Windows 11で断片化した大容量ファイルの削除が遅い問題、Build 26300.8935で改善

Windows 11のエクスプローラーで、断片化した大容量ファイルの削除に極端な時間がかかる問題について、MicrosoftはWindows 11 version 26H2 Insider ExperimentalのOS Build 26300.8935で、特定条件における削除処理を高速化したと案内しています。

ただし、2026年7月24日時点ではWindows Insider向けのプレビュー情報です。一般提供版のWindows 11に修正済みとは断定できません。また、変更は段階的に展開される場合があるため、Build 26300.8935を導入していても、すべての環境で直ちに改善するとは限りません。通常利用のPCでは、この修正だけを目的にExperimentalビルドを導入せず、一般提供版への反映を待ちながら、ドライブの状態確認やファイルシステムの検査を行うのが安全です。 (Microsoft Learn)

目次

断片化した大容量ファイルの削除をBuild 26300.8935で高速化

Microsoftが2026年7月20日に公開したリリースノートでは、エクスプローラーの変更点として、断片化した大容量ファイルを削除する一部の状況で、削除処理が高速になったと説明されています。

対象となる情報を整理すると、次のとおりです。

項目内容
対象OSWindows 11 version 26H2
チャネルWindows Insider Experimental
OSビルド26300.8935
公開日2026年7月20日
改善内容断片化した大容量ファイルをエクスプローラーで削除する一部の状況を高速化
提供方法段階的に展開される可能性あり
一般提供版への反映現時点では時期や対象ビルドの案内なし

Windows Insider Blogでも、Build 26300.8935はExperimentalチャネル向けとして掲載されています。通常版の累積更新プログラムや一般提供版の修正として発表されたものではありません。 (Microsoft Learn)

「高速化」は完全修正を意味しない

今回の案内を読む際は、次の点に注意が必要です。

  • Microsoftは「特定の状況」で高速になると説明している
  • 大容量と判断される具体的なファイルサイズは公開されていない
  • 断片数やファイル形式など、発生条件の詳細は公開されていない
  • 修正前後の削除時間やベンチマーク結果は示されていない
  • 同じビルドでも機能が段階的に展開される場合がある

したがって、「Build 26300.8935なら、あらゆる大容量ファイルを瞬時に削除できる」と考えるのは適切ではありません。

MicrosoftはExperimentalチャネルについて、試験中の機能が変更、削除、置き換えられたり、Windows Insider以外には提供されなかったりする可能性もあると説明しています。一般提供版への反映は、今後の正式な更新履歴で確認する必要があります。 (Microsoft Learn)

Windows 11で断片化した大容量ファイルの削除に時間がかかる理由

ファイルの断片化とは、1つのファイルのデータがドライブ上の連続した領域に保存されず、複数の領域に分かれて配置されている状態です。

Windowsでは、ファイルが保存されている個々の領域を「エクステント」として確認できます。Microsoftが提供するfsutil file queryextentsコマンドも、指定したファイルのエクステントを照会するための機能です。 (Microsoft Learn)

大容量ファイルが多数のエクステントに分かれている場合、削除時に解放する領域や更新するファイルシステム情報が増え、処理時間に影響していた可能性があります。ただし、Microsoftは今回どの内部処理を最適化したのかを公開していないため、具体的な修正方式までは断定できません。

断片化が起こりやすいファイルの例としては、次のようなものがあります。

  • 容量が徐々に増える仮想ディスクファイル
  • 長期間追記される録画・映像ファイル
  • データベースやログの大容量ファイル
  • バックアップイメージ
  • 頻繁に作成・更新される一時ファイル
  • 空き容量が少ないドライブ上で作成された大容量ファイル

特に、Hyper-Vなどで利用するVHDX、動画編集用の中間ファイル、バックアップソフトが生成するイメージファイルは、数十GBから数百GBになることがあります。ただし、ファイルが大きいだけで必ず今回の問題に該当するわけではありません。

今回の問題かどうかを症状から切り分ける

削除が遅い原因は、ファイルの断片化だけではありません。症状に応じて、次のように切り分けます。

症状考えられる原因確認すること
1つの大容量ファイルだけ削除に時間がかかる断片化、ファイルシステム処理ファイルサイズ、エクステント、ドライブ使用率
多数の小さなファイルの削除が遅いファイル数、ウイルス対策、サムネイル処理ファイル数、CPU使用率、セキュリティソフト
「使用中」と表示されるアプリやサービスによるファイルロック使用しているアプリを終了
OneDrive内の削除が遅いクラウド同期、ネットワークOneDriveの同期状態
NASや共有フォルダーの削除が遅いネットワーク、サーバー側の処理回線速度、サーバー負荷
どのファイル操作も遅いドライブ障害、ファイルシステムエラーSMART情報、chkdsk
エクスプローラーだけ応答しなくなるエクスプローラーのUI処理、シェル拡張コマンドラインからの削除結果

今回の改善対象として考えやすいのは、ローカルドライブ上にある、断片数の多い単一の大容量ファイルをエクスプローラーで削除するケースです。

Build 26300.8935が適用されているか確認する方法

OSビルドを確認する

  1. WindowsキーとRキーを押します。
  2. 「ファイル名を指定して実行」にwinverと入力します。
  3. 「OK」をクリックします。
  4. 表示された画面で、バージョンとOSビルドを確認します。

今回のプレビュー改善が案内されているのは、次の環境です。

Windows 11 version 26H2
OS Build 26300.8935
Windows Insider Experimental

OSビルドが26300.8935以上でも、通常版や別チャネルで同じ改善が提供されているとは限りません。ビルド番号だけでなく、Windows Insider Programのチャネルも確認してください。

Insiderチャネルを確認する

「設定」から次の順に開きます。

Windows Update
→ Windows Insider Program

Experimentalと表示されていれば、今回のリリースノートの対象チャネルです。

ただし、リリースノートでは各種変更が段階的に展開される場合があると説明されています。同じビルドで改善しない場合でも、直ちにインストール失敗や故障と判断することはできません。 (Microsoft Learn)

利用環境判断
Windows Insiderに参加していない通常版今回の修正が適用済みとは判断できない
Experimentalで26300.8935未満Build 26300.8935の改善対象外
Experimentalで26300.8935以上改善対象の候補だが、段階展開の可能性あり
将来の一般提供版正式な更新履歴に改善内容が掲載されているか確認

一般提供版で削除が遅いときの対処方法

使用中のアプリを終了してから再試行する

仮想マシン、動画編集ソフト、バックアップソフト、データベース、同期ソフトがファイルを開いていると、削除できなかったり処理が長引いたりします。

対象ファイルを利用していそうなアプリを終了し、削除を再試行してください。原因を特定できない場合は、作業内容を保存してWindowsを再起動してから削除します。

削除中にタスクマネージャーの「パフォーマンス」で対象ドライブの使用率が高い場合は、ファイルシステムの処理が継続している可能性があります。ドライブが動作中の状態で強制的に電源を切ることは避けてください。

ファイルのエクステントを確認する

ローカルのNTFSドライブであれば、fsutilを使って対象ファイルのエクステントを確認できます。

管理者権限のターミナルで、次のコマンドを実行します。

fsutil file queryextents "D:\VMs\large-disk.vhdx"

パスは実際のファイルに置き換えてください。

複数のエクステントが表示される場合、そのファイルは複数の領域に分かれて保存されています。ただし、エクステントが複数あるだけで、削除遅延の原因と断定することはできません。あくまで切り分け材料として使用します。fsutil file queryextentsはWindows 11で利用できる公式コマンドです。 (Microsoft Learn)

ドライブ全体の断片化を分析する

管理者権限のターミナルで、次のコマンドを実行します。

defrag D: /A /V

各オプションの意味は次のとおりです。

オプション内容
/Aドライブを分析する
/V詳細な結果を表示する
D:確認するドライブ。実際のドライブ文字に変更する

このコマンドは分析のみで、通常はファイルの配置を変更しません。

ドライブ全体の断片化が大きく、同じ問題が繰り返し発生する場合は、次の最適化を検討します。

defrag D: /O /U /V

/Oは、ドライブの種類に適した最適化を実行するオプションです。SSDに対してHDD向けのデフラグ方法を決め打ちするのではなく、Windowsに適切な処理を選択させられます。Microsoftによると、完全なデフラグにはドライブの空き容量が15%程度必要で、空き容量が少ない場合は部分的な処理になることがあります。 (Microsoft Learn)

一度だけファイルを削除したい場合、先にドライブを最適化すると、巨大なファイルを移動する処理の方が長くなることがあります。ドライブの最適化は、同じ症状が繰り返し発生する場合や、ドライブ全体の断片化が確認された場合に行うのが現実的です。

ファイルシステムをオンライン検査する

大容量ファイルに限らず、ファイルの削除や名前変更、移動が頻繁に失敗する場合は、ファイルシステムのエラーも確認します。

管理者権限のターミナルで、次のコマンドを実行します。

chkdsk D: /scan

/scanはNTFSボリュームをオンラインで検査するオプションです。通常の利用中でも検査できます。

エラーが見つかった場合は、重要なデータをバックアップしてから修復を検討してください。いきなり/rを実行する必要はありません。/rは不良セクターの検査も行うため、大容量ドライブでは長時間かかる可能性があります。 (Microsoft Learn)

コマンドプロンプトから削除して切り分ける

エクスプローラーだけが応答しなくなる場合は、コマンドプロンプト経由で削除すると、エクスプローラーの表示処理が原因なのかを切り分けられます。

Windows TerminalやPowerShellから実行する場合は、次のようにcmd /cを付けます。

cmd /c del /p "D:\VMs\large-disk.vhdx"

/pを付けると、削除前に確認が表示されます。

ただし、delで削除したファイルは通常ごみ箱に移動されず、元に戻せません。ファイル名とパスを必ず確認し、必要なデータをバックアップしてから実行してください。 (Microsoft Learn)

また、コマンドラインから削除しても同じように時間がかかる場合は、エクスプローラーの表示だけではなく、ファイルシステムやストレージ側の処理が影響している可能性が高くなります。

避けた方がよい対処

修正だけを目的にExperimentalビルドを導入する

Experimentalビルドは検証用です。機能変更、不具合、互換性問題が発生する可能性があるため、業務用PCやデータを保管しているメインPCに、今回の改善だけを目的として導入するのは適切ではありません。

試す場合は、専用の検証PCまたは復元可能な仮想環境を使用してください。

SSDを手動で何度もデフラグする

SSDで削除が遅いからといって、従来型のデフラグを繰り返す必要はありません。GUIの「ドライブのデフラグと最適化」またはdefrag /Oを使い、Windowsにメディアに応じた処理を選択させます。

fsutil file optimizemetadataを安易に実行する

Windowsには、ファイル単位でメタデータを最適化するfsutil file optimizemetadataコマンドも用意されています。しかし、Microsoftは今回の削除遅延に対する回避策として、このコマンドを案内していません。 (Microsoft Learn)

名前が関連して見えても、今回の問題を確実に解決できるとは限りません。業務データや重要ファイルに対して、十分な検証やバックアップなしで実行することは避けてください。

削除中に強制終了する

削除画面が長時間表示されていても、ドライブが処理を続けている場合があります。タスクマネージャーでドライブの動作を確認せず、電源ボタンの長押しやケーブルの取り外しを行うのは避けてください。

よくある質問

Build 26300.8935に更新すれば必ず改善しますか

必ず改善するとは限りません。

Microsoftの表現は「断片化した大容量ファイルを削除する特定の状況」での高速化です。また、リリースノート全体に段階展開の注意書きがあるため、同じビルドでも反映状況が異なる可能性があります。 (Microsoft Learn)

何GB以上のファイルが対象ですか

具体的な容量は公開されていません。

10GB、100GBなどの数値基準をMicrosoftが示しているわけではないため、ファイルサイズだけで対象かどうかを判断することはできません。

SSDでも今回の問題は発生しますか

Microsoftは、今回の改善対象をHDDだけに限定していません。そのため、SSDだから対象外とは判断できません。

一方、ドライブの最適化方法はHDDとSSDで異なります。手動で最適化する場合は、メディアに適した処理を選ぶdefrag /OまたはWindowsの「ドライブのデフラグと最適化」を使用してください。 (Microsoft Learn)

コマンドラインから削除すれば速くなりますか

エクスプローラーの画面表示やシェル拡張が原因であれば、改善する可能性があります。

ただし、ファイルシステムが断片化した領域を解放する処理自体は必要です。そのため、今回の問題に該当する場合、コマンドラインでも同程度の時間がかかる可能性があります。

一般提供版にはいつ反映されますか

2026年7月24日時点で、Microsoftは一般提供版への反映時期や対象となる累積更新プログラムを案内していません。

今後、一般提供版の更新履歴に「大容量で断片化したファイルの削除を高速化」といった内容が掲載されるまでは、通常版で修正済みと断定しない方が安全です。Experimentalチャネルの機能は、変更されたり一般提供されなかったりする可能性もあります。 (Microsoft Learn)

まとめ:通常版では切り分けと安全な対処を優先する

断片化した大容量ファイルの削除に時間がかかる問題は、Windows 11 version 26H2 Insider ExperimentalのBuild 26300.8935で改善が案内されています。ただし、対象は特定条件であり、一般提供版への反映は現時点で確認できません。

通常版のWindows 11を利用している場合は、次の順序で対応します。

  1. winverで現在のOSビルドを確認する
  2. ファイルを使用しているアプリを終了する
  3. fsutil file queryextentsで対象ファイルの状態を確認する
  4. defrag /A /Vでドライブの断片化を分析する
  5. 必要な場合だけdefrag /Oで最適化する
  6. 他のファイル操作も遅い場合はchkdsk /scanを実行する
  7. 一般提供版の更新履歴に修正が掲載されるまで待つ

Experimentalビルドの導入は、安定性より検証を優先できる環境に限定してください。業務用PCでは、最新の一般提供版を維持しながら、正式な累積更新プログラムへの反映を確認するのが適切です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

コメント

コメントする

目次