Windows 11の加速スクロールとは?高精度タッチパッドの設定方法と注意点

Windows 11の高精度タッチパッドに「加速スクロール(Accelerated scrolling)」が追加されました。タッチパッドでスクロール操作を繰り返すほど移動速度が上がり、長いWebページや文書、表計算シートを素早く移動できる機能です。

Microsoftが2026年7月31日に公開した情報では、Windows 11 26H1のBeta Build 28020.2623とExperimental Build 28120.2630で加速スクロールが案内されています。ただし、現時点ではプレビュー機能であり、対象ビルドをインストールしても段階配信の状況によって表示されない場合があります。(Windows Blog)

目次

繰り返すほど速くなる高精度タッチパッドの加速スクロール

加速スクロールは、2本指によるスクロール操作を連続して繰り返したときに、徐々にスクロール速度を上げる機能です。

従来のスクロールでは、長いページを移動するために何度も指を滑らせる必要がありました。加速スクロールを有効にすると、最初は通常に近い速度で動かしつつ、操作を続けると大きく移動しやすくなります。

たとえば、数百ページあるPDFの後半へ移動するときや、Excelで数千行下まで確認するときに役立ちます。

項目動作向いている用途
通常のスクロール指の移動量に応じて一定の感覚で移動する短いページ、細かな位置調整
スクロールとズームの速度スクロール操作の基本速度を変更する全体的な操作感の調整
加速スクロール操作を繰り返すほど移動速度が上がる長文、長いWebページ、大規模な表
自動スクロール指を動かし続けなくてもスクロールを継続する継続的な読み進め、長距離移動

加速スクロールは、単にスクロール速度を常に速くする機能ではありません。通常時の操作性をある程度維持しながら、長距離を移動するときだけ速度を上げやすくする点が特徴です。

なお、自動スクロールは加速スクロールとは別の機能です。自動スクロールはスクロールを継続させる機能であり、ハードウェア構成によって利用条件が異なる場合があります。(Microsoft Learn)

加速スクロールの対象ビルドと提供状況

2026年7月31日の公式情報で加速スクロールが案内された26H1ビルドは、次の2つです。

チャネルビルド提供状況
Beta(26H1)28020.2623プレビュー、段階的に展開
Experimental(26H1)28120.2630実験的なプレビュー、段階的に展開

Experimentalチャネルは、新機能を早期に検証するためのチャネルです。Betaより不安定になる可能性があり、機能の仕様変更や削除が行われることもあります。

また、加速スクロールは26H1だけの専用機能ではありません。Microsoftは、Windows 11 バージョン24H2および25H2向けの2026年7月プレビュー更新「KB5101684」でも、同様の加速スクロールを段階的に展開すると案内しています。(マイクロソフトサポート)

Windows 11の系統更新プログラムまたはビルド位置付け
24H2KB5101684/OS Build 26100.8973一般向けのオプションプレビュー更新
25H2KB5101684/OS Build 26200.8973一般向けのオプションプレビュー更新
26H1 BetaBuild 28020.2623Insider Preview
26H1 ExperimentalBuild 28120.2630実験的なInsider Preview

したがって、加速スクロールを使うために必ず26H1へ移行する必要があるとは限りません。通常利用しているPCでは、現在のWindows 11のバージョンとWindows Updateの配信状況を先に確認するのが安全です。

Windows 11で加速スクロールを設定する方法

加速スクロールの設定項目が配信されたPCでは、Windows 11のタッチパッド設定から変更できます。

Windows 11のビルド番号を確認する

最初に、PCへインストールされているWindows 11のバージョンとビルドを確認します。

  1. WindowsキーとRキーを同時に押します。
  2. 「ファイル名を指定して実行」にwinverと入力します。
  3. 「OK」を選択します。
  4. 表示された画面でバージョンとOSビルドを確認します。

26H1のプレビュー機能を確認する場合は、Build 28020.2623またはBuild 28120.2630以降であるかを確認します。

24H2または25H2では、Windows Updateの更新履歴からKB5101684がインストールされているか確認できます。ただし、更新プログラムをインストール済みでも、段階配信によって機能がまだ有効になっていない可能性があります。

タッチパッドの設定を開く

  1. 「設定」を開きます。
  2. 「Bluetoothとデバイス」を選択します。
  3. 「タッチパッド」を選択します。
  4. スクロールやズームに関する項目を開きます。
  5. 「加速スクロール」または「Accelerated scrolling」を探します。
  6. 項目が表示されていれば有効にします。

Microsoftの公式情報では、新しいジェスチャー設定は「設定」から「Bluetoothとデバイス」、「タッチパッド」の順に開いた画面へ追加されます。日本語名や項目の配置は、ビルドやローカライズの進行状況によって変わる可能性があります。(マイクロソフトサポート)

スクロールの基本速度も調整する

加速スクロールと同時に、「スクロールとズームの速度」に相当する設定も追加されています。

この設定は、加速が始まる前の基本的なスクロール速度を調整するものです。基本速度を高くしすぎると、加速スクロールが働いたときに目的の場所を通り過ぎやすくなります。

最初は次の設定が使いやすいでしょう。

  • スクロールとズームの速度は中央付近にする
  • 加速スクロールを有効にする
  • 長いWebページで動作を確認する
  • 速すぎる場合は基本速度を1段階下げる

加速の強さや速度曲線、何回目の操作から加速するかといった細かな仕様は、公式資料では明示されていません。実際の操作感は、タッチパッドの大きさやドライバー、利用するアプリも含めて確認する必要があります。

加速スクロールが便利な場面

長いWebページを移動するとき

ニュースサイト、マニュアル、検索結果、オンラインストアなど、縦に長いWebページで効果を実感しやすくなります。

ページの先頭付近では通常に近い感覚で読み進め、ページ下部へ一気に移動したいときはスクロール操作を繰り返して速度を上げられます。

WordやPDFで長い文書を確認するとき

数十ページから数百ページある資料では、スクロールバーを直接つかむよりも、タッチパッドだけで自然に移動できる場合があります。

ただし、目的のページ番号が分かっている場合は、ページ移動や検索機能を使ったほうが正確です。加速スクロールは、文書を流し読みしながら目的の部分を探す用途に向いています。

Excelで大量の行を確認するとき

数千行ある一覧表やログを確認する場合にも便利です。

一方、特定のセルを選択しながら作業するときは、加速によって目的の行を通り過ぎることがあります。データ入力やセル単位の確認を重視する場合は、基本速度を低めにするか、加速スクロールを無効にしたほうが扱いやすいこともあります。

ソースコードやログを読むとき

長いソースコード、アクセスログ、エラーログを大まかに移動するときにも役立ちます。

ただし、特定の行へ正確に移動するなら、エディターの行番号指定、検索、シンボル移動などを併用したほうが効率的です。

加速スクロールが表示されないときの確認事項

対象ビルドへ更新しても設定項目が表示されない場合は、次の点を順番に確認します。

段階配信がまだ届いていない

Microsoftは、新機能をすべての対象PCへ同時に提供するとは限りません。一部のPCから配信を開始し、動作状況を確認しながら対象を広げることがあります。

同じビルド番号のPCでも、加速スクロールが表示されるPCと表示されないPCが存在する可能性があります。

この場合は、Windows Updateを確認したうえで、正式な配信拡大を待つのが基本です。

高精度タッチパッドではない

加速スクロールの対象は、Microsoft Precision Touchpadに準拠した高精度タッチパッドです。

「設定」の「Bluetoothとデバイス」に「タッチパッド」が表示されていても、機種やドライバー構成によって利用できる項目が異なります。メーカー独自のタッチパッド管理アプリが使われているPCでは、Windows標準設定と表示内容が異なることもあります。

PCメーカーのサポートページで、対象機種のタッチパッドドライバーが最新か確認してください。

Windows Updateが完了していない

更新をインストールした直後は、再起動が必要な場合があります。

  1. 「設定」を開きます。
  2. 「Windows Update」を選択します。
  3. 「更新プログラムのチェック」を実行します。
  4. 再起動の案内があれば再起動します。
  5. 再度タッチパッド設定を確認します。

24H2または25H2でKB5101684を試す場合は、「Windows Update」の「詳細オプション」から「オプションの更新プログラム」も確認します。プレビュー更新は、通常のセキュリティ更新とは別に手動選択が必要になる場合があります。(マイクロソフトサポート)

特定のアプリだけ動作が異なる

Microsoftは、新しいタッチパッド機能について、多くのアプリで利用できると説明しています。一方、WinUI 3を使った画面では、完全な対応に新しいWindows App SDKが必要とされています。

公式情報では、Windows App SDK 1.8および2.0へ必要な変更を反映する作業が進められています。そのため、Windows側の設定が有効でも、特定のアプリや画面だけ動作が異なる可能性があります。(Microsoft Learn)

このケースでは、タッチパッドドライバーだけでなく、対象アプリの更新も確認してください。

加速スクロールを使いやすく調整する基準

加速スクロールは、常に有効にすれば便利になるとは限りません。作業内容に合わせて基本速度と加速の有無を調整することが重要です。

主な用途基本速度の目安加速スクロール
Webページの閲覧中程度有効がおすすめ
長いPDFやWord文書中程度有効がおすすめ
Excelの大量データ閲覧低~中程度実際に試して判断
Excelへの細かな入力低め無効も検討
画像編集や細かな位置調整低め無効も検討
ログやソースコードの流し読み中程度有効がおすすめ

設定を決めるときは、次の3種類の操作を試すと判断しやすくなります。

  • 数行だけゆっくり移動する
  • 画面1~2枚分を連続して移動する
  • 長いページの先頭から中盤まで素早く移動する

短距離の操作で行き過ぎる場合は、基本速度を下げます。長距離移動だけが遅い場合は、基本速度を上げる前に加速スクロールを有効にして試してください。

マウスホイールやタッチスクリーンには適用されない

今回案内されている加速スクロールは、高精度タッチパッド向けのジェスチャー機能です。

マウスホイールのスクロール量は、「設定」の「Bluetoothとデバイス」にある「マウス」から別に設定します。タッチスクリーンの指操作も、タッチパッドとは異なる入力として扱われます。

そのため、加速スクロールを有効にしても、マウスホイールの回転速度まで同じように加速するとは限りません。

プレビュー機能を使う際の注意点

Windows InsiderのBetaおよびExperimentalビルドに含まれる機能は、正式提供が保証されているわけではありません。

今後の検証結果によって、次のような変更が行われる可能性があります。

  • 設定名や配置が変わる
  • 加速の動作や感度が調整される
  • 一時的に機能が無効化される
  • 対象アプリや対象機種が変更される
  • 一般提供されずに削除される

特にExperimentalチャネルは、不安定なビルドが配信される可能性があるとMicrosoftが案内しています。仕事用PCや、トラブルが起きると困るメインPCを、加速スクロールだけを目的にExperimentalチャネルへ変更するのは避けたほうがよいでしょう。(Microsoft Learn)

通常利用のPCでは、24H2または25H2向けのWindows Updateを確認し、機能が段階的に提供されるのを待つ方法が現実的です。

加速スクロールは長距離移動と細かな操作を両立しやすい

Windows 11の高精度タッチパッドに追加された加速スクロールは、スクロールを繰り返すほど速度を上げ、長い文書やWebページを移動しやすくする機能です。

利用するときは、次の順序で確認してください。

  1. winverでWindows 11のバージョンとビルドを確認する
  2. Windows Updateを最新の状態にする
  3. 「設定」から「Bluetoothとデバイス」、「タッチパッド」を開く
  4. 加速スクロールの項目があれば有効にする
  5. 基本速度を中央付近から調整する
  6. 長いページと細かな操作の両方を試す

設定が表示されなくても、段階配信がまだ届いていない可能性があります。非公式な方法で無理に有効化するより、Windows UpdateとPCメーカーのドライバーを確認し、正式な配信を待つほうが安全です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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