Windowsの「Announcing new builds for July 6 2026」は、一般ユーザー向けの正式版アップデートではなく、Windows Insider ProgramのBeta/Experimentalチャネルに配信されたプレビュー更新です。安定版のWindows 11を利用している場合、現時点で設定変更や手動導入を行う必要はありません。
今回の注目点は、Windowsが起動しない場合でもOSとドライバーを再取得できる「Cloud rebuild」、企業管理端末における設定バックアップの既定有効化、タスクバーの配置変更や小型化です。ただし、機能ごとに対象チャネルやWindowsのコアバージョンが異なります。利用中のビルドを確認せずに導入すると、目的の機能が表示されなかったり、業務端末で不安定な動作が発生したりする可能性があります。(Windows Blog)
Windowsの「Announcing new builds for July 6 2026」で配信されたビルド
2026年7月6日付の発表では、BetaとExperimentalを中心に4つのWindows 11 Insider Previewビルドが案内されました。ExperimentalのFuture Platformsには、新しいビルドは配信されていません。(Windows Blog)
| 対象チャネル | 確認すべきビルド | Windowsの系統 | 主な変更 | 対応の目安 |
|---|---|---|---|---|
| Beta | 26220.8764 | Windows 11 25H2ベース | 更新時の再起動削減、Voice Accessの言語追加、フォント改善 | Beta参加者がテスト |
| Experimental | 26300.8772 | Windows 11 26H2プレビュー | Cloud rebuild、企業向けバックアップ既定化、アカウントUI刷新 | 非本番端末で評価 |
| Beta(26H1) | 28020.2380 | Windows 11 26H1 | 教育機関向けPro Educationアップグレード、各種修正 | 対象組織・対象端末のみ |
| Experimental(26H1) | 28120.2387 | Windows 11 26H1 | タスクバーの上下左右配置、小型化 | 検証用端末のみ |
| Experimental(Future Platforms) | 新規配信なし | 将来プラットフォーム | 今回の更新なし | 対応不要 |
公式発表とリリースノートでビルド番号が異なる点に注意
公式ブログの本文には、Experimentalが「Build 26300.8782」、Beta(26H1)が「Build 2820.2380」と記載されています。一方、リンク先のMicrosoft LearnとFlight Hubでは、それぞれ「Build 26300.8772」「Build 28020.2380」となっています。
本記事では、個別のリリースノートとFlight Hubで一致している番号を採用しています。実際の端末では、winverを実行してインストール済みビルドを確認してください。更新管理表などへ転記する場合も、告知ブログの数字だけを使わず、Flight Hubと端末の表示を照合するのが安全です。(Windows Blog)
最大の変更はWindowsを完全再インストールする「Cloud rebuild」
Cloud rebuildは、Windows 11をクリーンで既知の正常な状態へ戻すための新しい回復機能です。Windows Updateから対象のWindowsイメージだけでなく、デバイスに必要なドライバーもダウンロードします。
USBインストールメディアや組織独自の回復イメージを用意する必要がなく、現在インストールされているWindowsの正常性にも依存しません。Windowsが起動できない状態でも、正常なWindows回復環境であるWinREを起動できれば利用できます。(マイクロソフトラーニング)
ただし、Cloud rebuildは現時点でプレビューです。Microsoftは、本番端末ではなく評価用の非本番端末で使用するよう案内しています。機能、画面、コマンドラインの仕様は正式提供までに変更される可能性があります。(マイクロソフトラーニング)
Cloud rebuildを使う前に確認する項目
| 確認項目 | 具体的な確認方法 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|
| 対象ビルド | winverでExperimentalの対象ビルドを確認 | 別チャネルでは利用しない |
| WinREの状態 | 管理者権限のコマンドプロンプトでreagentc /infoを実行 | Windows REが無効なら先に修復する |
| データのバックアップ | ローカルファイル、アプリ設定、ライセンス情報を退避 | バックアップ完了まで実行しない |
| ネットワーク | WinREから有線LANまたは対応Wi-Fiへ接続できるか確認 | 可能なら有線LANを準備する |
| ドライバー | ネットワークやストレージのドライバーがWindows Updateに公開されているか確認 | PCメーカーの回復メディアも用意する |
| 電源 | ノートPCをACアダプターへ接続 | バッテリーだけで実行しない |
| 復旧手段 | USB回復ドライブやインストールメディアを準備 | Cloud rebuild失敗時の代替手段を確保する |
Cloud rebuildには、正常なWinRE、Windows 11のハードウェア要件、WinREで動作するネットワークドライバーが必要です。Wi-Fiについては、現時点の資料ではWPA2-Personalを利用する構成が前提です。企業向けの証明書認証を使うWi-Fiだけで運用している環境では、回復時に接続できない可能性があるため、有線LANも準備しておくと安全です。(マイクロソフトラーニング)
Cloud rebuildをWinREから実行する流れ
- ローカルデータを外部ストレージやOneDriveへバックアップします。
reagentc /infoでWinREが有効になっていることを確認します。- 「設定」から「システム」→「回復」→「PCの起動をカスタマイズする」の順に進み、再起動します。
- WinREで「トラブルシューティング」→「Cloud rebuild」を選択します。
- 有線LANまたは対応Wi-Fiへ接続します。
- 再構築後のWindowsビルド、エディション、表示言語を確認します。
- データ消失の警告を確認して処理を開始します。
- 完了するまで電源を切らず、再起動後の初期設定画面まで待ちます。
Cloud rebuildを実行すると、システムディスクが再フォーマットされ、ローカルに保存されたファイル、アカウント、アプリ、設定は削除されます。OneDriveなどクラウド側に保存されているデータは削除されませんが、同期前のファイルが残っていないかを事前に確認してください。(マイクロソフトラーニング)
「このPCをリセット」とCloud rebuildの違い
Cloud rebuildは、「このPCをリセット」の単なる名称変更ではありません。
| 比較項目 | Cloud rebuild | このPCをリセット |
|---|---|---|
| 個人ファイル | システムディスク上のローカルデータを削除 | 「個人用ファイルを保持する」を選択可能 |
| 再インストール元 | WindowsイメージとデバイスドライバーをWindows Updateから取得 | クラウドダウンロードまたはローカル再インストール |
| 現在のOSへの依存 | インストール済みOSの正常性に依存しない | WinREからも実行できるが、選択肢や用途が異なる |
| 主な用途 | 深刻な起動障害、完全な再展開、既知の正常な状態への復旧 | 不具合解消、初期化、個人ファイルを残した再設定 |
| 提供状況 | Experimentalのプレビュー | 一般提供済み |
「このPCをリセット」もWinREから実行でき、クラウドダウンロードにも対応しています。Cloud rebuildの主な違いは、デバイスドライバーまでWindows Updateから取得し、システムディスクを完全に再構築する点です。個人ファイルを残したい場合や、軽度の不具合を修復したい場合は、従来のリセットやほかの回復オプションを先に検討します。(マイクロソフトサポート)
企業管理端末では設定バックアップの既定有効化を確認する
Windows 11 26H2では、対象となるMicrosoft Entra参加済み端末またはMicrosoft Entraハイブリッド参加済み端末において、Windows設定のバックアップポリシーが既定で有効になります。
バックアップ対象にはユーザー設定とMicrosoft Storeアプリの一覧が含まれます。端末を再イメージ化またはリセットした後、ユーザーが以前に近い環境へ戻りやすくなるため、復旧時間の短縮が期待できます。(マイクロソフトラーニング)
ただし、バックアップが既定有効になることと、すべての設定が無条件に自動復元されることは同じではありません。既存の管理ポリシーは引き続き適用され、管理者が明示した設定が既定値より優先されます。復元はオプトインのままで、管理者による制御も維持されます。(マイクロソフトラーニング)
企業や自治体、学校のIT管理者は、正式提供前に次の点を確認しておく必要があります。
- Microsoft Entra参加・ハイブリッド参加端末の台数と対象範囲
- 現在設定しているバックアップ関連ポリシー
- バックアップを無効にしている端末と、その理由
- Windows AutopilotやMicrosoft Intuneによる再展開手順
- Microsoft Storeアプリ一覧を復元した場合の業務影響
- ヘルプデスク向けの復旧手順と利用者への案内内容
Cloud rebuild後、Windows Autopilotへ登録されたMicrosoft Entra参加・Intune管理端末は、条件が整っていればIntuneへ再接続し、アプリやポリシーを再適用できます。Backup for OrganizationsやOneDriveも組み合わせられます。
一方、今回のプレビューでは、Microsoft Intuneなどの管理サービスからCloud rebuildを遠隔開始する機能はまだ提供されていません。現時点では、端末を物理操作できる利用者か、Windows上のローカル管理者による開始が前提です。(マイクロソフトラーニング)
Beta Build 26220.8764では月例更新の再起動削減を開始
Beta Build 26220.8764では、ドライバー、.NET、ファームウェアの更新タイミングを月例品質更新プログラムに合わせる取り組みが始まりました。目的は、複数回に分かれていた再起動を、月1回の再起動へ集約することです。(マイクロソフトラーニング)
これは「今後すべての更新で再起動が1回になる」という保証ではありません。段階的な改善の開始であり、デバイスやファームウェアによっては別の再起動が必要になる可能性があります。
企業で評価する場合は、次の項目をテストします。
- BIOSやUEFIファームウェア更新の適用順序
- ドライバー更新後の周辺機器の動作
- BitLockerが有効な端末での再起動フロー
- 更新リングとメンテナンス時間の設定
- 更新の適用結果が管理ツールへ正しく報告されるか
- 更新失敗時にドライバーやファームウェアを戻せるか
Voice Accessにポルトガル語と韓国語を追加
Voice Accessでは、ポルトガル語のポルトガル向け・ブラジル向けと、韓国語の韓国向けが追加されました。日本語のVoice Access対応を追加する更新ではありません。
多言語環境を管理している企業は、対象言語の端末で音声操作、認識精度、業務アプリへの文字入力を確認するとよいでしょう。(マイクロソフトラーニング)
Mongolian BaitiとOutlookの問題も改善
Mongolian Baitiフォントでは、モンゴル文字の字形形成と描画が改善されました。また、前週のビルドで発生していた、Outlookの閉じるボタンを押しても反応しない問題も修正されています。(マイクロソフトラーニング)
Experimental Build 26300.8772のその他の変更
Cloud rebuild以外にも、Experimental Build 26300.8772では複数のUI・アクセシビリティ改善が行われています。
- アカウント状態や契約プランを確認できるAccount Controlのデザイン刷新
- サブスクリプション状態を示すバッジの追加
- Bluetoothのクイック設定画面をゲームパッドで操作可能にする改善
- タスクバーを縦に配置した際、検索アイコンが見えなくなる問題の修正
- 新しい「ファイル名を指定して実行」で、スクリーンリーダーによるフォーカス読み上げを改善
- Mongolian Baitiの描画改善
- Outlookの閉じるボタンに関する問題の修正
- タイトルバーのツールチップによるリソース使用量の改善
Account Controlの変更は利用者向けの表示改善が中心ですが、社内マニュアルや問い合わせ対応で画面キャプチャを使用している組織では、正式提供後に手順書の更新が必要になる可能性があります。(マイクロソフトラーニング)
検索ボックスの高さ変更は今回のビルドに含まれない
7月7日の訂正により、検索ボックスの高さを4ピクセル増やす変更は、このビルドには含まれていないことが明確化されました。この変更は将来のInsiderビルドで提供される予定です。
リリースノートを更新前に確認した場合、今回のビルドに含まれると誤認している可能性があります。UI検証の結果を記録する際は、検索ボックスの高さ変更をBuild 26300.8772の評価項目に含めないよう注意してください。(マイクロソフトラーニング)
Windows 11 26H1は一般的な機能更新ではない
Windows 11 26H1は、25H2からすべてのPCが移行する一般的な機能更新ではありません。Microsoftは、特定のシリコンをサポートするためのプラットフォーム変更として位置付けており、多くの利用者は対応する必要がないと説明しています。(マイクロソフトラーニング)
タスクバーの新機能を試す目的だけで、通常利用しているPCを26H1系チャネルへ切り替えるのは避けるべきです。現在のハードウェア、Windowsコアバージョン、Insiderチャネルを維持したまま、対象端末に配信される更新のみを評価します。
Beta(26H1)ではWindows 11 Pro Educationへの無償アップグレードをテスト
Beta(26H1)Build 28020.2380では、対象となるK-12教育環境向けに、Windows 11 HomeからWindows 11 Pro Educationへ追加費用なしでアップグレードする経路が追加されました。(マイクロソフトラーニング)
実行手順は次のとおりです。
- Windows 11 Home端末へローカルアカウントでサインインします。
- 管理者権限でコマンドプロンプトを起動します。
- 次のコマンドを実行します。
Clipupgrade.exe
- 対象となるK-12組織のアカウントでサインインし、資格を検証します。
- 端末を再起動してアップグレードを完了します。
このアップグレードは一方向です。Windows 11 Homeへ戻すには、Windowsをクリーンインストールする必要があります。学校で試験導入する場合は、端末管理への登録、アプリ配布、ライセンス認証、試験終了後の端末処理まで決めてから実行してください。(マイクロソフトラーニング)
同じビルドでは、エクスプローラーを管理者権限で起動したときにOneDriveのショートカットが動作しなくなる問題と、Outlookの閉じるボタンに関する問題も修正されています。(マイクロソフトラーニング)
Experimental(26H1)ではタスクバーを上下左右へ配置可能に
Experimental(26H1)Build 28120.2387では、タスクバーを画面の下、上、左、右へ配置できる機能が追加されました。
設定場所は「設定」→「個人用設定」→「タスクバー」→「タスクバーの動作」です。別の位置に配置しても、ツールチップ、フライアウト、アニメーションはタスクバーの位置に合わせて表示されます。小さいタスクバーや、アイコンを結合しない設定なども、多くの配置で利用できます。(マイクロソフトラーニング)
ただし、現時点では次の制限があります。
- 別位置でのタッチジェスチャーは開発中
- 検索ボックスの完全対応は開発中
- 「Ask Copilot」の別位置対応は開発中
- タスクバーの自動非表示は未対応
- タッチ操作向けタスクバーは未対応
タッチ対応端末や2-in-1 PCでは、操作不能や表示崩れにつながる可能性があります。業務端末の標準設定として展開する段階ではありません。
小型タスクバーも追加
画面領域を広く使うため、アイコンとタスクバーの高さを小さくする設定も追加されました。
「設定」→「個人用設定」→「タスクバー」→「タスクバーの動作」→「小さいタスクバーボタンを表示する」で変更できます。「常に」を選ぶと、アイコンだけでなくタスクバー自体の高さも小さくなります。(マイクロソフトラーニング)
小型ディスプレイでは有効ですが、タッチ操作や視認性に影響します。社内で利用する場合は、画面解像度、表示スケール、アクセシビリティ要件を組み合わせて評価してください。
機能が表示されない場合はBetaとExperimentalの違いを確認する
2026年のWindows Insider Programでは、主なチャネルがBetaとExperimentalへ整理されました。
Betaは、比較的安定した状態で、数週間以内の提供が計画されている機能を確認するチャネルです。新しいBetaでは、機能そのものを段階的に配信する方式が終了しています。MicrosoftがBeta向け機能として発表し、対象アップデートを導入した場合、その機能は原則として端末に存在します。ただし、機能内部の細かな表示や挙動については、複数パターンがテストされることがあります。(Windows Blog)
Experimentalでは、Controlled Feature Rolloutによって一部のInsiderから段階的に提供される機能があります。そのため、同じビルドを導入していても、すぐには機能が表示されない場合があります。(マイクロソフトラーニング)
Experimentalで機能が見つからない場合は、次の順序で確認します。
winverでビルド番号を確認する- 「設定」→「Windows Update」→「Windows Insider Program」でチャネルを確認する
- Windowsのコアバージョンが26H2か26H1かを確認する
- Windows Updateを再確認する
- Insider Program設定内の「Feature flags」を確認する
- 対象機能が段階配信中か、リリースノートを確認する
Feature flagsには、主に目に見える新機能が掲載されます。すべての不具合修正や内部改善を手動で有効化できるわけではありません。(Windows Blog)
対象ユーザー別の対応要否
| 利用者・管理者 | 対応要否 | 推奨する行動 |
|---|---|---|
| 安定版Windows 11の一般ユーザー | 不要 | 正式提供を待つ |
| Betaチャネル参加者 | 任意 | バックアップ後、更新と再起動回数を確認 |
| Experimental参加者 | 検証が必要 | 非本番端末でCloud rebuildやUI変更をテスト |
| 企業・自治体のIT管理者 | 事前調査が必要 | Entra参加端末、バックアップポリシー、WinREを確認 |
| K-12教育機関 | 対象端末のみ必要 | HomeからPro Educationへの一方向アップグレードを小規模検証 |
| タスクバー変更を試したい人 | Experimental(26H1)のみ | 制限事項を理解し、検証用端末で試す |
| Future Platforms参加者 | 不要 | 今回は新規ビルドなし |
導入・運用前の最終チェック
Insiderビルドを導入する前に、最低限次の項目を確認してください。
winverで実際のビルド番号を確認したか- Beta、Experimental、26H1の区別を確認したか
- 業務用の本番PCではなく、検証用端末を使用しているか
- ローカルファイルとアプリ設定をバックアップしたか
- WinREが有効で、回復環境からネットワークへ接続できるか
- Cloud rebuild失敗時のUSB回復メディアを準備したか
- Microsoft Entra、Intune、Autopilotの再展開手順を確認したか
- K-12向けアップグレードが一方向であることを確認したか
- 段階配信中の機能を「更新失敗」と誤認していないか
- 問題発生時にFeedback Hubへ報告できる体制があるか
今回のWindows新ビルドは、一般ユーザーがすぐ対応すべき更新ではありません。最優先で評価すべきなのは、回復方式を大きく変える可能性があるCloud rebuildと、企業管理端末の設定バックアップ既定化です。
まずwinverとWindows Insider Programの設定で、現在のチャネル、コアバージョン、ビルド番号を確認します。そのうえで、非本番端末のバックアップと復旧手段を準備し、必要な機能だけを小規模に検証するのが安全です。

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