Windows 11で、PCを長時間使った後や多数のアプリを起動したままロックした際に、サインイン画面が固まる、ロック画面から進めない、表示に時間がかかるといった症状が起きる場合、システムのメモリ不足が関係している可能性があります。
Microsoftは2026年7月20日、Windows 11 version 24H2のOS Build 26100.8968と、version 25H2のOS Build 26200.8968において、システムメモリが少ない状況でのサインイン画面とロック画面の信頼性を改善したと案内しました。(Microsoft Learn)
ただし、この改善はWindows Insider ProgramのRelease Preview向けです。さらに段階的ロールアウトに分類されているため、同じビルドでもすべてのPCに同時適用されるとは限りません。一般利用のPCでは、まずメモリ使用状況やページファイル設定を確認し、安定版への正式な反映を待つのが安全です。
低メモリ時のサインイン画面とロック画面の信頼性を改善
Microsoftのリリースノートでは、「General reliability」の項目で、Windowsのサインイン画面とロック画面について、特にシステムメモリが少ない場合の信頼性を改善したと説明されています。
対象となる更新内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年7月20日 |
| 対象バージョン | Windows 11 version 24H2/25H2 |
| 対象ビルド | 26100.8968/26200.8968 |
| 配信チャネル | Windows Insider Release Preview |
| 改善内容 | 低メモリ時のサインイン画面・ロック画面の信頼性向上 |
| 配信方式 | 段階的ロールアウト |
| 一般提供状況 | 一般向け安定版への提供済みとは断定できない |
注意したいのは、Microsoftの表現が「完全に修正した」ではなく、信頼性を改善したとなっている点です。原因となった処理、具体的なエラーコード、個別に解消された症状などは公表されていません。
また、2026年7月24日時点で一般向け更新履歴に掲載されている24H2/25H2の新しいビルドは、2026年7月18日公開のOS Build 26100.8894/26200.8894です。今回の26100.8968/26200.8968はRelease Previewのリリースノートに掲載されている段階であり、一般向けPCに広く配信された更新とは区別する必要があります。(マイクロソフトサポート)
どのような症状が改善対象になり得るのか
Microsoftは、今回の改善に関係する具体的な症状を列挙していません。そのため、サインイン画面やロック画面で発生するすべての不具合が解消されると考えるのは早計です。
低メモリ時の信頼性低下は、利用者側では次のような形で現れる可能性があります。
- ロック画面が表示されるまでに時間がかかる
- PINやパスワードの入力欄が反応しない
- ロック解除操作後も画面が切り替わらない
- サインイン画面が一時的に真っ暗になる
- ユーザー切り替え中に画面が停止する
- 再起動すると一時的に正常へ戻る
ただし、これらは低メモリ状態で起こり得る一般的な見え方です。各症状がOS Build 26100.8968/26200.8968で個別に修正されたとMicrosoftが明示しているわけではありません。(Microsoft Learn)
「メモリ不足」は物理メモリの使用率だけでは判断できない
Windowsにおけるメモリ不足は、搭載RAMの空き容量だけで決まるわけではありません。物理メモリに加えて、ページファイルを含む仮想メモリの割り当て上限も関係します。
確認時は、タスクマネージャーの「メモリ使用率」だけでなく、「コミット済み」の値も見ることが重要です。
| 確認項目 | 意味 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| メモリ使用率 | 物理RAMがどの程度使われているか | 高い状態が長時間続いているか |
| コミット済み | アプリやWindowsが確保した仮想メモリと上限 | 左側の使用量が右側の上限に近づいていないか |
| ページファイル | ストレージ上に確保される仮想メモリ領域 | 無効化や極端に小さい固定値になっていないか |
| イベントID 2004 | 仮想メモリのリソース不足を検出した記録 | 症状が起きた時刻と一致しているか |
メモリ使用率が一時的に80~90%へ上がっただけで、直ちに異常とは限りません。重要なのは、高い状態が継続しているか、コミット済みの値が上限へ近づいているか、サインインやロック解除の不安定化と同時に発生しているかです。
Microsoftの資料では、イベントID 2004が繰り返し記録される場合、仮想メモリ領域でリソース不足が起きており、イベントの説明欄にその時点でメモリを多く消費していたプロセスが表示されると説明されています。(Microsoft Learn)
今回の改善が関係する可能性を切り分ける
サインイン画面やロック画面の不具合には、Windows Hello、ユーザープロファイル、グラフィックスドライバー、外部ディスプレイ、更新プログラムなど、メモリ以外の原因もあります。
次の表を目安に切り分けてください。
| 発生状況 | 低メモリとの関連 | 判断理由 |
|---|---|---|
| ブラウザーのタブ、仮想マシン、動画編集ソフトなどを多数起動した後に発生 | 高い | メモリやコミット使用量が増えやすい |
| 数日間再起動せずに使用すると発生しやすい | 高い | アプリやサービスのメモリ使用量が累積している可能性がある |
| 再起動直後は正常に戻る | やや高い | 再起動でメモリ使用状態がいったん解消される |
| 同じ時刻にイベントID 2004が記録されている | 高い | 仮想メモリ不足が実際に検出されている |
| PINの誤りや資格情報エラーが表示される | 低い | 認証情報やWindows Helloの問題が疑われる |
| メモリに余裕があっても毎回黒い画面になる | 低い | ディスプレイドライバーなど別の原因が考えられる |
| 特定のユーザーアカウントだけで発生する | 低い | ユーザープロファイルやスタートアップアプリの可能性がある |
| 外部モニター接続時だけ発生する | 低い | 表示先やグラフィックス設定の影響が疑われる |
イベントID 2004が見つかっても、それだけで今回のWindows 11固有の問題だとは断定できません。イベントはメモリ不足の証拠にはなりますが、サインイン画面の信頼性問題まで特定するものではありません。
自分のWindows 11が対象ビルドか確認する方法
OSビルドを確認する
最も簡単なのは、winverコマンドを使う方法です。
WindowsキーとRキーを同時に押します。- 「ファイル名を指定して実行」に
winverと入力します。 - 「OK」を選択します。
- 表示されたバージョンとOSビルドを確認します。
今回のRelease Previewでは、次の組み合わせが対象です。
| Windows 11のバージョン | OSビルド |
|---|---|
| version 24H2 | 26100.8968 |
| version 25H2 | 26200.8968 |
「設定」から確認する場合は、次の順に開きます。
設定 → システム → バージョン情報 → Windowsの仕様
Microsoftも、Windowsのバージョンとエディションは「システム」の「バージョン情報」から確認できると案内しています。(マイクロソフトサポート)
Release Previewに参加しているか確認する
次の画面を開きます。
設定 → Windows Update → Windows Insider Program
Release Previewが選択されていれば、対象ビルドを受け取れる可能性があります。Windows Insider Programへ参加していないPCは、原則として一般向けの更新チャネルです。
対象ビルドでも改善が有効とは限らない
今回の項目は段階的ロールアウトに分類されています。したがって、OS Build 26100.8968または26200.8968へ更新されていても、改善内容が同じタイミングですべての端末に有効化されるとは限りません。
ビルド番号だけを見て「必ず修正済み」と判断せず、更新後に同じ条件で症状が再現するかを確認する必要があります。(Microsoft Learn)
一般ユーザーはRelease Previewへ参加するべきか
この問題だけを解消する目的で、普段使用しているPCをRelease Previewへ切り替えることはおすすめできません。
Windows Insider Previewは、一般公開前のWindowsを検証するための仕組みです。Release Previewであっても正式な一般向け更新とは異なり、別の不具合や互換性問題が発生する可能性があります。(Microsoft Learn)
業務用PCや家族共用PCでは、次の対応が安全です。
- 現在提供されている一般向け更新を適用する
- メモリ不足を起こしているアプリや設定を見直す
- 重要なデータをバックアップする
- 一般向け更新履歴に改善内容が掲載されるまで待つ
検証する場合は、予備PCや仮想マシンを使用し、メイン環境への導入は避けてください。
症状が出ているときに試す対処法
まずPCを再起動する
操作できる場合は、作業中のデータを保存して「再起動」を実行します。
再起動によって一時的に正常へ戻る場合、長時間動作しているアプリやサービスによるメモリ消費が関係している可能性があります。ただし、再起動は根本的な解決ではありません。同じ使い方で再発する場合は、メモリを消費しているプロセスを確認してください。
タスクマネージャーでメモリ使用量を確認する
サインインできた後に、次の手順で確認します。
Ctrl+Shift+Escキーを押します。- 「プロセス」を開きます。
- 「メモリ」の列を選択し、使用量が多い順に並べます。
- 不要なアプリが大量のメモリを使っていないか確認します。
- 「パフォーマンス」から「メモリ」を開きます。
- メモリ使用率と「コミット済み」の値を記録します。
Microsoftも、動作が遅いPCの切り分けでは、タスクマネージャーを開いてCPU、メモリ、ディスクの使用状況を確認するよう案内しています。(マイクロソフトサポート)
メモリを多く使っているアプリが見つかった場合は、アプリ内で作業内容を保存してから通常の方法で終了してください。名前の分からないWindowsプロセスを、タスクマネージャーから無理に終了するのは避けましょう。
ページファイルを自動管理に戻す
ページファイルを無効化していたり、極端に小さいサイズへ固定していたりすると、物理メモリに余裕が少なくなった際に仮想メモリの上限へ到達しやすくなります。
次の手順で自動管理を確認します。
- 検索ボックスで「コントロール パネル」を検索します。
- 「システムとセキュリティ」を開きます。
- 「システム」から「システムの詳細設定」を選択します。
- 「パフォーマンス」の「設定」を選択します。
- 「詳細設定」タブを開きます。
- 「仮想メモリ」の「変更」を選択します。
- 「すべてのドライブのページング ファイルのサイズを自動的に管理する」にチェックを入れます。
- 設定を確定してPCを再起動します。
Microsoftのトラブルシューティングでも、ページファイルをWindowsの自動管理に設定する手順が案内されています。(マイクロソフトサポート)
独自の計算式を使って小さな固定値を設定するより、特別な運用要件がなければ自動管理のままにする方が安全です。
システムドライブの空き容量を確保する
Cドライブの空き容量が極端に少ない場合、ページファイルの拡張やWindows Updateの処理に支障が出ることがあります。
次の画面を確認してください。
設定 → システム → ストレージ
一時ファイル、ごみ箱、不要になった更新ファイルなどを確認し、安全に削除できるものを整理します。「ストレージ センサー」を有効にすると、一時ファイルなどを自動的に整理できます。(マイクロソフトサポート)
利用中のチャネルで提供されている更新を適用する
一般向けPCでは、次の画面から正式に提供されている更新を確認します。
設定 → Windows Update → 更新プログラムのチェック
Release Previewのビルド番号を検索して手動導入するのではなく、自分のPCへ正式に提示された更新を適用してください。
Release Preview参加中のPCでは、OS Build 26100.8968または26200.8968へ更新した後、再起動して症状を確認します。ただし、段階的ロールアウトのため、更新直後に改善を確認できない場合があります。
サインインできない場合はセーフモードを使う
通常のサインインができない場合は、Windows回復環境からセーフモードを起動します。
- サインイン画面右下の電源ボタンを選択します。
Shiftキーを押しながら「再起動」を選択します。- 「トラブルシューティング」を開きます。
- 「詳細オプション」を選択します。
- 「スタートアップ設定」を選択します。
- 「再起動」を選択します。
5キーまたはF5キーを押し、「セーフモードとネットワーク」を選択します。
Microsoftも、サインイン問題の切り分け方法としてセーフモードの利用を案内しています。(マイクロソフトサポート)
セーフモードでは、直前に導入したスタートアップアプリ、セキュリティソフト、グラフィックスドライバー、更新プログラムなどを確認します。
サインイン後に黒い画面とマウスポインターだけが表示される場合
サインイン自体は完了しているものの、デスクトップが表示されない場合は、Windowsエクスプローラーの停止が原因となっていることがあります。
Ctrl+Shift+Escキーでタスクマネージャーを開きます。- 「Windows エクスプローラー」を探します。
- 右クリックして「再起動」を選択します。
一覧にない場合は、「新しいタスクを実行」からexplorer.exeを実行します。Microsoftも、黒い画面でカーソルだけが表示される場合の対処として、この方法を案内しています。(マイクロソフトサポート)
ただし、この症状はグラフィックスドライバーや外部ディスプレイでも発生するため、低メモリ問題とは分けて検証してください。
イベントビューアーでメモリ不足の記録を確認する
低メモリ状態が実際に発生したか調べるには、イベントビューアーを確認します。
- スタートボタンを右クリックします。
- 「イベント ビューアー」を開きます。
- 「Windows ログ」を展開します。
- 「システム」を選択します。
- 右側の「現在のログをフィルター」を選択します。
- イベントIDに
2004と入力します。
ソースが「Microsoft-Windows-Resource-Exhaustion-Detector」となっているイベントが症状発生時刻に記録されていれば、仮想メモリ不足が起きていた可能性が高まります。(Microsoft Learn)
イベントの説明欄には、その時点で仮想メモリを多く消費していたプロセスが表示されます。ただし、一番上に表示されたアプリが必ずメモリリークの原因とは限りません。症状発生前から使用量が増え続けていたか、終了後にメモリが戻るかも確認してください。
避けるべき対処
ページファイルを無効にしない
SSDへの書き込みを減らす目的などでページファイルを無効化すると、メモリ不足時の余裕が小さくなることがあります。特別な検証目的がなければ、自動管理を使用してください。
Windowsのシステムプロセスを無理に終了しない
メモリ使用量が多いという理由だけで、名前の分からないシステムプロセスを終了すると、サインアウトや再起動、画面表示の停止を引き起こす可能性があります。
メモリ増設だけで解決すると決めつけない
物理メモリが少ないPCでは増設が有効ですが、特定アプリのメモリリークやページファイルの無効化が原因なら、RAMを増やしても発生までの時間が延びるだけの場合があります。
黒い画面をすべて今回の問題と判断しない
サインイン画面やロック画面の黒い表示は、ディスプレイドライバー、外部モニター、Windows Hello、更新プログラムなどでも発生します。メモリ使用量やイベントログを確認せず、今回の修正対象だと断定しないことが重要です。
管理者が検証するときの記録項目
企業や組織で同様の問題を調査する場合は、「直ったかどうか」だけでなく、再現条件をそろえて比較します。
| 記録項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 発生日時 | ロック時、解除時、起動後のサインイン時のどこで起きたか |
| Windows情報 | バージョン、OSビルド、更新チャネル |
| 稼働時間 | 最後の再起動から何時間・何日経過していたか |
| メモリ | 使用率、コミット済み、搭載RAM |
| ページファイル | 自動管理か、固定値か、無効か |
| イベントログ | イベントID 2004の有無 |
| 起動アプリ | ブラウザー、仮想マシン、業務アプリなど |
| 表示環境 | 外部モニター、ドッキングステーション、GPUドライバー |
| 再現性 | 再起動後やアプリ終了後も発生するか |
Release Previewを検証する場合は、少数のテスト端末へ限定してください。今回の改善は段階的ロールアウトであり、同じビルドの端末間でも結果が異なる可能性があります。
まとめ
Microsoftは、Windows 11 version 24H2のOS Build 26100.8968と、version 25H2のOS Build 26200.8968で、低メモリ時のサインイン画面とロック画面の信頼性を改善しました。
ただし、現段階ではRelease Preview向けの情報です。一般向け安定版への提供済みとは判断せず、通常利用のPCでは次の順に対応してください。
winverでバージョンとOSビルドを確認する- タスクマネージャーでメモリとコミット済みを確認する
- ページファイルを自動管理に戻す
- Cドライブの空き容量を確保する
- イベントID 2004の有無を調べる
- 自分の更新チャネルで正式に提供されたWindows Updateを適用する
再起動で一時的に改善しても繰り返す場合は、メモリを多く消費するアプリやサービスまで特定することが、根本的な解決につながります。

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