前の所有者のパスワードが分からないLG Gram(2020年モデル)を、安全に完全初期化して自分のアカウントで使い始めるための実践ガイドです。Windowsインストール用USBの作成からBIOS設定、パーティション削除によるクリーンインストール、初回セットアップ、ドライバーやバッテリーの最適化、そしてトラブル対応まで、はじめての方でも迷わないように一連の流れを丁寧に解説します。
この記事のゴールと前提
本記事は、LG Gram(2020年モデル、例:14Z90N/15Z90N/17Z90N 等)で、旧所有者のログイン情報が不明でも、旧データを痕跡なく消去し、Windows 10/11 をクリーンインストールして自分のパスワードで使い始めることを目的にしています。メーカーの回復領域に依存せず、Microsoft のインストールメディアを用いる方法を中心に説明します。
- 作業によって内蔵ストレージの内容は完全に消去されます。必要なデータがあれば事前にバックアップしてください。
- Windows のライセンスは多くの 2020 年モデルでデジタルライセンス(本体に紐づく)です。プロダクトキーが不明でも、インターネットに接続すれば自動で認証されます。
- 万一、BIOS/UEFI にパスワードが設定されている(電源投入直後に求められる)場合は、クリーンインストールの前に正規の解除が必要です。
準備するもの
- USB メモリ(8GB 以上)×1(推奨:新品または空のもの)
- 別の Windows PC(インストール用 USB を作るため)
- 安定したインターネット回線
- LG Gram 本体と AC アダプター(作業中は必ず電源接続)
全体の流れ(クイックサマリ)
| 手順 | 具体的な操作 | 補足・注意点 |
|---|---|---|
| 1. Windows インストール用 USB の作成 | 別PCで Media Creation Tool を使い、起動可能な USB を作成 | Windows 10/11 どちらでも可。プロダクトキーの入力は不要(自動認証) |
| 2. LG Gram の BIOS で USB 起動を設定 | USB を挿して電源オン → F2 で BIOS → Boot 順序で USB を最上位へ | 機種により Boot Menu は F10/F12 の場合あり |
| 3. Windows セットアップの実行 | USB から起動 → カスタム(詳細) → 既存パーティションを全削除 → 未割り当て領域にインストール | 旧所有者のデータは消去。BitLocker が有効でもパーティション削除で問題なし |
| 4. 初回セットアップ | 地域・Wi‑Fi・アカウント作成(Microsoft またはローカル)・パスワード設定 | Microsoft アカウントを使うと同期や復元が便利 |
| 5. Windows 11 への更新(任意) | セットアップ後、設定 > Windows Update からアップグレード | TPM 2.0/UEFI/Secure Boot を満たす 2020 年式は多くが対象 |
手順詳細
Windows インストール用 USB を作成する
- 別の Windows PC に USB メモリを挿します(8GB 以上)。
- Microsoft 公式の Media Creation Tool を入手し起動します。
- 「他の PC 用にインストール メディアを作成」を選び、エディション(Windows 10 または 11)と言語を選択します。
- メディアの種類は「USB フラッシュ ドライブ」を選択し、画面の案内に従って作成を完了します。
ポイント:Media Creation Tool で作った USB は UEFI 起動に最適化され、LG Gram(2020)の NVMe SSD でもそのまま認識されます。手持ちの USB が古く不安定な場合は、別の USB に変えて作り直すのが近道です。
LG Gram の BIOS/UEFI 設定を確認して USB から起動する
- LG Gram の電源オフ状態で、作成した USB を挿します。
- 電源を入れ、F2 を連打して BIOS/UEFI 設定に入ります(機種により Delete の場合あり)。
- Boot タブで USB を起動順位の最上位にします。あるいは、起動時に F10 または F12 で一時的な Boot Menu を表示し、USB を選びます。
- Secure Boot は通常「Enabled」で問題ありません。特殊な USB で起動できない場合のみ一時的に「Disabled」→インストール後に戻します。
- 設定を保存して再起動すると、USB から Windows セットアップが起動します。
| よく使うキー | 役割 | 備考 |
|---|---|---|
| F2 | BIOS/UEFI 設定へ入る | 機種により Delete の場合あり |
| F10 / F12 | 一時的な Boot Menu | USB を選択してそのまま起動 |
| Esc | ブートオプション呼び出し | 一部構成で有効 |
パーティションを全削除してクリーンインストールする
- USB から起動後、言語・キーボードを選びます。
- プロダクトキーは「プロダクトキーがありません」を選択(後で自動認証)。
- インストールの種類は「カスタム:Windows のみをインストール(詳細設定)」を選びます。
- 表示されるパーティション(回復・EFI・MSR・プライマリ等)をすべて削除し、未割り当て領域を選択して「次へ」。
- あとは自動で再起動を繰り返しながらインストールが進みます。
これで旧所有者のデータは原則復元不能になります。BitLocker が有効だったディスクでも、パーティションごと消すため鍵は無効化されます。より強固な消去が必要な場合は後述の「データ消去の徹底度」を参照してください。
初回セットアップ(OOBE)とアカウント/パスワード
- 地域・配列(日本語キーボード)・Wi‑Fi を設定します。
- アカウントは Microsoft アカウント(推奨)またはローカルアカウントを選べます。Microsoft アカウントだと OneDrive 連携やアクティベーションの復元、デバイス登録が自動化され便利です。
- パスワードを設定し、Windows Hello(PIN/指紋/顔)を有効化するとログインが快適で安全になります。
ヒント(ローカルアカウントを作りたい場合):Windows 11 Home ではネットワーク接続が必須に見えますが、セットアップ画面で Shift+F10 → コマンドで OOBE\BYPASSNRO を実行すると再起動後に「インターネットに接続していません」を選べるようになり、ローカルアカウント作成が可能です。
Windows 11 への更新(任意)
セットアップが完了したら、設定 > Windows Update を開き、Windows 11 のアップグレード案内が表示されれば実行します。2020 年モデルの多くは TPM 2.0 / UEFI / Secure Boot を満たしており、無償でアップグレードできます。事前に互換性を確認したい場合は PC の互換性チェックアプリでの確認がおすすめです。
データ消去の徹底度(必要に応じて選択)
| レベル | 方法 | 所要時間の目安 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 標準 | インストール時に全パーティション削除 | 最短 | 一般利用。旧データの復元を現実的に防ぎたい | 多くのユーザーはこれで十分 |
| 強化 | セットアップ前に diskpart の clean でディスク初期化 | 短い | パーティション情報を確実に消したい | 以後は未割り当てからインストール |
| 最強 | diskpart の clean all(全領域ゼロ書き) | 容量次第で長時間 | 機密情報の確実な破壊が必要 | SSD では書き込み負荷が大きい。必要時のみ |
diskpart の使い方(Shift+F10 でコマンドプロンプト)
diskpart
list disk
select disk 0 ← 対象ディスクを選択(番号は実機で確認)
clean ← 初期化(瞬時)
rem さらに強力に消す場合は下記(長時間)
clean all
exit
SSD が自己暗号化ドライブ(SED)の場合、BitLocker を有効化してから鍵破棄でも高速に論理上の消去が可能です。必要十分な強度は利用シーンに応じて選びましょう。
セットアップ後に必ずやる最適化(LG Gram 2020 向け)
Windows Update とデバイスドライバー
- すべての更新プログラムを適用するまで Windows Update を数回繰り返します(再起動を挟む)。
- ほとんどのドライバーは Windows Update で自動適用されます。表示品質や無線LANが不安定なら、デバイスマネージャーで状態を確認します。
- LG 専用ユーティリティ(例:LG Control Center / LG Update など)を導入すると、ファンクションキー、電源管理、ファームウェア更新の最適化が容易になります。
電源管理とバッテリーキャリブレーション
中古のバッテリーは経年で容量が目減りしています。LG Battery Health(BIOS または専用アプリの調整機能)でキャリブレーションを実施すると残量表示が安定し、持ち時間が読みやすくなります。
- AC アダプタ接続のうえ、キャリブレーションを開始。
- 満充電 → 放電 → 再充電のサイクルをガイドに従って完了。
セキュリティの初期設定
- ログイン:Windows Hello(PIN/指紋/顔)を有効化。
- ディスク暗号化:BitLocker(またはデバイス暗号化)をオンにし、回復キーを安全な場所に保管。
- ファームウェア:BIOS/UEFI を最新に更新(LG のユーティリティや BIOS から実行)。
- プライバシー:設定 > プライバシーとセキュリティで不要な診断や広告 ID をオフ。
ストレージ容量の最適化
- 不要な試用版アプリ(例:Office 体験版)が入っていれば、設定 > アプリで削除。
- OneDrive バックアップを使う場合は、対象フォルダを選び同期設定を最適化。
- ストレージ センサーで自動クリーンアップを有効化。
Windows 10 と 11 どちらを入れるべき?(比較の目安)
| 項目 | Windows 10 | Windows 11 |
|---|---|---|
| 使い勝手 | 従来の UI に慣れているなら安心 | 新UI・スナップ機能が強化。タッチ操作にも最適 |
| 対応要件 | 要件が緩やか | TPM 2.0/Secure Boot 必須(2020 Gram は満たす場合が多い) |
| 将来性 | 長期運用は非推奨 | 最新機能と長期サポートを享受しやすい |
| 推奨 | 業務で 10 固定の環境 | 個人用途・最新機能重視 |
トラブル解決の早見表
| 症状 | 原因の目安 | 対処 |
|---|---|---|
| USB から起動しない | USB 不良 / Boot 順序が違う / 旧レガシー形式 | 別 USB で作り直す、F10/F12 で Boot Menu、UEFI を有効に |
| 「このディスクにはインストールできません(GPT/MBR)」 | パーティション方式不一致 | Shift+F10 → diskpart で clean → convert gpt |
| BitLocker 回復キーを求められる | 旧環境の暗号化が残存 | USB 起動で全パーティション削除して再試行 |
| Wi‑Fi が認識しない | ドライバー未適用 | 一旦有線やスマホのテザリングで接続 → Windows Update |
| アクティベーションされない | ネット未接続 / エディション不一致 | インターネット接続、エディションを Home/Pro で一致させる |
| BIOS に入れない | 高速スタートアップ / キータイミング | 完全シャットダウン後に F2、または Windows から「UEFI ファームウェアの設定」を選ぶ |
細かなコツと実機でつまずきやすいポイント
- AC 常時接続:インストール中の電源断は致命的。必ず AC を挿したまま進めてください。
- USB ポートの相性:うまく起動しない場合は反対側ポートに差し替える、ハブを介さないなど物理要因を疑います。
- 言語とキーボード:「日本語(日本)」+「Microsoft IME」を選び、必要なら英語配列を追加。
- 機能キー(Fn):輝度、音量、マイクミュートなど Fn キーの動作は LG のユーティリティ導入で最適化されます。
- 回復ドライブ:クリーン直後に 回復ドライブ(USB)を作っておくと、次回の初期化がさらに速くなります。
LG Gram(2020)に合わせた追加最適化
ファームウェアとBIOS更新
LG 純正ツールまたは BIOS からの更新機能で、BIOS/EC/ME を最新化しておくと、スリープ復帰や電源管理の安定性が高まります。更新前後で BIOS 設定(Boot 順序・Secure Boot)が初期化されることがあるため、設定値をメモしてから実行しましょう。
熱設計と静音性のバランス
薄型軽量な Gram は放熱がタイトです。電源モードを用途に合わせて切り替え、標準時は「バランス」または「省電力」、動画編集など負荷時のみ「高パフォーマンス」にすると静音性と寿命のバランスが良くなります。
キーボード・タッチパッドの快適化
- タッチパッドの感度やジェスチャは 設定 > Bluetooth とデバイス > タッチパッド で微調整。
- キーボードの FnLock 切替やバックライトはモデルにより組み合わせが異なるため、実機の刻印とヘルプを確認。
再インストール設計(後から困らないために)
- 回復ドライブを別 USB に作成(システムファイルをバックアップするオプションをオン)。
- 重要データは OneDrive や外付けに二重化。週1回のバックアップを習慣に。
- BitLocker の回復キーは印刷またはクラウド保管。オフラインでも参照できる形で保管。
FAQ(よくある質問)
Q. 旧所有者の Microsoft アカウントはどうなる?
A. 本記事の手順でパーティションをすべて削除してインストールすると、旧アカウントやデータは一切残りません。
Q. プロダクトキーは必要?
A. 多くの 2020 年モデルは本体にデジタルライセンスが埋め込まれており、インターネットに接続すれば自動で認証されます。途中の入力画面では「プロダクトキーがありません」を選んで問題ありません。
Q. BIOS にパスワードがかかっている
A. BIOS/UEFI パスワードは Windows の初期化では解除できません。正規の手順で解除してから実施してください。
Q. どのエディションを選べばいい?
A. 本体に付いているのが Home なら Home、Pro なら Pro を選ぶとスムーズに認証されます。誤って違うエディションを入れた場合でも、同一系統に再インストールすれば認証が戻ります。
Q. ドライバーはどこまで入れるべき?
A. 基本は Windows Update 任せで OK。機能キーや電源管理の最適化、BIOS/ファームの更新のために、LG 純正ユーティリティを追加するのがおすすめです。
仕上げチェックリスト(最短で快適にする)
- Windows を最新に更新(複数回再起動)
- グラフィックス・無線 LAN・Bluetooth の動作確認
- LG ユーティリティの導入とファーム更新
- Windows Hello(PIN/指紋/顔)有効化
- BitLocker をオン、回復キー保管
- 不要アプリのアンインストールとストレージ センサー設定
- バッテリーキャリブレーションの実施
- 回復ドライブの作成とバックアップ運用の開始
まとめ
LG Gram(2020)を譲り受け、パスワードが不明でも、インストール用 USB → UEFI で USB 起動 → パーティション全削除 → クリーンインストールという流れを踏めば、旧所有者の痕跡を残さず安全に自分用の環境を構築できます。セットアップ後は Windows Update と LG ユーティリティで仕上げ、BitLocker・Windows Hello・回復ドライブで将来のトラブルにも備えましょう。これで軽快な Gram の魅力を最大限に引き出せます。
実践メモ:コマンドチートシート
| 目的 | コマンド | 使いどころ |
|---|---|---|
| ディスク初期化(即時) | diskpart → list disk → select disk 0 → clean | パーティション情報を一掃して入れ直す |
| ディスクを GPT 化 | diskpart → select disk 0 → convert gpt | UEFI インストール時に MBR を GPT に変換 |
| 強力消去(全ゼロ書き) | diskpart → select disk 0 → clean all | 機密情報の徹底消去。時間・書き込み負荷に注意 |
| BitLocker 状態確認 | manage-bde -status | 旧環境の暗号化残存の有無を確認 |
付録:インストール時の表示と正解アクション(画面別ガイド)
| 画面の例 | 選ぶもの | 理由 |
|---|---|---|
| プロダクトキーの入力 | プロダクトキーがありません | 本体のデジタルライセンスで後から自動認証 |
| インストールの種類 | カスタム(詳細) | 旧データを残さずクリーンインストールにするため |
| パーティション一覧 | すべて削除 → 未割り当て領域を選択 | BitLocker/回復領域ごと初期化しクリーンな状態に |
| アカウント作成 | Microsoft アカウント(推奨)またはローカル | 用途に応じて選択。同期や復元重視なら Microsoft |
注意事項(法的・安全面)
- 機器の所有権が正当であることを確認してください。
- BIOS ロックやデバイス管理(MDM)が施されている業務機の場合、組織の手続きを経て解除してください。
- 消去作業は取り消せません。必要なデータがないか最終確認を。

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