2025年7月のWindows Update以降、ヒンディー語などの「Phonetic」キーボードで、数文字入力したところで予測候補が途切れ、長い単語が入力できなくなる不具合が世界中で報告されています。この記事では、Windows 10 / Windows 11 共通での原因・一時しのぎ・恒久対策(KB5062660 / KB5062663 / KB5062649 など)を、実務でそのまま使える手順として整理します。
不具合の概要:ヒンディー語などの Phonetic 入力が数文字で止まる
今回のトラブルは、Windows 標準の「Indic Phonetic キーボード」(インド系言語の音訳入力キーボード)の不具合です。Microsoft コミュニティや Reddit などでは、2025年7月の累積更新プログラムを適用したあとに、次のような症状が多数報告されました。
- ヒンディー語(Hindi Phonetic)で、ローマ字入力を数文字打つと候補ウィンドウが1文字分で止まり、長い単語候補が出ない
- 一文字目だけ変換され、それ以降は英字のまま残る、または候補がまったく出ない
- 同じ現象が Windows 11 / Windows 10 のどちらでも再現する
Indic Phonetic キーボードは、ユーザーがローマ字で namaste と入力すると、デーヴァナーガリーの「नमस्ते」などを候補として提示する仕組みです。
今回の不具合では、この候補生成〜確定の処理が数文字で途切れてしまうため、事実上、日常の文書作成やチャットに使えない状態になります。
影響する Windows バージョン
公開情報とユーザー報告を総合すると、問題は以下の更新系統で発生しています。
- Windows 11 22H2 / 23H2
- 2025年7月の累積更新(例:KB5062552)適用後に Hindi / Marathi Phonetic などが動作不良
- Windows 11 24H2(Build 26100 系)
- 2025年7月の累積更新(例:KB5062553)適用後に同様の現象が発生
- Windows 10 22H2(Build 19045 系)
- 2025年7月の累積更新(KB5062554 など)適用後、Hindi / Telugu などの言語パックで「最初の1文字しか出ない」という症状が報告
つまり、Windows 10 / 11 のほぼ最新サポートバージョンがすべて影響範囲に入ります。
影響を受ける言語(報告ベース)
Microsoft Q&A や Tech Community などのスレッドから、少なくとも次の言語で同様の現象が確認されています。
- ヒンディー語(Hindi Phonetic)
- マラーティー語(Marathi Phonetic)
- パンジャービー語(Punjabi Phonetic)
- ベンガル語(Bangla/Bengali Phonetic)
- 一部環境でテルグ語(Telugu)など、他のインド系言語パックでも類似の症状
Microsoft 自身も、後述の修正パッチの説明文で「Hindi / Marathi の Phonetic 入力が最近の更新後に正しく動作しない問題を修正した」と明記しており、この問題が公式に認識された不具合であることがわかります。
原因の整理:2025年7月の累積更新による IME の不具合
Microsoft のリリースノートや Insider 向けブログを読むと、2025年7月の累積更新で、Phonetic IME に関連する内部実装が変更され、その結果として Hindi / Marathi などの Phonetic キーボードが正常動作しなくなったことがわかります。
その後、2025年7月22日公開のプレビュー更新(C リリース)で、この不具合を修正した旨が明記されました。
- Windows 11 22H2 / 23H2(Build 22631 系):KB5062663 Preview
- 「Phonetic input methods, including the Hindi Phonetic Input keyboard and the Marathi Phonetic keyboard, might not work correctly after installing KB5062552」を修正と明示。
- Windows 11 24H2(Build 26100 系):KB5062660 Preview(OS ビルド 26100.4770)
- 同様に Hindi / Marathi など Phonetic IME の不具合修正を含むことが、各種情報サイトやフォーラムで確認できます。
- Windows 10 22H2(Build 19045 系):KB5062649 Preview(OS ビルド 19045.6159)
- こちらも「Hindi / Marathi Phonetic キーボードが最近の更新後に正しく動作しない問題を修正」との記載があります。
このことから、2025年7月の累積更新(KB5062552 / KB5062553 / KB5062554 など)で Phonetic IME にバグが入り、同年7月22日公開のプレビュー更新以降で修正されたという流れが読み取れます。
まずは「すぐ効く」回避策:問題の更新プログラムをアンインストール
業務が止まってしまうほど深刻な場合、最も即効性が高いのは、不具合を引き起こした直近の品質更新プログラム(累積更新)をアンインストールするロールバックです。Microsoft Q&A でも、公式サポートがこの方法を案内しています。
手順:高度なスタートアップから更新をアンインストール(共通)
Windows 10 / Windows 11 共通で、以下の手順で行います。
- 設定を開く
- Windows キー + I で「設定」を開きます。
- 「回復」から高度なスタートアップを起動
- Windows 11: システム > 回復 > 今すぐ再起動(高度なスタートアップ)
- Windows 10: 更新とセキュリティ > 回復 > 今すぐ再起動
- 再起動後、「トラブルシューティング」を選択
- 「詳細オプション」→「更新プログラムのアンインストール」
- 「最新の品質更新プログラム」または「最新の累積更新プログラム」を選択してアンインストール
- アンインストール完了後、Windows を通常起動します。
この操作で、問題の Phonetic IME を壊した 2025年7月の累積更新を取り消すことができ、多くの環境で Hindi / Marathi などの入力が復活したという報告が出ています。
ロールバック後は「更新の一時停止」をセットで設定
ただし、そのままにしておくと Windows Update が再度同じ問題の更新をインストールしてしまいます。これを避けるために、ロールバック後は次の設定をしておくと安心です。
- 設定 > Windows Update を開く
- 「更新の一時停止」(または「更新を一時停止する」)を数週間分オンにする
これで、修正パッチが出そろうまでの間、問題のある更新が自動的に復活するのを防げます。
ロールバックのメリット・デメリット
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| メリット | 即座に Hindi / Indic Phonetic の入力を復活させられる可能性が高い |
| デメリット | 同時に含まれているセキュリティ修正も巻き戻されるため、一時的に脆弱性が残る |
| 想定期間 | 最終的な修正版更新(後述の KB5062660 / KB5062663 / KB5062649など)を当てるまでの「一時しのぎ」 |
セキュリティリスクを抑えるためにも、ロールバックしたまま使い続けるのではなく、修正を含む新しい更新に必ず乗り換える前提で考えてください。
恒久対応:修正を含むプレビュー更新・本番累積更新を適用する
最終的なゴールは、不具合を修正済みのビルドにアップデートすることです。2025年7月22日公開のプレビュー更新(C リリース)以降、Phonetic IME の不具合修正が含まれており、これを適用すると Hindi / Marathi などの入力問題は解決することが確認されています。
自分のバージョンを確認する(必須)
- Windows キー + R →
winverと入力して Enter - 表示されるダイアログで、「バージョン」と「OS ビルド」を確認
| 表示例 | 該当バージョン | 関連する修正パッチ |
|---|---|---|
| Windows 11 バージョン 24H2 OS ビルド 26100.x | Windows 11 24H2 系 | KB5062660(26100.4770 Preview 以降)など |
| Windows 11 バージョン 23H2 / 22H2 OS ビルド 22631.x | Windows 11 22H2 / 23H2 系 | KB5062663(22631.5699 Preview 以降)など |
| Windows 10 バージョン 22H2 OS ビルド 19045.x | Windows 10 22H2 | KB5062649(19045.6159 Preview 以降)など |
Windows 11 24H2(26100 系)の場合:KB5062660 を適用
Windows 11 24H2(バージョン 24H2 / OS ビルド 26100 系)では、KB5062660 Preview(OS ビルド 26100.4770)に Phonetic IME の不具合修正が含まれています。
適用手順は以下のとおりです。
- 設定 > Windows Update を開く
- 「更新プログラムのチェック」をクリック
- 「オプションの品質更新プログラムが利用可能です」「プレビュー」などと表示されている項目から、KB5062660 を選択し、「ダウンロードしてインストール」をクリック
- 再起動を求められたら、作業を保存して再起動
適用後は、再度 winver で OS ビルドが 26100.4770 以上になっていることを確認し、メモ帳などで Hindi Phonetic を使って長めの単語(例:namaste、moolyaankan など)を入力して、候補が正常に出るか検証します。
Windows 11 22H2 / 23H2(22631 系)の場合:KB5062663 を適用
Windows 11 22H2 / 23H2 系(OS ビルド 22631.x)では、KB5062663 Preview(OS ビルド 22631.5699)が同様の修正を含みます。
- 設定 > Windows Update を開く
- 「オプションの更新プログラム」に KB5062663 が表示されている場合、それを選択してインストール
- 表示されない場合でも、最新の更新をすべて適用することで、後続の本番累積更新(B リリース)に取り込まれた修正版を入手できます
KB5062663 のリリースノートには、KB5062552 適用後に Hindi / Marathi Phonetic が正しく動作しなくなる問題を修正した旨が記述されており、この問題に対する公式な修正であることがわかります。
Windows 10 22H2 の場合:KB5062649 を適用
Windows 10 22H2 では、KB5062649 Preview(OS ビルド 19045.6159)にて、Phonetic 入力が動作しなくなる不具合が修正されています。
- 設定 > 更新とセキュリティ > Windows Update を開く
- 「オプションの品質更新プログラム」が表示されたら、KB5062649 を選択し「ダウンロードしてインストール」
- 再起動後、OS ビルドが 19045.6159 以上になっているか確認
KB5062649 の説明にも、「最近の更新後に Hindi / Marathi Phonetic キーボードが正しく動作しない問題を修正」といった内容が含まれています。
プレビュー更新と本番累積更新の関係
これらの Preview(C リリース)は、通常、翌月以降の本番用累積更新(B リリース)に内容が取り込まれるのが Windows の一般的な運用です。
そのため、
- すぐにでも Hindi などの Phonetic を復活させたい → Preview を手動で適用
- やや慎重に検証したい/環境が大規模 → 翌月の本番累積更新を待ち、検証環境 → 本番環境の順で展開
という方針を取りやすくなります。
一時しのぎの追加策:予測入力をオフにする/他社IMEを併用する
どうしても更新のロールバックや Preview 適用ができない(企業ポリシー・権限などの理由)場合、次のような「一時しのぎ」で乗り切ることも可能です。
IME の予測入力をオフにして症状を回避する
一部のユーザーから、予測候補の表示をオフにすると、完全ではないものの入力停止が軽減するとの報告があります(環境によって結果は異なります)。これは、問題の根が「候補ウィンドウの生成ロジック」にあるため、その部分の機能を弱めることで影響を受けにくくする、という考え方です。
設定の一例(Windows 11):
- 設定 > 時刻と言語 > 言語と地域 を開く
- 対象の言語(例:Hindi)をクリックし、「…」> 言語のオプション
- キーボード一覧から「Hindi Phonetic」を選び、オプションを開く
- 「テキスト候補」や「予測入力」に関する項目があれば、オフに設定
バージョンやビルドによって設定画面は多少異なりますが、概ね「言語のオプション」→「キーボードのオプション」→「候補 / 予測入力」という流れになります。
他社の入力ツールを併用する(Web やアプリ)
Windows 標準 IME にこだわらないのであれば、修正パッチが行き渡るまで次のようなツールを一時的な補助輪として使う方法もあります。
- Google Input Tools(Web)
- ブラウザ上で Hindi / Bengali / Punjabi などをローマ字で入力し、変換結果をコピー&ペーストできるツール。
- Keyman
- 2500以上の言語に対応した汎用 IME プラットフォーム。Hindi / Bengali などの Phonetic キーボードも提供。
- 各言語専用の IME(例:Avro Keyboard など)
- Bengali 用のオープンソース IME など、特定言語に特化したツールも存在します。
企業環境では、これらのツールをインストールする前に、社内ポリシー(ソフトウェア利用規程・情報セキュリティポリシー)に反しないか必ず確認してください。
企業・組織環境での運用戦略
組織で多数の Windows 端末を管理している場合、個別対応ではなく、更新管理のポリシーとしてどう扱うかを決めておくことが重要です。
推奨フローの例
| フェーズ | 具体的な対応 |
|---|---|
| 1. 影響調査 | ヒンディー語・マラーティー語など Indic Phonetic を業務で使う部門・ユーザーを洗い出し、優先度を設定する。 |
| 2. 更新一時停止 | WSUS / Intune / グループポリシーで、該当バージョンへの 2025年7月累積更新の自動配信を一時停止。 |
| 3. 修正版 Preview の検証 | テスト用 OU やパイロットグループで KB5062660 / KB5062663 / KB5062649 を適用し、業務アプリとともに IME の動作を確認。 |
| 4. 本番展開 | 問題なしと判定したバージョンのみを、本番 WSUS / Intune で承認し一斉配信。 |
| 5. ロールバック端末の収束 | 一時ロールバックしていた端末を順次最新ビルドへ更新し、更新の一時停止を解除する。 |
このように、「更新の一時停止で被害拡大を防ぐ」→「修正版を検証」→「一括展開」という流れを組んでおくと、次に似た系統の問題が起きたときにも再利用できます。
よくあるつまずきポイントと確認事項
更新のアンインストールに失敗する場合
一部の環境では、「最新の品質更新プログラムをアンインストール」に失敗し、「この更新プログラムはアンインストールできません」と表示されるケースがあります。この場合、
- ロールバックに固執するよりも、修正版を含む最新の累積更新へ更新してしまった方が早い
- システムファイル破損が疑われる場合は、
sfc /scannowやDISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealthなどで整合性チェックを行う
といった方向で切り替えた方が現実的です。
IME の辞書ダウンロードが完了していないだけの場合
新しく Indic Phonetic キーボードを追加した直後は、辞書がバックグラウンドでダウンロードされるまで候補が十分に表示されないことがあります。
今回の不具合とは別要因なので、
- 追加してからしばらく放置したうえで再度試す
- PC を数回再起動する
など、辞書のダウンロード完了を待ってから切り分けを行ってください。
「インド系言語パックがまるごとおかしい」ケース
Windows 10 側では、Hindi だけでなく Telugu を含む複数のインド系言語パックで「最初の1文字しか入力されない」という広範な現象が報告されています。
この場合も根本原因は 2025年7月の累積更新による IME の不具合と見られており、KB5062649 など修正版を含む更新を適用することが最優先です。
どの手段を選ぶべきか:状況別おすすめ
| 手段 | 向いているケース | ポイント |
|---|---|---|
| 更新のアンインストール(ロールバック) | 今すぐ Hindi / Indic Phonetic を復活させないと業務が止まる個人・少数端末 | 即効性は高いが、セキュリティ更新も巻き戻る。更新の一時停止とセットで、修正版が出るまでの一時しのぎとして割り切る。 |
| プレビュー更新の適用(KB5062660 / 663 / 649 など) | 社内検証が可能な組織・個人で、多少の相性リスクよりも不具合の根本修正を優先したい場合 | Phonetic IME の不具合を公式に修正したビルドなので、長期的にはこれが本命。後日、本番累積更新に取り込まれる。 |
| 予測入力をオフにする | インストール権限がない、更新ポリシーが厳しいなどで OS 更新が難しい場合 | 症状が軽くなる可能性はあるが、根本解決にはならない。使い勝手も低下する。 |
| 他社 IME / Web ツール併用 | ブラウザベースの作業が中心で、コピー&ペーストでも構わない個人・小規模チーム | 導入・運用コストやセキュリティポリシーに注意。あくまで補助ツールとして位置づける。 |
最終的なゴールと長期的な対処方針
今回の Hindi / Indic Phonetic 入力の不具合は、
- 2025年7月の累積更新で IME にバグが入り、Windows 10 / 11 の各バージョンで Hindi などの Phonetic キーボードが数文字で止まるようになった
- 2025年7月22日公開のプレビュー更新(KB5062660 / KB5062663 / KB5062649 など)で修正が提供され、その後の本番累積更新にも順次取り込まれている
という流れで整理できます。
したがって、長期的には次のような方針がおすすめです。
- 短期:どうしても入力が必要な端末は、更新ロールバック+更新一時停止で急場をしのぐ
- 中期:KB5062660 / KB5062663 / KB5062649 など、Phonetic IME 修正を含む更新を検証環境 → 本番環境の順に適用
- 長期:すべての端末が修正済みビルドになったら、更新の一時停止を解除し、通常の月例更新サイクルに戻す
特に、インド市場向けのソフトウェア開発・サポート業務や、インド系言語でのカスタマーサポートなど、日常的に Hindi / Marathi / Punjabi などの入力を行う環境では、今回の一件をきっかけに、「IM E を含む更新トラブル時の標準手順(ロールバック・検証・展開)」を社内ドキュメントとして整備しておくと、今後のリスク軽減につながります。
いずれにしても、最終的なゴールは、2025年7月22日以降に公開された修正版累積更新を適用し、ロールバックや一時しのぎに頼らない状態に収束させることです。この記事を参考に、自分の環境に最適なルートで「正常に Hindi / Indic Phonetic が使える Windows」を取り戻してください。

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