Visual Studio 2026の配色を少しだけ変えたいのに、テーマ拡張機能を導入するほどではない――これまで、こうした細かなカスタマイズには手間がかかりました。
2026年6月15日にVisual Studio DevBlogsで公開された「Make Visual Studio look the way you want」の要点は、Visual Studio 2026 バージョン18.7から、IDE内でFluentテーマの色を直接変更できるようになったことです。拡張機能やJSON編集を使わなくても、アクセントカラー、タブ、ヘッダー、背景などを個別に調整できます。変更はテーマごとに保存され、画面へ即時反映されます。(Microsoft for Developers)
一般ユーザーはVisual Studioのバージョンと設定画面を確認すれば利用できます。一方、企業の管理者やテーマ拡張機能の開発者は、JSONファイルの配布方法、既存テーマとの互換性、文字と背景のコントラストを確認する必要があります。
Visual Studio DevBlogs「Make Visual Studio look the way you want」の変更点
今回追加されたのは、Visual Studio 2026のテーマ全体を作り直す機能ではありません。既存テーマの上に、必要な色だけを上書きするための機能です。
主な変更点は次のとおりです。
| 変更点 | 変更後にできること | 実務上のメリット |
|---|---|---|
| Theme colors設定ページの追加 | FluentのカラートークンをIDE内で検索・変更できる | 拡張機能や手作業のJSON編集が不要 |
| リアルタイム反映 | 色を選ぶと、その場で画面表示が変わる | 再起動を繰り返さず調整できる |
| テーマ別の保存 | Dark、Lightなど、テーマごとに異なる設定を保持できる | テーマ切り替え時に配色を調整し直す必要がない |
| 色単位のリセット | 変更したトークンを1つだけ既定値へ戻せる | 他のカスタマイズを残したまま修正できる |
| 新しいシェル用トークン | ウィンドウ、タブ、ヘッダーなどを分けて設定できる | 従来のVisual Studioに近い配色も作りやすい |
| JSONによる共有 | カスタマイズ内容をファイルで別の環境へ配布できる | チーム内で共通の配色を利用できる |
公式リリースノートでも、アクセントカラー、ホバー状態、シェル外観などを変更できることや、テーマごとの保存、個別リセット、タブとヘッダーの色分けが案内されています。(Microsoft Learn)
対象バージョンと利用条件
この機能の対象は、Visual Studio 2026 バージョン18.7以降です。Visual Studio 2022の同じ場所を探しても、Theme colors設定ページは表示されません。
機能自体は2026年6月9日公開の18.7.0で追加されました。その後、6月16日に18.7.1が公開されています。Stable Channelの更新は累積型であるため、18.7.1など同系列の新しいサービス更新にも機能が含まれます。(Microsoft Learn)
バージョンは、Visual Studioの次の画面で確認できます。
ヘルプ > Microsoft Visual Studio のバージョン情報
英語UIでは、次の経路です。
Help > About Microsoft Visual Studio
Visual Studio 2026では、画面上にエディション、更新チャネル、バージョンが表示されます。(Microsoft Learn)
誰に影響するのか
Visual Studio 2026を利用する一般ユーザー
DarkテーマやLightテーマをベースに、次のような部分だけを変更したいユーザーに適しています。
- アクセントカラーが明るすぎるため落ち着いた色にしたい
- アクティブなタブを見分けやすくしたい
- ツールウィンドウのヘッダーと本文を色分けしたい
- ステータスバーを目立たせたい
- 過去のVisual Studioに近い青系の配色へ戻したい
テーマ拡張機能をインストールせず、既存テーマを崩さずに一部分だけ調整できるのが大きな利点です。
Visual Studio 2022を利用しているユーザー
Visual Studio 2022には、今回のTheme colors設定ページは追加されていません。この機能を使うには、Visual Studio 2026への移行と18.7以降への更新が必要です。
ただし、この機能はIDEの外観を変更するものであり、利用するためにプロジェクトファイルやソースコードを書き換える必要はありません。Visual Studio 2026ではIDEとコンパイラー、SDKなどが分離されており、IDEを更新しながら既存のビルドツールを継続利用できる設計になっています。(Microsoft Learn)
企業のIT管理者
組織でVisual Studioの更新を管理している場合は、端末が18.7以降を受け取れる更新チャネルになっているかを確認します。
管理者が更新元やバージョンを制御している環境では、ユーザーがVisual Studio Installerを開いても、18.7へ更新できない場合があります。ネットワークレイアウトや管理者更新を利用している組織では、配布承認と動作検証を行ってから展開するのが安全です。(Microsoft Learn)
テーマや拡張機能の開発者
既存テーマをVisual Studio 2026へ対応させる開発者は、新しいFluentベースのセマンティックトークンを確認する必要があります。
Visual Studio 2026では、従来の細分化されたカラートークンが整理され、標準シェルテーマのトークン数は約1,806個から229個へ削減されました。既存テーマを対応させる場合は、FallbackIdの設定と、新しいShell系トークンの追加が案内されています。(Microsoft Learn)
一般ユーザーが標準テーマを調整するだけなら、この移行作業は不要です。影響を受けるのは、主に独自テーマを作成・配布している開発者です。
設定・更新・移行・料金・期限の確認ポイント
| 確認項目 | 結論 | 対応 |
|---|---|---|
| 設定 | Theme colorsページから変更する | ツール > オプション > 環境 > Visual Experience > Theme colorsを開く |
| 更新 | Visual Studio 2026 18.7以降が必要 | 実運用では利用中チャネルの最新18.7.x以降へ更新する |
| 移行 | 標準テーマ利用者のプロジェクト移行は不要 | 独自テーマやテーマ拡張機能だけ互換性を確認する |
| 料金 | 機能はIDEに内蔵され、追加のテーマ拡張機能は不要 | Visual Studio自体の既存ライセンス条件を確認する |
| 期限 | 機能固有の申込期限や移行期限は発表されていない | 組織の更新方針とVisual Studioのサポート期限を確認する |
2026年6月15日の公式記事では、新しい有料プラン、追加料金、ライセンス変更は案内されていません。「拡張機能なしで利用できるIDE標準機能」として説明されています。(Microsoft for Developers)
また、この機能に固有の移行期限や強制適用期限も示されていません。ただし、Visual Studio CommunityおよびTeam Explorerには、一般的なサポート条件として最新リリースへ180日以内に更新する要件があります。これはTheme colors機能の利用期限ではありません。ProfessionalやEnterpriseでは、更新チャネルやLTSCの運用方針も併せて確認してください。(Microsoft Learn)
Theme colorsの設定手順
Visual Studioのバージョンを確認する
Visual Studioを起動し、次の画面を開きます。
ヘルプ > Microsoft Visual Studio のバージョン情報
バージョンが18.7未満の場合は、先に更新します。
Visual Studioを更新する
更新できる環境では、Visual Studio Installerから次の手順で更新できます。
- Windowsのスタートメニューで「Visual Studio Installer」を検索します。
- 更新するVisual Studio 2026のインスタンスを探します。
- 「更新」を選択します。
- 更新後、必要に応じてWindowsまたはVisual Studioを再起動します。
IDE右下の通知アイコンや、「ヘルプ」メニューの更新確認画面から更新を開始する方法もあります。企業管理端末では、更新ボタンが表示されない、または管理者承認が必要になる場合があります。(Microsoft Learn)
Theme colorsページを開く
英語UIでの公式な設定経路は次のとおりです。
Tools > Options > Environment > Visual Experience > Theme colors
リリースノートでは、「Edit theme colors」コマンドから開く方法も案内されています。表示言語によって項目名が異なる場合は、オプション画面の検索欄で「Theme colors」または「theme」を検索してください。(Microsoft for Developers)
変更したいトークンを検索する
Theme colorsページには、現在選択しているテーマで利用できるFluentカラートークンが一覧表示されます。
最初から多くの色を変えるのではなく、目的に近いトークンを1つずつ変更するのが安全です。変更内容はその場で画面へ反映されます。
通常時以外の表示も確認する
色を変更したら、静止した画面だけで判断しないことが重要です。最低限、次の状態を確認します。
- アクティブなタブと非アクティブなタブ
- マウスを重ねた状態
- ボタンを押した状態
- 選択中のテキスト
- ビルド中とデバッグ中のステータスバー
- フォーカスがあるウィンドウとないウィンドウ
- エラー、警告、成功を示す表示
問題がある場合は、色単位のリセットを使えば、他の変更を残したまま該当トークンだけを元に戻せます。(Microsoft Learn)
目的別に変更するカラートークンの例
Visual Studio 2026のテーマでは、画面要素が具体的な色番号ではなく、「アクセント」「本文」「ヘッダー」といった意味を持つセマンティックトークンを参照します。(Microsoft Learn)
| 変更したい部分 | トークン例 | 確認すべき点 |
|---|---|---|
| ボタンや選択状態のアクセント | AccentFillDefault | 文字やアイコンとのコントラスト |
| ホバー時のアクセント | AccentFillSecondary | 通常時との差が分かるか |
| 押下時のアクセント | AccentFillTertiary | ホバー時と区別できるか |
| IDE全体の背景 | EnvironmentBackground | ツールウィンドウとの境界 |
| メイン領域の背景 | EnvironmentBody | 本文やアイコンの視認性 |
| ヘッダー | EnvironmentHeader | アクティブ状態が分かるか |
| 非アクティブなヘッダー | EnvironmentHeaderInactive | 文字が背景へ埋もれないか |
| タブ | EnvironmentTab | 選択中のタブが判別できるか |
| 非アクティブなタブ | EnvironmentTabInactive | ファイル名を読み取れるか |
| 通常時のステータスバー | StatusBarBackgroundFillRest | ステータス文字との組み合わせ |
| デバッグ中のステータスバー | StatusBarBackgroundFillDebugging | 通常時との違いが明確か |
| ビルド中のステータスバー | StatusBarBackgroundFillBuilding | デバッグ状態と混同しないか |
各トークンの用途とLight、Dark、High Contrastテーマでの既定値は、MicrosoftのTheme Color Tokens資料で確認できます。(Microsoft Learn)
カスタマイズをJSONで共有する方法
Theme colorsの設定内容は、内部的にはJSONとして保存されます。公式記事では、次のフォルダーへJSONファイルを配置する方法が案内されています。
%LOCALAPPDATA%\Microsoft\VisualStudio\18.0_xxxxxxxx\ColorThemes
18.0_xxxxxxxxの後半はVisual Studioのインスタンスによって異なります。複数のVisual Studioインスタンスをインストールしている場合は、対象インスタンスのフォルダーを確認してください。
JSONファイル名は、上書きするテーマ名に対応させる必要があります。公式記事では、次の例が示されています。
cool-breeze.json → Cool Breeze
dark.json → Dark
JSONファイルを配置した場合は、Visual Studioを再起動すると上書き設定が反映されます。IDEの設定画面から直接色を変更した場合は即時反映されるため、両者を混同しないようにしてください。(Microsoft for Developers)
JSONの色指定で間違えやすい点
テーマトークンの色は、通常のRRGGBBではなく、アルファ値を先頭にしたAARRGGBB形式です。
AARRGGBB
││││
││└┴─ Blue
│└──── Green
└───── Alpha、Red
たとえば、完全に不透明な白は次のように表します。
FFFFFFFF
先頭のFFが不透明度です。一般的なWebカラーで使われる6桁のカラーコードと同じ感覚で編集すると、透明度を意図せず変更する可能性があります。公式トークン資料でも、色形式は#AARRGGBBと定義されています。(Microsoft Learn)
チームや組織で配布するときの注意点
ユーザー設定を無断で上書きしない
JSONを一括配布すると、ユーザーが個別に調整していたテーマへ影響する可能性があります。
配布前に、次の運用を決めておくと安全です。
- 配布対象のベーステーマを決める
- 既存のJSONファイルをバックアップする
- テストユーザーで文字やアイコンの視認性を確認する
- 配布するファイル名と対象テーマを明記する
- 問題発生時にファイルを退避して再起動する手順を検証する
配布先はユーザーごとのローカル領域
公式記事で案内されている保存場所は%LOCALAPPDATA%配下です。そのため、端末全体に1つ配置すれば全ユーザーへ適用されるとは限りません。
複数ユーザーや複数端末へ配布する場合は、対象ユーザーとVisual Studioインスタンスごとにパスを解決できる配布方法が必要です。別PCへのクラウド同期については公式記事で案内されていないため、JSONの明示的な配布を前提に設計するのが確実です。(Microsoft for Developers)
LightとDarkを同じJSONで扱わない
カスタマイズはテーマごとに保存されます。Dark向けに調整した色をLightへそのまま適用すると、文字が読みにくくなる可能性があります。
組織で配布する場合は、少なくとも次の単位でファイルを分けます。
- Dark用
- Light用
- 組織で利用している追加テーマ用
High Contrastを利用するユーザーがいる場合は、システムカラーとの連動を壊さないかも確認してください。High Contrast用の値は通常のカラーコードではなく、Windowsのシステムカラーを参照する仕組みです。(Microsoft Learn)
失敗しやすいポイントと対処方法
| 症状 | 主な原因 | 対処方法 |
|---|---|---|
| Theme colorsが見つからない | Visual Studio 2022、または18.7未満を使用している | バージョンを確認し、Visual Studio 2026 18.7以降へ更新する |
| JSONを置いても反映されない | フォルダー、インスタンス、ファイル名が違う | 対象インスタンスのパスとテーマ名を確認して再起動する |
| 文字が読みにくくなった | 背景だけを変更し、文字色とのコントラストが不足した | 該当トークンを個別にリセットする |
| 予想外の場所まで色が変わった | 同じセマンティックトークンを複数の画面要素が共有している | 変更前後の画面を広く確認し、より限定的なトークンを探す |
| チーム内で見た目が一致しない | ベーステーマやVisual Studioのバージョンが異なる | テーマ名、バージョン、JSONファイルを統一する |
| 色コードが想定どおりにならない | AARRGGBBをRRGGBBAAと誤認している | 先頭2桁がアルファ値であることを確認する |
| 更新ボタンが表示されない | 管理者が更新チャネルや配布を制御している | 社内のIT管理者へ18.7以降の承認状況を確認する |
特に注意したいのは、Visual Studio 2026のトークンが複数のUIで共有される点です。トークン数を減らして一貫性を高める設計になった反面、1つの変更が複数箇所へ反映されることがあります。タブだけを見て判断せず、メニュー、ダイアログ、ツールウィンドウ、通知なども確認してください。(Microsoft Learn)
よくある疑問
Visual Studio 2022でも利用できますか
利用できません。公式発表の対象はVisual Studio 2026 バージョン18.7です。Visual Studio 2022には同じTheme colors設定ページはありません。(Microsoft for Developers)
テーマ拡張機能のインストールは必要ですか
必要ありません。FluentカラートークンはVisual Studioのオプション画面から直接変更できます。
ただし、配色全体を大幅に作り替える場合や、独自テーマを製品として配布する場合は、引き続きテーマ拡張機能が適しています。(Microsoft for Developers)
色を変更するたびに再起動が必要ですか
設定画面での変更はリアルタイムで反映されるため、通常は再起動不要です。
外部からJSONファイルを配置してテーマを上書きする場合は、Visual Studioを再起動します。(Microsoft for Developers)
プロジェクトやソースコードに影響しますか
Theme colorsはIDEの外観を変更する機能です。この機能を利用するために、ソリューション、プロジェクトファイル、ソースコードを変更する必要はありません。
ただし、Visual Studio本体を更新する際は、通常の更新と同様に、利用中の拡張機能や開発ワークロードの互換性を事前確認すると安全です。
追加料金はかかりますか
公式記事では追加料金や有料オプションとして案内されておらず、Visual Studio 2026 18.7の標準機能として提供されています。別途テーマ拡張機能を購入する必要はありません。
Visual Studio Community、Professional、Enterpriseなど、Visual Studio本体の利用条件や契約は従来のライセンスに従います。(Microsoft for Developers)
いつまでに設定や移行を行う必要がありますか
Theme colors機能に固有の設定期限、移行期限、申込期限は発表されていません。
すぐに配色を変える必要がなければ、組織の更新計画に合わせて18.7以降を導入できます。独自テーマを配布している場合は、Visual Studio 2026の利用者が増える前に新しいセマンティックトークンへの対応を確認しておくとよいでしょう。
まずは1色だけ変更して動作を確認する
「Make Visual Studio look the way you want」で追加された機能により、Visual Studio 2026ではテーマを丸ごと入れ替えなくても、必要な色だけをIDE内で調整できるようになりました。
最初に行うべきことは、次の5点です。
ヘルプ > バージョン情報で18.7以降か確認する- 古い場合は利用中チャネルの最新リリースへ更新する
- Theme colorsページを開く
EnvironmentTabやAccentFillDefaultなど、1つのトークンだけを変更する- 通常時、ホバー時、非アクティブ時、デバッグ時の見え方を確認する
個人利用では、読みにくい部分を小さく直すところから始めるのが効果的です。組織で共通化する場合は、JSONを配布する前に、バージョン、ベーステーマ、コントラスト、ロールバック方法をそろえてください。

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