Windows 10/11 の同じパソコンを家族や職場で共有していると、「自分のダウンロードやドキュメントを、どのユーザーからでも見られるようにしたい」というニーズがよくあります。本記事では、OneDrive を使わずにローカルだけでファイルを共有する具体的な方法と、アカウント削除時にデータを残すコツを詳しく解説します。
Windows PC 内でユーザーごとのフォルダーが分かれている理由
まずは、「なぜ同じ PC なのに、他のユーザーのダウンロードやドキュメントが見えないのか?」という仕組みから整理します。
Windows 10/11 では、ユーザーごとに「ユーザープロファイル」という専用の領域が作られます。典型的なパスは次のようになっています。
| フォルダー名 | パスの例 | 用途 |
|---|---|---|
| ユーザープロファイル | C:\Users\ユーザー名 | そのユーザー専用の全データ(デスクトップ、ドキュメントなど) |
| ドキュメント | C:\Users\ユーザー名\Documents | Word・Excel・PDF などの文書ファイル |
| ダウンロード | C:\Users\ユーザー名\Downloads | ブラウザやアプリでダウンロードしたファイル |
| ピクチャ | C:\Users\ユーザー名\Pictures | 写真やスクリーンショット |
| Public(共用) | C:\Users\Public | すべてのユーザーからアクセス可能な共用フォルダー |
デフォルトでは、他人の C:\Users\別ユーザー名 の中身はセキュリティ上の理由で保護されており、管理者でも簡単には触らない設計になっています。その代わり、意図的に設定したフォルダーだけを「みんなで使う場所」にできます。
つまり、「どのアカウントからも同じファイルを見られるようにしたい」ときは、次のどれかを行うイメージです。
- 共有用のフォルダーを 1 つ決めて、そこに集約する
- 既存フォルダー(例:D:\Share)に対して、複数ユーザーにアクセス権を付ける
- Public フォルダーを共用置き場として使う
同一 PC 内でファイルを共有する 4 つの代表的な方法
Windows 標準機能だけで、同じ PC 内の複数ユーザー間でファイルを共有する代表的な方法は次の 4 つです。
| 方法 | 概要 | 向いているケース |
|---|---|---|
| ① 共有ウィザードを使う | 右クリックの「共有」から特定ユーザーにだけアクセス権を与える | 共有したい相手が少人数で、あとから追加されることも少ない場合 |
| ② NTFS アクセス権を直接変更 | フォルダーの「セキュリティ」タブでユーザー/グループに権限を割り当てる | 階層ごとに細かい権限管理をしたい、業務用フォルダーなど |
| ③ Public フォルダーを利用 | C:\Users\Public 以下を「共用」フォルダーとして使う | 家族や社内でのライトな共有。設定を簡単に済ませたい場合 |
| ④ OneDrive で共有(オプション) | クラウド上のフォルダーを複数ユーザーに共有リンクで開放する | 複数 PC やスマホとも共有したい場合(同一 PC 内だけなら必須ではない) |
質問の中にあった「OneDrive を使わないで済ませられるか?」については、答えは「はい、使わなくても問題なく共有できます」です。方法 ①〜③ はすべてローカル PC 内だけで完結します。
方法① 共有ウィザードを使って特定ユーザーだけに共有する
まずは比較的分かりやすい「共有ウィザード」を使う方法です。これは、ネットワーク共有の仕組みを利用して、特定のユーザーにフォルダーへのアクセス権を与える方式です。
共有ウィザードの具体的な手順
- 共有したいフォルダー(例:D:\Data)を右クリックします。
- [プロパティ] をクリックします。
- [共有] タブを開き、[共有…] または [詳細な共有] をクリックします。
- 「ネットワークのファイルとフォルダーの共有」画面で、[追加] ボックスから共有したいユーザーを選ぶか、名前を入力します。
- ユーザーごとに「読み取りのみ」「読み取り/書き込み」などの権限レベルを選択します。
- [共有] ボタンを押して完了させます。
同じ PC 内の別アカウントは、エクスプローラーのアドレスバーに \\PC名\共有名 と入力することで、このフォルダーにアクセスできます(もしくはネットワーク一覧から辿ることもできます)。
共有ウィザード方式のメリット・デメリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | ウィザード形式で、画面の指示に従うだけなので分かりやすい 共有したいユーザーを個別に指定できる LAN 内の別 PC からも同じ方法でアクセスさせたいときに便利 |
| デメリット | 新しいユーザーが追加されるたびに、共有設定をやり直す必要がある ネットワーク共有を伴うため、設定しだいでは LAN 上の他 PC からも見えてしまうリスクがある |
同一 PC のユーザー間だけで完結させたい場合は、ネットワーク共有を使わず、後述の「NTFS アクセス権」や「Public フォルダー」を使った方がシンプルなことが多いです。
方法② NTFS アクセス権を直接変更して共有する
より柔軟に、かつローカル PC 内だけで共有したい場合におすすめなのが、フォルダーの「セキュリティ(NTFS アクセス権)」を直接設定する方法です。
これにより、共有対象のフォルダーをそのままの場所(例:D:\Share)に置いたまま、複数ユーザーに「読み取り」「変更」などの権限を与えられます。
NTFS アクセス権の設定手順
- 共有したいフォルダーを右クリックし、[プロパティ] を開きます。
- [セキュリティ] タブをクリックします。
- [編集] ボタンを押します(管理者権限が要求される場合があります)。
- [追加] をクリックします。
- 「選択するオブジェクト名を入力してください」の欄に、権限を与えたいユーザー名、またはグループ名(例:Users、Everyone)を入力し、[名前の確認] を押してから [OK] をクリックします。
- ユーザー(またはグループ)を選択し、「フル コントロール」「変更」「読み取り」といった許可にチェックを入れます。
- [OK] を押し、必要に応じて下位フォルダーへの継承を有効にします。
よく使う権限設定のパターン
| 用途 | おすすめの設定例 | ポイント |
|---|---|---|
| 家族で写真フォルダーを共有 | フォルダーの「Users」グループに「変更」権限を付与 | 同じ PC にログインできるすべてのユーザーが閲覧・編集可能 |
| 社内で一部メンバーだけ編集可にしたい | 編集者アカウントには「変更」、閲覧のみのアカウントには「読み取り」権限を付与 | 閲覧専用ユーザーが誤って削除・上書きする事故を防げる |
| 自分だけが更新し、他ユーザーは閲覧のみ | 自分のアカウントに「フル コントロール」、他ユーザーには「読み取り」のみ | 「公開専用フォルダー」として運用しやすい |
「Everyone」を使うときの注意点
「誰でもアクセスできるようにしたいから」といって、安易に Everyone にフル コントロール を付与するのは危険です。
- LAN に接続されている他の PC からもアクセスできる可能性がある
- 将来ユーザーアカウントを追加したとき、そのユーザーにも自動的に権限が付いてしまう
同一 PC 内のローカルユーザーだけに限定したい場合は、Users グループ を利用したり、共有したいユーザーを個別に追加する方が安全です。
方法③ Public フォルダーを「共用置き場」として使う
同じ PC 内での共有だけを考えるなら、もっとも簡単でトラブルが少ないのが Public フォルダー を使う方法です。
Public フォルダーとは?
Public(パブリック)フォルダーは、最初から Windows に用意されている「共用」フォルダーです。パスは次の通りです。
C:\Users\Public
この直下には、目的別のサブフォルダーもあらかじめ用意されています。
| フォルダー | 役割 |
|---|---|
| Public Documents | 共用の文書ファイル置き場 |
| Public Pictures | 共用の画像・写真置き場 |
| Public Videos | 共用の動画置き場 |
| Public Desktop など | 全ユーザー共通のデスクトップなど、環境共有に使われる領域 |
Public フォルダーの特徴は、同じ PC のすべてのローカルアカウントから、設定なしですぐアクセスできる点です。面倒な権限設定は不要で、共有したいファイルをここにコピーするだけで OK です。
Public フォルダーの使い方
- エクスプローラーを開きます。
- アドレスバーに
C:\Users\Publicと入力して Enter キーを押します。 - 必要であれば「Public Documents」などのサブフォルダーを使うか、新しくフォルダーを作成します(例:
C:\Users\Public\Share)。 - 共有したいファイルやフォルダーをここに移動またはコピーします。
- 別のユーザーでサインインしたら、同じ場所を開くだけで中身にアクセスできます。
Public フォルダー方式のメリット・デメリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 設定不要で、コピーするだけですべてのユーザーと共有できる フォルダーを間違ってロックしてしまうリスクが少ない 「共用はここだけ」と決めておけば、運用ルールも分かりやすい |
| デメリット | 同じ PC の全ユーザーから見えてしまう(隠したいファイルには不向き) フォルダー構成を工夫しないと、誰のファイルか分からなくなりがち |
機密性が低いファイル(家族写真、共用のテンプレート、社内で使う共通マニュアルなど)であれば、Public フォルダーを「共用置き場」として 1 箇所に決めてしまうのが、もっともシンプルでおすすめです。
方法④ OneDrive を使った共有(オプション機能)
今回のテーマは「OneDrive を使わずに共有できるか?」ですが、「将来的に別 PC やスマホからも同じファイルを見たい」というニーズがある場合、OneDrive をうまく組み合わせる選択肢もあります。
OneDrive を使うときのイメージ
- 共有用のフォルダーを OneDrive 内に作成する
- そのフォルダーの「共有」機能から他ユーザーをメールアドレスやリンクで招待する
- 同じ PC の別アカウントだけでなく、別の PC やスマホからもアクセスできる
ただし、OneDrive を使う場合は次の点に注意が必要です。
- 容量制限がある(無料プランだと特にシビア)
- ネット接続が安定していないと同期に時間がかかったり、エラーになることがある
- 業務データなどで使う場合は、会社のポリシーに従う必要がある
同じ PC 内のユーザー間共有だけが目的なら、OneDrive は完全にオプションであり、必須ではありません。以降では、ローカルだけで完結させる運用を前提に話を進めます。
アカウントを削除したとき、ファイルはどうなる?
よくある不安が、「ユーザーアカウントを削除したら、その人のドキュメントやデスクトップのファイルは全部消えてしまうのか?」という点です。
基本的な考え方
C:\Users\削除したユーザー名= そのユーザー専用の領域- このアカウントを削除すると、原則としてこのフォルダーもまとめて削除される
- ただし、Public フォルダーや D ドライブなど別の場所に移動しておいたファイルは残る
つまり、アカウント削除前に「残したいデータ」を共有用フォルダーや別ドライブに移動しておけば安全です。
「ファイルを保持」できるケース
Windows のバージョンや削除方法によっては、ユーザー削除時に次のような選択肢が表示されるケースがあります。
- ユーザーのファイルを削除
- ユーザーのファイルを保持
「ファイルを保持」を選ぶと、デスクトップやドキュメントなどの内容が別の場所に退避される仕組みです。ただし、設定アプリから削除した場合などはこの選択肢が出ず、一括で削除されることもあるため、重要なデータは必ず事前にバックアップしてから削除するのが安全です。
どこに置いたファイルなら残るのか
| 保存場所 | アカウント削除の影響 | 対策・メモ |
|---|---|---|
| C:\Users\削除するユーザー\Documents | 通常は削除される | 必要なファイルは削除前に移動しておく |
| C:\Users\Public | 削除しても残る | 共用したいファイルはここへ集約しておくと安心 |
| D:\Share など別ドライブ | アカウント削除では消えない | 共有用に独立したドライブやパーティションを作る運用も有効 |
| OneDrive などクラウド | アカウント削除してもクラウドには残る | Microsoft アカウントやクラウド側の設定には注意 |
アカウント削除を予定している場合は、次のような手順で整理すると安全です。
- 削除予定ユーザーでサインインし、残したいファイルを確認する。
- 共有したいファイルは C:\Users\Public または共用フォルダーへ移動。
- 個人用バックアップが必要なものは、外付け HDD や USB メモリにコピー。
- そのうえで、管理者アカウントからユーザーを削除する。
「ユーザーが一覧に出ない」「同じメールで複数ユーザーを作りたい」問題
共有設定を行う際によく出てくる疑問が次の 2 つです。
- 共有ダイアログに、目的のユーザーが表示されない
- 同じメールアドレスで、複数のユーザーアカウントを作りたい
共有ダイアログにユーザーが出てこない場合
共有ウィザードやセキュリティの設定画面で、追加したいユーザーが候補に出てこない場合、そもそもそのユーザーアカウントが PC 上に作成されていない可能性があります。
その場合は、以下の手順でローカルアカウントを追加します。
- [設定] → [アカウント] → [家族とその他のユーザー] を開きます。
- [その他のユーザーをこの PC に追加] をクリックします。
- 画面の下にある [このユーザーのサインイン情報がありません] → [Microsoft アカウントを持たないユーザーを追加する] を選択します。
- ユーザー名とパスワードを入力し、ローカルアカウントとして作成します。
- その後、共有設定画面でこのユーザーを検索し、権限を付与します。
同じメールアドレスで複数ユーザーは作れる?
Microsoft アカウントは、1 つのメールアドレスにつき 1 つしか作成できません。同じメールアドレスで別の Microsoft アカウントを作ることはできないため、次のような運用になります。
- 別々のユーザーアカウントが必要なら、別のメールアドレスを用意して Microsoft アカウントを作る
- メールアドレスを増やしたくない場合は、ローカルアカウントとして追加し、必要に応じて NTFS 権限で共有する
「同じメールアドレスを使った別人のアカウント」が必要になるケースは少ないため、家庭内なら「家族ごとに 1 アカウント」+共用フォルダー、職場なら「ユーザーごとの業務アカウント」+部署ごとの共用フォルダーといった構成にするのが分かりやすく、トラブルも少なくなります。
ケース別おすすめ構成例
ここまでの内容を踏まえ、具体的なケースごとに「どの方法を組み合わせると運用しやすいか」を整理します。
家族で 1 台の PC を共有している場合
| 用途 | おすすめ設定 | ポイント |
|---|---|---|
| 家族写真・動画の共有 | Public Pictures や Public Videos に保存 | どのアカウントからも簡単に閲覧可能 |
| 共通で使う家計簿ファイル | C:\Users\Public\Family など共用フォルダーを作成 | Excel ファイルを 1 箇所に集約して運用 |
| 親だけが編集し、子どもは閲覧だけ | 親アカウントに「フル コントロール」、子どもアカウントに「読み取り」権限 | 誤削除や上書きを防ぎながら情報共有できる |
小規模オフィス・同じ PC を複数人で使う職場の場合
| 用途 | おすすめ設定 | ポイント |
|---|---|---|
| 部署内共通の資料 | D:\Share\Docs など専用フォルダーを作成し、NTFS 権限で全員に「変更」権限 | バックアップも取りやすく、フォルダー構成も整理しやすい |
| 上長だけが編集するテンプレート | 上長アカウントに「フル コントロール」、他メンバーは「読み取り」 | テンプレートの書式崩れや誤上書きを防げる |
| 個人フォルダーと共用フォルダーの分離 | C:\Users\ユーザー名\Documents は原則個人用、D:\Share 以下だけ共用 | 「どこまでが共有されているか」が明確になり、情報漏えいリスクを減らせる |
OneDrive を使わない場合のバックアップ戦略
OneDrive を使わない=クラウド同期をしない、ということは、その PC にトラブルがあると、共有フォルダーのデータもまとめて失われるリスクがあるという意味でもあります。そこで、ローカル運用でも最低限やっておきたいバックアップの考え方をまとめます。
おすすめのバックアップパターン
- 共有フォルダー(Public や D:\Share など)を、定期的に外付け HDD にコピーする
- 重要なデータだけは、別の PC や NAS にも複製を置いておく
- Windows のバックアップ機能(履歴機能など)を活用し、世代管理しておく
「共有フォルダー」を 1 箇所にまとめておくと、そのフォルダーごとバックアップするだけでよくなるため、運用がかなり楽になります。
4 つの方法のメリット・デメリットまとめ
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 共有ウィザード | 画面の案内があり、初心者でも設定しやすい 共有する相手を個別に指定できる | 新しいユーザー追加ごとに再設定が必要 ネットワーク共有設定を誤ると LAN 上からも見えてしまう可能性 |
| NTFS 権限 | フォルダー階層ごとにきめ細かく権限をコントロールできる ローカル PC 内だけで完結し、ネットワーク共有が不要 | 設定を誤ると「誰もアクセスできない」または「誰でもフル操作可能」となるリスク 慣れないうちは画面構成が少し分かりにくい |
| Public フォルダー | 設定不要で、コピーするだけですぐ共有できる 同じ PC のすべてのユーザーから自動的に閲覧・編集できる | 機密データには不向き(全ユーザーから見えてしまう) フォルダー名やルールを決めないと、誰のファイルか分かりにくくなる |
| OneDrive(オプション) | インターネット経由で外出先や別 PC からもアクセス可能 バージョン管理やゴミ箱機能など、クラウドならではの利点がある | 容量・通信状況に依存し、ローカルだけより複雑 企業利用では情報管理ポリシーに注意が必要 |
結論とおすすめ構成
最後に、本記事のポイントを整理します。
- 同一 PC 内のユーザー間でファイルを共有するだけなら、OneDrive は必須ではない
- もっとも手軽なのは Public フォルダー に共有物を集約する方法
- 機密度が高いデータや業務データは、NTFS アクセス権 でユーザーごとの権限をしっかり分ける
- アカウント削除前には、共有したいファイルを Public または共用フォルダーに移動しておくと安全
- 共有用フォルダーを 1 箇所に決めておくと、バックアップや運用ルールがとてもシンプルになる
家庭でも職場でも、「どこまでが個人の領域で、どこからが共用なのか」を明確に決め、そのルールに従ってフォルダーを配置するだけで、Windows PC 上のファイル共有はぐっと分かりやすく、安全になります。まずは Public フォルダーや共用フォルダーを 1 箇所作り、そこから少しずつ運用を整えていくことをおすすめします。

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