Windows Server 2012 R2で更新適用後、services.mscやeventvwr.mscなどのMMCが開けず、Internet Explorerの「ダウンロード」画面になることがあります。本記事では原因となりやすいKB4556853の既知の不具合と、KB4556798/KB4556846による具体的な復旧手順をまとめます。
現象:MMC(services.msc / eventvwr.msc 等)が開かず、IEの「ダウンロード」画面になる
Windows Server 2012 R2(Build 9600)で更新プログラム適用後、次のような症状が出ることがあります。
- サービス(services.msc)、イベント ビューアー(eventvwr.msc)、コンピューターの管理(compmgmt.msc)などの MMC スナップインが起動しない
- 起動しようとすると Internet Explorer 11(IE11)が立ち上がり、ファイルをダウンロードしようとする画面(「開く/保存」系のダイアログ)になる
- インターネット オプション(Internet Options / inetcpl.cpl)も開けない
「管理ツールが開けない」は、障害対応に直結する痛いトラブルです。サービス停止やログ確認ができず、復旧が遅れたり、運用監視のエビデンス取得が止まったりします。RDP で保守している環境では特に影響が大きくなります。
| 症状 | 代表例 | 困ること |
|---|---|---|
| MMCが開けない | services.msc / eventvwr.msc / compmgmt.msc | サービス操作、ログ確認、ディスク管理などがGUIでできない |
| IEのダウンロード画面になる | IE11が勝手に起動して「保存」等の画面 | 原因が「MMC」ではなく「更新」や「関連付け」にあることに気づきにくい |
| Internet Optionsが開けない | inetcpl.cpl が起動しない | IE/WinINet系の設定確認・変更ができない |
結論:原因は KB4556853(Security-only update)の既知の不具合が有力
本件は、KB4556853(Security-only update)適用後に報告されている既知の不具合として知られています。MMC スナップインを開こうとするとダウンロード ダイアログが出たり IE11 が起動したりする/Internet Options が開けなくなる、といった症状がまとまって発生します。
運用で重要なのは、Windows Server 2012 R2 で「Security-only update を中心に当てる」場合、月によっては IE11 の累積セキュリティ更新を別途適用しないと整合性が崩れる点です。今回のケースでは、後述の KB4556798(IE11累積セキュリティ更新)が回避策として案内されています。
まずやること:OSビルドと該当KBの有無を最短で確認する
切り分けで最初に見るべきは「OS と KB」です。特にサーバー台数が多い環境ほど、最初の棚卸しが効きます。
OSバージョン(Build 9600)の確認
- GUI: 「ファイル名を指定して実行」→ winver
- コマンド: systeminfo(「OS バージョン」「OS 構成」などを確認)
KB4556853 / KB4556798 / KB4556846 の適用状況を確認
PowerShell が使えるなら、まずはこの 1 行で確認できます。
Get-HotFix | Where-Object { $_.HotFixID -in "KB4556853","KB4556798","KB4556846" } | Sort-Object InstalledOn
コマンドプロンプトなら WMIC でも確認できます。
wmic qfe | findstr /i 4556853
wmic qfe | findstr /i 4556798
wmic qfe | findstr /i 4556846
| 確認項目 | 確認方法(例) | 判断の目安 |
|---|---|---|
| OS が Windows Server 2012 R2 / Build 9600 か | winver / systeminfo | Build が 9600 なら対象になりやすい |
| KB4556853 が入っているか | Get-HotFix / wmic qfe / 更新履歴 | 入っていて症状が出ているなら本記事の対処が本命 |
| KB4556798(IE11累積セキュリティ更新)が入っているか | 同上 | 未適用なら、まず追加適用する価値が高い |
| KB4556846(Monthly Rollup)が入っているか | 同上 | Rollup 適用済みなら本件の影響を受けにくいとされる |
対処法(推奨順):現場で迷わないための判断フロー
「原因KBが入っているか」「運用が Security-only か Rollup か」で、取るべき手が変わります。迷ったら、次の優先順位で進めると安全です。
| 優先 | 対処 | 狙い | 向いている環境 |
|---|---|---|---|
| 高 | KB4556798(IE11累積セキュリティ更新)を追加適用 | 不足している IE 側の修正を補って整合性を回復 | Security-only 運用、影響を最小限にしたい |
| 中 | KB4556846(Monthly Rollup)を適用 | ロールアップでまとめて整合性を取り直す | Rollup 運用、または運用方針を変更できる |
| 低(切り分け用途) | KB4556853 をアンインストールして挙動確認 | 原因KBの特定、緊急回避 | 検証用サーバーがある、短時間で原因を確定したい |
対処1:IE11 の累積セキュリティ更新(KB4556798)を追加でインストールする
KB4556853 の回避策として案内されているのが、2020/5/12 リリースの IE11 の累積セキュリティ更新(KB4556798)の追加適用です。Security-only update は「OS本体の更新だけ」になりやすく、IE コンポーネントは別更新になる月があります。そこが噛み合わないと、結果として MMC の起動にまで影響が出ることがあります。
実施手順(一般的な流れ)
- 対象サーバーで KB4556798 が未適用であることを確認(Get-HotFix / wmic)
- WSUS / Windows Update / Microsoft Update Catalog など運用ルールに沿った方法で KB4556798 を入手
- メンテナンス枠を確保(再起動が必要になるケースがあるため)
- KB4556798 をインストール → 再起動
- services.msc / eventvwr.msc / inetcpl.cpl の起動を確認
復旧確認のコツ
- スタートメニューからだけでなく、Win+R(ファイル名を指定して実行)からも起動して確認する
- 「管理者として実行」で動く/動かないの差がないかも見る(権限問題の切り分け)
対処2:Monthly Rollup(KB4556846)を適用する(運用方針が許せば)
Monthly Rollup(KB4556846)を適用することで、本件が軽減される(または影響を受けない)とされています。Security-only 運用は更新の粒度をコントロールできる反面、こうした「必要な関連更新が分離されている月」に事故が起きやすいのも事実です。
Rollup に寄せると、不足パーツが出にくく整合性が取りやすい一方で、変更点が増えるため検証が重要になります。業務アプリやドライバが絡む環境では、検証用サーバーでの事前確認(起動、ログイン、主要処理、バックアップ/監視連携)をおすすめします。
対処3(暫定切り分け):KB4556853 をアンインストールして挙動確認
原因 KB を確定したい場合、まず検証機で KB4556853 をアンインストールして挙動を見るのは有効です。ただし、Security-only update を外すことはセキュリティ上のリスクがあるため、恒久対策にはしません(切り分けに留めます)。
wusa でのアンインストール例
wusa /uninstall /kb:4556853
サイレントで行う場合(運用ルールに沿って慎重に)
wusa /uninstall /kb:4556853 /quiet /norestart
- 再起動が必要になることがあります。
- アンインストールで一時的に直っても、更新を戻すと再発します。最終的には KB4556798 の追加、または KB4556846 の適用で整合性を取ります。
復旧確認:最短で「直った」を判断するチェックリスト
対処後は、次の 4 点だけを固定で確認すると判断がブレません。
| 確認項目 | 起動方法 | 期待される結果 |
|---|---|---|
| サービス | Win+R → services.msc | サービス一覧が表示され、IE は起動しない |
| イベント ビューアー | Win+R → eventvwr.msc | イベントログのツリーが表示される |
| コンピューターの管理 | Win+R → compmgmt.msc | ディスク管理などが表示される |
| インターネット オプション | Win+R → inetcpl.cpl | Internet Options のダイアログが開く |
GUIが使えない間の代替手段:PowerShell/コマンドで最低限の運用を回す
復旧作業中に「サービスを止めたい」「ログを見たい」が発生することはよくあります。MMC が起動しない間は、CLI で代替できます。
サービス操作の代替(Get-Service / sc)
| やりたいこと | PowerShell | コマンドプロンプト |
|---|---|---|
| サービス一覧を見る | Get-Service | sc query state= all |
| 特定サービスの状態確認 | Get-Service -Name "w32time" | sc query w32time |
| サービス開始/停止 | Start-Service "w32time" Stop-Service "w32time" | sc start w32time sc stop w32time |
イベントログ確認の代替(Get-WinEvent / wevtutil)
eventvwr.msc が開けなくても、イベントログそのものは取得できます。
# 直近のシステムログを表示(例)
Get-WinEvent -LogName System -MaxEvents 50 | Format-Table TimeCreated, Id, LevelDisplayName, ProviderName -AutoSize
# コマンドプロンプト例(システムログの直近を表示)
wevtutil qe System /c:30 /rd:true /f:text
まだ直らない場合の追加チェック
KB 対処を入れても改善しない場合、環境固有の要因が混ざっていることがあります。次の項目は「現場で実際にハマりやすい」順に並べています。
.msc のファイル関連付けが崩れていないか
症状が「IE が起動してダウンロードしようとする」場合、更新不具合だけでなく、.msc の関連付けが IE に向いてしまっている可能性があります。特に「誰かが誤って『常にこのアプリで開く』を選んだ」「既定のアプリ設定が壊れた」などで起きます。
関連付けの確認
assoc .msc
ftype mscfile
一般的な正常例(環境差はありますが、mmc.exe を指していることが重要です)
assoc .msc=mscfile
ftype mscfile="%SystemRoot%\System32\mmc.exe" "%1" %*
もし IE(IEXPLORE.EXE)などが出てくる場合は、管理ポリシーに沿って関連付けを戻します。戻した後は、必ず Win+R → services.msc で再テストしてください。
「Win+R からは開けるが、アイコンからは開けない」場合はショートカットを疑う
スタートメニュー、タスクバー、デスクトップのショートカットが壊れていると、そこから起動したときだけ変な挙動になります。Win+R からの起動で正常なら、ショートカットの作り直しが近道です。
制限系ポリシー(SRP / AppLocker)やセキュリティ製品のブロック
更新適用と同じタイミングでポリシーが変わった場合、mmc.exe や inetcpl.cpl がブロックされることがあります。イベントログ、セキュリティ製品ログ、GPO の差分を確認してください。
システムファイル整合性(SFC / DISM)
更新の適用に失敗してコンポーネントが中途半端な状態になると、関連機能が壊れて同様の症状が出ることがあります。
sfc /scannow
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
台数が多い環境での進め方(検証→展開の実務メモ)
- まず 1 台(検証用/予備)で KB4556853 の有無と症状を確認
- KB4556798 追加で改善するか検証 → 改善すれば「展開する KB」が確定
- Rollup に寄せる場合は KB4556846 を検証して、業務アプリの主要機能まで確認
インストール状況の棚卸しは PowerShell で一覧化するとミスが減ります。
"KB4556853","KB4556798","KB4556846" | ForEach-Object {
$kb = $_
$hit = Get-HotFix -ErrorAction SilentlyContinue | Where-Object { $_.HotFixID -eq $kb }
[PSCustomObject]@{
KB = $kb
Installed = [bool]$hit
InstalledOn = if($hit){$hit.InstalledOn}else{$null}
}
} | Format-Table -AutoSize
よくある質問
IE を使っていないのに、なぜ IE の更新で直るのですか?
Windows Server 2012 R2 では、IE(WinINet や inetcpl.cpl など)に依存するコンポーネントが残っています。Security-only update だけだと IE 側の修正が不足し、結果として MMC など「IE と無関係に見えるツール」にも影響が出ることがあります。
KB4556853 を外したまま運用しても良いですか?
推奨されません。KB4556853 はセキュリティ更新のため、外しっぱなしはリスクになります。切り分けとして外して挙動確認したら、最終的には KB4556798 追加、または Monthly Rollup(KB4556846)適用で整合性を取るのが安全です。
まとめ
- Windows Server 2012 R2 で MMC(services.msc / eventvwr.msc 等)が開けず IE のダウンロード画面になる場合、KB4556853 の既知不具合が原因として有力です。
- まずは KB4556798(IE11累積セキュリティ更新)を追加適用し、再起動後に services.msc / eventvwr.msc / inetcpl.cpl を確認します。
- 運用方針が許せば Monthly Rollup(KB4556846)で整合性を取り直すのも有効です。
- 復旧までの間は PowerShell / コマンドでサービスやログ確認を代替できるため、緊急対応も止めずに進められます。

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