Windows 11のVoice Accessで、周囲の会話やキーボード音まで拾ってしまう場合は、Voice Isolation(日本語UIでは「音声分離」)を有効にすると改善が期待できます。設定場所は、画面上部の音声アクセスバーにある[設定]→[音声認識の向上]→[音声分離]です。
Voice Isolationは、KB5101684でVoice Accessに追加された新機能です。ほかの人の話し声と環境音の両方を抑え、自分の声を優先して認識します。初回のみ短い音声セットアップとモデルのダウンロードが必要ですが、その後の音声処理は端末内で行われます。
ただし、KB5101684をインストールしても、段階配信のためすぐに設定項目が表示されるとは限りません。表示されない場合は、故障や不具合と決めつける前に、Windowsのバージョン、OSビルド、Voice Accessの初期設定、配信状況を順番に確認しましょう。(Microsoft サポート)
Voice AccessのVoice Isolationとは
Voice Isolationは、Voice Accessが受け取るマイク音声から、利用者本人以外の話し声や環境音を抑える機能です。
たとえば、次のような環境で効果が期待できます。
- 家族が近くで会話している自宅
- 複数人が働く共有オフィス
- キーボード入力音が大きいデスク
- ドアの開閉音や机をたたく音が入る部屋
- テレビや人の声が小さく聞こえる場所
Voice Isolationを設定すると、Voice Accessが事前に登録した声の特徴を使い、本人の声を優先して認識します。
なお、これはVoice Accessの音声認識精度を改善する機能です。TeamsやZoomなど、ほかのアプリに送信するマイク音声全体をノイズ除去する設定ではありません。
KB5101684で追加された3つの音声認識モード
KB5101684の適用後、Voice Accessの[音声認識の向上]では、次の3モードを選択できるようになります。
| モード | 抑制する音 | 初回設定 | 適した環境 |
|---|---|---|---|
| 音声分離 | ほかの人の声、キーボード音、ドア音など | 必要 | 家族の会話がある自宅、共有オフィス |
| バックグラウンド ノイズのみを削除する | キーボード音、打撃音、ドア音などの非音声 | 不要 | 人の会話は少ないが生活音がある場所 |
| フィルターなし | 抑制しない | 不要 | 静かな個室、認識結果を比較したい場合 |
音声分離
Voice Isolationに相当するモードです。
ほかの人の話し声と、キーボードやドアの開閉などの環境音を抑えます。本人の声を識別するため、初回のみ音声セットアップが必要です。
バックグラウンド ノイズのみを削除する
人の声は区別せず、タイピング、ノック、机をたたく音、ドアの開閉音など、音声ではない環境音を抑えます。
音声登録は不要なので、Voice Isolationがまだ利用できない場合や、周囲に話している人がいない場合に向いています。
フィルターなし
マイクから入力された音声を、追加のフィルター処理なしでVoice Accessに渡します。
静かな部屋では、このモードでも十分なことがあります。また、音声分離を有効にしたことで認識が不自然になったと感じる場合の比較にも使えます。(Microsoft サポート)
Voice Isolationを利用できるWindows 11の条件
KB5101684は、2026年7月28日に公開されたWindows 11向けのプレビュー累積更新プログラムです。対象はWindows 11 バージョン24H2と25H2です。
設定を始める前に、次の条件を確認してください。
| 確認項目 | 条件・目安 |
|---|---|
| Windowsのバージョン | Windows 11 24H2または25H2 |
| OSビルド | 24H2は26100.8973以降、25H2は26200.8973以降 |
| 更新プログラム | KB5101684、または同内容を含む後続の累積更新 |
| CPUアーキテクチャ | x64またはArm64 |
| Voice Access | 初期設定と言語モデルのダウンロードが完了していること |
| マイク | Windowsで入力デバイスとして利用できること |
| インターネット | 初回のモデルダウンロード時に必要 |
| 機能配信 | 段階配信のため端末ごとに表示時期が異なる |
Microsoft Update Catalogでは、Windows 11 24H2と25H2について、x64版とArm64版のKB5101684が提供されています。MicrosoftのVoice Accessに関する説明では、Voice IsolationをCopilot+ PC限定とする条件は記載されていません。
ただし、同じOSビルドでも、段階配信のタイミングや端末側の構成によって設定項目の表示時期が異なる可能性があります。(Microsoft サポート)
KB5101684がインストールされているか確認する
Voice Isolationを設定する前に、WindowsのバージョンとOSビルドを確認します。
WindowsのバージョンとOSビルドを確認する
WindowsキーとRキーを押します。- [ファイル名を指定して実行]に
winverと入力します。 - [OK]を選択します。
- 表示されたWindowsのバージョンとOSビルドを確認します。
KB5101684を適用した直後のビルドは次のとおりです。
| Windows 11のバージョン | OSビルド |
|---|---|
| Windows 11 25H2 | 26200.8973 |
| Windows 11 24H2 | 26100.8973 |
これより新しい累積更新プログラムをインストールしている場合、OSビルドの数字はさらに大きくなります。
更新履歴から確認する
- [設定]を開きます。
- [Windows Update]を選択します。
- [更新の履歴]を開きます。
- 品質更新プログラムの一覧から、KB5101684または後続の累積更新プログラムを確認します。
KB5101684をインストールする方法
KB5101684はプレビュー更新プログラムであり、通常のセキュリティ更新とは配信方法が異なる場合があります。
Microsoftが案内するWindows Updateからの確認手順は次のとおりです。
- [設定]を開きます。
- [Windows Update]を選択します。
- [詳細オプション]を開きます。
- [オプションの更新プログラム]を選択します。
- KB5101684が表示されたら、ダウンロードとインストールを実行します。
- インストール後にWindowsを再起動します。
一般利用のPCでは、Microsoft Update Catalogから手動でMSUファイルを入れるより、Windows Updateからインストールする方法が適しています。
Update Catalogを利用する場合は、x64とArm64を取り違えないようにしてください。また、更新パッケージによっては前提となるMSUファイルとインストール順序が指定されています。企業内で一括展開する場合を除き、手動インストールを急ぐ必要はありません。(Microsoft サポート)
Voice Accessを初めて設定する
Voice Accessをまだ使ったことがない場合は、先に初期設定を完了させます。
Windows検索から起動する方法
- Windowsの検索を開きます。
- 「音声アクセス」または「Voice Access」と入力します。
- 検索結果の[音声アクセス]を開きます。
Windowsの設定から起動する方法
- [設定]を開きます。
- [アクセシビリティ]を選択します。
- [音声認識]を開きます。
- [音声アクセス]をオンにします。
初回起動時には、使用する言語を選択し、端末内音声認識に必要な言語ファイルをダウンロードします。日本語もVoice Accessの対応言語に含まれています。
言語ファイルのダウンロード後、使用するマイクを選択します。初期設定が完了すると、画面上部に音声アクセスバーが表示されます。
Voice Accessの初期セットアップにはインターネット接続が必要ですが、言語ファイルをダウンロードした後は、基本的な音声認識をオフラインで利用できます。(Microsoft サポート)
周囲の話し声を除去するVoice Isolationの設定手順
Voice Accessの準備ができたら、Voice Isolationを有効にします。
音声アクセスバーから音声分離を選択する
- Voice Accessを起動します。
- 画面上部の音声アクセスバーを確認します。
- 歯車アイコンなどから[音声アクセス設定]を開きます。
- [音声認識の向上]を選択します。
- [音声分離]を選択します。
- 説明画面が表示されたら[続行]を選択します。
英語表示のWindowsでは、次の順番です。
Voice Access settings → Improve speech recognition → Voice Isolation
音声モデルをダウンロードする
音声分離を初めて選択すると、本人の声を識別するためのモデルが端末にダウンロードされます。
この段階ではインターネット接続が必要です。ダウンロードは初回のみで、モデルは端末内で動作します。
会社のネットワークでダウンロードが進まない場合は、プロキシやファイアウォール、Windows Update関連の通信制限が影響していないか管理者に確認してください。
使用するマイクを選択する
モデルのダウンロード後、音声登録に使用するマイクを選択します。
複数のマイクが接続されている場合は、今後Voice Accessで日常的に使うマイクを選ぶのが基本です。
たとえば、普段USBヘッドセットを使うのであれば、ノートPC内蔵マイクではなくUSBヘッドセットを選択します。
表示された段落を読み上げる
画面に表示された短い文章を、自然な速度で読み上げます。
登録精度を高めるポイントは次のとおりです。
- テレビや音楽を止め、静かな場所で登録する
- 壁の反響が強い場所を避ける
- マイクに近づきすぎない
- 普段の声量と話す速さを保つ
- 不自然に一語ずつ区切らない
- 途中で少し間が空いても慌てずに続ける
実際に使う場所が騒がしくても、最初の音声登録は静かな場所で行うのが重要です。登録時に周囲の声が混ざると、本人の声の特徴を正確に作成しにくくなります。
有効化を確認する
読み上げが完了すると、音声分離が有効になったことを示す完了画面が表示されます。
その後、メモ帳などを開いてVoice Accessによる文字入力や操作を試し、近くで別の人に話してもらいながら認識結果を確認します。(Microsoft サポート)
利用環境に合わせたモードの選び方
常にVoice Isolationを選べばよいとは限りません。周囲の音に合わせてモードを切り替えた方が、安定して認識できることがあります。
家族や同僚の話し声が入る場合
[音声分離]を選択します。
自宅のリビングや共有オフィスなど、近くで別の人が話している環境に向いています。
ただし、本人とほぼ同じ音量で同時に話された場合、他人の声を完全には除去できないことがあります。
キーボード音や生活音だけが気になる場合
[バックグラウンド ノイズのみを削除する]を選択します。
近くに話している人はいないものの、キーボード、ドア、机、空調などの音がある環境では、音声登録をせずにすぐ利用できます。
静かな個室で使用する場合
[フィルターなし]でも十分な可能性があります。
静かな環境では除去対象となる音が少ないため、Voice Isolationを有効にしても大きな違いを感じられないことがあります。
同時に複数人が話す場所で使用する場合
Voice Isolationだけに頼らず、口元に近いヘッドセットマイクを併用すると安定しやすくなります。
Voice Isolationは、次の条件では誤認識が残る場合があります。
- 本人と別の人が同時に話す
- 背景の人の声が本人と同じか、それ以上に大きい
- 本人と声質がよく似た人が話す
- 強い反響や非常に大きな騒音がある
Voice Isolationは雑音を完全に消す機能ではなく、Voice Accessが本人の声を認識しやすくする補助機能として使うのが適切です。(Microsoft サポート)
Voice Isolationを再設定・削除する方法
登録後に認識精度が落ちた場合や、使用するマイクを変更した場合は、音声を再登録できます。
- 音声アクセスバーから[音声アクセス設定]を開きます。
- [音声認識の向上]を選択します。
- [音声分離の管理]を選択します。
- 音声の再録音または削除を実行します。
音声を録音し直す
次のような場合は、再録音を試します。
- Voice Isolationを有効にしても他人の声を拾う
- マイクを内蔵マイクからヘッドセットに変更した
- 登録時に周囲が騒がしかった
- 普段の声量と異なる話し方で登録してしまった
- 認識精度が以前より低下した
音声署名を削除する
音声登録を削除すると、端末内に保存されている音声署名が削除されます。
再びVoice Isolationを使用するときは、モデルの準備と音声の読み上げを含むセットアップをやり直します。
Voice Isolationの音声データはクラウドに送信されるのか
Voice Isolationの音声処理は端末内で実行されます。
初回セットアップでは、声の特徴を識別するためのモデルをインターネットからダウンロードしますが、モデル自体はPC上で動作します。
Microsoftの説明では、読み上げた生の音声録音は保存されません。代わりに、本人の声を識別するための音声署名が作成され、ローカルに保存されます。音声録音がクラウドへアップロードまたは共有されることもないとされています。
整理すると、通信が必要になるのは主に次の場面です。
| 操作 | インターネット接続 |
|---|---|
| Windows Updateの取得 | 必要 |
| Voice Accessの初期言語ファイル取得 | 必要 |
| Voice Isolation用モデルの初回取得 | 必要 |
| 設定完了後の通常利用 | 原則不要 |
| 端末内での音声識別処理 | 不要 |
行政機関や企業で利用する場合も、音声処理が端末内で完結する点は導入判断の材料になります。ただし、組織独自の情報セキュリティ規程や端末管理ポリシーがある場合は、それらを優先してください。(Microsoft サポート)
Voice Isolationが表示されない場合の確認方法
KB5101684をインストールしたのに[音声分離]が表示されない場合は、次の順番で確認します。
| 症状 | 確認すること | 対応 |
|---|---|---|
| [音声認識の向上]自体がない | OSビルド、更新履歴 | KB5101684または後続更新を確認 |
| KB適用後も項目がない | 段階配信の対象状況 | 通常配信や後続更新を待つ |
| 音声アクセスバーが出ない | Voice Accessが起動しているか | 検索またはアクセシビリティ設定から起動 |
| モデルを取得できない | インターネット接続 | 回線、プロキシ、管理ポリシーを確認 |
| マイクが表示されない | マイク権限と入力デバイス | プライバシー設定とサウンド設定を確認 |
| 設定後も他人の声を拾う | 登録環境、マイク位置 | 静かな場所で再録音する |
段階配信を待つ
KB5101684の新機能は段階的に展開されます。
そのため、同じWindows 11のバージョン、同じOSビルドであっても、端末によってVoice Isolationが表示される時期が異なる可能性があります。
更新プログラムを何度もアンインストールして入れ直しても、段階配信の機能が直ちに有効になるとは限りません。OSビルドが条件を満たしている場合は、通常配信または後続の累積更新プログラムを待つ方が安全です。
Windows Update for Businessで管理されている
会社や組織のPCでは、プレビュー更新プログラムの配信が管理者によって停止されていることがあります。
Microsoftの案内では、Windows Update for BusinessではKB5101684の変更がプレビュー段階では含まれず、後続のセキュリティ更新で提供される扱いです。管理端末で表示されない場合は、手動更新を行う前に管理者へ確認してください。(Microsoft サポート)
Voice Accessではなく音声入力を開いている
WindowsキーとHキーで開く音声入力と、Voice Accessは別の機能です。
Voice Isolationの設定は、音声入力パネルやWindowsの一般的なサウンド設定ではなく、画面上部に表示される音声アクセスバーから行います。
マイクのアクセス許可を確認する
- [設定]を開きます。
- [プライバシーとセキュリティ]を選択します。
- [マイク]を開きます。
- [マイクへのアクセス]をオンにします。
- [アプリにマイクへのアクセスを許可する]をオンにします。
- [デスクトップ アプリにマイクへのアクセスを許可する]をオンにします。
続いて、[設定]→[システム]→[サウンド]→[入力]を開き、使用したいマイクが選択されているか確認します。(Microsoft サポート)
これは不具合修正ではなくVoice Accessの構成変更
Voice Isolationは、Voice Accessの既存不具合を修正するためのパッチではありません。KB5101684で追加された新しい音声認識モードです。
したがって、設定項目がまだ表示されていない場合も、直ちにVoice Accessの故障やKB5101684のインストール失敗とは判断できません。
Microsoftのリリースノートでは、KB5101684に関する既知の問題は現時点で掲載されていません。一方で、機能は段階配信であり、利用可能になる時期は端末によって異なると説明されています。(Microsoft サポート)
企業や組織で導入するときの判断ポイント
複数台のPCに展開する場合は、KB5101684を一斉に導入するより、実際にVoice Accessを使用している端末から検証する方が安全です。
まず少数の端末で、次の項目を確認します。
- 使用中のマイクが正しく認識されるか
- 日本語の音声操作に影響がないか
- 周囲の話し声をどの程度抑えられるか
- プロキシ環境でモデルを取得できるか
- 音声署名の削除や再登録ができるか
- 再起動後も選択したモードが利用できるか
特に重要なのは、更新プログラムのインストール完了と機能の有効化を分けて確認することです。
KB5101684のインストールに成功していても、段階配信のVoice Isolationがまだ表示されない可能性があります。資産管理表には、OSビルドだけでなく、[音声認識の向上]メニューの表示有無も記録すると状況を把握しやすくなります。
Voice Isolation設定後に確認すること
Voice Isolationのセットアップが完了したら、次の3パターンで認識結果を比較します。
- 静かな環境で本人だけが話す
- キーボードを入力しながら本人が話す
- 少し離れた場所で別の人が話している状態で本人が話す
[音声分離]、[バックグラウンド ノイズのみを削除する]、[フィルターなし]を順番に切り替え、どのモードが最も誤認識を減らせるか確認してください。
周囲の話し声が問題なら[音声分離]、生活音だけが問題なら[バックグラウンド ノイズのみを削除する]、静かな個室なら[フィルターなし]が基本的な選び方です。
まずwinverでOSビルドを確認し、Voice Accessの[音声認識の向上]に[音声分離]が表示されているか確認しましょう。表示されていれば、静かな場所で一度だけ音声セットアップを行います。表示されていない場合は、無理に修復操作を繰り返さず、段階配信や組織の更新ポリシーを確認することが次の行動になります。

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