Windows Server 2008 R2でSANから提示されたディスク(LUN)のWWN(WWID)を確認したい場面は、ゾーニング/マスキングや障害切り分けで頻繁に起きます。この記事では、Storage ExplorerのGUI確認を中心に、ベンダーツールやMPIO環境でのPowerShell/WMIによる取得まで、現場で迷わない手順をまとめます。
WWN(WWID)とは何か:LUN番号・ディスク番号と混同しない
まず押さえたいのは、ストレージ用語の「WWN」が、会話の文脈によって指すものが変わる点です。一般にWWN(World Wide Name)はFibre Channelの世界で使われる一意な識別子で、ホスト側のHBAポート(WWPN)やノード(WWNN)を識別します。一方、運用現場で「このLUNのWWNを教えて」と言われたときは、LUN/ディスクを一意に識別するWWID(World Wide Identifier)やNAA識別子(SCSI VPD Page 83のDevice Identifier)を指していることが多く、Windows上では「SerialNumber」や「Unique Identifier」といった名前で見える場合があります。
Windows Server 2008 R2では新しい世代のストレージコマンドレット(例:Get-Disk)のような機能が標準では使えないため、GUI(Storage Explorer)やWMI、MPIOの情報を組み合わせて「どのWindowsディスクが、どのLUN(WWN/WWID)なのか」を突き合わせるのがコツです。
| 呼び方 | 何を識別する? | 例(表記イメージ) | よく使う場面 |
|---|---|---|---|
| WWPN | HBAポート(ホスト側のポート) | 50:0a:09:8x:xx:xx:xx:xx | ゾーニング、ストレージ側のホスト登録 |
| WWNN | HBAノード(ホスト側の装置単位) | 50:0a:09:8x:xx:xx:xx:xx | ホスト識別、構成管理 |
| WWID / LUN WWN / NAA | 提示されたLUN(ディスク) | naa.6000… / 3600… / 6000… | 「このLUNはどれ?」の突合、障害対応 |
| LUN番号(LUN ID) | ターゲットに対する論理番号 | 0 / 1 / 10 … | ストレージ側の割り当て確認(ただし一意ではない) |
| Disk 0/1…(Windowsのディスク番号) | OSが並べたローカル上の番号 | Disk 1 / Disk 2 … | ディスク管理、DiskPart |
| ボリュームシリアル | ファイルシステムの識別子 | xxxx-xxxx | OS内のボリューム管理(WWNとは別物) |
なぜ「ディスク(LUN)のWWN」を知りたくなるのか:典型シナリオ
WWN/WWIDの確認が必要になる状況は、単に「興味がある」ではなく、運用上の必然として発生します。たとえば次のような場面です。
- ストレージ担当から「WWID/WWNでLUNを特定してほしい」と依頼された(アレイ側のGUI/CLIはWWID中心で表示されることが多い)
- 誤って違うサーバーにLUNを提示していないかを確認したい(マスキングミスの検知)
- MPIO構成でパス障害が起きたとき、どのLUNのパスなのかを切り分けたい
- 容量拡張や移行で、Windows上の「ディスク番号」とストレージ側の「ボリューム/LDEV/LUN」を確実に紐付けたい
- 監査・ドキュメント整備(サーバー更改時に「このLUNはどこ?」をなくす)
確認前に押さえるポイント:接続方式とMPIOの有無で最適解が変わる
同じ「Windows Server 2008 R2でWWNを確認」でも、環境によって見え方が変わります。まずは次の2点を整理してから作業すると、遠回りを防げます。
- 接続方式:Fibre Channel(FC)か、iSCSIか、あるいは直接接続(SAS等)か
- MPIOの有無:Microsoft MPIO(MSDSM)を使っているか、ベンダーDSMか、単一パスか
| 状況 | 最短で確認しやすい方法 | 補足 |
|---|---|---|
| FC / iSCSI + Windows標準 | Storage Explorer(GUI) | サーバー名配下でHBAやLUN情報を俯瞰できる |
| MPIO構成(MSDSM) | WMI(mpio_disk_info) + PowerShell | 一覧でSerialNumberが取れる例が多い(環境差あり) |
| ベンダーDSM/独自ドライバ | ベンダー提供ツール | 表示項目の名称・形式が異なるのでストレージ担当と合わせる |
| 直接接続のSAS/ローカルディスク | ディスク管理/ベンダーツール | Storage Explorerは「SANの可視化」用途のため対象外になりやすい |
GUIで確認する:Storage Explorer(ストレージ エクスプローラー)を使う
Windows Server 2008 / 2008 R2では、MicrosoftのMMCスナップイン「Storage Explorer」で、SAN構成やHBA、接続先、LUN情報を確認できます。GUIで目視できるため、最初に試すべき方法です。
Storage Explorerが見つからない場合の確認ポイント
環境によっては、[管理ツール]にStorage Explorerが見当たらないことがあります。その場合は、まずMMCスナップインとして追加できるかを確認します。
- [スタート]→[ファイル名を指定して実行]でmmcを起動します。
- [ファイル]→[スナップインの追加と削除]を開き、一覧にStorage Explorerがあるか確認します。
- 追加できる場合は、任意の名前でコンソール(.msc)を保存しておくと、次回以降の確認が速くなります。
それでも見つからない場合は、サーバー側の役割/機能や管理ツールのインストール状況(Storage Explorer関連ツールが入っているか)を確認してください。サーバーに直接入れられない運用の場合は、管理端末側に管理ツールを用意して遠隔で参照する運用も現実的です。
Storage ExplorerでWWNを確認する手順(概要)
- サーバーに管理者権限でログオンします。
- [スタート]→[管理ツール]からStorage Explorerを起動します(環境によってはMMCからスナップインを追加します)。
- 左ペインでStorage Explorer > Servers > (対象サーバー名)を展開します。
- 表示されるストレージ情報の中から、対象ディスク/LUNに該当する項目を開き、WWN/WWID(World Wide Name、または同等の識別子)を確認します。
Storage Explorerは「SANの地図」を作る発想のツールで、FCではファブリック(スイッチ)情報、iSCSIではiSNS登録情報なども見える場合があります。WWNの確認だけでなく、「このサーバーはどこにつながっているのか」を短時間で把握できるのが強みです。
「どのディスクがどのLUN?」を間違えないコツ
Storage ExplorerでLUNの一覧を見ても、Windowsのディスク番号(Disk 1/2…)と直感的に一致しないことがあります。特にLUNが多い環境では、次の突合情報を2つ以上使うのが安全です。
- 容量(GB):ストレージ側の割り当てサイズと一致するか
- パーティション/ボリューム情報:ドライブレター、マウントポイント、ボリュームラベル
- 用途メモ:SQL用、ログ用、バックアップ用など(運用ドキュメントがあると強い)
| 突合に使う情報 | Windows側での確認場所 | 注意点 |
|---|---|---|
| ディスク容量 | ディスクの管理(diskmgmt.msc) | ストレージ側でThin/Overprovisionの場合、表示差に注意 |
| ドライブレター/マウントポイント | ディスクの管理、マウントポイント | クラスタやアプリ要件でレターなし運用も多い |
| ボリュームラベル | エクスプローラー、diskpart detail volume | ラベル未設定だと突合が難しくなる |
| WWN/WWID | Storage Explorer、WMI、mpclaim | 表記ゆれ(区切り文字、先頭のnaa.など)を正規化すると楽 |
ベンダー提供ツールで確認する:ストレージ側・HBA側の情報は「確定材料」になりやすい
Microsoftのツールは汎用的に使える反面、表示できる情報が環境依存だったり、表記がストレージ担当の期待とズレることがあります。そこで有効なのが、ストレージベンダー/HBAベンダーの管理ツールです。
ベンダーツールは次の点で強いことが多いです。
- ストレージ側のボリューム名、LDEV、LUN ID、ホストグループといった運用で使う名称がそのまま見える
- ALUA、パス状態、ターゲットポートなど経路情報が詳しい
- サポートに問い合わせるときの前提データ収集がしやすい
| ツールの種類 | 見えることが多い情報 | 使いどころ | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ストレージアレイ管理GUI/CLI | ボリューム/論理デバイス、WWID/Serial、ホストマッピング | 「このWWIDはどのボリューム?」を確定 | 権限がないと参照不可。変更操作と混同しない |
| HBA管理ツール(Emulex/QLogic等) | WWPN/WWNN、接続先、ログ、ドライバ状態 | ゾーニング/リンク断の切り分け | LUNのWWIDは見えない場合もある |
| ベンダーDSM/マルチパス管理 | デバイス識別子、パス一覧、優先パス | MPIOのパス問題、負荷分散 | 表示形式が独自。値の正規化が必要 |
ポイントは、Windows側で取れたWWN/WWIDを「ストレージ側の画面で同じ値を検索して確定する」ことです。特に障害対応では、ストレージ担当と同じ画面・同じ識別子で会話できるだけで復旧が速くなります。
PowerShellで取得する:MPIO環境ならWMI(mpio_disk_info)が使えることがある
「一覧で欲しい」「手作業で30台分確認したくない」「手順を自動化したい」という場合、PowerShellでの取得が便利です。MPIOを利用している環境では、WMIのroot\wmi名前空間にあるmpio_disk_infoから、LUNに紐づく識別子を取れるケースがあります。
最小コマンド(一覧でNameとSerialNumberを出す)
(Get-WmiObject -Namespace root\wmi -Class mpio_disk_info).DriveInfo |
Select-Object Name, SerialNumber
この出力のSerialNumberが、環境によってはLUNのWWN/WWIDとして扱える値になります。ただし、すべての環境で同じとは限りません。取得できた値がストレージ側の「WWID/Serial」と一致するかを、必ず一度突き合わせて確認してください。
実務向け:SerialNumberの表記ゆれを吸収して、比較しやすくする
ストレージ担当が「naa.」付きで渡してきたり、コロン区切りだったり、大小文字が混在したりするのはよくあります。比較用に、PowerShell側で区切り記号を除去して大文字化しておくと、目視確認が格段に楽になります。
# 例:比較しやすい形式に整形する(記号除去+大文字)
(Get-WmiObject -Namespace root\wmi -Class mpio_disk_info).DriveInfo |
Select-Object Name,
@{Name='SerialNormalized';Expression={($_.SerialNumber -replace '[^0-9A-Fa-f]','').ToUpper()}}
| よくある表記 | 例 | 意味/由来 | 突合のコツ |
|---|---|---|---|
| naa.付き | naa.6000a0b8000123456789abcd00000001 | SCSIのNAA識別子を人が読みやすくした表記 | 先頭の「naa.」を外して比較してもよい |
| 16進数のみ | 6000A0B8000123456789ABCD00000001 | ベンダーGUI/CLIでよく見る素の形式 | 大文字/小文字を揃えると一致確認が容易 |
| 区切り文字あり | 60:A9:80:05:72:D4:… | ポートWWNと混同されやすいが、LUN側でも区切り表示されることがある | コロン等の記号を除去して比較する |
「どのドライブレターの裏にあるLUNか」を結び付けたいとき
Windows Server 2008 R2ではストレージ系の新しいコマンドレットがないため、WMIクラスをたどって「物理ディスク→パーティション→論理ドライブ」の関連を追いかけるのが定番です。完全一致のマッピングは環境依存ですが、ディスク容量やボリューム名を併用すると精度が上がります。
| 目的 | 使う情報(例) | 現実的な突合の考え方 |
|---|---|---|
| WWID一覧を作る | mpio_disk_info の SerialNumber | まずは一覧化して「見える状態」を作る |
| ディスク番号と結ぶ | ディスクの管理のDisk番号+容量 | 同容量LUNが多い場合はボリュームラベルも使う |
| ストレージ側ボリュームに結ぶ | ストレージ管理画面のWWID検索 | ここで確定させると以後の運用が安定 |
補足:mpclaim.exeでMPIOのスナップショットを取る(障害対応・棚卸し向け)
MPIOを使っているなら、mpclaim.exeでMPIOの状態をテキストに出力でき、LUNの識別子(SN)が確認できることがあります。PowerShellでの自動化が難しい状況でも、まずはこのスナップショットを取っておくと、後から落ち着いて解析できます。
基本例:詳細出力をファイルに保存
mpclaim -v C:\temp\mpio.txt
出力には「MPIO Disk0 / Disk1 …」のような単位で、SN(Serial Number)やパス一覧、ロードバランスポリシーが含まれる場合があります。ストレージ側の値と一致するかを確認し、運用手順に組み込むと強力です。
実務テンプレ:Windowsのディスク番号・ボリューム・WWN(WWID)を1枚で管理する
LUNが増えるほど「誰がいつ何を増やしたか」が追えなくなり、トラブル時に時間を溶かします。そこでおすすめなのが、サーバーごとのLUN対応表を作って、ディスク番号とWWN/WWIDを確実に残すことです。まずは次の項目があると、ほとんどの問い合わせに即答できます。
| 項目 | 例 | どこで確認する? | メモ |
|---|---|---|---|
| サーバー名 | APP-SRV01 | OS | クラスタの場合はノード名も |
| Windowsディスク番号 | Disk 3 | ディスクの管理 | 順番は変わる可能性があるため、他情報も併記 |
| 容量 | 500 GB | ディスクの管理 | Thin環境では実効/割当の違いに注意 |
| ドライブ/マウント先 | F: または C:\Mount\DB01 | OS | レターなし運用はマウントポイントが重要 |
| ボリュームラベル | DB_DATA | OS | 命名規則を決めると突合が速い |
| WWN/WWID(正規化) | 6000A0B8… | Storage Explorer / WMI / mpclaim | 表記ゆれを吸収した値も保存 |
| ストレージ側ボリューム名 | VOL_APP01_DB01 | アレイ管理 | 担当部門の呼び方に合わせる |
| 備考 | SQL本番DB | 運用 | 用途が書いてあるだけで復旧が速い |
ストレージ担当に渡すと話が早い情報(チェックリスト)
「WWNを教えてください」と言われたとき、こちらがLUNのWWIDだけ返しても、相手がホスト登録(WWPN)をやりたいケースがあります。やり取りを最短化するために、問い合わせ時は次の情報をセットで渡すのがおすすめです。
| 項目 | 例 | 目的 | 取得のヒント |
|---|---|---|---|
| サーバー名 | APP-SRV01 | 誤作業防止 | 同名ホストが存在しない命名にする |
| 接続方式 | FC / iSCSI | 担当者が確認する画面/ログが変わる | FCならスイッチ、iSCSIならIQN/iSNSが関与 |
| ホスト側WWPN(必要な場合) | 50:0a:09:8x:… | ゾーニング、ホスト登録 | HBAツールやStorage Explorerで確認 |
| LUN側WWID/Serial(今回の主役) | 6000A0B8… | どのボリュームを操作するか特定 | Storage Explorer / WMI / mpclaim |
| Windows上の見え方 | Disk 3 / F: / DB_DATA | 「OS上のどれ?」をすぐ一致させる | 容量・ラベル・マウント先を併記 |
| 希望作業 | 提示確認、マッピング追加、パス調査 | 無駄な往復を減らす | 「目的」を1行で添えるだけで速くなる |
よくあるハマりどころと対処:表示されない/値が合わないとき
WWN確認は「見えれば終わり」ですが、見えないときの理由はだいたいパターン化しています。代表例をまとめます。
Storage Explorerに情報が出ない
- 直接接続のSCSI/SASや仮想SCSIは対象外になりやすい:Storage ExplorerはSAN(FC/iSCSIファブリック)可視化向けのため、ローカルディスクはディスクの管理で確認します。
- iSCSIでiSNS未構成:iSCSIファブリック情報の検出にiSNSが関わる場合があります。必要ならiSNSの設定、名前解決、疎通、ファイアウォールを確認します。
- FCスイッチ/ HBAがCTコマンドを通さない:ファブリック情報取得のための問い合わせが遮断されると、探索結果が欠落します。スイッチ設定やHBAドライバ/ファーム更新が必要な場合があります。
- WMI接続の問題:リモートで他サーバーまで表示させたい場合、DNS解決やWMI権限、FW設定が影響します。まずはローカルサーバーの表示から確認します。
PowerShell/WMIでSerialNumberが期待と違う
- MPIOを使っていない:mpio_disk_infoが存在しない、または期待するDriveInfoが得られないことがあります。この場合はStorage Explorerやベンダーツールを優先します。
- ベンダーDSMが独自に値を返す:同じ「SerialNumber」でもベンダーによって内容が異なることがあります。必ずストレージ側で一致確認を行い、以後はそのルールで運用します。
- 表記ゆれ:区切り文字、先頭プレフィックス(naa. など)、大小文字の違いは正規化で吸収できます。
「WWN」と言われたが、実は必要なのはWWPN(HBAポート名)だった
ストレージチームが欲しいのがLUNのWWIDなのか、ホストのWWPNなのかで、取るべき値が変わります。依頼内容が曖昧な場合は、次のように確認するとすれ違いを防げます。
| 相手がやりたいこと | 必要になりがちな値 | 確認の一言 |
|---|---|---|
| ホストをストレージに登録したい | WWPN(HBAポート) | 「ホスト側のポートWWN(WWPN)で合っていますか?」 |
| 特定LUNをマッピング/解除したい | LUNのWWID/Serial | 「LUNを一意に識別するWWID(NAA)のことですか?」 |
まとめ:Windows Server 2008 R2でLUNのWWNを確認する最短ルート
- まずはStorage Explorer(MMC)でサーバー配下のストレージ情報を確認する。
- MPIO環境ならWMI(mpio_disk_info)でSerialNumberを一覧取得し、表記を正規化して突合しやすくする。
- 確定が必要なときは、ストレージ側の管理画面でWWID検索してボリューム名/LUN IDまで落とし込む。
- 再発防止として、ディスク番号・容量・マウント先・WWIDを対応表で管理する。
参考リンク
- Microsoft Q&A: How to get WWN of Disk in Windows 2008 R2??
- Stuart Clarkson: Finding WWN of LUNs on Windows Server 2008 R2
- Jose Barreto: The Basics of Windows Server 2008 Storage Explorer

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