Windows 11でサードパーティ製VPNが接続できない、OS更新後に通信が不安定になるといった問題に対し、MicrosoftはWindows 11 version 26H1のRelease Preview Build 28000.2605で、サードパーティ製VPNソフトウェアとの互換性を改善したと案内しました。(Microsoft Learn)
ただし、対象製品や具体的な不具合、エラーコードは公表されていません。また、Build 28000.2605はWindows Insider ProgramのRelease Preview向けです。2026年7月23日時点で、一般向けのWindows 11 version 26H1更新履歴に掲載されている最新ビルドは、2026年7月14日公開のBuild 28000.2525です。そのため、今回のVPN互換性改善が一般向け安定版へ展開済みとは判断できません。(マイクロソフトサポート)
現在VPNに問題がある場合も、この修正だけを目的に業務用PCをInsiderビルドへ変更するのは避けるべきです。まずOSビルド、VPNクライアントのバージョン、発生条件を確認し、VPNベンダーの対応状況を調べたうえで、検証用PCを使って影響を確認するのが安全です。
Windows 11とサードパーティ製VPNの互換性を改善
Microsoftが2026年7月20日に公開したWindows 11 Insider Release Preview Build 28000.2605のリリースノートでは、ネットワーク関連の改善として、サードパーティ製VPNソフトウェアとの互換性向上が案内されています。(Microsoft Learn)
今回公表された主な内容は次のとおりです。
| 項目 | Microsoftの案内内容 | 実務上の確認ポイント |
|---|---|---|
| 対象OS | Windows 11 version 26H1 | 24H2や25H2向けの修正とは書かれていない |
| 対象ビルド | OS Build 28000.2605 | winverで現在のビルドを確認する |
| 配信チャネル | Windows Insider Release Preview | 一般向け安定版ではない |
| VPN関連 | サードパーティ製VPNソフトウェアとの互換性を改善 | 対象製品、バージョン、症状は未公表 |
| ネットワーク設定 | OSアップグレード後もネットワークアダプター設定とバインドを保持 | VPN用仮想アダプターを利用する環境では更新前後を比較する |
| モバイル通信 | WWAN接続を改善し、IPv6 VPNをサポート | モバイル回線経由のVPNも検証対象にする |
| WSL | ミラーネットワークモードとVPNの併用を改善 | WSLから社内ネットワークへ接続する環境で確認する |
VPN関連の記述は、ネットワークスタック全体の信頼性向上、WWAN接続、SR-IOV構成、ネットワークアダプター設定の保持などと同じ項目にまとめられています。また、WSLのミラーネットワークモードとVPNの併用についても、別項目で改善が案内されています。(Microsoft Learn)
今回の改善で分かっていること
公式情報から確実に読み取れるのは、Windows 11側でサードパーティ製VPNとの互換性を改善する変更が行われたことです。
具体的には、次のようなネットワーク領域が見直されています。
- Windowsネットワークスタックの信頼性
- サードパーティ製VPNソフトウェアとの互換性
- OSアップグレード時のネットワークアダプター設定
- ネットワークアダプターのバインド情報
- WWAN環境でのIPv6 VPN
- WSLミラーネットワークモードとVPNの併用
- サーバーハードウェアにおけるSR-IOV構成
一方で、リリースノートには、対象となるVPN製品名やクライアントバージョンは記載されていません。SSL-VPN、IPsec、IKEv2、WireGuard、OpenVPNなど、どの方式が対象なのかも明らかにされていません。(Microsoft Learn)
したがって、「使用中のVPN製品の問題がBuild 28000.2605で修正された」とは、実際に接続テストを行うまで判断できません。
「VPNの問題が修正済み」と断定できない理由
Build 28000.2605はRelease Preview向け
Build 28000.2605は、Windows Insider ProgramのRelease Previewチャネル向けとして公開されています。一般利用者へ配信される通常のWindows Updateとは区別する必要があります。(Windows Blog)
「Release Preview」という名称にReleaseが含まれていても、一般向け安定版として広く配信されたことを意味するわけではありません。
Microsoftの一般向け更新履歴では、2026年7月14日のKB5101649、OS Build 28000.2525が最新の26H1更新として掲載されています。Build 28000.2605は、この一般向け更新履歴にはまだ掲載されていません。(マイクロソフトサポート)
VPN改善は段階的ロールアウトの項目
サードパーティ製VPNとの互換性改善は、Build 28000.2605のリリースノート内で「Gradual rollout」、つまり段階的ロールアウトの項目に含まれています。
Microsoftは、段階的ロールアウトの機能や改善について、端末によって提供時期が異なる可能性があると説明しています。(Microsoft Learn)
そのため、OS Buildが28000.2605になっていても、すべての端末で同時に同じ改善が有効になるとは限りません。検証時は、ビルド番号だけでなく実際の接続結果を確認する必要があります。
対象製品と症状が公開されていない
公式リリースノートには、次の情報が記載されていません。
| 公表されていない情報 | 判断できないこと |
|---|---|
| VPN製品名 | 自社で利用中のVPNクライアントが対象か |
| VPNクライアントのバージョン | 古いクライアントも改善対象か |
| VPN方式 | SSL-VPN、IPsec、WireGuardなどのどれが対象か |
| エラーコード | 特定の接続エラーが修正されたか |
| 発生条件 | Wi-Fi、WWAN、スリープ復帰、OS更新後など、どの条件で発生する問題か |
| 他のWindowsバージョン | 24H2や25H2へ同じ変更が提供されるか |
「互換性を改善」という表現は比較的広いものです。すべてのサードパーティ製VPNに関する問題を解決したという意味ではありません。
Windows 11 version 26H1の対象にも注意
Windows 11 version 26H1自体は、2026年に登場する一部の新しいプロセッサを搭載した新規デバイス向けとして提供されています。
Microsoftによると、以前のWindows 11を実行している既存PCには、Windows Updateを通じて26H1への更新は提供されず、既存環境からのインプレースアップグレードもできません。(マイクロソフトサポート)
そのため、現在Windows 11 version 24H2または25H2を利用しているPCでVPN問題が発生していても、Build 28000.2605を通常の機能更新として導入することはできません。
既存PCの管理者は、次のいずれかを待つ必要があります。
- 24H2または25H2向け更新への同様の修正追加
- VPNベンダー側のクライアント更新
- Microsoftによる一般向け更新への修正反映
- MicrosoftまたはVPNベンダーからの回避策公開
現在のWindowsバージョンとOS Buildを確認する方法
今回の改善が自分のPCに関係するかを判断するには、最初にWindowsのバージョンとOS Buildを確認します。
winverで確認する
WindowsキーとRキーを同時に押します。- 「ファイル名を指定して実行」に
winverと入力します。 - 「OK」を選択します。
- 表示された画面でバージョンとOS Buildを確認します。
Microsoftは、設定画面の「システム」から「バージョン情報」を開く方法と、winverを使用する方法を案内しています。(マイクロソフトサポート)
確認結果は次のように判断します。
| 表示内容 | 判断 |
|---|---|
| version 26H1/Build 28000.2605 | 今回のRelease Previewビルド。ただし段階的ロールアウトに注意 |
| version 26H1/Build 28000.2525以前 | 今回案内された改善が入っているとは確認できない |
| version 25H2 | Build 28000.2605の対象外 |
| version 24H2 | Build 28000.2605の対象外 |
| Windows Insider未参加 | Release Previewビルドは通常配信されない |
Insiderチャネルを確認する
Windows Insiderへ参加しているPCでは、次の場所を確認します。
設定 → Windows Update → Windows Insider Program
この画面で、現在選択されているInsiderチャネルを確認できます。Microsoftも同じ手順でInsider設定を管理するよう案内しています。(マイクロソフトサポート)
VPN互換性を安全に検証する手順
VPNの検証では、「接続できたか」だけを確認しても不十分です。接続後のDNS、ルーティング、スリープ復帰、ネットワーク切り替えまで確認する必要があります。
検証前の情報を記録する
最低限、次の情報を記録します。
- Windowsのバージョン
- OS Build
- Windows Insiderチャネル
- VPN製品名
- VPNクライアントのバージョン
- 接続方式
- 使用したネットワーク
- 発生日時
- 表示されたエラーコード
- 問題が発生する操作手順
「更新したら直った」「更新したら壊れた」という記録だけでは、Windows側の変更とVPNクライアント側の変更を切り分けられません。
VPNクライアントを先に確認する
OSを変更する前に、VPNベンダーが公開している次の情報を確認します。
- Windows 11 version 26H1への対応状況
- 対応するVPNクライアントのバージョン
- 既知の問題
- 必要なドライバー更新
- アップグレード時の注意事項
- EDRやセキュリティソフトとの競合情報
VPNベンダーが26H1を未サポートとしている場合、Windows側の改善だけで本番利用可能と判断するのは危険です。
本番PCではなく検証用PCを使う
Build 28000.2605を確認するためだけに、日常業務で使用しているPCをWindows Insiderへ参加させることは推奨できません。
Insiderビルドから安定版へ戻す際は、設定変更だけで戻せる場合と、回復イメージを使った復元が必要になる場合があります。Microsoftも、安定版へ戻す方法としてデータのバックアップと回復イメージによる復元を案内しています。(マイクロソフトサポート)
検証には、次の条件を満たす端末を使用します。
- 初期化しても業務に影響しない
- 重要なデータを保存していない
- VPNが停止しても別の管理経路を確保できる
- 現在の構成へ戻す手順がある
- VPNベンダーの診断ログを取得できる
VPN接続のテスト項目
次のテストを、更新前と更新後の両方で実施します。
| テスト項目 | 合格条件の例 | 異常時に記録する内容 |
|---|---|---|
| 初回接続 | 5回連続で正常接続 | エラーコード、接続にかかった時間 |
| 再接続 | 切断後に再起動なしで接続可能 | VPNサービスの状態 |
| PC再起動後 | サインイン後に正常接続 | 自動起動の成否 |
| スリープ復帰 | 復帰後に再接続可能 | 仮想アダプターの状態 |
| Wi-Fi切り替え | 別のアクセスポイントでも接続可能 | 切り替え前後のIPアドレス |
| 有線・無線切り替え | 接続経路を変更しても再接続可能 | ルート情報 |
| モバイル回線 | WWAN経由で接続可能 | IPv4・IPv6の利用状況 |
| 社内DNS | 社内サーバー名を名前解決できる | DNSサーバー、サフィックス |
| 社内システム | 指定した業務システムへ接続可能 | 接続先とポート |
| インターネット通信 | スプリットトンネルの設計どおりに通信 | デフォルトルート |
| 長時間接続 | 30分以上切断されない | 切断時刻、直前の操作 |
| 大容量通信 | ファイル転送が途中停止しない | 転送速度、再送の有無 |
合格回数は環境に応じて調整できますが、1回接続できただけで互換性問題が解消したと判断しないことが重要です。
Build番号だけでなく3つの条件をそろえて比較する
VPN互換性を判断するときは、次の3つをセットで記録します。
| 確認軸 | 記録例 |
|---|---|
| Windows | version 26H1/Build 28000.2605/Release Preview |
| VPNクライアント | 製品名/バージョン/ドライバーバージョン |
| 接続条件 | Wi-Fi/IPv4/スプリットトンネル/証明書認証 |
Windowsだけを更新しても、同時にVPNクライアントが自動更新されていれば、どちらの変更で改善したのか分かりません。
比較検証では、可能な限り一度に変更する項目を一つにします。
- Windows更新前、VPNクライアント更新前
- Windows更新後、VPNクライアント更新前
- Windows更新後、VPNクライアント更新後
この順番で確認すると、Windows側の改善とVPNベンダー側の改善を切り分けやすくなります。
ネットワークアダプターとルーティングを確認する
VPN接続後に「接続済み」と表示されても、社内システムへアクセスできない場合は、DNSやルーティング、ネットワークアダプターのバインドに問題が残っている可能性があります。
PowerShellでは、次のコマンドで基本情報を確認できます。
Get-ComputerInfo |
Select-Object WindowsProductName, WindowsVersion, OsBuildNumber
Get-NetAdapter |
Sort-Object Name
Get-NetAdapterBinding -Name "*" |
Where-Object Enabled
Get-NetIPConfiguration
Get-NetRoute -AddressFamily IPv4 |
Sort-Object InterfaceIndex, RouteMetric
VPN接続前と接続後の結果をそれぞれ保存し、次の点を比較します。
- VPN用の仮想ネットワークアダプターが表示されているか
- VPN接続後にIPアドレスが付与されているか
- 社内ネットワーク向けのルートが追加されているか
- 意図しないデフォルトルートが追加されていないか
- DNSサーバーがVPN側へ切り替わっているか
- ネットワークアダプターのバインド状態が変わっていないか
コマンドの出力には、社内IPアドレス、DNSサーバー、接続先情報などが含まれる場合があります。外部へ送付するときは、機密情報を削除してください。
VPNが接続できない場合の切り分け方
VPNクライアントが起動しない
次の順番で確認します。
- VPNクライアントの対応OSを確認する
- VPNクライアントを最新の対応バージョンへ更新する
- VPN関連サービスが起動しているか確認する
- 再起動後も同じ現象が発生するか確認する
- VPNベンダーの診断ログを取得する
アプリが起動しない段階では、ネットワーク経路よりも、VPNクライアント本体やドライバーの互換性を優先して調査します。
VPNは接続済みだが社内システムへアクセスできない
この場合は、次の項目を確認します。
- 社内サーバーをIPアドレスで開けるか
- サーバー名だけが解決できないのか
- VPN接続後のDNSサーバー
- 社内ネットワーク向けルート
- プロキシ設定
- スプリットトンネルの対象範囲
- IPv4とIPv6のどちらを使用しているか
IPアドレスでは接続でき、サーバー名では接続できない場合は、DNS設定を重点的に確認します。
OS更新後に仮想アダプターが見つからない
MicrosoftはBuild 28000.2605で、OSアップグレード後もネットワークアダプター設定とバインドを保持する改善を案内しています。(Microsoft Learn)
ただし、利用中のVPN製品がこの改善の対象かは明記されていません。
すぐにデバイスマネージャーからアダプターを削除するのではなく、先に次の情報を保存します。
- デバイスマネージャーの表示
- VPNクライアントの診断ログ
Get-NetAdapterの結果Get-NetAdapterBindingの結果- WindowsのOS Build
- VPNクライアントのバージョン
ログ取得後、VPNベンダーが案内する修復インストールや再インストール手順を実施します。
Windows Update自体がVPN接続中に失敗する
Microsoftは、一部のWindows Updateエラーに対する対処として、VPNを無効にしてから更新を再試行する方法を案内しています。(マイクロソフトサポート)
更新に失敗する場合は、次の順番で試します。
- 作業中のデータを保存する
- VPNを切断する
- PCを再起動する
- 通常のインターネット接続を確認する
- Windows Updateを再実行する
- 更新後にVPN接続をテストする
会社管理のPCでは、管理者の許可なくVPNやセキュリティ機能を停止しないでください。
企業での展開は小規模な検証から始める
企業環境では、Build 28000.2605を全端末へ一斉展開するのではなく、検証リングを分けます。
推奨する展開順序
- IT部門の検証専用端末
- VPN停止時にも代替手段がある担当者
- 少数の業務ユーザー
- 部署単位の先行展開
- 全社展開
各段階で、少なくとも次の条件を満たしているか確認します。
- VPN接続成功率が更新前より低下していない
- 社内DNSが正常に動作する
- スリープ復帰後も再接続できる
- Wi-Fiと有線LANの切り替えで問題が発生しない
- EDRやファイアウォールと競合しない
- VPNベンダーが対象OSをサポートしている
- 問題発生時の復旧手順が用意されている
特にリモートワーク端末では、VPNが使えなくなると管理者が端末へ接続できなくなる可能性があります。VPN以外の管理経路や、利用者自身で実行できる復旧手順を事前に準備しておくことが重要です。
よくある疑問
Windows標準のVPN機能も改善されますか
今回のリリースノートで明記されているのは「サードパーティ製VPNソフトウェアとの互換性」です。Windows標準VPNの特定問題が修正されたとは書かれていません。
一方で、WWAN接続におけるIPv6 VPN対応など、VPNを含むネットワーク全体の改善も案内されています。標準VPNの問題については、別の更新情報や既知の問題を確認する必要があります。(Microsoft Learn)
Windows 11 version 24H2や25H2にも配信されますか
Build 28000.2605のリリースノートは、Windows 11 version 26H1を対象としています。24H2や25H2へ同じ修正が提供されるとは記載されていません。(Microsoft Learn)
今後、別の累積更新プログラムへ同様の変更が含まれる可能性はありますが、それぞれの更新履歴で確認する必要があります。
Build 28000.2605なのにVPN問題が直らないのはなぜですか
考えられる理由は複数あります。
- 改善が段階的ロールアウト中
- 利用中のVPN製品が対象ではない
- VPNクライアントが26H1に未対応
- VPNクライアントのバージョンが古い
- Windows以外の設定に原因がある
- DNSやルーティングに別の問題がある
- EDRやファイアウォールと競合している
- VPNゲートウェイ側に問題がある
Build番号だけで判断せず、VPNクライアントのバージョンと接続条件をそろえて比較してください。
まず行うべき対応
Windows 11 version 26H1 Release Preview Build 28000.2605では、サードパーティ製VPNソフトウェアとの互換性改善が案内されています。ただし、対象製品や具体的な症状は公開されておらず、改善は段階的ロールアウトです。一般向け安定版へ展開済みとも断定できません。(Microsoft Learn)
現在VPNに問題がある場合は、次の順番で対応します。
winverでWindowsのバージョンとOS Buildを確認する- VPNクライアントの製品名とバージョンを記録する
- VPNベンダーの26H1対応状況を確認する
- 接続前後のDNS、ルート、仮想アダプターを比較する
- 検証用PCでBuild 28000.2605の動作を確認する
- 接続、再接続、スリープ復帰、ネットワーク切り替えをテストする
- VPNベンダーの対応確認後に段階的に展開する
今回の情報は、すべてのVPN問題が解決したことを示すものではありません。実務では「OS Build」「VPNクライアントのバージョン」「接続条件」の3点を固定し、更新前後の結果を比較することが最も確実です。

コメント