの所在既定はOS直下の \Recovery\WindowsRE。誤って消さない
ファーム設定CSM無効・Secure Boot有効・起動順位の最適化

実際の復旧ストーリー(再現性の高い流れ)

NVMeのEFIを消して起動不能→別ディスクからは起動可能→USBをUEFIで起動→diskpartでEFIを100MB作成(S:)→bcdboot C:\Windows /s S: /f UEFI→再起動→BIOSの起動順位で「Windows Boot Manager(NVMe)」を先頭→通常起動成功→reagentc /disable → /setreimage(必要時) → /enable→起動メニューの重複を msconfig で整理→Windows 11 へのアップグレードも通過——という流れで安定復旧できます。

トラブルシューティングの深掘り(原因別に対処)

1) 「起動できるが非常に遅い/たまに失敗する」

  • 他ディスク上のEFI/BCDを参照して回り道している可能性。起動順位の見直し、不要エントリの削除。
  • 古いNVMeドライバやBIOSの互換性問題。BIOS更新やストレージ設定(RAID/AHCI)を確認。

2) 「The boot configuration data store could not be opened」

  • EFIがマウントされていないか、パス誤り。assign letter=Sで再マウントしてから操作。

3) 「0xc000000e / 0xc000000f 系のエラー」

  • BCDにOSのパスが一致していない/デバイス指定が壊れている。bcdbootで再生成が最短。

4) 「bootrec /fixboot を勧められた」

  • UEFI環境では原則不要(BIOS/Legacy向け)。UEFIでは bcdboot が基本解となります。

5) BitLocker が有効だった」

  • 作業前に回復キーを確保。必要に応じて一時停止・復号。復旧後に再有効化します。

安全第一の運用ヒント

  • パーティション操作の直前にディスクの写真や画面キャプチャで「現状スナップショット」を残しておく。
  • 作業はケーブル最小構成(対象ディスクのみ)で行うと重複エントリ問題を避けやすい。
  • Windows Updateや機能更新後にWinREが「無効」化される事例があるため、定期的に reagentc /info を点検。

まとめ

UEFI世代のWindowsが起動できないとき、「EFIの存在」と「Windows Boot Managerの登録」の2点が復旧の生命線です。USBをUEFIで起動→diskpartでEFI新設→bcdbootでブート再展開→reagentcでWinRE整備→BIOS設定で起動順最適化。この黄金パターンを踏めば、NVMe上のWindows 10/11は高い確度で復旧できます。パーティション編集ソフトに頼らずとも、標準ツールだけで“起動を取り戻す”ことは十分に可能です。


付録:フル手順(コピー用)

rem --- USBをUEFIで起動 → Shift+F10 ---

rem 1) ターゲットOSとディスクの特定
diskpart
list disk
select disk 
list vol
exit
C:
dir
D:
dir
rem (OSがあるドライブレターを把握する)

rem 2) EFI作成(未割り当てがない場合は縮小して100MB確保)
diskpart
select disk 
list vol
select vol 
shrink desired=100 minimum=100
create partition efi size=100
format fs=fat32 quick label="EFI"
assign letter=S
exit

rem 3) ブートファイル再展開(UEFI)
bcdboot C:\Windows /s S: /f UEFI

rem 4) 再起動後:WinRE
reagentc /disable
mkdir C:\Recovery\WindowsRE
reagentc /setreimage /path C:\Recovery\WindowsRE
reagentc /enable
reagentc /info

rem 5) 起動メニュー整理(任意)
msconfig
rem または
bcdedit /enum all /v
bcdedit /delete {<不要GUID>} 

付録:トラブルパターン早見表

エラー/症状想定原因即効策
起動デバイスにNVMeが出ないEFI欠損・NVRAM未登録bcdboot で再登録、CSM無効
ブートメニューが2つ他ディスクのBCDmsconfig で整理/他ディスクのEFIを無効化
bcdboot 失敗EFI未マウント・FAT32でないassign letter, format fs=fat32
WinRE有効化不可パス未設定・Winre.wim不在/setreimage→/enable
0xc000000e/fBCD不整合bcdboot でBCD再生成

付録:用語の短解説

  • EFIシステムパーティション(ESP):UEFIが最初に読むFAT32領域。各OSのブートローダーが置かれる。
  • Windows Boot Manager:UEFIから呼ばれるWindowsの起動管理プログラム。\EFI\Microsoft\Boot\ 配下。
  • WinRE(Windows RE):回復環境。スタートアップ修復や回復ドライブなどの実体。
  • mbr2gpt.exe:OSを保持したままMBR→GPT変換を行う公式ツール。

最後に

“EFIを消してしまった”は致命傷に見えますが、実際は手順を守れば復活できます。焦って別のツールで上書きすると回復が難しくなるため、まずは標準の diskpart と bcdboot による再構築から着手するのが鉄則です。この記事が、あなたのシステムを再び安定稼働へ導く一助になれば幸いです。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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