Windows 11のスタートメニューに表示されるPhone Link(スマートフォン連携)の「最近のアクティビティ」が、さらに確認しやすくなります。対応環境では、スマートフォンから届いたメッセージや通知にマウスポインターを合わせるだけで、内容をスタート上にプレビューできます。
ただし、現時点ではWindows 11 Experimental Build 26300.9032向けの試験機能です。Phone Link 1.26021.3.0以降が必要で、条件を満たしていても段階的展開の対象になるまで利用できない場合があります。一般向けWindows 11で、すぐに使える機能ではない点に注意してください。(Windows Blog)
Phone Link 1.26021.3.0でスタートからメッセージをプレビュー
Microsoftが2026年7月31日に公開したWindows 11 Insider Experimental Preview Build 26300.9032では、スタートメニューとPhone Linkの連携機能が拡張されました。
スタートメニューにあるスマートフォン連携エリアの「最近」セクションで、メッセージや通知にポインターを合わせると、その内容を直接プレビューできます。スマートフォンを手に取ったり、Phone Linkアプリや通知項目を開いたりしなくても、確認する必要がある通知かどうかを判断できます。(Microsoft Learn)
主な操作と結果は次のとおりです。
| 操作 | 表示される内容 | 用途 |
|---|---|---|
| 最近のメッセージにポインターを合わせる | メッセージ内容のプレビュー | 急ぎの連絡か確認する |
| 最近の通知にポインターを合わせる | 通知内容のプレビュー | PC作業を中断すべきか判断する |
| ポインターを外す | プレビューを閉じる | スタートメニューの確認を続ける |
公式情報で案内されているのは、あくまで「ホバーによるプレビュー」です。プレビュー画面からの返信、通知の削除、既読への変更などについては明記されていません。メッセージへの返信や詳しい操作が必要な場合は、従来どおりPhone Linkや対象項目を開く必要があると考えておくのが安全です。
また、ホバーはマウスやタッチパッドのポインター操作を前提としています。タッチ操作だけの端末で同じプレビューを利用できるかは、公式情報では示されていません。
利用に必要な条件
今回のPhone Linkのホバープレビューを利用するには、スタートメニューにスマートフォンを表示できるだけでは不十分です。Windowsのビルド、Insiderチャネル、Phone Linkのバージョンをすべて確認する必要があります。
| 確認項目 | 必要な条件 |
|---|---|
| OS | Windows 11 Insider Experimental Preview Build 26300.9032 |
| Insiderチャネル | Experimentalチャネル |
| Phone Link | バージョン1.26021.3.0以降 |
| スマートフォン連携 | PCとスマートフォンの接続設定が完了していること |
| スタートの表示 | スマートフォン連携エリアと最近のアクティビティが表示されていること |
| 展開状況 | Microsoftによる段階的展開の対象になっていること |
Build 26300.9032は、Windows 11 バージョン26H2をベースとするExperimentalチャネル向けのプレビュービルドです。Microsoftは、Experimentalチャネルの機能について、テスト結果やフィードバックによって変更、削除、置き換えが行われる可能性があり、正式版へ必ず搭載されるとは限らないと説明しています。(Microsoft Learn)
スタートにスマートフォンが表示されても利用できるとは限らない
Windows 11には、Android端末やiPhoneをスタートメニューから確認できる「モバイルデバイスコンパニオン」の基本機能があります。バッテリーや接続状態の確認、メッセージや通話へのアクセス、最近のアクティビティの表示などが可能です。(マイクロソフトサポート)
ただし、今回追加されたホバープレビューは、その基本機能とは別の新しい拡張です。
つまり、スタートメニューにスマートフォンが表示されていても、最近のメッセージにポインターを合わせた際のプレビューがまだ有効になっていない場合があります。Phone Linkが1.26021.3.0未満の場合や、段階的展開の対象になっていない場合は利用できません。
スタートからメッセージと通知をホバー表示する設定方法
Windows 11のビルドを確認する
最初に、PCがBuild 26300.9032のExperimental環境になっているか確認します。
WindowsキーとRキーを同時に押します。- 「ファイル名を指定して実行」に
winverと入力します。 - 「OK」を選択します。
- 表示されたWindowsのビルド番号を確認します。
Build 26300.9032より前のビルドや、一般向けの安定版Windows 11では、今回のExperimental機能を利用できない可能性があります。
Experimentalビルドは検証用です。不具合や仕様変更が発生する可能性があるため、業務で使用するメインPCへ機能目的だけで導入することはおすすめできません。
Phone Linkを1.26021.3.0以降に更新する
次に、Phone Linkのバージョンを確認します。
Phone Linkを開き、設定画面内のアプリ情報やバージョン情報を確認してください。1.26021.3.0より古い場合は、Microsoft StoreでPhone Linkの更新を確認します。
更新後も古いバージョンが表示される場合は、Phone Linkをいったん終了して再度起動します。Microsoft Store側にも更新が届いていない場合は、アプリの段階的配信を待つ必要があります。
スマートフォンのメッセージと通知を同期する
ホバープレビューには、Phone Link側でメッセージや通知を取得できる状態が必要です。
Phone Linkを開き、PCとスマートフォンが接続されていることを確認してください。通知やメッセージがPhone Link内に表示されない場合は、スマートフォン側の「Windowsにリンク」またはBluetoothの権限設定を見直します。
Androidでは、端末やPCの対応状況に応じて、通知、メッセージ、写真、通話などの同期項目をPhone Linkの設定から個別に管理できます。iPhoneでは、Bluetoothによる接続に加えて、システム通知やメッセージを共有する権限が必要です。(マイクロソフトサポート)
スタートメニューの個人用設定を有効にする
Phone Linkで次の順に設定画面を開きます。
[Phone Link]→[設定]→[スタートメニューの個人用設定]
スタートメニューへの情報表示や、最近のアクティビティに関する設定を有効にします。Experimentalビルドでは日本語化が完了していない場合があるため、項目が英語で「Start menu personalization」などと表示される可能性があります。(Microsoft Learn)
スタートメニューにスマートフォン連携エリア自体が表示されていない場合は、Windows 11の設定も確認します。
[設定]→[個人用設定]→[スタート]→[スタートにモバイルデバイスを表示]
ビルドによって項目名が多少異なる場合があります。該当するモバイルデバイス表示のスイッチをオンにしてください。(マイクロソフトサポート)
スタートの最近のアクティビティにポインターを合わせる
設定が完了したら、スマートフォンに新しいメッセージや通知が届いた状態でスタートメニューを開きます。
スマートフォン連携エリアの「最近」または「最近のアクティビティ」に表示されている項目へ、マウスポインターを合わせてください。機能が有効になっていれば、メッセージや通知の内容がプレビュー表示されます。
クリックする必要はありません。クリックして項目を開く前に、確認する価値のある通知かどうかを判断できるのが今回の変更点です。
ホバープレビューが表示されないときの確認項目
必要条件を満たしているように見えてもプレビューされない場合は、次の順番で確認すると原因を切り分けやすくなります。
Phone Linkのバージョンが古くないか
最も分かりやすい原因は、Phone Linkが1.26021.3.0未満であることです。
スタートメニューのスマートフォン連携が使えていても、新しいホバープレビューには、より新しいPhone Linkが必要です。スタートへのスマートフォン表示と、ホバープレビューの必要バージョンを混同しないようにしてください。
Experimentalチャネル以外を使用していないか
Build 26300.9032の機能はExperimentalチャネル向けです。
Betaチャネル、一般提供チャネル、別系統のExperimentalビルドでは、同じタイミングで提供されるとは限りません。ビルド番号が新しく見えても、異なるブランチでは機能構成が異なる場合があります。
段階的展開の対象になっているか
条件を満たしていても、機能がすぐに現れるとは限りません。
MicrosoftはControlled Feature Rolloutを利用し、一部のInsiderから提供を開始して、フィードバックを確認しながら対象を広げています。そのため、同じビルドとPhone Linkバージョンを使用しているPC同士でも、一方だけ利用できるケースがあります。(Microsoft Learn)
この状態では、アプリの再インストールや非公式なレジストリ変更を繰り返しても解決しない可能性があります。まずはWindows UpdateとMicrosoft Storeの更新を適用し、正式な展開を待つのが安全です。
スタートへのモバイルデバイス表示がオフになっていないか
Windowsの個人用設定で、スタートへのモバイルデバイス表示が無効になっていると、最近のアクティビティを確認できません。
Phone Link内の「スタートメニューの個人用設定」だけでなく、Windows側の[個人用設定]→[スタート]も確認してください。
通知やメッセージの権限が許可されているか
Phone Linkを開いても通知やメッセージが表示されない場合は、ホバープレビュー以前に同期が完了していません。
次の点を確認します。
- Phone Linkでメッセージと通知の機能が有効になっている
- Android側で「Windowsにリンク」の通知権限が許可されている
- iPhone側でシステム通知やメッセージの共有が許可されている
- PCとスマートフォンのWi-FiまたはBluetooth接続が維持されている
- 最近のアクティビティに表示できる新しい通知が存在する
Phone Linkでは、同期する機能を設定画面から個別にオン・オフできます。メッセージ同期を無効にすると、リンク済み端末からの新しいメッセージはPC側に表示されません。(マイクロソフトサポート)
ホバープレビューが役立つ場面
この機能の利点は、スマートフォンの操作回数を減らすことよりも、PC作業を中断するかどうかを素早く判断できる点にあります。
例えば、資料作成中にスマートフォンへ複数の通知が届いた場合、これまではスマートフォンを確認するか、Phone Linkを開いて内容を確認する必要がありました。ホバープレビューを使えば、スタートメニュー上で内容を確認し、緊急性の低い通知であれば、そのまま作業へ戻れます。
特に次のような使い方に向いています。
- 家族や同僚からのメッセージが急ぎか確認する
- 配送や予約に関する通知の概要を確認する
- 認証やログインに関する通知が届いたか確認する
- スマートフォンをかばんや充電場所から取り出さずに内容を確認する
- Phone Linkを全画面で開くほどではない通知を選別する
一方、長文のメッセージを読む場合や返信が必要な場合は、Phone Link本体やスマートフォンを開いた方が操作しやすいでしょう。ホバープレビューは、通知を処理する機能というより、優先順位を付けるための機能として使うのが適しています。
メッセージを画面に表示する際の注意点
ホバープレビューでは、スマートフォンの通知内容がPC画面上に表示されます。周囲から画面を見られる環境では、利便性よりも情報漏えいのリスクが大きくなる場合があります。
特に注意したいのは、次のような環境です。
- 家族や複数人で共用しているPC
- オフィスのフリーアドレス席
- 会議室の大型ディスプレイへ画面共有しているとき
- オンライン会議でデスクトップ全体を共有しているとき
- 来客や第三者から画面が見える受付端末
Phone Linkでは、権限設定によってSMSや通知がPC側に表示されます。Microsoftのサポート情報でも、認証コードを含む機密性の高いSMSがPhone Linkに表示される可能性について案内されています。(マイクロソフトサポート)
画面共有を頻繁に行う場合は、Phone Linkの設定で通知やメッセージの同期を無効にするか、Windowsの個人用設定でスタートへのモバイルデバイス表示をオフにしてください。必要なときだけ有効にする運用も有効です。
正式版Windows 11で利用する場合は展開を待つ
今回の機能は、Windows 11 Experimental Build 26300.9032で検証されている段階です。Experimentalチャネルは、将来のWindows向け機能を早期検証する場所であり、仕様や表示内容が変わる可能性があります。
正式版Windows 11を使用している場合は、ホバープレビューを使うためだけにExperimentalビルドへ移行するより、一般提供を待つ方が安全です。業務PCでは、アプリの互換性、更新失敗、未完成の表示、予期しない動作が業務へ影響する可能性があります。
すでにExperimental Build 26300.9032を利用している場合は、Phone Linkを1.26021.3.0以降へ更新し、[設定]→[スタートメニューの個人用設定]を確認してください。そのうえで、スタートの最近のメッセージや通知にポインターを合わせます。
条件を満たしても表示されない場合は、不具合と決めつけず、段階的展開の対象になっていない可能性を先に確認しましょう。正式版の利用者は、Windows UpdateとPhone Linkを最新状態に保ち、Microsoftからの一般提供を待つのが次に取るべき対応です。

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