HPE ProLiant DL380 Gen7 に Windows Server をインストールすると、ディスクは見えているのに「This computer’s hardware may not support booting to this disk(このハードウェアはこのディスクから起動できない可能性がある)」と表示され、セットアップが進まないことがあります。多くは SATA/AHCI ではなく、RAID コントローラー側で“起動に使う論理ドライブ”が未指定な点が原因です。画面の意味と最短で直す手順を整理します。
発生するメッセージと、Windows セットアップが気にしているポイント
Windows Server のセットアップ画面で表示される警告は、直訳すると「このコンピューターはこのディスクから起動できないかもしれない」です。もう一文として 「Ensure that the disk’s controller is enabled in the computer’s bios menu(BIOS でディスクコントローラーが有効か確認して)」 と出ることもあります。
ここで重要なのは、“ディスク自体が壊れている”という意味ではない点です。セットアップは次のような条件をざっくり確認しています。
- インストール先ディスクが、起動対象として BIOS(RBSU)の起動順序に乗っているか
- そのディスク(論理ドライブ)が、RAID コントローラーから「ブート可能」として扱われているか
- 複数ディスクが見えているとき、どれを“起動用”として扱うかが一意に決まるか
DL380 Gen7 のように Smart Array 系の RAID コントローラー配下に論理ドライブを作って OS を入れる構成では、Windows セットアップの「ディスク」とは、物理 HDD ではなく RAID コントローラーが提示する論理ドライブ(Logical Drive)です。つまり、OS から見えているのに起動できないと言われる場合、原因は「SATA/AHCI」よりも RAID 側の起動指定/BIOS 側の起動順序であることが非常に多いです。
よくある構成と、今回の症状が出やすいパターン
質問の状況は、現場でもよく見かける典型パターンです。
- RAID を組まないとインストーラーでディスクが見えない
- いったん 4 台の HDD をそれぞれ RAID0(単体 RAID)にして、Windows から論理ドライブとして見えるようにした
- しかし、インストール画面で「このハードウェアはこのディスクから起動できない」警告が出て進めない/不安になる
このとき起きがちなのが、RAID コントローラー側で「どの論理ドライブを起動ディスクとして扱うか」が未設定の状態です。論理ドライブが複数あると、コントローラーは“見せる”ことはできても、「どれを最優先で起動させるか」までは自動で決めない(または期待と違う順序になる)ことがあります。
| 画面の状態 | 可能性が高い原因 | 最初にやること |
|---|---|---|
| インストーラーでディスクが見えない | ストレージドライバー未読み込み/RAID 未構成 | RAID 構成を作る、または「ドライバーの読み込み」で Smart Array ドライバーを追加 |
| ディスクは見えるが、警告が出る(次へ進めない/不安) | RAID 側のブート論理ドライブ未指定/BIOS 起動順序の不整合 | RAID 設定画面で Boot/Primary を明示、BIOS で RAID コントローラー優先を確認 |
| インストールはできたが、再起動後に起動しない | 起動順序が USB/DVD 優先のまま/別論理ドライブを起動しようとしている | BIOS 起動順序を見直し、RAID の起動論理ドライブを再指定 |
結論:RAID コントローラーで「起動に使う論理ドライブ」を指定する
最優先で確認したいのは、RAID コントローラーの設定画面(ORCA/ACU/SSA など)で、起動対象の論理ドライブを指定できているかです。ここが未指定だと、Windows セットアップ側は「起動できないかも」と判断しやすくなります。
画面表記はファームウェアやツールで違いますが、見つけたいのは次のような項目です。
| 表記の例 | 意味 | 設定の目安 |
|---|---|---|
| Boot Logical Drive | 起動に使う論理ドライブの指定 | OS を入れる論理ドライブを選択 |
| Primary / Bootable | ブート対象フラグ | OS 用の論理ドライブを「Yes/On」にする |
| Boot Controller Order | 複数コントローラーがある場合の起動優先 | OS が載る Smart Array を上位に |
| Logical Drive 1 / LD1 | 論理ドライブ番号(表示順) | 可能なら OS 用を先に作って LD1 にする |
「各ディスクを RAID0(単体)」にした場合は、論理ドライブが複数できます。どの RAID0(どの Logical Drive)に OS を入れて、そこから起動するのかをコントローラー側で明示するのがポイントです。
手順:DL380 Gen7 でブート論理ドライブを設定してからインストールする
作業の流れはシンプルです。ここでは「いったん RAID0 を作ってディスクは見える」前提で、警告を潰す方向の手順をまとめます。
RAID コントローラー側で行うこと
- サーバーを再起動し、POST 画面で RAID コントローラー設定(ORCA など)に入る(DL380 Gen7 では一般的に F8 が割り当てられています)
- すでに作成済みの論理ドライブ一覧を開き、OS を入れる論理ドライブを決める(迷ったらベイ番号の若いディスクを OS 用にする)
- メニュー内の Boot/Primary/Boot Logical Drive などの項目で、その論理ドライブを 起動対象として指定する
- 設定を保存して終了し、再起動する
この操作だけで、セットアップの警告が出なくなった/そのままインストールできた、というケースが最も多いです。逆に言うと、SATA/AHCI の切り替えを触る前に、まず RAID 側のブート指定を見直す価値があります。
BIOS(RBSU)側で行うこと
- POST 中に BIOS 設定(RBSU)に入り(DL380 Gen7 では一般的に F9)、Boot Order(起動順序)を確認する
- 起動順序で、RAID コントローラー(Smart Array の論理ドライブ)が上位になっていることを確認する
- DVD/USB からインストールする場合でも、インストール完了後に再起動で迷子にならないよう、インストール後は RAID 優先に戻す運用にしておく
| チェック項目 | 目安 | ありがちな落とし穴 |
|---|---|---|
| 起動順序(Boot Order) | Smart Array / Hard Drive を上位 | USB キーや仮想メディアが常に最優先になっていて再起動で止まる |
| コントローラーの有効/無効 | Smart Array を有効 | 診断目的で無効化した設定が残っている |
| 内蔵 SATA 設定(SATA/AHCI 等) | Smart Array 起動なら本質ではない | “SATA の設定を変えれば直る”と誤認し、RAID 側のブート指定が未設定のまま |
インストーラー側での「選び間違い」を減らすコツ
RAID 側でブート指定をしても、インストーラーで別の論理ドライブを選んでしまうと、再起動後に起動しない・警告が出続ける、といったトラブルになりがちです。次のコツでミスを減らせます。
- 可能なら OS 用の論理ドライブは容量を小さめに切る(例:残りはデータ用に別論理ドライブ)
- インストール画面では、容量や「ディスク番号」で判断せず、用途が分かる構成にしておく
- 既存のパーティションが残っている場合は、OS 用ディスクだけ 一度削除して未割り当て領域に戻し、Windows に自動作成させる
ストレージドライバー/ファームウェアが絡むケースの見分け方
今回のように「ディスクは見える」のに警告が出るなら、まずブート指定の可能性が高い一方で、環境によってはドライバーやファームウェアの更新が必要になることもあります。切り分けの目安をまとめます。
| 症状 | 疑うポイント | 対処の方向性 |
|---|---|---|
| インストーラーで論理ドライブが一切出ない | ストレージドライバー未対応 | セットアップの「ドライバーの読み込み」で Smart Array ドライバーを追加する |
| 論理ドライブは見えるが、サイズが不自然/操作が不安定 | 古いファームウェア、相性 | サーバー/コントローラーのファームウェア更新(可能なら HPE の統合パック等) |
| インストール後の再起動で No boot device になる | 起動順序、ブート指定、OS 側のブート領域 | RAID の Boot Logical Drive と BIOS 起動順序を見直し、必要なら再インストール |
特に古い世代のサーバーは、インストールする Windows Server の世代によってドライバーの同梱状況が変わります。「昔のメディアでは見えたのに新しい ISO では見えない」「逆に古い OS でだけ不安定」なども起き得るため、“見える/見えない”でまず切り分けるのが有効です。
単体 RAID0 を続けるべきか:運用目線での注意点
「各ディスクを RAID0(単体)」にする構成は、検証や一時的な用途では成立します。しかし OS 用途としては、障害に弱く、復旧の手間が跳ね上がるため、できれば冗長 RAID を推奨します。
| RAID 構成 | 耐障害性 | 容量効率 | 特徴 | OS 用の適性 |
|---|---|---|---|---|
| RAID0(単体) | なし(1 台故障で即停止) | 高い | 最小構成で“見せる”には便利 | テスト向け |
| RAID1 | 高い(1 台故障まで継続) | 50% | OS 領域に定番。復旧も簡単 | おすすめ |
| RAID10 | 高い(条件次第で複数故障に耐える) | 50% | 性能と冗長性のバランス | 用途次第で最適 |
| RAID5 | 中(1 台故障まで) | 高い | 書き込み負荷やリビルド時間に注意 | データ領域向け |
今回のトラブルは RAID レベルそのものよりも「起動指定」の問題ですが、“起動できるようになった後”の運用まで含めて設計しておくと、再発防止にもなります。
現場で効く小ワザ:OS 用論理ドライブを「先に」作る
Smart Array 系は、作成した順に Logical Drive が並ぶことが多く、OS 用を先に作っておくと LD1(最初の論理ドライブ)になりやすいです。これだけで、インストーラーや起動順序の迷いが減ります。
- 最初に OS 用の RAID(例:RAID1 で 2 台)を作る
- 次にデータ用の RAID(例:RAID5/RAID10)を作る
- RAID 設定画面で OS 用を Boot/Primary に指定する
すでに複数の RAID0 を作ってしまっている場合でも、ブート対象を明示すれば同じ効果が得られます。
SATA/AHCI 設定は触るべきか
質問にある「BIOS 側に SATA/AHCI 設定があるが、これが原因か?」については、Smart Array の論理ドライブから起動する構成なら、優先順位は低いと考えてよいです。理由は単純で、OS が見ているのは “内蔵 SATA の直結ディスク” ではなく、RAID コントローラーが提示する論理ドライブだからです。
ただし、次のような場合は SATA/AHCI 側の設定が絡むことがあります。
- 光学ドライブや内蔵 SATA 端子に接続した SSD から起動したい(=Smart Array を使わない)
- RAID コントローラーではなく、別の SATA コントローラーに OS を入れている
- 診断のために一時的に内蔵 SATA を切っている/逆に Smart Array を無効化している
今回の前提(RAID を組まないと見えない)であれば、まずは RAID 側の Boot Logical Drive 指定を疑うのが合理的です。
よくある質問と追加のトラブルシュート
警告が出ても「次へ」が押せる場合、無視してよい?
環境によっては警告だけで続行でき、結果的に起動もすることがあります。ただし DL380 Gen7 のように複数の論理ドライブがぶら下がっていると、インストールは完了しても、再起動で別の論理ドライブを起動しようとして失敗しがちです。無視して進めるより、先に RAID 側で起動論理ドライブを固定したほうが手戻りが減ります。
RAID0(単体)を 4 本作ったけど、どれを OS 用にすべき?
運用上は、OS 用は冗長構成が望ましいため、可能なら RAID1 に組み替えるのがおすすめです。それでも RAID0 を続けるなら、物理的に管理しやすいベイ(例:ベイ1)を OS 用に決め、RAID 設定画面で Boot/Primary を付けて固定しましょう。あわせて、Windows セットアップでも同じ論理ドライブを選びます。
インストール後にドライバーを入れれば直る?
「ディスクが見えない」タイプのトラブルなら、インストール時のドライバー追加が効きます。一方、今回のような 起動可否の警告は、ドライバー以前に ブート対象の指定がズレているケースが多いです。順番としては、RAID のブート指定 → BIOS 起動順序 → ドライバー/ファームウェアが効率的です。
インストールが終わったのに、再起動でインストールメディアに戻る
これは「起動順序」が原因のことがほとんどです。USB/DVD を挿したままだと、再起動でまたインストーラーが起動します。メディアを抜くか、BIOS の起動順序で RAID(内蔵ストレージ)を最優先に戻してください。加えて、RAID 側の Boot Logical Drive が別論理ドライブを指していないかも確認します。
最短で解決するためのチェック順
時間を無駄にしないために、確認する順番を固定しておくと迷いません。
- RAID コントローラー設定で「起動に使う論理ドライブ」を指定(Boot/Primary/Boot Logical Drive)
- BIOS(RBSU)の起動順序で Smart Array(論理ドライブ)を上位にする
- Windows セットアップで OS 用の論理ドライブを選び間違えていないか確認する
- 必要に応じて ストレージドライバーの追加と ファームウェア更新を実施する
「SATA/AHCI を疑って設定を触り回る」より先に、RAID 側で“起動ディスクがこれだ”と明示するのが、最短ルートになりやすいです。

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