Windows 11 のタスクマネージャーで NPU 使用率を見たい人にとって、2026年3月30日の Insider 更新はかなり大きな変化です。Beta ビルド 26220.8138 と Dev ビルド 26300.8142 で、Processes / Users / Details に「NPU」「NPU Engine」、Details に「NPU Dedicated Memory」「NPU Shared Memory」が追加され、Performance では GPU に含まれる neural engine まで見えるようになりました。要するに、「AI PC が賢いらしい」で終わらず、「どのアプリがどの AI ハードウェアを使っているのか」をタスクマネージャーで追いやすくなった、ということです。 (Windows Blog)
ただし、ここは誤解しやすいポイントです。今回のタスクマネージャー改善は「NPU を搭載した PC」が対象で、Copilot+ PC だけに限定されるとは書かれていません。一方で、Recall や Click to Do など Copilot+ PC ならではの機能は、40+ TOPS の NPU など追加要件が前提です。つまり、「NPU 列が見える条件」と「Copilot+ PC 体験の条件」は同じではありません。この記事では、タスクマネージャーの NPU 使用率表示で何が分かるのか、GPU との違い、対応 PC の条件、表示されないときの見方まで、実際に判断しやすい形で整理します。 (Windows Blog)
タスクマネージャーの NPU 使用率表示で何が変わったのか
今回の変更が案内されたのは、2026年3月30日公開の Windows 11 Insider Preview Build 26220.8138(Beta)と 26300.8142(Dev)です。どちらも Windows 11 version 25H2 ベースで、機能は段階的に配信される方式が採られています。そのため、同じチャネルや近いビルドにいても、すぐには全員に見えるとは限りません。 (Windows Blog)
Microsoft が今回追加した表示を整理すると、次のようになります。 (Windows Blog)
| 追加された表示 | どこで見えるか | 何が分かるか |
|---|---|---|
| NPU | Processes / Users / Details | どのプロセスやセッションが NPU を使っているかを追いやすい |
| NPU Engine | Processes / Users / Details | どの NPU エンジンが関与しているかを見やすい |
| NPU Dedicated Memory / NPU Shared Memory | Details | ワークロードが NPU メモリをどう使っているかを把握しやすい |
| GPU 内の neural engine 表示 | Performance | AI 関連の負荷が NPU だけでなく GPU 側にも載っていないか確認しやすい |
価値が大きいのは、「NPU 全体のグラフを見る」だけでなく、「どのプロセスが使っているか」と「メモリの使い方」まで追えるようになった点です。AI 処理が走っているのか、NPU ではなく GPU 側の AI エンジンに載っているのかを、より具体的に切り分けられるようになります。 (Windows Blog)
NPU 使用率表示で何が分かるのか
ローカル AI かどうかを見分けやすい
Copilot+ PC の AI コンポーネントは、NPU を含む専用 AI ハードウェアを使ってローカルで実行するよう設計されています。一方で Windows 11 は、Microsoft Copilot や Microsoft Edge の Copilot Mode のようなクラウドベースの AI 体験もサポートしています。この違いがあるため、AI 機能を使っていても NPU 使用率が必ず上がるとは限りません。タスクマネージャーの NPU 列は、「その処理が本当に端末側で回っているか」を見極める手がかりになります。 (マイクロソフトサポート)
どのプロセスが NPU を使っているか追いやすい
今回追加された NPU / NPU Engine 列は、Processes、Users、Details の各ページで見られます。つまり、単に「PC 全体で NPU が動いている」だけではなく、「どのアプリやどのセッションが関与しているのか」を追いやすくなったということです。AI PC の挙動を確認するときは、Performance の全体グラフだけで判断するより、まずこの列を出してから見るほうが実用的です。 (Windows Blog)
NPU メモリまで見えるので、使い方の差を読みやすい
使用率だけを見ると、一瞬だけ走った処理と、継続的に NPU 資源を確保している処理の違いが見えにくいことがあります。Details に NPU Dedicated Memory / NPU Shared Memory が加わることで、少なくとも「瞬間的なスパイク」なのか、「NPU メモリを抱えたまま動くワークロード」なのかを読みやすくなります。AI 機能の体感差を見たいときに、この列は意外と効きます。 (Windows Blog)
NPU と GPU の違いは「AI かどうか」ではなく「何を得意にするか」
Microsoft は、NPU を AI 専用チップ、GPU を描画と並列処理に強いプロセッサ、CPU を汎用処理の中心と説明しています。NPU はディープラーニング系の計算を高速化し、CPU や GPU から一部の仕事を外すことで、低消費電力で AI タスクを回しやすいのが強みです。 (Microsoft Learn)
役割の違いを実用目線で単純化すると、次のようになります。 (Microsoft Learn)
| ハードウェア | 主な役割 | こんなときに注目 |
|---|---|---|
| CPU | OS やアプリ全般の汎用処理 | AI 以外も含めて PC 全体が重いとき |
| GPU | 描画、映像、並列計算、一部の AI 処理 | 画像生成、映像処理、描画負荷も絡むとき |
| NPU | オンデバイス AI を低消費電力で回す処理 | 字幕翻訳、音声処理、カメラ補正などを見たいとき |
実際の分担はアプリ次第ですが、Microsoft は画像認識の例として、NPU が物体検出などの AI 側を担当し、GPU が描画を担当する構図を挙げています。今回 Performance ページで GPU 内の neural engine も見えるようになるのは、この「AI が必ず NPU だけに載るわけではない」現実に合わせた改善だと考えると分かりやすいです。 (Microsoft Learn)
対応 PC の条件は「NPU 搭載」と「Copilot+」を分けて考える
ここを一緒にすると判断を誤ります。今回のタスクマネージャー改善は NPU 搭載 PC が前提ですが、Copilot+ PC の要件はさらに厳しく、40+ TOPS の NPU、16GB RAM、256GB ストレージ、対応する SoC が求められます。さらに Microsoft は、Windows Studio Effects の一部機能なら 10+ TOPS の NPU を持つ Windows 11 デバイスでも動くと案内しています。 (Windows Blog)
整理すると、見るべき条件は次の3段階です。 (Windows Blog)
| 目的 | 必要条件の目安 | 覚えておきたいこと |
|---|---|---|
| タスクマネージャーで NPU 列を使いたい | NPU 搭載 PC + 対象 Insider ビルド | Copilot+ PC 限定ではない |
| Windows の NPU 活用機能を使いたい | NPU 搭載 Windows 11 PC | 一部の Studio Effects は 10+ TOPS の NPU でも動く |
| Copilot+ PC 体験を広く使いたい | 40+ TOPS の NPU、16GB RAM、256GB ストレージ、対応 SoC | Recall や Click to Do などはこの条件側で見る |
現時点で Microsoft が Copilot+ PC の対応プロセッサとして挙げているのは、AMD Ryzen AI 300 / 400 シリーズ、Intel Core Ultra 200V / 300V シリーズ、Snapdragon X シリーズです。AI PC を選ぶときは、単に「AI 対応」と書かれているかではなく、NPU の有無、TOPS、そして自分が使いたい機能が Copilot+ 前提かどうかまで確認したほうが失敗しにくくなります。 (Microsoft)
自分の PC が対象かを最短で確かめる方法
- まず Task Manager の Performance タブに NPU が出るかを確認します。Microsoft は、デバイスに NPU がある場合、このタブで CPU / GPU / NPU などの種類と動作状況を確認できると案内しています。 (Microsoft Learn)
- NPU が見えるなら、「今回のタスクマネージャー列」と「Copilot+ PC 体験」は別条件だと切り分けて考えます。列の表示は NPU 搭載が前提ですが、Recall や Click to Do などは 40+ TOPS の Copilot+ PC 要件側を見たほうが確実です。 (Windows Blog)
- NPU が見えない場合は、PC の製品仕様で NPU 搭載の有無と TOPS を確認します。特に Copilot+ PC かどうかは、40+ TOPS の NPU と対応プロセッサ群が判断材料になります。 (Microsoft)
タスクマネージャーで NPU 列を表示する手順
- Insider の Beta または Dev で対象ビルド帯に更新します。今回の変更は 2026年3月30日公開の Beta 26220.8138 / Dev 26300.8142 で案内されており、段階配信なので Windows Update の「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」をオンにしておくほうが反映を確認しやすいです。 (Windows Blog)
- タスクマネージャーの Processes、Users、または Details を開き、列ヘッダーを右クリックします。 (Windows Blog)
- 「NPU」「NPU Engine」を有効にし、必要なら Details で「NPU Dedicated Memory」「NPU Shared Memory」も追加します。 (Windows Blog)
- Performance を開き、NPU 全体の動きと、必要に応じて GPU 側の neural engine も見比べます。 (Windows Blog)
- 変化を確認したいなら、NPU を使う機能を実際に動かします。分かりやすい例は Windows Studio Effects で、Microsoft はこの機能に NPU と最新の Windows 更新プログラムが必要だと案内しています。 (マイクロソフトサポート)
表示されない・0% のままのときに見るポイント
対象ビルドでも、まだ配信されていないことがある
Beta / Dev の該当ビルドに入っていても、Microsoft は CFR(Controlled Feature Rollout)で段階配信すると明記しています。表示されないからといって、すぐに設定ミスと決めつけないほうが安全です。 (Windows Blog)
AI 機能でも NPU を使わない場合がある
Windows 11 には、NPU を使うオンデバイス AI だけでなく、Microsoft Copilot や Edge の Copilot Mode のようなクラウドベースの AI 体験もあります。また、アプリによっては GPU 側の AI エンジンや CPU で処理されることもあります。つまり、「AI を使っているのに NPU が 0%」は、それだけで異常とは言い切れません。まずは NPU、GPU、CPU をセットで見るのが基本です。 (Microsoft)
NPU 搭載 PC と Copilot+ PC は別物
NPU を持つ Windows 11 デバイスと、Copilot+ PC は同義ではありません。Microsoft の整理では、Copilot+ PC は 40+ TOPS の NPU を備えた別クラスの Windows 11 AI PC であり、一方で一部の Windows Studio Effects は 10+ TOPS の NPU を備えた Windows 11 デバイスでも動きます。自分の PC が「NPU 搭載なのか」「Copilot+ なのか」を分けて見るだけで、かなり迷いにくくなります。 (マイクロソフトサポート)
Insider の機能は変わる可能性がある
Windows Insider の機能は、最終的に一般提供されないこともあります。列名や表示位置が将来変わる可能性もあるので、社内マニュアルや検証手順を作る場合は、現時点の Insider 仕様として書いておくほうが安全です。 (Windows Blog)
迷ったら、この順で確認すれば十分
タスクマネージャーの NPU 使用率表示で最初に見るべきなのは、NPU 列が出るか、どのプロセスが NPU を使っているか、そしてその処理が NPU だけでなく GPU 側の neural engine にも載っていないかの3点です。今回の 2026年3月30日 Insider 更新で、Windows 11 は AI 処理をかなり具体的に見える化できる段階に近づきました。まずは自分の PC が NPU 搭載かを Performance タブで確認し、次に列を有効化し、Windows Studio Effects などのオンデバイス AI を動かして挙動を比べてみてください。それだけで、「AI PC の AI」が宣伝文句なのか、実際にローカルで動いているのかを、かなり現実的に判断できるようになります。 (Windows Blog)

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