旧PCのデータやアプリを新PCにそのまま移せる?Windows 11の移行手順

旧PCのデータやアプリを新PCへ完全に「そのまま」複製することはできません。ただし、Windows 11の「Windows バックアップ」を使えば、個人用Microsoftアカウントにひも付けて、OneDriveに保存したファイル、Windowsの主な設定、アプリのピン留めを新PCへ復元できます。

注意したいのは、アプリのアイコンが戻っても、アプリ本体まで移行済みとは限らないことです。Microsoft Storeのアプリはピンから再インストールできる場合がありますが、Store以外のデスクトップアプリは、配布元からインストーラーを入手して入れ直す必要があります。Windows バックアップは、旧PCのディスク全体や全アプリを完全複製する機能ではありません。([マイクロソフト サポート][1])

また、個人用Microsoftアカウントに付属するOneDriveの無料容量は5GBです。すでにOneDriveを使用している場合は、5GBではなく「現在の空き容量」と移行したいファイルの容量を比較する必要があります。([Microsoft][2])

目次

Windowsバックアップで新しいPCへ戻せるもの・戻せないもの

Windows バックアップで移行できる内容は、大きく分けて「ファイル」「Windowsの設定」「アプリのピン留め」の3種類です。

Microsoft公式では、デスクトップ、ドキュメント、画像、ビデオ、ミュージックをOneDriveへ同期できるほか、アクセシビリティ、Wi-Fi情報、個人用設定、言語設定などをバックアップできると案内しています。アプリについては本体を丸ごとコピーするのではなく、ピン留めを復元したうえで再インストールする仕組みです。([マイクロソフト サポート][1])

移行対象新PCでの戻り方注意点
デスクトップOneDriveから同期OneDriveの容量が必要
ドキュメントOneDriveから同期フォルダー外に保存したファイルは別途確認
画像OneDriveから同期写真が多いと無料5GBを超えやすい
ビデオOneDriveから同期容量が大きいため外付けSSDの方が適する場合がある
ミュージックOneDriveから同期音楽管理アプリの設定は別途必要
Windowsの設定同じMicrosoftアカウントから復元すべての設定が完全に同一になるとは限らない
Wi-Fi情報や一部のパスワードMicrosoftアカウント経由で復元組織のポリシーや機器によって再設定が必要
アプリのピン留めスタートメニューなどに復元アプリ本体ではなく、再取得するための入口
Microsoft Storeアプリ復元されたピンから再インストール再サインインが必要な場合がある
Store以外のアプリ配布元からインストーラーを取得ライセンス認証や設定の移行が別途必要
ダウンロードフォルダー原則として別途コピーWindows バックアップの標準的なフォルダー選択には含まれない
Dドライブや任意の作業フォルダー外付けSSDなどで別途コピー自動移行されると思い込まない
Windows本体やドライバー移行されないディスクイメージやクローンとは別物
アプリ内のデータアプリごとに異なるプロジェクト、テンプレート、辞書、ゲームデータなどを個別確認

「アプリが戻る」とはアプリ本体がコピーされることではない

Windows バックアップで特に誤解しやすいのが、アプリの復元です。

新PCに旧PCと同じアプリアイコンが表示されても、実際にはインストールされていないことがあります。Microsoft Storeで提供されているアプリは、復元されたピンを選択することで再インストールできます。

一方、Microsoft Store以外から入れたアプリは、提供元のWebサイトへ案内されるか、自分でインストーラーを探して入れ直します。Microsoft Office、画像編集ソフト、会計ソフト、プリンターユーティリティー、VPNソフトなどは、再インストール後にライセンス認証や再設定が必要になる可能性があります。([マイクロソフト サポート][1])

したがって、Windows バックアップによる移行は、次のように考えると分かりやすくなります。

ファイルと主要設定は復元し、アプリは一覧や配置を参考に再構築する仕組みです。

移行前に確認しておくこと

個人用Microsoftアカウントを使用しているか確認する

ここで説明するWindows バックアップは、個人用Microsoftアカウントを使用する家庭向けPCの移行方法です。

旧PCで次の順に開きます。

  1. 「設定」を開く
  2. 「アカウント」を選択する
  3. 「ユーザーの情報」を開く
  4. サインイン中のアカウントを確認する

「Microsoftアカウントでのサインインに切り替える」と表示されている場合は、現在ローカルアカウントを使用しています。Windows バックアップを利用するには、個人用Microsoftアカウントへの切り替えを検討します。

Windows バックアップアプリは、個人用Microsoftアカウントを使用するコンシューマー向け端末を主な対象としており、職場または学校のMicrosoftアカウントでは同じ方式を利用できません。([マイクロソフト サポート][1])

会社や学校から支給されたPCでは、組織のOneDrive、Microsoft Intune、Microsoft Entra ID、バックアップソフトなどが使われている場合があります。管理者の許可なく個人用Microsoftアカウントへデータを保存しないでください。

OneDriveの空き容量と移行対象の容量を比較する

無料のMicrosoftアカウントには、OneDriveのクラウドストレージが5GB付属します。これは移行専用に追加される5GBではなく、すでにOneDriveに保存しているファイルと共用する容量です。([Microsoft][2])

例えば、次の状態では無料容量だけで移行できません。

項目容量
OneDriveの現在の空き容量3.2GB
デスクトップ1.1GB
ドキュメント1.4GB
画像5.0GB
移行対象の合計7.5GB
不足する容量約4.3GB

この場合は、次のいずれかで対応します。

  • OneDriveの容量を追加する
  • 画像や動画を外付けSSDへコピーする
  • 必要なフォルダーだけOneDriveでバックアップする
  • 不要なファイルを整理してからバックアップする

フォルダー容量は、エクスプローラーで対象フォルダーを右クリックし、「プロパティ」から確認できます。特に画像と動画は容量が大きくなりやすいため、最初に確認しておくと失敗を防げます。

自動移行されない場所を確認する

Windows バックアップで選択できる主なフォルダーは、デスクトップ、ドキュメント、画像、ビデオ、ミュージックです。([マイクロソフト サポート][1])

次の場所に重要なデータがないか、旧PCで確認してください。

  • ダウンロード
  • Dドライブや別の内蔵ドライブ
  • C:\直下に自分で作成したフォルダー
  • アプリ独自の保存フォルダー
  • メールソフトのローカル保存データ
  • 動画編集や画像編集ソフトのプロジェクト
  • ゲームのセーブデータ
  • ブラウザーのブックマーク
  • 日本語入力ソフトのユーザー辞書
  • 電子証明書やVPN設定
  • 業務ソフトのバックアップデータ

これらは、外付けSSDへのコピー、アプリのエクスポート機能、各サービスの同期機能などを利用して個別に移します。

旧PCでWindowsバックアップを実行する手順

Microsoftアカウントでサインインする

旧PCでローカルアカウントを使用している場合は、次の順に進みます。

  1. 「設定」を開く
  2. 「アカウント」を選択する
  3. 「ユーザーの情報」を開く
  4. 「Microsoftアカウントでのサインインに切り替える」を選択する
  5. 新PCでも使用する個人用Microsoftアカウントでサインインする

すでにMicrosoftアカウントでサインインしている場合は、表示されているメールアドレスを確認します。新PCでは、ここで確認したものと同じアカウントを使います。

Windowsバックアップを開く

  1. スタートメニューを開く
  2. 検索欄に「Windows バックアップ」と入力する
  3. 検索結果から「Windows バックアップ」を開く

設定画面の「アカウント」から「Windows バックアップ」を開いて管理できる場合もあります。Windowsの更新状況によって、項目名や配置が多少異なることがあります。

バックアップするフォルダーを選択する

「フォルダー」を展開し、OneDriveへ保存するフォルダーをオンにします。

選択できる主なフォルダーは次のとおりです。

  • デスクトップ
  • ドキュメント
  • 画像
  • ビデオ
  • ミュージック

すべてをオンにする必要はありません。無料のOneDrive容量に収まらない場合は、文書だけOneDriveへ保存し、写真や動画は外付けSSDで移す方法もあります。

Windowsの設定とアプリ情報をバックアップする

Windows バックアップでは、次のような項目を確認できます。

  • インストール済みアプリの情報
  • アクセシビリティ設定
  • アカウント、Wi-Fiネットワーク、パスワード
  • 壁紙、色、テーマなどの個人用設定
  • 言語設定やユーザー辞書
  • その他のWindows設定

必要な項目をオンにし、「バックアップ」を実行します。

Microsoftの案内では、個人用設定のバックアップにもOneDriveへのサインインと空き容量が必要です。容量不足のエラーが表示された場合は、OneDriveへのサインイン状態と空き容量を確認してください。([マイクロソフト サポート][1])

完了表示だけでなくファイルも確認する

バックアップが完了したら、Windows バックアップアプリで各項目の状態を確認します。

さらに、次の確認も行ってください。

  1. OneDriveに同期エラーが出ていないか確認する
  2. OneDrive上でデスクトップやドキュメントを開く
  3. 重要なファイルを数個開いて内容を確認する
  4. ファイルの更新日時が古すぎないか確認する
  5. ダウンロードやDドライブを別途コピーしたか確認する

「バックアップ済み」と表示されたことだけで旧PCを初期化せず、実際に重要なファイルを開けるところまで確認するのが安全です。

新PCの初期設定でバックアップを復元する手順

旧PCと同じMicrosoftアカウントでサインインする

新PCの電源を入れ、Windows 11の初期設定を進めます。

Microsoftアカウントへのサインイン画面が表示されたら、旧PCのバックアップに使用したものと同じ個人用Microsoftアカウントでサインインします。

Windows バックアップからの復元は、新PCの初期設定時に同じMicrosoftアカウントを使用することが重要です。旧PCと異なるアカウントを使うと、作成したバックアップを検出できません。([Microsoft][3])

復元するPCのバックアップを選ぶ

アカウントにバックアップが見つかると、以前のPCから復元するか確認されます。

複数のPCを同じMicrosoftアカウントでバックアップしている場合は、PC名やバックアップ日時を確認して、移行元のPCを選択します。

ここで別のPCを選ぶと、意図しないアプリのピン留めや設定が復元される可能性があります。旧PCのデバイス名を事前に確認しておくと選びやすくなります。

OneDriveの同期が終わるまで待つ

初期設定が終わってデスクトップが表示されても、すべてのファイルが即座に新PCへダウンロードされるとは限りません。

OneDriveの同期状態を確認し、次の項目をチェックします。

  • デスクトップ上のファイルが表示されているか
  • ドキュメントや画像フォルダーを開けるか
  • OneDriveに同期エラーがないか
  • 必要なファイルを実際に開けるか
  • 大容量ファイルのダウンロードが終わっているか

ファイル名が表示されていても、クラウド上にだけ存在し、初回利用時にダウンロードされる場合があります。インターネットのない場所で使用するファイルは、事前に開けることを確認しておくと安心です。

アプリを再インストールする

復元されたアプリのピンを選択し、アプリを再インストールします。

Microsoft Storeアプリは、ピンを選ぶことで再取得できる場合があります。Store外のアプリは、公式サイトからインストーラーを入手してインストールします。([マイクロソフト サポート][1])

再インストール後は、次の項目も確認します。

  • アプリへのサインイン
  • ライセンス認証
  • 保存先フォルダー
  • プリンターやスキャナーとの接続
  • プラグインや追加フォント
  • テンプレートやユーザー辞書
  • プロジェクトデータ
  • 自動バックアップ設定

特に買い切り型ソフトは、旧PC側でライセンス解除が必要な場合があります。PCを初期化する前に、各ソフトのライセンス移行方法を確認してください。

Windowsバックアップだけで移せないデータの対処方法

データや設定推奨する移行方法
ダウンロードフォルダー外付けSSDへコピー
Dドライブ外付けSSD、NAS、ネットワーク経由でコピー
大量の写真や動画外付けSSDまたは容量を追加したOneDrive
デスクトップアプリ公式サイトから再インストール
アプリのライセンスアカウント連携、ライセンス解除、再認証
アプリ独自の設定エクスポート機能や設定フォルダーを確認
ブラウザーのブックマークブラウザーの同期またはエクスポート
メールのローカルデータメールソフトのエクスポート機能
プリンターメーカー公式ドライバーを再インストール
電子証明書発行元の手順に従って移行
VPN接続情報を確認して新PCで再設定
完全なディスク状態専用のイメージバックアップやクローンを検討

完全なディスクイメージやクローンを作成すれば、旧PCの保存状態をより広く複製できます。ただし、PCが変わるとCPU、ストレージ構成、ドライバー、ライセンス認証なども変わるため、異なる機種への移行では正常に動作しない可能性があります。

一般的なPCの買い替えでは、Windows バックアップでファイルと設定を戻し、アプリを新しく再インストールする方がトラブルを抑えやすい方法です。

すでに新PCの初期設定を終えた場合

新PCを別の設定で使い始めた後でも、旧PCと同じMicrosoftアカウントでOneDriveへサインインすれば、OneDriveに保存したファイルにはアクセスできます。Microsoftも、元のバックアップに使用したアカウントでOneDriveへサインインすることで、ファイルを復元できると案内しています。([マイクロソフト サポート][1])

ただし、初期設定時に表示されるバックアップ選択画面を使わなかった場合、アプリのピン留めや設定が同じ流れで復元されないことがあります。

すでに新PCで作成したデータがある状態で安易に初期化すると、そのデータを失うおそれがあります。ファイルだけ必要ならOneDriveから取得し、アプリは手動で再インストールする方が安全です。

よくある移行の失敗と防ぎ方

OneDriveの「5GB」を空き容量だと思ってしまう

無料プランの5GBは総容量です。すでに3GB使用していれば、実際に追加できるのは約2GBです。

移行対象フォルダーの容量ではなく、OneDriveの現在の空き容量と比較してください。

アプリアイコンがあるので移行完了だと思ってしまう

復元されたピンは、アプリ本体ではない場合があります。

アイコンを選択し、アプリが実際に起動するか確認してください。起動しない場合は再インストールします。

ダウンロードフォルダーを確認していない

Webサイトから取得したPDF、画像、インストーラーなどは、ダウンロードフォルダーに残っていることがあります。

Windows バックアップだけに任せず、移行前にダウンロードフォルダーを開いて確認してください。

旧PCを早く初期化してしまう

新PCのデスクトップが表示されただけでは、移行完了とはいえません。

少なくとも次の確認が終わるまでは、旧PCを初期化しない方が安全です。

  • 重要なファイルを開ける
  • 必要なアプリを起動できる
  • ライセンス認証が完了している
  • メールやブラウザーのデータを確認できる
  • プリンターや周辺機器が使える
  • Dドライブやダウンロードフォルダーを確認した

職場・学校アカウントと個人用アカウントを混同する

Windows バックアップアプリの個人向け移行は、個人用Microsoftアカウントを前提としています。職場や学校のアカウントでは、組織が用意した移行方法や管理設定に従う必要があります。([マイクロソフト サポート][1])

新PCへの移行は「バックアップ+再インストール」で考える

旧PCから新PCへ移行するときは、すべてが完全に複製されると考えず、次のように分けて準備します。

  • デスクトップやドキュメントなどはOneDriveでバックアップする
  • Windowsの設定とアプリのピン留めはWindows バックアップで復元する
  • アプリ本体は必要に応じて再インストールする
  • ダウンロード、Dドライブ、アプリ固有データは個別にコピーする
  • OneDriveの5GBではなく、実際の空き容量を確認する
  • 新PCで動作確認が終わるまで旧PCを初期化しない

最初に行うべきことは、旧PCの「デスクトップ」「ドキュメント」「画像」「ダウンロード」「Dドライブ」の容量と内容を確認することです。そのうえで、OneDriveへ保存するデータと、外付けSSDで移すデータを分けてからWindows バックアップを実行すると、安全かつ効率的に移行できます。
[1]: https://support.microsoft.com/en-us/windows/experience/backup-recovery/back-up-and-restore-with-windows-backup?utm_source=chatgpt.com “Back up and restore with Windows Backup | Microsoft Support”
[2]: https://www.microsoft.com/en-us/microsoft-365/onedrive/online-cloud-storage “Personal File Sharing & Cloud Storage | Microsoft OneDrive”
[3]: https://www.microsoft.com/ja-jp/windows “Windows 11 OS、コンピューター、アプリで AI のパワーを体験する | Microsoft Windows”

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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