Windows 11スマートフォン連携の通話音声ルーティング改善|Build 28000.2605の変更点

Windows 11の「スマートフォン連携」で通話すると、発信直後に音声がPCへ移る、呼び出し中の音がスマートフォンから聞こえない、PCとスマートフォンのどちらが通話端末になっているのか分かりにくい――こうした音声ルーティングの問題に対し、MicrosoftはWindows 11 version 26H1のRelease Preview Build 28000.2605で改善を案内しました。

今回の変更では、スマートフォン連携に接続したペアリング済みスマートフォンから発信した場合、呼び出し中の音声をスマートフォン側に維持し、PC側で通話を扱う段階になってからPCへ切り替えるようにしています。Windowsの「応答不可」が有効なとき、接続したスマートフォンへの着信音がPCから鳴る問題も改善対象です。(Microsoft Learn)

ただし、Build 28000.2605はRelease Previewチャネル向けのプレビュー版です。さらに、この改善は段階的ロールアウトの項目に含まれているため、同じOSビルドを使用していても、すべてのPCへ同時に反映されるとは限りません。現時点で一般提供済みの修正と断定しないことが重要です。(Microsoft Learn)

目次

スマートフォン連携の発信通話オーディオルーティングを改善

スマートフォン連携の通話機能は、PCだけで電話回線へ接続する機能ではありません。スマートフォンの電話回線を使用しながら、Bluetooth経由でPCから発信、応答、マイク入力、音声出力などを操作します。

そのため、次の3つは別々に動作します。

  • 電話回線を使用するスマートフォン
  • 発信や応答を操作するスマートフォン連携アプリ
  • 音声を入出力するスマートフォン、PC、スピーカー、マイク

Microsoftのサポート情報でも、スマートフォン連携から電話をかけるには、PCとスマートフォンのBluetooth接続が必要とされています。(マイクロソフトサポート)

Build 28000.2605で案内された変更を整理すると、次のようになります。

通話の状態改善後の音声ルーティング利用者への影響
ペアリング済みスマートフォンから発信し、相手を呼び出している間音声をスマートフォン側に維持呼び出し中に音声が意図せずPCへ移りにくくなる
PC側で通話を扱う場合必要な段階で音声をPCへ転送PCのマイクやスピーカーへ切り替わるタイミングが分かりやすくなる
Windowsで「応答不可」が有効スマートフォンへの着信音をPCで鳴らさない集中時間や会議中にPCから着信音が鳴る問題を防ぎやすくなる

特に重要なのは、発信した瞬間にPCへ音声経路を移すのではなく、実際にPC側で通話を扱うときまでスマートフォン側へ残すという点です。

発信操作、呼び出し中、相手の応答、PCへの通話引き継ぎという各段階を区別し、必要なタイミングでのみ音声経路を変更する改善と考えると分かりやすいでしょう。

すべての通話不具合を修正する更新ではない

Microsoftのリリースノートでは、「音声ルーティングを改善する」と説明されています。「スマートフォン連携に関するすべての音声問題を修正した」とは記載されていません。(Microsoft Learn)

また、リリースノートの厳密な対象は、ペアリング済みスマートフォンから発信した通話です。次のような問題がすべてBuild 28000.2605で解消されるとは限りません。

症状今回の改善との関係
呼び出し中に音声が勝手にPCへ移る今回の改善と関係する可能性が高い
スマートフォンとPCの切り替えタイミングが不自然今回の改善と関係する可能性が高い
「応答不可」なのにPCから着信音が鳴る今回の改善対象
相手に自分の声が届かないマイク、権限、Bluetooth接続などの別問題である可能性が高い
音声が途切れる、ノイズが入るBluetoothドライバーや電波干渉の可能性がある
Bluetoothヘッドセットから通話音声が出ないスマートフォン連携側の対応制限である可能性がある
通話そのものを開始できないペアリング、権限、アプリ設定を確認する必要がある

問題を切り分ける際は、「音声がどの機器へ切り替わるか」というルーティング問題と、「音が悪い」「マイクが使えない」という音質・デバイス問題を分けて考えることが重要です。

Build 28000.2605の対象と提供状況

今回の改善が案内された環境は次のとおりです。

項目内容
WindowsのバージョンWindows 11 version 26H1
OSビルド28000.2605
配信チャネルWindows Insider Release Preview
公開日2026年7月20日
配信方式段階的ロールアウト
一般提供状況一般向け安定版への提供は現時点で断定できない

Microsoftは2026年7月20日のWindows Insider Blogで、Build 28000.2605をWindows 11 version 26H1のRelease Preview向けビルドとして案内しています。(Windows Blog)

Release Previewは、一般提供前の修正や製品版に近いビルドを検証するためのチャネルです。Microsoftは、広範なリリースに先立って製品ビルドへ早期アクセスする利用者や企業向けの選択肢と位置付けています。したがって、Release Previewで確認されたからといって、その時点ですべての一般利用者へ配信済みとは限りません。(Microsoft Learn)

同じビルドでも改善が反映されない場合がある

Build 28000.2605のリリースノートは、更新内容を「段階的ロールアウト」と「通常ロールアウト」に分けています。

スマートフォン連携の音声ルーティング改善は段階的ロールアウト側に掲載されています。Microsoftは、段階的ロールアウトではデバイスごとに提供時期が異なる場合があると説明しています。(Microsoft Learn)

そのため、次の状態は矛盾ではありません。

  • OSビルドは28000.2605になっている
  • スマートフォン連携アプリも最新になっている
  • しかし、音声ルーティングの挙動がまだ変わっていない

同一ビルド内で機能を段階的に有効化している場合、利用者側で強制的に有効化できる設定が用意されているとは限りません。

自分のPCが対象か確認する方法

winverでOSビルドを確認する

  1. WindowsキーとRキーを同時に押します。
  2. 「ファイル名を指定して実行」にwinverと入力します。
  3. 「Windowsのバージョン情報」を開きます。
  4. バージョンとOSビルドを確認します。

今回の対象として案内されている表示は、次の組み合わせです。

バージョン 26H1
OS ビルド 28000.2605

通常版のWindows 11で異なるバージョンやビルドが表示される場合、今回のRelease Preview向け改善が適用済みとは判断できません。

設定画面から確認する

Windows 11では、次の順に開いても確認できます。

設定
  └ システム
      └ バージョン情報
          └ Windowsの仕様

Microsoftのサポート情報でも、「設定」から「システム」「バージョン情報」を開き、Windowsの仕様でバージョンを確認する手順が案内されています。(マイクロソフトサポート)

Insiderチャネルを確認する

Release Previewへ参加しているPCでは、次の画面を確認します。

設定
  └ Windows Update
      └ Windows Insider Program

ここでRelease Previewが選択されていなければ、Build 28000.2605の対象環境とは一致しない可能性があります。

一般利用中のPCを、今回の改善だけを目的にRelease Previewへ切り替えることはおすすめできません。プレビュー版では、別の機能やドライバーに予期しない問題が発生する可能性があるためです。

音声ルーティングの改善を確認するテスト手順

Build 28000.2605を使用している場合は、次の手順で挙動を確認できます。

テスト前の準備

  1. PCとスマートフォンのBluetoothを有効にします。
  2. スマートフォン連携を開きます。
  3. 「通話」機能が利用できることを確認します。
  4. PCとスマートフォンを再起動します。
  5. BluetoothイヤホンやBluetoothマウスなど、検証に不要な機器を一時的に切断します。

最初から複数のBluetooth機器を接続していると、Windowsの更新による改善なのか、ヘッドセットやドライバーによる問題なのかを判断しにくくなります。

発信通話を確認する

  1. スマートフォン連携へ接続したスマートフォンから、テスト用の相手へ発信します。
  2. 相手を呼び出している間、音声がどちらの機器から聞こえるか確認します。
  3. 呼び出し中はスマートフォン側に音声が残ることを確認します。
  4. PC側で通話を扱う操作をした後、音声がPCへ切り替わるか確認します。
  5. 通話終了後、音声出力が通常の状態へ戻るか確認します。

Microsoftが説明する改善後の挙動では、呼び出し中はスマートフォン側に音声が維持され、PC側で通話を扱う場合に音声がPCへ転送されます。(Microsoft Learn)

「応答不可」の動作を確認する

  1. Windowsの通知センターを開きます。
  2. 「応答不可」を有効にします。
  3. 別の電話から、接続中のスマートフォンへ電話をかけます。
  4. PCから着信音が鳴らないことを確認します。
  5. スマートフォン側の着信表示や着信音も確認します。

このテストでは、PCから着信音が鳴らないことだけでなく、スマートフォン側では通常どおり着信できることも確認してください。

改善後も問題が続く場合の対処法

スマートフォン連携とスマートフォン側アプリを更新する

Windows Updateだけでなく、関連アプリも更新します。

PCではMicrosoft Storeを開き、次の順に操作します。

Microsoft Store
  └ ライブラリ
      └ 更新プログラムを取得

「スマートフォン連携」に更新が表示された場合は適用します。

Androidでは「Windowsにリンク」、iPhoneではスマートフォン連携に使用する関連アプリを、各アプリストアから更新します。

通話機能が有効か確認する

スマートフォン連携で次の設定を確認します。

スマートフォン連携
  └ 設定
      └ 機能
          └ 通話

「このアプリにスマートフォンからの通話の発信と管理を許可する」に相当する設定が無効になっている場合は、有効にします。

Microsoftは、通話機能を後から設定する場合、この画面で通話機能を有効にするよう案内しています。Androidでは、通話、連絡先、Bluetoothなどの権限も必要です。(マイクロソフトサポート)

Bluetoothを再ペアリングする

Bluetoothの接続情報が不整合を起こしている場合は、単にBluetoothをオフ・オンするだけでは改善しないことがあります。

次の順番で再設定します。

  1. PCでスマートフォン連携を終了します。
  2. スマートフォン側のBluetooth設定からPCを削除します。
  3. PCの「設定」を開きます。
  4. 「Bluetoothとデバイス」からスマートフォンを削除します。
  5. PCとスマートフォンを再起動します。
  6. スマートフォン連携を開きます。
  7. 「通話」の設定から再度ペアリングします。

Microsoftも、通話が利用できない場合の対処として、PCとスマートフォンの両方からペアリング情報を削除し、スマートフォン連携で通話を再設定する方法を案内しています。(マイクロソフトサポート)

他社製のスマートフォン連携アプリを停止する

同じスマートフォンを、複数のPC連携アプリでBluetooth接続している場合があります。

代表的な例として、Microsoftのサポート情報では次のようなアプリが挙げられています。

  • Intel Unison
  • PCメーカーが提供する独自のスマートフォン連携アプリ
  • Virtoo by LGなどのデバイス連携アプリ

これらのアプリが同じBluetooth通話機能を使用すると、通話の開始や音声ルーティングが競合する可能性があります。不要なアプリを終了または無効化したうえで、Bluetoothを再ペアリングしてください。(マイクロソフトサポート)

Bluetoothヘッドセットを外して確認する

「PC本体のスピーカーでは聞こえるが、PCへ接続したBluetoothヘッドセットでは聞こえない」という場合、Build 28000.2605の音声ルーティング改善とは別の問題である可能性があります。

Microsoftの現行サポート情報では、AndroidまたはiPhoneの通話を、PCへ接続したBluetoothヘッドセットへ中継する利用方法には制限があると案内されています。まずは次の構成で動作を確認してください。(マイクロソフトサポート)

  • PC内蔵スピーカーと内蔵マイク
  • USB接続のヘッドセット
  • 3.5mm端子の有線ヘッドセット

これらで正常に通話でき、Bluetoothヘッドセットだけで問題が発生する場合は、Windowsの更新ではなく、ヘッドセットへの中継やBluetoothプロファイルの制限を疑う必要があります。

不要なBluetooth機器を切断する

Bluetoothマウス、キーボード、ゲームコントローラー、イヤホンなどを複数接続していると、Bluetoothの帯域やドライバーの状態によって音質が不安定になることがあります。

Microsoftも、音質に問題がある場合はBluetoothマウスなどの周辺機器を一時的に切断し、改善するか確認するよう案内しています。エコーが発生する場合は、有線ヘッドセットでの確認も有効です。(マイクロソフトサポート)

企業や組織で検証するときのポイント

企業や自治体などでスマートフォン連携を業務通話に利用している場合は、いきなり複数台へRelease Previewを展開せず、検証用PCを1台用意する方法が安全です。

検証時には、次の情報を記録しておくと原因を切り分けやすくなります。

記録項目確認する内容
Windowsバージョン、OSビルド、Insiderチャネル
PCメーカー、機種名、Bluetoothアダプター
スマートフォンメーカー、機種名、OSバージョン
アプリスマートフォン連携、Windowsにリンクのバージョン
音声機器内蔵音声、USB、有線、Bluetoothの別
発信方法スマートフォン側、PC側のどちらから発信したか
発生段階発信直後、呼び出し中、応答後、通話終了後
Windows設定「応答不可」の有効・無効

「音が出ない」とだけ記録するのではなく、どの操作をした瞬間に、どの機器からどの機器へ音声が移ったかを記録することが重要です。

現時点で取るべき対応

Windows 11 version 26H1 Release Preview Build 28000.2605では、スマートフォン連携に接続したスマートフォンからの発信通話について、呼び出し中の音声をスマートフォン側へ維持し、PC側で通話を扱うときに音声を切り替える改善が案内されています。「応答不可」が有効なPCで、スマートフォンへの着信音が鳴る問題も改善対象です。

ただし、今回の情報はプレビュー版かつ段階的ロールアウトです。一般向けWindows 11へ提供済みとは断定できません。

現在Release Previewを使用している場合は、OSビルドを確認したうえで、スマートフォンからの発信、PCへの音声切り替え、「応答不可」中の着信をそれぞれテストしてください。

通常版のWindows 11を使用している場合は、今回の改善だけを目的にInsiderへ切り替えず、スマートフォン連携の更新、Bluetoothの再ペアリング、通話権限の確認を先に行い、一般提供版への反映を待つのが安全です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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