Windows 11のマルチモニターでスクロール描画が乱れる問題を改善|Build 28000.2605

Windows 11のマルチモニター環境で、アプリを2台のディスプレイにまたがって表示すると、スクロール中に一部の内容が正しく更新されない、表示が一瞬崩れる、前の画面が残ったように見えるといった描画トラブルが起きることがあります。

Microsoftは、Windows 11 version 26H1のRelease Preview向けOS Build 28000.2605で、複数のモニターにまたがる特定のアプリについて、スクロール中のコンテンツ描画の信頼性を改善したと案内しました。ただし、対象アプリや具体的な症状、原因となったグラフィックス構成は公表されていません。(Microsoft Learn)

また、この改善は一般向け安定版ではなく、Windows InsiderのRelease Preview Channelで確認されたものです。段階的に配信される項目に含まれているため、同じビルドを使用していても、すべてのPCへ同時に適用されるとは限りません。一般ユーザーは、この修正だけを目的にプレビュー版へ切り替えるのではなく、まず再現条件を切り分け、一時的な回避策を取りながら正式提供を待つのが安全です。

目次

Windows 11のマルチモニター時のスクロール描画を改善

今回の改善内容を整理すると、次のとおりです。

項目内容
対象バージョンWindows 11 version 26H1
OS Build28000.2605
配信チャネルWindows Insider Release Preview Channel
公開日2026年7月20日
改善内容複数モニターにまたがる特定アプリで、スクロール中のコンテンツ描画の信頼性を改善
配信方法段階的ロールアウト
一般提供状況安定版へ提供済みとは断定できない

MicrosoftのWindows Insider Blogでも、2026年7月20日にWindows 11 version 26H1向けのRelease Preview Buildとして28000.2605が案内されています。Release Previewは一般提供前のWindowsを検証するためのチャネルであり、通常のWindows 11利用者に広く配信されている更新プログラムとは区別する必要があります。(Windows Blog)

さらに、今回のディスプレイ/グラフィックス改善は「Gradual rollout」に分類されています。これは、対象ビルドへ更新したPCであっても、機能や改善が端末ごとに時間差で有効になる可能性があることを意味します。(Microsoft Learn)

今回の改善に該当しそうな症状

Microsoftが示している対象範囲は、単なる「マルチモニターの表示不具合」ではありません。次の条件が重なる場合に、今回の改善と関係している可能性があります。

  • Windowsの表示モードを「拡張」にしている
  • 1つのアプリウィンドウを2台以上のモニターにまたがって配置している
  • マウスホイールやタッチパッドでスクロールしたときだけ表示が乱れる
  • ウィンドウを片方のモニター内に収めると症状が軽減する
  • アプリを最小化して戻すと、一時的に表示が正常になる
  • ウィンドウサイズを変更すると、崩れていた部分が再描画される

ただし、これらは問題を切り分けるための目安です。Microsoftは具体的な症状一覧や影響を受けるアプリ名を公開していないため、すべてのちらつき、ティアリング、残像、表示欠けが今回の改善対象になるわけではありません。

別の原因を疑った方がよい症状

症状優先して確認する項目
モニターが突然「信号なし」になるケーブル、ドック、変換アダプター、映像端子
片方のモニターがWindowsから消える接続経路、GPUドライバー、ドックのファームウェア
単一モニターでも画面全体が点滅するGPUドライバー、HDR、リフレッシュレート
ゲームだけ横方向に画面がずれるV-Sync、VRR、ゲーム側の表示設定
特定ブラウザだけで常に乱れるブラウザのハードウェアアクセラレーション、拡張機能
スクロールとは関係なく画面が黒くなるドライバー停止、電源管理、ケーブルやモニター本体
ドライバー更新直後から発生したドライバーの不具合、旧バージョンへのロールバック

今回の修正範囲は、あくまで「複数モニターにまたがる特定アプリのスクロール描画」です。モニターが認識されない、映像信号そのものが途切れるといった問題は、別の原因として調べる必要があります。

マルチモニター環境で問題を切り分ける方法

マルチモニターでは、モニターごとに解像度、拡大率、リフレッシュレート、HDR設定、接続方法が異なることがあります。ノートPCでは、内蔵GPUと外部GPU、USB-Cドック、HDMI変換アダプターなど、複数の描画経路が組み合わさる場合もあります。

ただし、Microsoftは今回の問題の技術的な原因を公開していません。そのため、「リフレッシュレートが違うことが原因」「特定メーカーのGPUだけで発生する」などと断定することはできません。

重要なのは、一度にすべての設定を変更せず、1項目ずつ条件を変えて症状が消えるか確認することです。

ウィンドウを片方のモニター内に収める

最初に、問題が起きるアプリを片方のモニター内へ完全に移動します。ウィンドウの端が隣のモニターへ数ピクセルでもはみ出さない状態にしてください。

その状態で同じページや文書をスクロールし、症状を比較します。

  • 片方のモニター内では正常になる
    今回のマルチモニター描画問題に近い可能性があります。
  • 片方のモニター内でも乱れる
    アプリ、GPUドライバー、ブラウザの描画機能など、別の原因を疑います。

この方法は設定変更を伴わず、業務中でも実施しやすい一時回避策です。

モニターを1台だけにして確認する

Windowsキー + Pを押し、「PC画面のみ」または「セカンドスクリーンのみ」を選択します。

モニターを1台だけ使用した状態で症状が消える場合は、マルチモニター構成との関連性が高まります。Microsoftの公式サポートでも、複数ディスプレイの表示方法はWindowsキー + Pから切り替えられると案内されています。(マイクロソフトサポート)

確認後は、同じ画面から「拡張」に戻せます。

OS Build 28000.2605か確認する方法

今回の改善対象か確認するには、WindowsのバージョンとOSビルドを調べます。

winverコマンドで確認する

  1. Windowsキー + Rを押す
  2. 「ファイル名を指定して実行」にwinverと入力する
  3. 「OK」を選択する
  4. 表示されたバージョンとOSビルドを確認する

今回の対象は、Windows 11 version 26H1のOS Build 28000.2605です。

通常の安定版Windows 11で異なるビルド番号が表示される場合、このRelease Preview向け改善がすでに適用されているとは判断できません。

設定画面から確認する

次の順に開いても確認できます。

設定→システム→バージョン情報→Windowsの仕様

「OSビルド」に表示された番号を確認してください。

なお、Build 28000.2605であっても、今回の改善は段階的ロールアウトの対象です。同じビルド番号だからといって、改善内容がすべてのPCで同時に有効になっているとは限りません。(Microsoft Learn)

現在できるスクロール描画の対処法

正式な安定版へ反映されるまで、次の順番で対処すると原因を切り分けやすくなります。

優先度対処法主な目的
高ウィンドウを1台のモニター内に収める複数画面にまたがる条件を回避する
高グラフィックスドライバーをリセットする一時的な描画停止を解消する
高アプリとPCを再起動する描画状態を初期化する
中Windows Updateを実行するOS側の既存修正を適用する
中GPUドライバーを更新するドライバー側の描画不具合を改善する
中解像度、拡大率、リフレッシュレートを確認するモニター間の設定差を切り分ける
中ドックや変換アダプターを外す接続経路の影響を確認する
低アプリのハードウェアアクセラレーションを変更するアプリ固有のGPU描画を切り分ける

グラフィックスドライバーをリセットする

次のキーを同時に押します。

Windowsキー + Ctrl + Shift + B

この操作はグラフィックスドライバーをリセットするため、画面表示が一時的に乱れた場合の復旧に利用できます。Microsoftの外部モニター向けトラブルシューティングでも案内されている方法です。(マイクロソフトサポート)

作業中のアプリが終了する操作ではありませんが、念のため重要なファイルを保存してから実行してください。

リセット後に一時的に改善しても、再発する場合は根本的な解決になっていません。ドライバーやWindows Updateの確認へ進みます。

Windows Updateとオプションのドライバーを確認する

次の順に開きます。

設定→Windows Update→詳細オプション→オプションの更新プログラム

「ドライバー更新プログラム」にディスプレイやグラフィックス関連の更新が表示されている場合は、内容を確認してインストールします。

Windows 11では推奨ドライバーがWindows Update経由で配信されますが、オプション扱いのドライバーは自動的にインストールされないことがあります。Microsoftは、オプションの更新プログラムから対象ドライバーを選択し、インストール後にPCを再起動する手順を案内しています。(マイクロソフトサポート)

ノートPCや業務用PCでは、PCメーカーが独自に調整したグラフィックスドライバーを提供していることがあります。GPUメーカーの最新版を直接導入する前に、PCメーカーのサポートページや社内の運用ルールも確認してください。

リフレッシュレートを比較する

次の順に開きます。

設定→システム→ディスプレイ→ディスプレイの詳細設定

対象モニターを選択すると、現在の解像度やリフレッシュレートを確認できます。複数モニターを使用している場合は、モニターを切り替えてそれぞれの設定を記録してください。(マイクロソフトサポート)

例えば、次のような構成では、切り分けのために一時的に共通のリフレッシュレートへ変更して確認する方法があります。

  • 内蔵ディスプレイ:120Hz
  • 外部モニター:60Hz
  • 2台目の外部モニター:75Hz

すべてのモニターが60Hzに対応しているなら、一時的に60Hzへそろえて症状を確認します。

これで改善しても、異なるリフレッシュレートが今回のWindows不具合の原因だと確定するわけではありません。あくまで構成依存の問題を調べるためのテストです。確認後に元へ戻せるよう、変更前の値を記録しておきましょう。

解像度と拡大率を確認する

設定→システム→ディスプレイから、各モニターの次の項目を確認します。

  • ディスプレイの解像度
  • 拡大縮小
  • 画面の向き
  • HDRの使用状況

基本的には、解像度を「推奨」に設定します。

拡大率が100%と150%など、モニター間で大きく異なる場合は、切り分けのために一時的に同じ拡大率へ変更しても構いません。ただし、文字やウィンドウの大きさが変わるため、業務アプリの表示状態を確認してから元へ戻してください。

ドックや変換アダプターを外して確認する

ノートPCをUSB-Cドックへ接続し、そこから複数モニターへ出力している場合は、可能であればモニターをPCへ直接接続して確認します。

次の順番で比較すると原因を絞り込みやすくなります。

  1. ドック経由で接続する
  2. PCのHDMIまたはUSB-C端子へ直接接続する
  3. 別の映像ケーブルへ交換する
  4. 別の映像出力端子へ変更する
  5. モニターを1台ずつ接続する

Microsoftも、外部モニターの問題ではケーブルの接続確認、ケーブル交換、別ポートへの接続、ドックやアダプターを外した状態での確認を案内しています。(マイクロソフトサポート)

直接接続では正常になる場合、Windows本体だけでなく、ドック、USBグラフィックス機能、変換アダプター、ケーブルなどが影響している可能性があります。

アプリのハードウェアアクセラレーションを変更する

ブラウザ、チャットアプリ、動画編集ソフトなど、一部のアプリにはGPUを使って描画するハードウェアアクセラレーション設定があります。

特定アプリだけで症状が発生する場合は、設定を一時的に無効化し、アプリを完全に再起動して比較します。

設定名はアプリによって異なります。

  • ハードウェアアクセラレーション
  • グラフィックスアクセラレーション
  • GPUレンダリング
  • 使用可能な場合はグラフィックスプロセッサを使用する

無効化するとスクロールが重くなったり、動画再生性能が低下したりする場合があります。症状が変わらなければ、設定を元に戻してください。

ドライバー更新後に発生した場合はロールバックする

GPUドライバーを更新した直後から症状が始まった場合は、以前のドライバーへ戻すことで改善する可能性があります。

  1. スタートボタンを右クリックする
  2. 「デバイスマネージャー」を開く
  3. 「ディスプレイアダプター」を展開する
  4. 使用中のGPUを右クリックする
  5. 「プロパティ」を開く
  6. 「ドライバー」タブを選択する
  7. 「ドライバーを元に戻す」を選択する

Microsoftも、更新後に外部ディスプレイの問題が発生した場合の対処として、ディスプレイドライバーのロールバックを案内しています。(マイクロソフトサポート)

「ドライバーを元に戻す」が選択できない場合は、以前のドライバーがPC内に保存されていません。その場合は、PCメーカーが提供する対応ドライバーの利用を検討します。

Release Preview版を急いで導入すべきか

今回の改善だけを目的に、日常利用しているPCをWindows Insiderへ切り替えることはおすすめできません。

Release Previewは、一般提供前のWindowsバージョンや品質更新を検証するためのチャネルです。BetaやExperimentalより提供段階が進んでいる場合でも、安定版と同じ扱いではありません。Microsoftも、組織でRelease Previewを利用する場合は、ハードウェアやソフトウェア構成を代表する約1%の端末を検証対象にすることを推奨しています。(Microsoft Learn)

特に次のPCでは、プレビュー版への切り替えを避けた方が安全です。

  • 業務で毎日使用するPC
  • 会計、設計、医療など停止できないアプリを使用するPC
  • 独自ドライバーや周辺機器が多いPC
  • 元のWindows環境へ簡単に戻せないPC
  • 社内の更新管理対象になっているPC
  • 子どもの学習やオンライン試験に使用するPC

検証する場合は、予備PCまたは業務影響の少ない端末を使い、事前にバックアップを取得してください。

企業や管理者が修正効果を検証するポイント

企業でマルチモニターの描画問題が発生している場合は、「直った」「直らない」だけではなく、再現条件を記録することが重要です。

記録項目記録例
WindowsバージョンWindows 11 version 26H1
OSビルド28000.2605
更新チャネルRelease Preview
アプリ名とバージョン業務アプリ、ブラウザ、Officeアプリなど
GPUIntel、AMD、NVIDIAなど
GPUドライバーバージョンデバイスマネージャーで確認
モニター構成内蔵1台+外部2台
解像度1920×1080、2560×1440など
拡大率100%、125%、150%
リフレッシュレート60Hz、75Hz、120Hzなど
接続方法HDMI、DisplayPort、USB-C、ドック
HDR有効または無効
再現条件ウィンドウを2画面にまたいでスクロール
発生頻度10回中8回など
単一画面での結果発生しない、発生する
Build更新後の結果改善、変化なし、悪化

検証時は、OS更新とGPUドライバー更新を同時に行わない方が原因を判断しやすくなります。

例えば、次の順番で比較します。

  1. 現在のOSと現在のドライバーで再現確認
  2. OSだけを更新して再現確認
  3. GPUドライバーを更新して再現確認
  4. ドックを外して再現確認
  5. モニター設定を変更して再現確認

同じ操作を数回繰り返し、偶然一度だけ正常だった状態を「修正済み」と判断しないことも重要です。

よくある疑問

一般向けのWindows 11でもすでに修正されていますか

現時点で確認できる公式情報は、Windows 11 version 26H1 Release PreviewのOS Build 28000.2605に関するものです。一般向け安定版へ同じ改善が提供済みとは断定できません。(Microsoft Learn)

正式提供の有無を判断する際は、通常版Windows 11の更新履歴や、自分のPCに表示されるOSビルドを確認してください。

Build 28000.2605にすれば必ず直りますか

必ず直るとは限りません。

今回の改善は「特定のアプリ」が対象であり、すべてのスクロール描画問題を修正するものではありません。また、段階的ロールアウトの項目なので、同じOSビルドでも端末によって提供状況が異なる可能性があります。

対象アプリは公表されていますか

Microsoftのリリースノートでは、具体的なアプリ名は示されていません。

ブラウザ、Officeアプリ、チャットアプリ、業務システムなど、特定の製品が対象だと断定することはできません。ウィンドウを複数画面にまたがせた場合と、片方の画面内に収めた場合を比較して判断してください。

リフレッシュレートを同じにすれば直りますか

改善する可能性はありますが、今回の不具合の正式な解決方法として案内されているわけではありません。

リフレッシュレートをそろえる方法は、異なる表示条件が影響しているかを調べるための切り分けです。変化がなければ元の設定へ戻してください。

画面が一瞬黒くなる問題も同じですか

同じ問題とは限りません。

画面全体が黒くなる場合は、GPUドライバー、ケーブル、ドック、映像端子、モニターの省電力設定などを優先して確認します。今回の改善対象は、スクロール中のコンテンツ描画の信頼性です。

まとめ

Microsoftは、Windows 11 version 26H1 Release PreviewのOS Build 28000.2605で、複数モニターにまたがる特定アプリのスクロール描画を改善しました。

ただし、現時点ではWindows Insider向けのプレビュー情報です。さらに段階的ロールアウトの対象であり、一般向けWindows 11へ広く提供済みとは判断できません。

現在問題が起きている場合は、まず次の順番で確認してください。

  1. アプリウィンドウを片方のモニター内に収める
  2. モニターを1台だけにして再現するか確認する
  3. Windowsキー + Ctrl + Shift + Bでグラフィックスドライバーをリセットする
  4. Windows UpdateとオプションのGPUドライバーを確認する
  5. 解像度、拡大率、リフレッシュレートを1項目ずつ比較する
  6. ドックや変換アダプターを外して直接接続する
  7. WindowsのOSビルドと正式な更新履歴を確認する

問題がウィンドウを複数画面にまたがせた場合だけ発生するなら、当面はウィンドウを1台のモニター内に収めて使用し、安定版への修正反映を待つ方法が現実的です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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