Windows 11 24H2 へのアップデートで「システム予約パーティションを更新できませんでした」というエラーが出ると、何度やり直しても失敗しがちです。本記事では、Lenovo Legion 5 Slim(23H2)で実際に発生したケースをベースに、EFI(ESP)の空き不足を安全に解消して 24H2 へ更新する具体的な手順と、うまくいかない場合の代替策・再発防止のポイントまで詳しく解説します。
Windows 11 24H2 への更新で発生するエラーの症状
今回の実例(Lenovo Legion 5 Slim)
この記事は、次のような環境で実際に発生したトラブルをベースにしています。
- PC:Lenovo Legion 5 Slim(UEFI 起動)
- OS:Windows 11 23H2(OS ビルド 22631.5335)
- ストレージ構成:NVMe SSD(C ドライブ)+データ用 SSD
- アップデート方法:
- Windows Update からの機能更新
- Microsoft 公式 ISO をマウントしての上書きインストール
どちらの方法でも、途中まではインストールが進むものの、最終的にロールバックされ次のようなエラーが表示されます。
- 「システム予約パーティションを更新できませんでした」
- 英語環境だと “We couldn’t update the system reserved partition” などのメッセージ
再起動後は元の 23H2 に戻り、エラーコードだけが履歴に残る――という、よくある「堂々巡り」のパターンです。
一般的な対処では直らないことが多い
このケースでも、次のような「王道の対処」はすべて試しましたが、状況は改善しませんでした。
- Windows Update トラブルシューティング ツールの実行
C:\Windows\SoftwareDistribution配下の削除- クリーンアップ ツールによる一時ファイルの削除
sfc /scannowやDISM /RestoreHealthの実行
それでもエラー内容は変わらず「システム予約パーティションを更新できませんでした」のまま。ここまで来ると、原因はほぼ 「システム予約パーティション(EFI/ESP)の空き不足」 に絞り込んでよい状況です。
原因:EFI システムパーティション(ESP)の空き不足
「システム予約パーティション」とは何か
Windows 11 を UEFI モードでインストールすると、ディスク先頭付近に 100〜260MB 程度の小さなパーティションが自動で作られます。これは通常「EFI システムパーティション(ESP)」と呼ばれ、次のようなデータが保存されています。
- ブートローダー(
\EFI\Microsoft\Boot\bootmgfw.efiなど) - ブート構成データ(BCD)
- 多言語表示用のブート フォント ファイル(
EFI\Microsoft\Boot\Fonts\*.ttf) - PC メーカー(OEM)のユーティリティや BIOS 更新関連ファイル
- 一部セキュリティ ソフトが書き込むブート関連データ
Windows 10/11 の機能更新では、このパーティションにも新しいブートローダーやフォントなどが書き込まれます。しかし、もともと容量が小さいうえに OEM ファイルや多言語フォントが大量に入っていると、空きが 0 に近くなり、更新に失敗してしまいます。
Lenovo Legion 系で多い「IsFlash.bin」問題
Lenovo Legion 5 / Legion 5 Slim などの一部モデルでは、EFI パーティション内に IsFlash.bin という BIOS 更新用と思われるファイルが置かれており、これが数十 MB 占有しているケースが報告されています。EFI の総容量が 100〜260MB 程度しかない環境では、この 1 ファイルだけで空きがほぼゼロになり、24H2 へのアップデートが失敗する直接的な原因になり得ます。
原因と対処の対応表
| 発生原因 | 具体例 | 主な対処方針 |
|---|---|---|
| EFI の空き容量不足(OEM ファイル) | IsFlash.bin など BIOS 更新用ファイルが数十 MB 入っている | ファイルを C ドライブへ退避し、EFI から削除 |
| フォント ファイルの大量配置 | EFI\Microsoft\Boot\Fonts\*.ttf が多数存在 | 不要なフォント(または全フォント)を削除して空きを確保 |
| パーティションそのものが小さい | EFI が 100MB 未満、またはほぼいっぱい | EFI パーティションを 200〜500MB 程度に拡張 |
| Windows Update 側の不整合 | コンポーネント ストアや更新履歴の破損など | 「Windows Update を使用して修復」やインプレース アップグレードを実施 |
実例:IsFlash.bin を退避して 24H2 への更新に成功した手順
ここからは、Lenovo Legion 5 Slim 実機で 24H2 への更新に成功した具体的な手順を、できるだけ「安全寄り」に噛み砕いて紹介します。
作業前の重要な注意事項
- 必ずバックアップを取る
- システム イメージや、最低限 C ドライブ上の重要データをバックアップしてください。
- BitLocker が有効な場合は回復キーを控える
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「デバイスの暗号化」または OneDrive アカウントから回復キーを確認し、紙や別デバイスに控えておきます。
- 作業はすべて自己責任
- EFI パーティションの操作は誤ると Windows が起動しなくなる可能性があります。手順をよく読み、少しでも不安があればメーカーや専門業者への相談を優先してください。
EFI(ESP)をマウントして中身を確認する
まずは EFI パーティションの実際の中身と、容量を確認します。
- スタートメニューで「cmd」と検索し、「管理者として実行」でコマンド プロンプトを開きます。
- 以下のコマンドを順に実行します。
mountvol Y: /s
powershell -command "Get-ChildItem Y:\ -File -Recurse | `
Sort-Object Length -Descending | `
Select-Object -First 15 FullName,Length | Format-Table -Auto"
これにより、EFI パーティションがドライブ Y: としてマウントされ、サイズの大きいファイルから順に一覧表示されます。ここで、例えば次のようなパスが上位に出てきたら要注意です。
Y:\EFI\Lenovo\IsFlash.binY:\EFI\<Vendor>\IsFlash.bin
また、dir Y:\ を実行して「空きバイト数」がほとんど残っていない場合、24H2 アップデート失敗の原因はほぼ EFI の空き不足と考えてよいでしょう。
IsFlash.bin を C ドライブへ退避して削除する
次に、容量を圧迫している OEM ファイル(ここでは IsFlash.bin)を C ドライブにコピーし、安全を確認したうえで EFI から削除 します。
- コマンド プロンプト(管理者)で以下を実行し、退避用フォルダーを作成します。
mkdir C:\ESP_backup
- 先ほど確認した実際のパスに合わせて、次のようにコピーします。
copy "Y:\EFI\Lenovo\IsFlash.bin" C:\ESP_backup\
コピーが成功したことを必ず確認してください(エクスプローラーで C:\ESP_backup を開き、ファイルサイズも確認すると安心です)。
- 問題がなければ、EFI から元ファイルを削除します。
del "Y:\EFI\Lenovo\IsFlash.bin"
重要: 不明なファイルや、\EFI\Microsoft\Boot 直下のファイルは削除しないでください。削除してよいのは、意味が分かっている OEM ファイル(今回の例では IsFlash.bin)などに限定してください。
この作業だけで数十 MB の空きが生まれ、24H2 への更新が通るケースが実際に報告されています。
(任意)EFI 内のフォントを削減してさらに空きを確保
IsFlash.bin などの大きなファイルを退避しても空きがギリギリしかない場合、EFI\Microsoft\Boot\Fonts にあるフォント ファイルを削除することで、さらに十数 MB〜数十 MB の空きを確保できます。
これは Microsoft Q&A でも案内されている一般的な方法で、削除しても通常の Windows 起動には影響しません(ブートマネージャー画面の多言語文字表示が簡素になる程度です)。
次のコマンドを管理者コマンド プロンプトで実行します。
cd /d Y:\EFI\Microsoft\Boot\Fonts
del *.ttf
削除確認が表示されたら Y を押して進めます。心配な場合は、必要な言語だけを残すように個別に削除しても構いません。
EFI をアンマウントする
作業が終わったら、EFI パーティションをアンマウントして元に戻します。
mountvol Y: /d
これで EFI 内の整理は完了です。
24H2 への更新を再実行する
準備が整ったら、改めて 24H2 へのアップデートを実行します。
- 「設定」→「Windows Update」→「更新プログラムの確認」から 24H2 を選んで「ダウンロードしてインストール」
- または Microsoft 公式 ISO をマウントし、
setup.exeを実行してインプレース アップグレード
今回の実例では、IsFlash.bin を退避→EFI の空きを確保した後に 24H2 への更新を再実行したところ、エラーなく完了 しました。
うまくいかない場合の代替策
EFI パーティション自体を拡張する(200〜500MB 目安)
OEM ファイルの退避やフォント削除でも空きが足りない場合、EFI パーティションそのものを拡張する必要があります。Microsoft Q&A などでも、次のような手順が紹介されています。
- C ドライブを 200〜500MB だけ縮小し、EFI の直前に未割り当て領域を作る。
- 未割り当て領域を EFI パーティションに結合し、サイズを拡張する。
ただし、Windows 標準の「ディスクの管理」ではパーティションの位置移動ができないため、次のようなサードパーティ製ツールがよく使われます。
- AOMEI Partition Assistant Standard(個人利用向けの無償版があるディスク管理ツール)
- GParted Live(USB ブートして操作する Linux ベースのパーティション ツール)
この作業は EFI パーティションのサイズと位置を直接変更するため、難易度は高め です。少しでも不安があれば、メーカーサポートや PC ショップの有償サポートに任せることをおすすめします。
「Windows Update を使用して修復」で OS 自体を上書き修復
更新コンポーネントの破損や、ストア(WinSxS)の不整合が疑われる場合は、個人ファイルやアプリを残したまま OS を上書き再インストール する「Windows Update を使用して修復」が有効です。これは Windows 11 の「設定」から次のように実行できます。
- 「設定」→「システム」→「回復」を開く
- Windows Update を使用して修復(Fix problems using Windows Update)欄の「今すぐ再インストール」をクリック
- 案内に従って「アプリと個人ファイルを保持」を選択し、再インストールを開始
最新の 24H2 イメージがダウンロードされ、OS の各コンポーネントが再構築されるため、通常の更新では直らないトラブルもまとめて解消できる可能性があります。
基本的な更新トラブルシューティングも併用する
EFI に手を入れるのと並行して、次のような基本的な対処も行っておくと効果的です。
- Windows Update サービスのリセット
services.mscを開き、「Windows Update」サービスを停止C:\Windows\SoftwareDistribution\Download配下のファイルをすべて削除- サービスを再起動し、更新を再試行
- DISM + SFC によるシステム イメージ修復
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth sfc /scannow - クリーンアップ ツールで空き容量を確保
- 「ディスク クリーンアップ」または「ストレージ センサー」で一時ファイル・旧 Windows 更新ファイルを削除
24H2 更新後の「プレビュー更新」が詰まる場合
ビルド 26100.4946 以降の 24H2 とプレビュー更新
Windows 11 24H2 は、ビルド番号 26100.xxxx 系列として提供されます。 24H2 への更新が完了した後、Windows Update に「プレビュー更新」「Preview Update」と書かれた更新プログラムが表示されることがあります。
これらは オプションの品質更新プログラム(optional non-security preview release) と呼ばれるもので、主にバグ修正や挙動改善が目的です。セキュリティ修正は通常、毎月の「セキュリティ更新プログラム」に含まれており、プレビュー更新をインストールしなくてもセキュリティ上の問題はありません。
プレビュー更新のダウンロードが進まないときの対処
実例の Lenovo Legion 5 Slim でも、24H2 への更新後に表示されたプレビュー更新が「ダウンロード 0% のまま長時間進まない」状況が一時的に発生しました。このような場合は、次のような方針で構いません。
- プレビュー更新はあくまで任意なので、無理にインストールしなくてよい
- 「設定」→「Windows Update」→「詳細オプション」から「オプションの更新プログラム」をオフにする
- 「最新の更新プログラムを可能な限り早く入手する」トグルをオフにして様子を見る
- どうしても適用したい場合は、前述の「Windows Update を使用して修復」やインプレース アップグレードで更新コンポーネントを一度リセットしてから再試行する
トラブル時に確認したいチェックリスト
| 症状 | 優先して確認するポイント | 推奨アクション |
|---|---|---|
| 24H2 アップデート中に「システム予約パーティションを更新できませんでした」 | EFI(Y:)の空き容量、IsFlash.bin や巨大ファイルの有無 | EFI をマウントし、OEM ファイル退避・フォント削除で空き確保 |
| 更新のダウンロードが 0% から進まない | Windows Update サービス、SoftwareDistribution フォルダー | サービス停止→Download フォルダー削除→サービス再起動→再試行 |
| 何度やっても機能更新に失敗する | システム ファイルや更新コンポーネントの整合性 | DISM+SFC、Windows Update を使用して修復、インプレース アップグレード |
| EFI の空きがどうしても足りない | EFI のサイズ、ディスクのパーティション構成 | EFI を 200〜500MB 程度まで拡張(バックアップ必須、難しければ専門サポートへ) |
| プレビュー更新だけが毎回失敗する | 更新の種別(プレビューか、セキュリティ更新か) | プレビュー更新はオフにして様子見。本命は月例の累積セキュリティ更新 |
再発防止のポイント
いったん 24H2 への更新に成功しても、将来の機能アップデートで同じトラブルを繰り返さないために、次のポイントも意識しておくと安心です。
- EFI のサイズを 200〜500MB 程度にしておく
- 新しい PC をセットアップした直後や、ストレージ換装時にパーティションを見直しておくと、将来のアップデートが安定します。
- OEM ツールの挙動を把握する
- メーカー製 BIOS 更新ツールなどが EFI に大きなファイルを書き込む場合、後から整理が必要になることがあります。
- 定期的に Windows Update を確認し、エラーを放置しない
- 機能更新が 1 年以上失敗し続けている場合、その時点で一度原因を潰しておくと、後々のトラブルを防げます。
- バックアップの習慣をつける
- EFI やブート周りに手を入れる作業は、どれほど慎重に行ってもゼロリスクではありません。定期バックアップが最強の保険です。
まとめ:EFI の空き不足を疑うところから始めよう
Windows 11 24H2 へのアップデートで「システム予約パーティションを更新できませんでした」と表示される場合、多くは EFI(ESP)の空き容量不足 が原因です。
- Lenovo Legion 5 Slim の実例では、EFI 内の
IsFlash.binを C ドライブへ退避して削除することで、24H2 への更新が正常に完了しました。 - 同様の症状では、まず EFI をマウントして中身と空き容量を確認 し、大きな OEM ファイルの退避 → フォント削減 →(必要なら)EFI 拡張 の順で対処すると、安全かつ効果的です。
- それでも改善しない場合は、「Windows Update を使用して修復」やインプレース アップグレードで更新コンポーネントをリセットする方法も有効です。
- 24H2 更新後に表示される「プレビュー更新」は任意の品質更新であり、セキュリティ更新とは別物です。ダウンロードやインストールが不安定なときは、無理に適用せずオフにして様子を見ても問題ありません。
アップデート周りのトラブルは「何となく怖い」領域ですが、ポイントを整理して一つひとつ潰していけば、意外とシンプルな原因にたどり着くことも少なくありません。本記事の手順と考え方が、24H2 へのアップデートで悩んでいる方の一助になれば幸いです。

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